京大スタートアップが拓く、核融合発電の時代

京大スタートアップが拓く、核融合発電の時代
https://www.technologyreview.jp/s/285517/kyoto-university-startup-pioneers-the-era-of-fusion-power-generation/

『究極のエネルギーと言われ、長年にわたって研究されてきた核融合発電。この実用化に向けて関連技術の開発に取り組むのが、京都大学発のスタートアップ企業、京都フュージョニリングだ。同社のビジネスモデルと展望について、長尾昂CEOに聞いた。

by Keiichi Motohashi2022.09.13 』

『融合の産業化が必ず来るのは間違いない。問題は誰がいつやるのか。もちろんこの『誰』と言うのは1つの企業や国ではなく複数です。そして、日本はその複数の中の1つとして、核融合を新たな産業として受け入れられるようにしたい」

脱炭素イノベーション
この記事はマガジン「脱炭素イノベーション」に収録されています。
マガジンの紹介

究極のエネルギーと言われる核融合技術のスタートアップ、京都フュージョニアリングの最高経営責任者(CEO)である長尾昂氏は、このように語る。技術開発の先に、核融合産業のエコシステムの構築があり、日本はその中で大きな役割を果たしていくようになる、というのが、長尾CEOの考える未来だ。

そもそも、なぜ核融合が究極のエネルギーと言われるのだろうか。原子力発電とは何が異なるのだろうか。

核融合は水素など軽い元素の原子核がぶつかって融合し、別の原子核になる反応で、この時に莫大なエネルギーを放出する。対して、原子力発電では、ウランなど重い元素の原子核が分裂して複数の原子核になるときに、やはり莫大なエネルギーを放出する(核分裂)。

「一般的に、核融合炉では、重水素と三重水素の原子核を衝突させて、ヘリウムの原子核にしますが、このときに中性子が放出されます」と長尾CEOは説明する。こうした反応が連続的に発生し、エネルギーを生み出していくということだ。一般的な水素の原子核は陽子1個で構成されているが、重水素の原子核は陽子1個と中性子1個、三重水素の原子核は陽子1個と中性子2個で構成されている。いずれも、水素の同位体である。これらが衝突して融合し、陽子2個と中性子2個で構成されているヘリウムの原子核となり、余った中性子が放出されるという仕組みである。

核融合で生み出されるエネルギーは核分裂と比較してもはるかに大きい。核融合炉の場合、燃料1グラム当たり石油8トン分のエネルギーを取り出せる。これは、一般家庭の約10年分に相当する。それに対し、ウラン燃料の核分裂では1グラム当たり石油1.8トン分にすぎない。

また、三重水素は、リチウムが核融合炉で核分裂すると発生する。したがって、実質的な燃料はリチウムということになる。リチウムはレアメタルに分類される希少金属だが、海水中には2330億トンものリチウムが存在すると言われている。このリチウムで核融合発電した場合、全人類の7万年分のエネルギーを生み出せるという。これが、核融合が究極のエネルギーと言われる所以である。

京都フュージョニアリングのラボに設置された真空装置。実際の核融合炉内は真空のため、その核融合環境をこの装置で再現する。この中を重水素と三重水素のプラズマが飛び交う。同社が強みとしているブランケットなどの機器の実験に利用されている。(同社提供)
核融合の歴史

核融合炉の研究の歴史は決して浅くはない。1900年代にはすでに核融合が発見されており、これは核分裂の発見よりも早い。太陽のエネルギーがまさに核融合によるものだということもあるだろう。太陽の場合、一般的な水素が融合してヘリウムに変化するので、核融合炉での反応とは少し異なるが、同じ核融合反応である。

「1930年代には、後にノーベル物理学賞を受賞する湯川秀樹博士も、日本でも核融合の利用について研究すべきだと発言されていました。本格的に核融合炉の研究が進むようになったのが、1950年代から60年代。旧ソ連や米国が研究を進めました。とはいえ、巨額の費用がかかり、国ごとに研究していくのは負担が大きい。そこで、1985年に国際熱核融合実験炉(ITER=イーター)という計画が持ち上がりました」

ITER計画はその後、2001年から2006年にかけて設計のための協議が進み、現在はフランス南部において建設中となっている。2025年に運転開始となり、2035年から発電の実証が始まる予定だ。

核分裂炉の研究開発の歴史はおよそ100年におよぶ。核分裂の発見から発電までは、およそ15年しかかかっていないのと比較すると、核分裂エネルギーの利用には長い時間がかかっていることになる。

一般的な原子炉(軽水炉)では、ウラン燃料を水に沈めて直接お湯を沸かす仕組みであるのに対し、核融合炉では、高温のプラズマとなった重水素と三重水素を衝突させるために、構造的にははるかに高い技術が必要とされる。プラズマを閉じ込めた上で、核融合によるエネルギーを熱として取り出す必要があるからだ。
「ITERなど、トカマク型と呼ばれる核融合炉では、磁力でプラズマを集めて閉じ込めます。重水素や三重水素が高密度で飛び回ることで、原子核の衝突が起こり、核融合が発生します。この時に中性子も発生しますが、これが炉を包むブランケットにあるリチウムの核分裂反応を引き起こし、熱を発生させます。この熱で蒸気を作り、タービンを回して発電するという点は、原子力発電と同じです。一方、リチウムは核分裂後にヘリウムと三重水素となり、このうち三重水素は核融合炉の燃料として回収して使われます」

トカマク型とは、強力な電磁石をドーナツ型の核融合炉に多数配置し、磁力でプラズマを閉じ込める形式のものである。同じく電磁石を核融合炉に巻き付けるように取り付けたものを、ヘリカル型という。他にもレーザー核融合炉があり、360度全方向からレーザーを照射して重水素と三重水素を球状に圧縮し、核融合を起こす仕組みだ。いずれにせよ、核融合によって発生した中性子を通じてエネルギーを熱に変え、その熱で発電する。

実用化に長い年月がかかってきた核融合だが、近年になって多くのスタートアップが登場し、活発な動きを見せている。そこにはもちろん、カーボンゼロを目指すという、気候変動対策がより重要になってきたということもあるだろう。

とりわけ目立つのが、米国のスタートアップだ。実は米国は近年までは核融合炉には積極的ではなかった。だが、ここ数年で巨額の民間マネーが流入。ビル・ゲイツが投資するMIT発のスタートアップ企業、コモンウェルス・フュージョン・システムズ(Commonwealth Fusion Systems)が18億ドルもの資金調達に成功するなど、民間主導で商用化を目指す動きが加速している。北海油田の枯渇が見えてきた英国も、エネルギー安全保障の観点から、核融合炉の開発には積極的になっている。こうした状況もあり、核融合炉関連は現在、投資を集めやすい状況だ。

「地道な研究開発を続けてきたにもかかわらず、ダイナミックな局面では、日本が乗り遅れるのが今までのパターンでした。我々としても受け継がれた技術があり、乗り遅れないようにようにしたい」

