「はやぶさ2」回収の試料から黒い固体有機物。母天体での水質変成史が明らかに

「はやぶさ2」回収の試料から黒い固体有機物。母天体での水質変成史が明らかに
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1480871.html

 ※ 「固体有機物」などと言うものが、あるんだな…。

 ※ いよいよ、「生命の起源」は、「宇宙」からもたらされた…、と言うことのようだ…。

『国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)のほか広島大学、横浜国立大学、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、九州大学、北海道大学、東北大学、京都大学、東京大学の研究グループは、小惑星探査機「はやぶさ2」が回収した「リュウグウ」の試料分析成果に関する新たな成果を発表した。

 今回発表したのは、6つのサブチームからなる「はやぶさ2初期分析チーム」のうち2つで、可溶性有機物分析チームと固体有機物分析チーム。リュウグウ試料中の可溶性有機分子に関するものと、黒い固体有機物に関する研究成果が新たに発表された。

 可溶性有機分子からは2万種の化合物が見つかり、リュウグウ表面でも低分子が塩(えん)として存在することが分かった。またアミノ酸も23種類見つかったが、そのうち6種類は左手型と右手型が等量見つかり、非生物的な合成プロセスによると推定された。

 一方、有機物は主に黒くて石炭のような固体有機物が占めていた。地球が誕生したばかりのころには大量の小惑星や彗星が衝突していた。リュウグウのような小天体に含まれる有機物も「生命の材料」としてもたらされたと考えられている。

 従来は具体的な生命の材料として、隕石に微量に含まれるアミノ酸、糖、核酸塩基などの生体関連分子が注目されてきた。だが今回の分析結果から、生命を構成する成分とは無関係に思えるような有機物が初期地球に大量にもたらされ、その後、地球上で熱水などと反応し、さらなる化学進化を経て、生命材料として利用できる分子に変化していくことによって、ハビタブル天体の形成に寄与した可能性があることが示唆された。炭素質小惑星の固体有機物はさまざまな分子を生み出すリザーバーとしての役割を担っていた可能性があるという。
固体有機物分析チームによる分析作業。KEKフォトンファクトリーのX線顕微鏡やSPring-8で分析が行なわれた

 論文はどちらも、米国の科学雑誌「Science」に掲載された。

炭素質小惑星リュウグウの試料中の可溶性有機分子
原題:Soluble organic molecules in samples of the carbonaceous asteroid (162173) Ryugu

小惑星リュウグウ試料中の黒い固体有機物
原題:Macromolecular organic matter in samples of the asteroid (162173) Ryugu

 記者説明会では、それぞれの論文について解説が行なわれた。

「リュウグウ」可溶性有機化合物を日米欧各国の研究チームが分析
九州大学大学院理学研究院 地球惑星科学科 有機宇宙地球化学研究室教授 奈良岡浩氏

 まず、可溶性有機物に関する論文については、九州大学大学院理学研究院 地球惑星科学科 有機宇宙地球化学研究室教授の奈良岡浩氏が解説した。

 炭素質隕石に含まれる多くの有機分子は原始地球上に運ばれて、生命誕生にいたる化学進化の材料物質となったという仮説がある。しかし、炭素質隕石の故郷と考えられる炭素質小惑星に、実際にどのような有機分子が存在するかは分かっていなかった。

 研究グループは、小惑星探査機「はやぶさ2」が第1回目のタッチダウンで採取した小惑星リュウグウのサンプルを水や有機溶媒で抽出。可溶性有機化合物を日米欧各国の研究チームで分析した。

 すると、炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)の元素組成からなるアルコール可溶性の有機化合物分子が約2万種見つかった。具体的な有機化合物としてはアミノ酸やアミン、カルボン酸、炭化水素、含窒素環状化合物などが含まれていた。これは隕石に比べるとかなり多い。アミノ酸には右手構造(D-体)と左手構造(L-体)の光学異性体があるが、6種類は1:1の等量のラセミ体であり、非生物的に合成されたものと解釈された。