原子力発電ではせいぜい300°Cの熱を取り出して発電しているが、核融合炉ではおよそ1000°Cとなる。当然、物質の挙動や使用する部材も変わってくる。熱の媒体には水ではなく液体金属を使用し、配管の金属もステンレスではなく1000°Cに耐える素材を使う。

その点、日本はこれまで継続的に核融合炉の研究開発を積み重ねてきた実績がある。

「長い間、地道な研究開発を続けてきたにもかかわらず、世界におけるダイナミックな局面では、日本が乗り遅れるのが今までのパターン。ただ、我々としても受け継がれた技術があり、乗り遅れないようにようにしたい」と長尾CEOは強く思っている。

リーバイスのビジネスモデル

世界中で核融合のスタートアップが立ち上がる中、京都フュージョニアリングの強みとは何か。長尾CEOはマネタイズを意識した会社だと強調する。

「我々は科学技術にとどまらず、核融合という新たな産業を作っていきたいと考えています。これまでの研究開発は、B to G、いわゆる政府の研究開発の下請けでした。しかし我々はBtoB、すなわち政府をあてにすることなく事業として成り立つことを目指しています。我々のビジネスは、ゴールドラッシュにおけるリーバイスのビジネスモデルによく例えられます。つまり、核融合炉の中心部ではなく、前後の工程を支えていくコンポーネントを提供するということです」

19世紀後半のカリフォルニア州はゴールドラッシュで賑わった。そこで金を採掘するためには、丈夫なズボンなどの衣類が必要とされた。これを供給したのがジーンズ・メーカーのリーバイスである。金の採掘そのものではなく、その作業を支える製品を提供することで大きな利益を上げる仕組みがリーバイスのビジネスモデルと呼ばれるものであり、京都フュージョニアリングもこれにならうという。

「前工程では、ジャイロトロン・システムというプラズマを加熱する装置、後工程であれば核融合炉を取り囲むブランケットなどを開発しています。また、後工程の実証設備として、核融合炉による発電システムを実証するプラント『UNITY』の開発にも着手しました」

UNITY(Unique Integrated Testing Facility、独自統合試験施設)とは、核融合発電システムによる発電を実証するための世界で初めてのプラントだ。核融合そのものではなく、核融合炉からいかにして熱を取り出し、発電していくのか、ということが、実証のテーマとなる。海外の実証試験が核融合炉にフォーカスすることに対し、その先の発電にフォーカスした点でも、ユニークな実証プラントだ。

全体の構成(下図参照)は、核融合炉の環境を再現した炉内環境試験装置を中心に、熱を取り出す「ブランケット」、取り出した熱を輸送する「熱交換器」、プラズマを加熱する「ジャイロトロン」、プラズマを排気する「ダイバータ」、リチウムが核分裂してできた三重水素などを回収する「トリチウム循環装置」、そして核融合燃料の循環を試験する「燃料サイクル実証系」を備えたものとなる。

多くの核融合スタートアップ企業が核融合炉の設計・開発を進めているのに対して、京都フュージョニアリングはさらにプラズマ加熱および排気、熱取り出しを含む、すべての工程に取り組んでいる。(同社提供)

「UNITYを構成する装置は、どれ1つとっても、当社の一級品といえる技術の結晶です。たとえば、液体金属を通じてブランケットから高温の熱を取り出す熱交換器は、世界最高水準の技術だと考えています。それでも、各コンポーネントを組み合わせて1つのプラントにしたときに、どのように作動するのかは、やってみなければ分かりません」

プラントそのものは、国内複数のパートナー企業との連携によって建設される。すでに基本設計は完了しており、2024年末の発電試験開始に向かって進んでいる状況だ。

さらに長尾CEOは同社の特徴として、「技術陣がしっかりしている」点を強調。メンバーには教授レベルが4名、助教・准教授レベルまで含めると10名弱、メンバーの過半数が博士号取得者だ。

とはいえ、日本の核融合研究には大きな問題がある。それは技術者の多くが60歳から65歳の間に集中しており、若い世代があまり育っていないことだ。実際の核融合の産業化を託すのは次の世代である。そのため、技術継承もまた重要なテーマとなっている。

「フランスや中国など、他の国でも核融合炉の技術に追いつくために、人材育成にも資金を投入しています。日本はこれまでQST(量子科学技術研究開発機構)を筆頭とした研究機関が研究開発を続けてきたことで世界的にリードしていますが、このままでは抜かれてしまうでしょう」

日本において、核融合炉が自動車産業のように産業化されれば、インフラ輸出にもつながっていく。なにも、最終製品だけが産業ではない。「アップル製品における日本のサプライヤーのように、重要な部品を供給するという立場もある」と長尾CEOは述べる。さらに、産業のエコシステムが確立されると、ロボティクスやサプライチェーンの高度化などにもつながる。

「核融合はさまざまな技術の集合体なので、すり合わせの技術でもあります。これもまた、日本が得意とするものです。また、核融合は発電に使えるだけでなく、熱そのものを利用して、海水の淡水化や水素の生成、大気中の二酸化炭素を直接回収することも可能です。さらに、核融合ロケットエンジンが開発されれば、火星への有人探査も、従来の3年から、往復6カ月の移動を含む約1年半程度に短縮されるでしょう」

UNITYは基本設計を終え、2023年3月までに液体金属ループの一次建設を完工し、2024年末に発電実証試験の開始を予定している。このような核融合発電システムの試験設備はこれまで世界に例がなく、同社は世界初の偉業に挑む。(同社提供)

核融合でロケットエンジンというのも驚きだ。また、長尾CEOは炉型式にもこだわりがないという。

「トカマク型やヘリカル型の核融合炉は比較的巨大発電所に向いていると思います。これに対し、ロケット用であればレーザー型核融合炉が向いている。成功する炉型式は1種類ではないでしょう。核融合はただの手段にすぎません。大切なのは、何を実現したいのか、ということです。そのためにどのような技術を使うのかについては、我々は柔軟な考え方をしています」

低コスト化と安全性

核融合炉の開発にあたって、課題はないのだろうか。

「ボトルネックとなる課題はないと考えています。技術的な課題はほぼクリアできます。問題があるとすれば、1つは低コスト化と安全性の確保です。そしてもう1つが、そのための資金の確保でしょう」

そのコストも、ITERに関して言えば、設計上では1キロワット時当たり100円と高い。初期の太陽光発電の発電コストもこのレベルだった。その後、太陽光発電などの再生可能エネルギーは、固定価格買取制度など仕組みでコストが低下し、普及していった経緯がある。また、英国には原子力を対象とした類似の制度があり、新たな原子力発電の建設が進められている。