リュウグウの表面サンプルから見つかった有機分子の概念図

 今回調べられた試料は、「はやぶさ2」第1回タッチダウンの「A0106」と呼ばれるサンプル。1個1個が1mm以下の粒からなる集合体(Aggregate)で、中には30nm以下の粒子もある。全体の重さは35mg。それに対して高分解能質量分析、クロマトグラフィー分析法を使って日本、米国、ドイツの大学・研究機関で解析した。

 元素分析をしてみると、CHONSの存在量は重量にして約20wt%くらい入っており、安定同位体比を計測すると、地球上のものとは違い、重い同位体に富んでいて、最も始原的な隕石グループと言われる「CIコンドライト」に属する「Ivuna(イヴナ)タイプ」の炭素質隕石に似ていた(リュウグウは炭素質隕石、特にイヴナ型炭素質隕石から主に構成されていることが分かっている)。

 精密質量測定をすることで、分子構造は分からないが、CHNOSがどのくらい入っているかを決めることはできる。2万種の化合物の中ではCHOS、CHNO、CHNOSなどが比較的多く、奈良岡氏によれば「特にSが入っている化合物が多かった。地球上ではこんなに硫黄化合物が出てくることはない」とのこと。

 試料の炭素、水素、窒素量の分析結果を見ると、それぞれの点が、ある規則を持って並んでいるのが分かる。それは成因的に関連があることを示す。

リュウグウ試料の炭素、水素、窒素量
アルコール抽出物から検出された2万種類の化学組成
リュウグウ母天体で水の影響があったことが明らかに
クロマトグラフィーによるアミノ酸の分離結果。上段がリュウグウ試料、中段が有機物のない蛇紋岩、下段がstandard

 今回の分析結果は、色々な有機分子がリュウグウの表面に存在していたことを示している。クロマトグラフィーを使うことで、地球生命が用いるタンパク性アミノ酸のほか、非タンパク性アミノ酸も見つかった。そして右手構造と左手構造を持つアミノ酸は1:1の等量が存在した。地球生物のタンパク質合成には左手型(L-体)しか用いられないので、右手構造と左手構造が1:1ということは、このアミノ酸は生命にかかわらず宇宙で合成されたものであることを示している。

 炭化水素としてはアルキルベンゼンや多環芳香族炭化水素であるナフタレン、フェナントレン、ピレン、フルオランテンなどが見出された。これらの存在パターンは地球上の熱水原油のパターンと似ており、リュウグウが太陽系形成初期の微惑星の一部だった時代の母天体上で、水の影響を受けていたと考えられる。

 また、「A0080」という1mmくらいのリュウグウ試料の表面をメタノールスプレーを使ってその場分析すると、窒素を含む環状化合物など異なる有機分子が異なる空間分布で存在していることが分かった。これは、リュウグウの母天体上で水が動き、水と鉱物とが相互作用する中で有機化合物が分離した可能性が高いと考えられる。
エレクトロスプレーイオン化質量分析で得られたCHN化合物の異なる空間分布

 これまで、小惑星の表面は紫外線や宇宙線など高エネルギー粒子が当たっているため、低分子化合物は破壊されているのではないかとも考えられていた。だが実際には低分子の有機物が存在していた。これは表面にあった無機金属と塩を作ることで守られていると考えられる。たとえば酢酸は地球表面では飛びやすいが、塩になると揮発しにくい。真空下でも塩になって守られているらしい。

 発見されたアミノ酸がラセミ体だった今回の結果は「宇宙由来のアミノ酸が生命の材料になった」とするアイデア、いわゆるパンスペルミア説を支持しない。しかしながら小惑星からはさまざまな過程で物質が宇宙空間に放出される。表面に存在する有機分子が、地球など他の天体にそのまま運ばれる可能性は十分にあるという。「今後ももっと宇宙を探索すべきだ」と奈良岡氏は語った。

有機物の主要な割合を黒い固体有機物が占める

広島大学先進理工系科学研究科 教授 薮田ひかる氏

 続く2本目は、広島大学先進理工系科学研究科 教授の薮田ひかる氏が解説した。薮田氏ら固体有機物分析チームは、小惑星リュウグウ試料中の固体有機物の化学組成、同位体組成、形態を分析した。