「技術的な課題はほぼクリアできます。問題があるとすれば、低コスト化と安全性の確保、そして、そのための資金の確保でしょう」

「長期にわたるプロジェクトでは金利のほうが高くなってしまうこともあります。固定価格買取制度のようなコスト面での政府の介入が普及のために必要ですし、これは社会的な課題だと言えます」

核融合炉もまた、放射性物質を伴う技術だ。そのため廃棄物は問題とならないのだろうか。

「核融合は、原子力発電の核分裂とは本質的に異なる技術です。核分裂の場合、高レベル放射性廃棄物が出ます。これは、地層中に10万年間貯留することや、あるいは核燃料サイクルを通じて廃棄物を減らしていくといった対策がとられます。その点、核融合の場合、低レベル放射性廃棄物しか出ません。放射線のレベルでいえば、桁違いに小さいのです。したがって、原子力発電所とは異なる、核融合に対する合理的な安全設計が必要です。もちろん放射性物質ですから、医療用X線がそうであるように、規制は必要です。英国ではすでにそうした規制が導入されています。日本でもまずは議論が必要です」

また、運転時に発生する中性子は透過性がとても高く、その遮蔽も簡単ではない。そのため、ブランケットなどの核融合炉を取り囲む部材には特殊な材料を利用し、かなりの厚みをもたせているという。

今後の展開について、「英国の核融合炉開発を担う英原子力公社(UKAEA)からサプライヤーとして認定されたことを受け、2021年には英国子会社を設立しました。また、米国も研究開発が盛んで大きな市場となっているので、進出の準備を進めています。さらに、グローバル・ディープテック・カンパニーの道を突き進むため、現在は新規メンバーを募集中です」と長尾CEOは話す。2035年までには核融合プラント機器市場はおよそ1兆円になるとも言われている。人材確保は急務となりそうだ。

さらに2022年8月15日、英原子力公社が主導する核融合炉開発プログラム「STEP(Spherical Tokamakfor Energy Production)」の概念設計の中心的役割を担う「Engineering Delivery Partner(EDP)」の1社にも選出された。STEPは2024年までに核融合原型炉の概念設計を完成させ、2040年までに原型炉からの発電の実現を目指しているという。EDPは5社のメンバーで構成されているが、京都フュージョニアリングは唯一の欧州以外に本拠を置く企業である。このプロジェクトにおいては、ブランケットやダイバータの概念設計を中心に取り組む予定だ。

核融合炉が実用化されれば、カーボンゼロ社会がより現実味を帯びてくる。しかし、長尾CEOが考えているのはそれだけではない。

「かつて、日本はエネルギー資源を求めて戦争をしました。現在でも、ロシアによるウクライナ侵攻もエネルギー問題に関係しています。しかし、エネルギーの奪い合いがなくなれば、未来永劫、争いがなくなるかもしれません。何十年も先の平和を見据えて取り組んでいくことが必要だと考えています」』

寒帯前線ジェット気流

寒帯前線ジェット気流
https://irokata7.com/2018/11/08/r5-kantaizensen-jet-stream/

『 寒帯前線とジェット気流を合わせた言葉って何?

前回の記事の図で対流圏の顕著なジェット気流として寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流があることを示しました。

今回はそれぞれの言葉の定義と特徴をまとめながら寒帯前線ジェット気流を考えていきます。

上記図は縦を高度、横を南北方向とした大気の鉛直構造を表しています。

 1.ジェット気流

 ⇒ 偏西風帯における風速の極大域

 (A) 亜熱帯ジェット気流(Js)

● ハドレー循環とフェレル循環の境にある

● 蛇行が小さくほぼ定常的に存在

● 高度は12km以上(200hPa付近)

● 冬に強く吹く

● 夏には北緯50度以北に位置し、不明瞭になることが多い

 (B) 寒帯前線ジェット気流(Jp)

● 寒帯前線帯の移動に対応する

● 中緯度の低気圧の発生と関係が深い

● 時期的・空間的に変化が大きく蛇行が顕著

● 水平温度傾度が大きく、特に冬に著しくなる

● 出現高度  冬・・ 約 6~8km

 2.前線帯

 ⇒ 水平方向に温度傾度が特に大きくなっている領域

上記図では例として-45℃ の線を紺色で示しました。前線帯に差し掛かると急激に温度が変化します。(温度と高度はイメージです)

前線帯の意味をもう少し感覚的に言うと

 ⇒ 温度が異なる空気がぶつかり合う境目の地帯

 (A) 亜熱帯前線帯

● 上層のみ

(B) 寒帯前線帯

● 上層から下層まであり、前線帯の暖気側(前線面)が地表に達するラインが前線

● 雲が発生しやすい

 天気予報の解説で気象予報士がよく言っている「偏西風の蛇行」とは つまり、寒帯前線ジェット気流の蛇行のことなんですね。

寒帯前線ジェット気流と温帯低気圧の関係はまたの機会に・・難しいので』

大気の大循環 中緯度の熱輸送は難しい

大気の大循環 中緯度の熱輸送は難しい
https://irokata7.com/2018/11/06/r5-taikino-daijunkan-kaze/

『 大規模な大気循環の目的は熱輸送にあるということを思い出した上で、今回は3種類の大規模循環がどのように熱輸送をするのかに主眼を置いてイメージ図を作ってみました(北半球)。

 1.ハドレー循環と極循環

低緯度のハドレー循環と高緯度の極循環はイメージしやすいですね。

ハドレー循環は地球図の中央あたりにある赤い指輪の形で立体的に表しました。

極循環も同様に紺色の指輪の形で表現しました。

両循環は見た通り 直接 大気をぐるぐる回すことによって南北の温度差を解消しています。

それで両循環は直接循環と呼ばれます。

 2.フェレル循環

やっかいなのは中緯度のフェレル循環です。

フェレル循環は他の循環のように直接風を回しているわけではありません。あくまでトータルで南側の熱を北側に移しているように見えるという意味での循環です。

そのためフェレル循環は間接循環と呼ばれています。

3.偏西風と温帯低気圧

では実際には中緯度ではどのように熱が南北に伝えられているのでしょう?

それは偏西風波動、つまり偏西風の蛇行によってです。

偏西風の蛇行によって北側の寒気が下降しながら南側に入り、一方南側の暖気は上昇しながら北側に入ります。その結果、平均すると南北の温度差が小さくなります。このようにして熱輸送がされるという仕組みになっています。

大気の大循環

図では偏西風(寒帯前線ジェット気流)が南側に向かっているところを青い線で描いています。このライン付近で高気圧が生じます。

また、偏西風が北側に向かっているところを赤い線で描きました。このライン付近で温帯低気圧が発生、発達します。

 温帯低気圧は空気の入れ替えに重要な役割を果たしています。南側の暖気は温暖前線を境に上昇しながら北上し、北側の寒気は下降しながら南下して地上に達して寒冷前線を作ります。

 偏西風と温帯低気圧の関係はかなり複雑なので別の機会にじっくり取り上げるつもりです。

また、寒帯前線ジェット気流の「寒帯前線」は寒冷前線と紛らわしいですが、寒帯前線についても近いうちに取り上げる予定です。

あ、ジェット気流も2つ描いてありますが、それもまたの機会に。

何から取っかかればいいやら 🙄 』

はやぶさ2試料、宇宙からも生命の源 耐熱鉱物が運搬役

はやぶさ2試料、宇宙からも生命の源 耐熱鉱物が運搬役
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC126KN0S2A810C2000000/

『海洋研究開発機構などは探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」で採取した試料(サンプル)を分析し、宇宙から生命の源となる有機物が太古の地球に運び込まれる仕組みを明らかにした。熱などに強い鉱物が有機物を守るように囲んだ構造を見つけた。これが運搬役となって無事に地球に届けられ、地上にある物質とともに生命誕生に役立った可能性があるという。

【関連記事】はやぶさ2試料、太陽系外縁の有機物・水か

サンプルには粒が粗い形状の「ケイ酸塩」と呼ばれる鉱物があり、その中に種類は特定していないが有機物の一種が含まれていた。

ケイ酸塩は水も含み、有機物と混ざり存在していた。この有機物はセ氏30度以上の温度で分解してしまう。海洋機構の伊藤元雄主任研究員は「粒が粗いケイ酸塩は熱などに強い。水や有機物を地球に運ぶ役割を果たした可能性がある」と話す。

地上の隕石(いんせき)からも有機物は見つかっているが、地上まで無事に届ける方法は不明だった。

研究チームは研究成果を15日付の英科学誌ネイチャーアストロノミー(電子版)に発表した。
「ケイ酸塩」の集合体。有機物や水を運ぶのに重要な役割を果たした可能性がある=JAMSTEC/Phase2キュレーション高知提供

約46億年前にできたりゅうぐうは、太陽系誕生直後の状態をよく保ち、地球では確認できない物質や状態を調べられるとされ「太陽系の化石」とも呼ばれる。これまでのサンプルの分析で、6月には岡山大学などの研究チームがたんぱく質のもととなるアミノ酸を23種類見つけている。

はやぶさ2は2014年に打ち上げられ、19年にりゅうぐうに2回着地してサンプルを採取した。20年12月にサンプルを地球に届けた。国内外の研究チームが解析を進めている。

【関連記事】

・はやぶさ2に続け 天体の試料回収、各国競う
・はやぶさ2全目標達成、次の小惑星へ 「地球防衛」探る
・はやぶさ2試料、9カ国40チームに提供 分析加速に期待

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Science/Japan-asteroid-probe-hints-at-how-organic-matter-could-reach-Earth 

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証試験を開始―CO2分離・回収した石炭由来の高濃度水素で燃料電池複合発電、究極の高効率発電を目指す―

石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証試験を開始
―CO2分離・回収した石炭由来の高濃度水素で燃料電池複合発電、究極の高効率発電を目指す―

2022年4月19日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
大崎クールジェン株式会社
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101534.html

『NEDOと大崎クールジェン(株)は、革新的な低炭素石炭火力発電技術の確立を目指す「大崎クールジェンプロジェクト」の第3段階に入りました。具体的には、CO2分離・回収型酸素吹石炭ガス化複合発電(CO2分離・回収型酸素吹IGCC)設備に、MW(メガワット)級の燃料電池設備(SOFC)を組み込んだCO2分離・回収型石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証試験を、4月18日に開始しました。

本実証試験では、第2段階のCO2分離・回収型酸素吹IGCC実証設備に燃料電池を組み合わせて、石炭をガス化したガスからCO2を分離・回収後、得られる高濃度水素ガスを燃料電池に供給し、燃料電池の発電特性や燃料電池内部の温度分布を把握します。また、燃料電池モジュールを並列運転した時の運用性、さらに高圧運転した場合の挙動を調べるなど、CO2分離・回収型IGFCシステムの実現に向けた試験を行います。

実証試験の目標は、本実証試験の成果を500MW級の商用機に適用した場合に、CO2回収率90%の条件で47%程度の送電端効率(高位発熱量基準)の見通しを得ることとします。

今後、高効率な石炭火力発電とCO2分離・回収が両立する技術を確立し、CO2排出量抑制(地球温暖化対策)への貢献を目指します。』

『2.実証試験の内容

(1)目標:
石炭ガス化ガスに対する燃料電池の発電特性や運用性を見極め、将来の500MW級商用機に適用した場合にCO2回収率90%の条件で、送電端効率47%程度(高位発熱量基準)の見通しを得る。
(2)実施期間:
2022年4月18日から2023年2月28日まで
(3)実施場所:
中国電力(株)大崎発電所構内(広島県豊田郡大崎上島町中野6208番1)
(4)実証試験項目:
下表参照

表 CO2分離・回収型IGFC実証試験の項目および実施内容
項目 実施内容
燃料電池の基本性能検証 燃料電池(SOFCモジュールを2基並列)において、高濃度水素ガスによる運転・制御方法を確立するとともに、発電特性を把握する。
燃料電池の運用性検証 燃料電池モジュールの並列拡張の検証、CO2分離・回収設備との連係運転に係る協調性の検証、ガスタービン連係を想定した高圧運転試験およびシステム全体効率に関する検討を行う。
燃料電池の信頼性検証 累積時間3000時間程度の運転を行い、高濃度水素ガス運転における電圧低下率を確認する。
CO2分離・回収型IGFC実現に向けての検討 CO2分離・回収型IGFCの技術確立および商用化に向けた課題や技術動向を整理するとともに、経済性を検討する。

本実証試験を実施し、さらに本事業とは別に開発が進められているCO2の利用※9・貯留技術と組み合わせることで、CO2をほとんど排出しない石炭火力発電が実現できます。本技術を確立させることで、CO2排出量抑制(地球温暖化対策)への貢献を目指します。

【注釈】

※1 大崎クールジェン株式会社
中国電力株式会社と電源開発株式会社の共同出資会社です。
※2 石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)
IGFCは、Integrated Coal Gasification Fuel Cell Combined Cycleの略です。石炭をガス化して、燃料電池、ガスタービン、蒸気タービンの3種類の発電形態を組み合わせて発電する方式のことです。
参照:NEDOニュースリリース 2019年4月17日「サイト内リンク 世界初、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証事業に着手」
※3 石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業

    事業名:次世代火力発電等技術開発/石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業/CO2分離・回収型酸素吹IGCC実証
    事業期間:2012年度~2022年度(2012年度~2015年度は経済産業省事業)
    事業規模:助成金約500億円、事業費約1300億円