 薮田氏らはリュウグウ試料(200~900μmサイズの微粒子37個)に対し2種類の分析を行なった。1つ目は微粒子に化学的処理を施さない非破壊分析。その結果、主要な割合を黒色の固体有機物が占めていることが分かった。

 もう1つは試料を強い酸で処理し、残渣を分析する破壊分析だ。塩酸とフッ酸の混合溶液で1カ月間、繰り返し処理をすることで、大部分の無機物を溶かしてしまう。最終的に残った、強酸でも溶けない酸不溶性残渣を分析した。その分析結果と非破壊分析の結果はほぼ同じだったという。つまり、リュウグウ試料の有機物の主要な割合を黒い固体有機物が占めていたことになる。

酸処理の様子。何度も酸を使って無機物を溶かす。テフロン製バイアル1本のなかに約10mg
フッ酸と塩酸で無機物、層状ケイ酸塩などを溶かし、純度の高い固体有機物を生成。残った不溶性炭素質残渣を調べた

 では固体有機物を構成している化学物質は、どんなものだったのか。芳香族炭素、脂肪族炭素、ケトン基、カルボキシル基が無秩序に結合した芳香族性の高分子構造からなっていた。リュウグウ試料中の固体有機物の化学・同位体組成は、最も始源的なイブナ型炭素質隕石(CIコンドライト)や始原的なミゲイ型炭素質隕石(CMコンドライト)のものに似ていた。

 一方で、リュウグウ試料の有機物は高温で加熱されていなかったことも分かった。これは、有機物が高温で加熱されて炭化すると生じる、グラファイトのような秩序だった構造が見られなかったため。リュウグウ試料の有機物は、母天体内部や天体衝突によって200℃を超える高温には加熱されなかったことを意味するという。

 今回の小惑星リュウグウの試料の有機物は化学的、同位体的に、始原的な炭素質コンドライト隕石と似ていた。炭素質小惑星の有機物と直接的な関係が、初めて証明された。
リュウグウ母天体との水、鉱物、有機物の相互作用の証拠

 さらに、リュウグウ試料(微粒子12個)の超薄切片(厚さ約100nm)を作製し、より空間分解能の高い放射光軟X線顕微鏡、透過型電子顕微鏡、AFM赤外顕微鏡による測定も行なった。すると、ナノメートルサイズの球状有機物(ナノグロビュール)や、薄く広がった不定形の有機物(diffuse carbon)が、層状ケイ酸塩や炭酸塩などの鉱物と混じり合って存在していた。

 これらはリュウグウの母天体で、液体の水、前駆的な有機物、鉱物との化学反応(水質変成)で起こった証拠だと見られるという。

 ナノグロビュール有機物は、芳香属炭素やカルボニル炭素に富み、薄く広がった有機物には始原的な炭素質隕石に含まれる酸不溶性有機物に似ているが、モレキュラーカーボネート(結晶性の炭酸塩鉱物ではない、分子状の炭酸塩前駆物質、または炭酸エステルと推測される分子)を含むことが分かった。リュウグウ試料の方が炭素質隕石よりも化学的、形態的に多様性があった。これはリュウグウ母天体で液体の水と有機物との反応がさまざまな条件で進行したことを示している。

 薮田氏は電子顕微鏡で撮影された具体的な有機物の姿を示しながら解説した。ナノグロビュールには穴が空いているもの、空いていないもの、ソリッドのナノグロビュールが層状ケイ酸塩と共存したものなどがあったという。中には、組織が繊維状の層状ケイ酸塩のマトリックスの中に混ざるように有機物が分布、つまり内部に取り込まれているものもあったり、大きめのカルサイトの中に形の定まらない有機物が包有されている状態も観察されるなど、「多様な形態の有機物が多様な化学組成で見出された」と語った。

透過電子顕微鏡観察で見たリュウグウ試料。ナノサイズの有機物が鉱物と入り混じっている
星間分子雲などの低温環境から水質変成を経て生じたリュウグウの有機物

 続いて、固体有機物の同位体分析を行なった。微粒子試料、不溶性残渣のいずれからも重水素と窒素15が非常に高い領域とそうではない領域があった。重水素と窒素15に富む同位体組成は地球上の有機物には見られない、マイナス200℃以下の低温環境のみで生じることから、少なくとも一部は宇宙の極低温環境で生じたことが示された。「宇宙の極低温環境」とは、具体的には星間分子雲や原始惑星系円盤外側のことだ。