※4 酸素吹石炭ガス化複合発電(酸素吹IGCC)実証(第1段階)
IGCCは、Integrated Coal Gasification Combined Cycleの略です。石炭をガス化して、ガスタービン、蒸気タービンの2種類の発電形態を組み合わせて発電する方式には、石炭ガス化炉に酸素を供給する酸素吹方式と空気を供給する空気吹方式があります。CO2分離・回収設備と組み合わせる場合には、エネルギー効率の面で酸素吹方式が優れているとされます。
参照:NEDOニュースリリース 2019年3月6日「サイト内リンク 「大崎クールジェンプロジェクト」の第1段階、酸素吹IGCCの実証試験を完了」
※5 CO2分離・回収型酸素吹IGCC実証(第2段階)
参照:NEDOニュースリリース 2016年4月4日「サイト内リンク CO2分離・回収型酸素吹石炭ガス化複合発電の実証事業を開始」
※6 高位発熱量基準
燃料が燃焼した時に発生するエネルギー(発熱量)を表示する際の条件を示すもので、燃料の燃焼によって生成された水蒸気の蒸発潜熱も発熱量として含めたものです。高位発熱量は、総発熱量とも呼ばれます。高位発熱量から燃料の燃焼によって生成された水蒸気の蒸発潜熱を除いた低位発熱量(真発熱量)に比べ、見かけ上の熱効率が低く表示されます。高位発熱量基準は、政府のエネルギー統計、電力会社の発電効率基準、都市ガスの取引基準などに用いられています。
※7 SOFC
固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell)。電解質に固体酸化物を用いた高温作動タイプの燃料電池です。
※8 ガスタービン系統との連係
ガスタービンと燃料電池を連係運転して高効率発電するには、燃料電池で発電した後の排燃料と排空気をガスタービンに送るとともにガスタービンの圧縮機から燃料電池へ空気を供給するシステム構成が想定されます。その場合、ガスタービン系統と燃料電池を同じ圧力で運転する必要がありますが、現状の燃料電池はガスタービン系統より低い圧力での運転となっています。そのため、本実証試験では、燃料電池の圧力をこれまでより高めた運転をして、その挙動を確認します。
※9 CO2の利用
参照:NEDOニュースリリース 2020年8月5日「サイト内リンク カーボンリサイクル技術における実証研究拠点化と技術開発に着手」

3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 環境部 担当:戸島、福原、吉田 TEL:044-520-5293

大崎クールジェン(株) 総務企画部 担当:森本、森安 TEL:0846-67-5250
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:橋本、坂本、鈴木、根本

TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

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    カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発【事業紹介】 』

CO2を90%回収しつつ世界最高効率 “究極”石炭火力発電

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:CO2を90%回収しつつ世界最高効率 “究極”石炭火力発電
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5362417.html

『アントニオ・グテーレス国連事務総長は2022年8月8日に東京で記者会見を行い、日本は脱炭素化に向けて、石炭火力発電所を支援する予算配分をやめるべきだと発言した。また、「日本は気候問題をリードしていく大きなポテンシャルを秘めている。日本がこの方面において具体的な策をとると期待している。

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日本が石炭火力発電所のファイナンスを止めるよう求める。『クリーンな石炭』という概念はない」と述べ、何が何でも「石炭は悪だ」との原理主義者でもある。脱炭素に異論はないが、各国それぞれの事情があり、日本の火力発電の脱炭素化は世界のトップを行ってっている。参照記事

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また、今もなお、世界経済は石炭を含む化石燃料の上に成り立っているというのが現実です。 この理想と現実の間を埋めようと、日本は新技術の開発を続けており、大崎クールジェンでは”究極”の石炭火力発電の実現に向けた最終試験を開始しました。90%の二酸化炭素を回収しつつ、発電効率は世界最高クラスの47%を目指すとしています。 その発電の仕組みとは。また、実現に向けて超えなければいけないハードルとは。次の映像が詳しく解説します。映像:CO2を90%回収しつつ世界最高効率 “究極”石炭火力発電の実証試験が最終段階に【橋本幸治の理系通信】(2022年5月13日)』

観測ロケット「S-520-RD1」号機を打ち上げ 日本

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:観測ロケット「S-520-RD1」号機を打ち上げ 日本
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5358574.html

『宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2022年7月24日午前5時、鹿児島県肝付町の発射場から観測ロケット「S-520-RD1」号機を打ち上げた。日本のメディアが報じた。

RD1号機は全長約9.2メートル、重さ2.6トンで、空気吸い込みエンジン(スクラムジェットエンジン)の試験用機材を搭載。空気吸い込みエンジンは、搭載不要となった酸素の代わりにより多くの貨物を搭載できることから、将来の宇宙往還機や大陸間高速輸送機への適用が期待されている。

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飛行試験用の供試体は長さ約1.8m、直径約0.52m、質量は約300kgで、音速の5~6倍の「極超音速」で飛行しながら国内初の試験を行い、収集した燃焼に関するデータを極超音速誘導弾の研究などに活用するという。

これより前、日本の警察庁は、災害時の被害の迅速な把握や警備などに活用するため、JAXAと共同で、無人航空機の開発に着手することを決定したと報じられていた。

参照記事 JAXA参照記事』

ジェット気流

ジェット気流
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E6%B0%97%E6%B5%81

『ジェット気流(ジェットきりゅう、英語: jet stream)とは、対流圏上層に位置する強い偏西風の流れ。

気流の流れを軸とすると、軸の中心に近いほど風速が速く、どこでも平均的な普通の風とは異なるのが特徴。成層圏などにも存在するが、単に「ジェット気流」という場合は対流圏偏西風のものを指す。

極を中心に特に上空8 – 13km付近で風速が最大となる。主要なものとして北緯40度付近の寒帯ジェット気流と北緯30度付近の亜熱帯ジェット気流がある。長さ数千km、厚さ数km、幅100km程度で、特に冬季には寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流が合流する日本付近とアメリカ大陸東部では風速は30m/sぐらいで中には100m/s近くに達することもあるが、夏期はその半分程度の風速に弱まる。

航空機が、西から東へ向かう場合はジェット気流に乗ることで燃料と所要時間を大幅に短縮することができ、逆の場合はこの気流を回避する必要があることから、最短距離である大圏コースから大きく外れたルートをとる場合もあり、季節によってジェット気流が吹く場所が変わる関係で時期によって所要時間が異なることが多い[1]。 』

『発見の歴史

風船爆弾

1883年のクラカタウの噴火を観測していた人々は、一年あまり噴火の影響を追跡し、記録していた。彼らは、「赤道上空の噴煙の流れ」として、ジェット気流の存在を記録していた[2][3]。

1920年代には、日本の高層気象台長大石和三郎は、欧米諸国がその存在に気づく以前に、ジェット気流の存在を発見した[4]。富士山の付近から測風気球を飛ばすことで上層の風を調査したものであった[5]。しかし、エスペラントで発表したため、外ではこの論文は注目を集めなかった。

1933年、アメリカのパイロットであるウィリー・ポストが世界一周の際にジェット気流に遭遇した。1935年には、 高度10000 mを越える上空の大陸間飛行を何度か行い、ジェット気流に乗ると対気速度に対して対地速度が大幅に上回る事実が確かめられた[6]。しかし、その後まもなく事故死したため詳細を発表しないまま終わった。

1939年、ドイツの気象学者H. Seilkopfがこの気流を発見し”Strahlstrom”(ドイツ語でジェット気流)と名付けた[7]。

第二次世界大戦中になって、ドイツ軍が緒戦でヨーロッパ諸国を空爆したときにジェット気流に遭遇したこと、アメリカ軍の航空機が日本に向かう際に強い向かい風にあったことなど(B-29がスロットルを全開にしても「後ろへ飛んだ」という話すらある[8])、その存在が頻繁に確認され、欧米諸国でもジェット気流の存在が広く知られるようになった。しかし、学術調査が行われることはなかった。

第二次世界大戦中に唯一学術研究を行っていた日本は、ジェット気流を使用した初の兵器「風船爆弾」を開発し、1944年11月から翌年にかけて約9000個の爆弾をアメリカとカナダ、アラスカに飛来させ、アメリカの民間人に死傷者を出した。1945年2月には、日本陸軍の一〇〇式司令部偵察機が、北京 – 東京間を3時間15分で飛行する速度記録を残した。

寒帯ジェット気流

寒帯ジェット気流(左)と亜熱帯ジェット気流(右)の断面図。緑色の濃い部分ほど風速が大きい。大気循環との位置関係を示す。

寒帯ジェット気流(Jp, Jet polar)は中緯度付近に発生するジェット気流で、寒帯前線面に形成される場合、寒帯前線ジェット気流と呼ばれる。傾圧不安定波に対応し、250から300hPa付近の上層で明瞭に見られ、冬に強く、夏には弱まる。

冬は傾圧不安定波に伴う温帯低気圧の移動や発達などに強く関連している。軸の南側の地上に前線ができることが多い。Jp単独での平均流速は、夏20 – 30m/sくらい、冬50m/sくらいである。

夏の北アメリカ大陸上空、冬の北アメリカ東方沖上空、冬の日本上空では亜熱帯ジェット気流と合流して流速が増す。

亜熱帯ジェット気流

亜熱帯ジェット気流(Js, Jet subtropical)は亜熱帯地方に形成され、北緯30度程度をほぼ定常的に吹く西風。200hPa付近に見られ、冬に顕著。

対流圏上層では前線が形成されるが、地上には現れない。大気大循環で言う、赤道のハドレー循環と中緯度のフェレル循環の境界をなす。ハドレー循環の角運動量が収束することと、Js自身の傾圧不安定波による水平渦度の混合によって発生すると考えられている。

Js単独での平均流速は、夏20 – 40m/sくらい、冬40 – 50m/sくらいである。

その他のジェット気流
極夜ジェット気流
極渦も参照

成層圏では冬半球の60度付近を中心とした高緯度、中間圏では夏半球の中緯度に発生する強い西風。同時期、夏半球の成層圏60度付近では強い東風となる。季節が逆になると南北半球で正反対の風向となる。南半球では正円形、北半球では形が崩れて蛇行している。

偏東風ジェット気流

赤道偏東風ジェット気流。貿易風の最も強い部分で、夏を中心に対流圏界面(上空13 – 17km付近)くらいに出現する。東南アジアの赤道付近では夏至と冬至を中心とする時期に強まり、半年の周期で強弱を繰り返す。この地域のモンスーンに影響している。西アフリカのギニア湾岸でも晩夏に650hPa付近で同様のジェット気流が確認されており、この地域のモンスーンや大西洋のハリケーンの発生に影響している。

下層ジェット気流

対流圏下層に出現するジェット気流。

梅雨前線の南側の700 – 900hPa付近の下層に出現する小規模なジェット気流。湿舌を誘発し、この北側の200kmくらいまでは集中豪雨になりやすい。

また、北半球の夏季、アフリカ東部からアラビア海にかけての地域でも発生する。ソマリア東方海上で最も速度が速いことから、ソマリジェット(Somali Jet)と呼ばれている。地上 – 700hPa付近に見られ、900hPaで最大となる。東アフリカの山岳地帯がこの生成に関与していると考えられている。アラビア海中央部の東経70度以東、インド – 東南アジア – 東アジアと連なるモンスーン地帯に雲と水蒸気を供給している。』

[FT]世界各地を襲う熱波、ジェット気流の蛇行が一因

[FT]世界各地を襲う熱波、ジェット気流の蛇行が一因
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB220PN0S2A720C2000000/

『7月に入って猛烈な熱波が欧米や中国を襲い、火災を起こし物流の混乱を招いている。その熱波には共通項が1つある。「ウエーブナンバー5」と呼ばれるジェット気流(偏西風)の特殊な形状である。

19日、酷暑のローマで涼を求める人々=ロイター

中緯度地域では、ジェット気流という風速の大きい気流が天候を左右している。ジェット気流の変化が熱波の頻発と(同じ場所での)停滞をもたらしているのかどうか、科学者は解明を急いでいる。

「ジェット気流は天候を決める主要因になっている」と言うのは、英レディング大学で大気科学を専門とするポール・ウィリアムズ教授だ。「ジェット気流はコンベヤーベルトのようなもので、次々と嵐をもたらしている」

ジェット気流が大きく蛇行してU字型の流れになれば、熱波をもたらすこともある。この現象はギリシャ文字のオメガ(ω)に似ていることから「オメガブロック」と呼ばれている。

現在では世界で5つの大きなオメガブロックが生じ、世界各地で熱波が同時発生している。このいわゆるウエーブナンバー5現象は数週間続くこともあり、熱波に見舞われた地域では長期間にわたって高温が持続する。

中国では9億人以上が熱波を経験し、7月に入って70を超える測候所で観測史上最高気温を更新した。米国では、テキサス州とオクラホマ州で日中の最高気温を更新し、20州以上が高温警報や高温注意報を発令している。

世界5カ所での熱波の同時発生 出所:Met Office/FT

英国も今週、史上最高の40.3度を記録した。フランスやスペインでは異常な高気温が数週間続き各地で過去最高を記録、山火事も発生している。

英気象庁の首席科学者ステファン・ベルチャー氏は「大気ではよくみられるのだが、すべてがつながっている。1つの地域で発生した極端な事象は、別の場所で生じた極端な事象と関連づけられる」と言う。「気象庁では、このウエーブナンバー5現象がどのくらい続くのか予報士が細心の注意を払って観測している」

ベルチャー氏は欧州に襲来している熱波の発生要因は3つあるという。ジェット気流のウエーブナンバー5現象、世界的な平均気温の上昇、そして土壌の乾燥だ。特に地中海周辺諸国では高気温が長引いたことで、土壌がカラカラに乾いている。