 リュウグウはC型小惑星だ。ほかの太陽系小天体の有機物と比較したところ、リュウグウ試料を酸処理して得られた不溶性有機物は、水素同位体についても窒素同位体にしても、水質変成を経験した隕石と似ていて、逆に水質変成を経験していない隕石などとは似ていなかった。こういうことから、リュウグウの同位体組成も母天体で水との反応を受けて変成した結果であると解釈できる。

 つまり、原始惑星系円盤の初期段階の始原小天体で生じた共通の前駆物質が、C型小惑星やD型小惑星で起こったような水との不均一な化学反応をリュウグウ母天体で経験し、さらに化学的、同位体的に変化した結果、リュウグウの有機物を生じたと考えられる。
不溶性残渣の水素同位体と窒素同位体の比較。リュウグウ試料は水質変成を受けたものと似ていた

リュウグウの進化にともなう固体有機物の形成と進化
リュウグウの進化に伴う固体有機物の形成と進化

 リュウグウの進化に伴う固体有機物の形成と進化をまとめると、まず星間分子雲や原始惑星系円盤の外側で、それぞれの環境で前駆物質として有機物が形成される。そこでは重水素や窒素15が濃集あるいは枯渇した有機物が生じ、球状のナノグロビュールができたり窒素15に富む有機物が低温環境で作られる。

 それらが母天体に取り込まれたあと、液体の水と反応して化学的に変化し、二次鉱物ができたりナノグロビュール中の芳香属炭素などの比が増え、同位体組成が変化する。その後、微惑星同士の衝突によってリュウグウ母天体が壊れたのだと考えられる。

 太陽系科学の意義の1つは、生命起源の探索だ。C型小惑星リュウグウ、タギッシュレイク隕石のようなD型小惑星、「スターダスト計画」や惑星間塵、南極隕石などのかたちで入手できている彗星の有機物には、それぞれ共通点と相違点があった。これは原始惑星系円盤で生じた共通の前駆物質が、それぞれの微惑星に取り込まれたあと、化学反応して多様化していったのではないかと考えられる。

 初期太陽系においては、隕石や彗星が惑星に衝突した際に、アミノ酸や塩基など生命の材料がもたらされたと考える説が主流になっている。今回の成果は、炭素質が主要な割合を占めるC型小惑星の黒い固体有機物のような、一見生命に関係ないように見える有機物も、アミノ酸などと一緒に初期地球に大量にもたらされて化学環境に影響を与え、「ハビタブル(生命が生存可能)な天体の形成に寄与したと考えられるものだ」という。

 なお「はやぶさ2」のサンプルは貴重なので、サンプルの解析については、前述の可溶性有機物分析チームと共有しながら行なったとのこと。メンバーは40名以上。日本国内では各大学のほか、KEKのフォトンファクトリーのX線顕微鏡、「Spring-8」や分子科学研究所でも分析を行なった。

地球や生命の起源につながる重要な知見
東京大学大学院理学系研究科 宇宙惑星科学講座 地球惑星システム科学講座 教授 橘省吾氏

 今回の論文が掲載された「Science」は既報の3本の論文を含めて、「はやぶさ2」成果の特集号となっている。各分析チームが研究してきた太陽系の起源や生命の起源に繋がる「はやぶさ2」の成果については、今後、サンプルサイエンスの全体像をまとめて紹介する報告会を開く予定もあるとのことだ。地球や生命につながる重要な知見を今後も与えてくれるだろう。

橘 省吾教授講演「リュウグウからの玉手箱の中身は?~これからの分析への展望~」2021/2/23 東京大学理学部臨時公開講演会 』

スペースX、衛星ネットでフィリピン参入へ 東南アで初

スペースX、衛星ネットでフィリピン参入へ 東南アで初
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM308WK0Q2A530C2000000/