オランダ・アムステルダム自由大学の気象学者ディム・クモウ氏は、夏のジェット気流の流れにはウエーブナンバー5とウエーブナンバー7という2つの重要なパターンがあり、発生すれば1カ所に長期間停滞しがちだと指摘する。「そうした気流の流れが停滞し持続すれば、熱波が同時に複数箇所で発生することが多い」

ジェット気流が地球温暖化によって具体的にどう変わっているのか、それは将来の気候パターンにどう影響するのかという疑問に答えを出そうとする研究が広がっている。世界の平均気温は産業革命以前に比べて、人間活動の影響ですでに約1.1度上昇している。

北大西洋上空のジェット気流 出所: Noaa/NWS/ Met Office/ESA/FT

ジェット気流そのものは長い間に動きを変え、夏には動きが鈍化するようだ。そのためにオメガブロック現象が発生しやすくなっている可能性がある。

米ウッドウェル気候研究センターの大気科学者ジェニファー・フランシス氏は、北極圏の急激な温暖化がジェット気流の鈍化の原因ではないかと分析する。

フランシス氏は「夏は全般的に風が減る」と言う。「そもそもジェット気流が発生するというのは、北に冷気があり、南に暖気があるために気温差が生じて(ジェット気流の発生条件となる)」

北極圏は他の地域より格段に速く温暖化が進んでいるため、そうした気団間の温度差が今は小さくなっている。

ジェット気流の動きにはまだ解明されていない部分もある。「ジェット気流」の著書があるオックスフォード大学の大気物理学者ティム・ウーリングス教授は、「大西洋上空では、夏にジェット気流が南下してきたが、気候変動の影響で北上すると予測されていた」と説明する。

英国に高温をもたらした要因 出所: Met Office/BBC Weather/ Netweather/FT

英国は最近、熱波に見舞われたが、それは他の欧州各国が経験したことを「ほんの少し味見したにすぎない」と同氏は言う。「本当の酷暑を経験しているのはスペインやフランスだ」

英国では18日から19日の2日間にわたって異常な高気温が続き、その後やや落ち着いたが、スペインとフランスでは高温が数週間続いている。

気候モデルでは、世界の平均気温が上昇するのに伴い熱波の温度はが年々高くなると予測されている。しかし、地球温暖化がジェット気流の流れにどのような影響を与えているかを研究者が正確に突き止めるには何年もかかりそうだ。

ウィリアムズ氏は「きわめて長期にわたる観測記録が必要だ。何らかの変化を確実に検知するまでには数十年分、あるいは数世紀分の記録すら必要になるかもしれない」と話す。

By Leslie Hook

(2022年7月21日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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世界初「ゴミ処理場CO2活用のメタネーション」、日立造船が実用化へ

世界初「ゴミ処理場CO2活用のメタネーション」、日立造船が実用化へ
https://news.yahoo.co.jp/articles/d395d8deac986376ac62fd1d52a5d873b8c58ac9

『日立造船は、ゴミ処理場で排出される二酸化炭素(CO2)を水素と反応させてメタンを製造するメタネーションの実証を神奈川県小田原市で報道陣に公開した。ゴミ処理場のCO2によるメタネーションは世界初という。メタンは天然ガスの主成分のため、将来は都市ガスなどの代替利用が期待される。CO2の回収効率や水素の製造コストなど実用化に向けた課題を8月までの実証で検証する。

 小田原市の「環境事業センター」内に設備を構え実証を始めた。CO2を前処理設備と回収設備を経て、水素と反応させる。水素は液化石油ガス(LPG)を改質して製造する。メタンの製造能力は毎時125ノルマル立方メートル。1年間実施した場合、1650トンのCO2を回収できる。

 ゴミ処理場は同社の主力事業。大地佐智子理事環境事業本部開発センター長は「脱炭素社会でのゴミ処理場の存在感を高めたい」と意欲を示した。』

IHIがアンモニア専焼発電に成功、温室効果ガスを99%以上削減可能に

IHIがアンモニア専焼発電に成功、温室効果ガスを99%以上削減可能に
https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/2206/30/news155.html

『IHIは2022年6月16日、2000kW級ガスタービンで液体アンモニアのみを燃料とするCO2フリー発電を実現し、燃焼時に発生する温室効果ガスを99%以上削減することに成功したと発表した。

 アンモニアは炭素を含まないことから、燃焼時にCO2を排出しない新たな火力発電向け燃料として期待されている。しかしアンモニア混焼率を高めた場合、安定的なアンモニア燃焼と排気ガス中の温室効果ガスの排出抑制が課題となる。これまでは70%を超える高いアンモニア混焼率での運転時に、温室効果ガスの一種でありCO2の約300倍の温室効果を持つ亜酸化窒素が発生してしまう点が課題となっていた。

 今回IHIでは同社横浜事業所の2000kW級ガスタービンで、新たに開発した燃焼器による運転実証を行った。その結果、70~100%の高いアンモニア混焼率でも温室効果ガス削減率99%以上を達成し、液体アンモニアのみの燃焼で2000kWの発電ができることを実証したという。

実証で利用したガスタービン 出典:IHI

 今後はさらに窒素酸化物の排出量削減を目指すとともに、運用性の向上や長時間の耐久性評価を行い、2025年の液体アンモニア100%燃焼ガスタービンの実用化を目指す方針だ。』

人体にブタの臓器移植、米当局が治験承認へ 現地報道

人体にブタの臓器移植、米当局が治験承認へ 現地報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01E170R00C22A7000000/

『【ニューヨーク=吉田圭織】米食品医薬品局(FDA)がブタの臓器を人に移植する臨床試験(治験)を承認する見通しとなった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)が1日、関係者の取材として報じた。実現すれば、米国で深刻になっている臓器移植のドナー不足の解消につながる可能性が期待される。

治験の開始時期については明らかになっていない。当面はFDAが個別の案件ごとに審査する予定だ。治験が承認されればより多くの患者に移植できるようになるが、データ収集や監視基準は厳しくなる。すでにブタ臓器の移植手術を手がけた実績のある病院が対象となりそうだ。

ブタと人の臓器は似ているとされ、心臓や腎臓などの移植研究が進んでいる。今年1月には米メリーランド大学メディカルセンターが世界で初めて、ブタの心臓を人体に移植する手術に成功した。男性は手術の2カ月後に死亡したが、短期間であっても生存できるのが明らかになった事例として注目を浴びた。

手術を受けた男性は人間の心臓移植に不適格と判断され、他の治療の選択肢がなかった。このためFDAが研究段階にあるブタの心臓移植を緊急承認していた。移植した心臓にはブタ由来のウイルスの感染が見つかり、男性の死因については調査が継続中だ。

米国では臓器移植のドナー不足が深刻な問題となっている。米保健資源事業局によると、現在10万人以上の米国人が腎臓などの臓器移植を待っており、毎年6千人以上の患者が移植を受ける前に命を落としている。』