 ※ 『有線のインフラ整備に時間とコストを要する島しょ国にあって、衛星の強みを生かして各地の通信手段の確保にもつながる見通しだ。』…。

 ※ フィリピンだけの話しじゃ無いな…。

『【マニラ=志賀優一】米起業家イーロン・マスク氏率いる宇宙企業スペースXが衛星インターネットサービス「スターリンク」でフィリピンに参入する。同国の国家電気通信委員会が27日、サービスの提供・運営を許可したと発表した。スターリンクの東南アジア展開は初めて。フィリピンを皮切りに従来の欧米などから事業エリアを広げる。

事業の認可を取得したのはスターリンク・インターネット・サービシズ・フィリピン。マスク氏も「スターリンクがフィリピンで承認された」とツイッターに投稿した。

フィリピン当局はサービスの提供開始時期について「数カ月」の内だとしている。スターリンクはほかの東南アジア諸国でも2023年ごろにサービスを開始するとみられる。

スターリンクは衛星通信を活用して高速・低遅延のネットサービスを提供。ロシアの侵攻を受けたウクライナの通信の一翼を担ったことでも知られる。マスク氏は今回、フィリピンのほか、アフリカのナイジェリアとモザンビークでも事業の申請が承認されたと明らかにした。

フィリピンは国民の1日あたりのネット利用時間が10時間を超え、東南アジアで最も長いとの調査がある一方、データ通信速度の遅さが課題となっている。有線のインフラ整備に時間とコストを要する島しょ国にあって、衛星の強みを生かして各地の通信手段の確保にもつながる見通しだ。』

〔我が国の宇宙開発利用の現状 我が国の宇宙開発利用の現状〕

(データ集)
平成22年2月23日
内閣官房宇宙開発戦略本部事務局
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/seisaku_kaigi/dai1/siryou1_3.pdf

 ※ 日本国の宇宙開発の現状は、どうなっているのか…。

 ※ 安全保障の観点、産業振興の観点、国民生活の利便性の向上の観点…、そのプライオリティの割り振りは、どうなっているのか…。

 ※ そういう問題を知り得るためには、どういう「資料」に当たったらいいのか…。

 ※ 何か、「全体の組織図」みたいなものは、ないのか…。

 ※ そういう問題意識で、探していたら、当たったものだ…。

 ※ ちょっと古いが、参考になるんで、貼っておく…。

※「気象庁」が、国交省の管轄ということは、知らんかった…。

※ JAXAは、文科省と総務省で綱引きしたようだ…。双方から人員を出す…、ということで決着したようだ…。

※ 一応、内閣官房内の「宇宙開発戦略本部」というところが、「司令塔」だ…。本部長は、「内閣総理大臣」…。「宇宙開発担当大臣」というものも、設置されているんだな…。

内閣府特命担当大臣(宇宙政策担当)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C%E7%89%B9%E5%91%BD%E6%8B%85%E5%BD%93%E5%A4%A7%E8%87%A3%EF%BC%88%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%94%BF%E7%AD%96%E6%8B%85%E5%BD%93%EF%BC%89

火星に生命の証拠は見つかるか? 米探査機が着陸

火星に生命の証拠は見つかるか? 米探査機が着陸
科学記者の目 編集委員 小玉祥司
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH0883N0Y1A200C2000000/

『米国の火星探査機が日本時間の2月19日午前6時ごろに火星に着陸した。移動しながら火星を調べるタイプの着陸は9年ぶり。今回の探査で火星の土壌のサンプルを集め、将来、別の探査機を使って地球に持ち帰る計画も進む。火星には過去に豊富な水があったと考えられており、今回こそ生命の証拠がみつかるのではないかと期待される。

着陸した「パーシビアランス」は車輪を備えて自力で走行するローバー(探査車)と呼ばれるタイプ…

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着陸した「パーシビアランス」は車輪を備えて自力で走行するローバー(探査車)と呼ばれるタイプ。2012年に火星に着陸した「キュリオシティ」と同様に米航空宇宙局(NASA)が開発した。火星を飛行して探査するヘリコプターも初めて搭載し、従来よりも広い範囲で的確な調査が可能になる。

着陸したのはジェゼロクレーターと呼ばれる場所。宇宙の生命について研究する小林憲正横浜国立大学教授は「過去に生物がいただろうという場所の中で、見つかる可能性が高い場所」と説明する。生命が誕生し、存在するには水の存在が欠かせないと考えられているが、ジェゼロクレーターは過去に湖のように水がたまっていたとみられるからだ。

着陸したジェゼロクレーターには水が流れてできたとみられる地形が存在する=NASA/JPL-Caltech/MSSS/JHU-APL提供
期待されるのは生物に由来すると考えられる複雑な有機物の発見だ。パーシビアランスには物質の構造を分子レベルで解析するラマン分光などの分析装置などが搭載されていて、詳しく物質を調べることができる。生物によって濃縮されたと考えられる鉱物が見つかっても、やはり生命が存在していた証拠になる。火星の研究を手掛ける宮本英昭東京大学教授は「カルシウムやリンが数珠つなぎになったものが見つかると生命の可能性がある」と指摘する。

またジェゼロクレーターの近くには、メタンが大量に発生しているという観測が過去にされた地点がある。この観測には疑問の声もあるが、2019年にはキュリオシティが高濃度のメタンを検出、濃度が季節により変化しているとする報告もあり、生物によって作られたメタンではないかと議論を呼んだ。メタンが観測されれば、生物が今も存在する間接的な証拠になる。

もっともパーシビアランスの探査だけですぐに、確実に生命が存在すると証明するのは難しそうだ。搭載する分析装置だけでは限界があり、「サンプルを地球に持ち帰って、同位体の分析などをすれば確実なことがいえるのでは」と小林教授は話す。NASAは今回の探査で火星の土壌のサンプルを収集して火星上に保管。欧州宇宙機関(ESA)と協力し、別の探査機でサンプルを回収して30年代初めに地球に持ち帰る計画を進めている。

ジェゼロクレーターの探査は、火星の環境変化を調べる上でも成果が期待されている。クレーターの底に堆積物がたまるだけでなく、周囲から水が流れ込んでできたと考えられる扇状の三角州のような地形も存在する。遠くから運ばれた物質も含めて長期間にわたって形成された地層を調べるのに適した場所だ。泥火山とみられる小さな火山もあり、鉱物など無機物を調べるにも適している。「どのような鉱物ができているかを調べると、効率よく環境変化がわかる。動く範囲が狭くても、長い歴史を調べられる」と宮本教授は期待する。

打ち上げ前に試験運転する火星探査車「パーシビアランス」=NASA/JPL-Caltech提供
火星は35億年ほど前までは地球と同じように豊富な水があり、生命が誕生してもおかしくない環境だったと考えられている。火星の環境の変化を調べることで、生命の可能性だけでなく、火星や地球のような惑星が形成されてきた歴史の解明にもつながる。

火星の探査には国際的な取り決めによる制限もあり、今回の探査で生きている生物をすぐに見つけられる可能性は低い。もし現在も火星に微生物などの生命が存在すると、地球の生物との間に互いに悪影響を及ぼす懸念がある。そのため宇宙や天体に関する世界的な科学者団体である国際宇宙空間研究委員会(コスパー)は、生物が生きている可能性が最も高いとみられる、水が存在している場所への着陸は制限しているからだ。

とはいえ地球上でも地下深くなど厳しい環境で生息する生物は少なくない。「一度生命が誕生したら、根絶するのは大変」(小林教授)だ。過去に生命が存在した痕跡がみつかれば、現在も火星に生物が生き続けている可能性は極めて高くなる。

今年は中国の探査機「天問1号」や日本のH2ロケットで打ち上げたアラブ首長国連邦の探査機「アル・アマル」も2月に火星に到着、中国は5月から6月にかけて着陸にも挑戦する。欧州とロシアの探査機「エクソマーズ」は計画より遅れたが22年にうちあげ、地下2メートルまで掘って生命の証拠を調べる予定だ。近い将来、火星で生命の証拠が見つかる期待は高まっている。

NASAの火星探査機「パーサヴィアランス」が火星に着陸
https://gigazine.net/news/20210219-nasa-mars-perseverance-rover-safely-lands-mars/