未知のウイルス、「種の壁」突破 温暖化で動物が密に

未知のウイルス、「種の壁」突破 温暖化で動物が密に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC22CLN0S2A620C2000000/

 ※ 「温暖化」「気候変動」が、こういうものにまで「影響を与えている」とは…。

『極端な天候や海面上昇などを招く地球温暖化で、野生動物のウイルスが種を超えて広がるリスクが高まっている。気候変動や土地開発ですみかを追われた野生動物の生息域が重なり、未知のウイルスが人類まで到達しうるという。自然界は新たなウイルスの貯蔵庫だ。気温上昇が「パンドラの箱」を開けてしまうのか。
コウモリは新たな感染症の発生にたびたび関わってきた=国立感染症研究所提供

米ジョージタウン大学などのチームは、21世紀末時点の気温上昇が産業革命前に比べ約2度になる楽観的なシナリオでウイルスの動きを模擬計算した。すでに異なる種の間で広まっているウイルスの特徴をもとに、約3000種の哺乳類の間でウイルスが新たに種の壁を飛び越えるリスクを探ったところ、2070年までに最低でも4500回以上起こるという結果になった。研究成果は英科学誌ネイチャーに掲載された。

種が違っても、同じウイルスが感染する場合がある。模擬計算では、動物どうしの種が近いとウイルスが移動する可能性が高かった。温暖化によって生息地が重なり、近い種が頻繁に遭遇するようになれば、ウイルスの移動機会が増える。

哺乳類に感染するウイルスのうち、約1万種はヒトにも感染する恐れがある。かねて都市化による森林開発が野生動物とヒトとの距離を縮め、自然界のウイルスがヒトに感染しやすくなる危険が指摘されていた。

だが研究チームは、温暖化によってもリスクが高まると分析した。気温が上がれば、動物はより生息しやすい気候の地域へと移動していく。異なる種が初めて遭遇すれば、片方にのみ感染していたウイルスがもう片方にもうつりうる。今回は動物から人への感染の回数は分析していないが「最終的に人類の健康に脅威となる可能性がある」と研究チームは指摘する。

種を超える感染の約9割に関わるとみられるのがコウモリだ。哺乳類でありながら空を飛べ、長距離を移動できる。複数の研究で、世界中でコウモリの生息域が急速に広がっていると報告されている。

新たな種への感染は、低緯度地域のアフリカやアジアで特に多いと推定された。インドネシアやフィリピンなどの人口密度の高い地域も該当する。

野生動物にとっては害のないウイルスでも、ヒトに感染すると病気を引き起こす例は多い。新型コロナや、欧米を中心に広がるサル痘、エボラ出血熱といった感染症が度々姿を現している。未知のウイルスは免疫が効かず、深刻な症状に陥る場合がある。

ヒトに迫るウイルスをいかにとらえるか。1つのアイデアが身近な地域にすむ動物の血清を調べる方法だ。抗体の有無から、感染したウイルスがわかる。

国内の研究者が注目するのがサルだ。国立感染症研究所などは野生のサルやコウモリ、ネズミなどの血清の調査を強化し、病原体の監視に役立てようとしている。死体で見つかったり捕獲されたりしたサルを調べ、ウイルスへの感染が見つかれば対策につなげる。

サルに感染するウイルスはヒトにも感染しやすいという。しかもヒトが入りづらい森や山を動き回り、広範囲を移動する。感染研の前田健・獣医科学部長は「サルはいわばウイルスを監視する『見張り役』だ」と話す。ヒトの社会で流行していないウイルスの情報が得られると期待される。

ただ人類が対策を立てるための猶予はそう長くないかもしれない。米ジョージタウン大の研究チームはウイルスの新たな種への感染の大部分が既に起きている可能性があると指摘する。現状でも、世界の気温は産業革命前よりも約1度上がっているからだ。

「飛行機による移動が増え、人口密度が高まった。動物の生息する環境が都市開発などで侵されている」(前田部長)ことも新たなウイルスの出現に拍車をかける。以前なら移動中に発症して検疫で止められていた人が、潜伏期間中に空路で短時間のうちに国境を越える。感染症が一気に世界中で広まる下地になった。動物の生息域の開発が進めば、それだけ人間へのウイルスの移動を促す。グローバル化と経済発展に温暖化の影響――。高まった感染症のリスクをいかに制御できるか、人類の知恵が問われている。(尾崎達也)

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にわとりは、いままで考えられていたより、家禽化された時期が、数千年、遅いようである。

にわとりは、いままで考えられていたより、家禽化された時期が、数千年、遅いようである。
https://st2019.site/?p=19752

『Mihai Andrei 記者による2022-6-7記事「The unlikely story of how humans domesticated chicken ? and how rice played a key role in this」。

   最新の研究。にわとりは、いままで考えられていたより、家禽化された時期が、数千年、遅いようである。
 また、飼われ始めた最初は、食べるためでなく、愛玩または崇敬対象だった可能性がある。

 起源地は東南アジア。

 ゲノム解析によると、家禽化されたのは、7000年前~1万年前。ヨーロッパまで伝わったのは7000年前という。

 しかしそうすると謎が生ずる。
 欧州の古代の壺絵や壁画にニワトリは描写されていないのだ。そういう描写が出てくるのは、やっと紀元前7世紀のコリントの壺絵なのである。これは現代から逆算するとたったの3700年前にすぎない。その前の数千年はどうした?

 2020年の研究では、全世界のニワトリには、家禽化された始祖がひとつだけあって、それが他の複数の野鶏と交雑したようだということだった。

 放射性同位体を用いた最新の研究。
 ユーラシアやアフリカの各地で出土した鶏の骨は、思ったよりも新しいとわかった。

 最も古い、家禽化されたニワトリの骨とされるものは、タイの新石器時代の地層から出ているが、これを子細に解析したところ、せいぜい紀元前1650年~1250年であるという。かなりあたらしいのだ。

 もうひとつの最新研究は、「陸稲」の栽培地の拡大につれて、ニワトリの飼育域も拡大した証拠があると言っている。森の中のヤケイは陸稲(やミレットなどイネ科の栽培植物)のおこぼれにひきつけられて、人間に飼われるようになったのではないかと考えられるというのだ。

 おそらくヤケイのニワトリ化と、そのニワトリの西漸とは、同時並行の現象だったのだ。

 ※コメリパワーが鶏をロゴマークに使っているのは意味深だったわけだな。

いまから3000年前にヤケイは北支からインドにかけてニワトリ化されたのだろう。
 そして2800年前に中東および北アフリカに鶏が到達した。
 英国やスカンジナビアまでやってきたのは、1800年前だ。

 初期の鶏は今より小さく、食肉源としてはショボかった。そのかわり、夜明けの時を告げるという能力が、時計が無かった大昔には珍重され、たいせつに飼育されていたのだ。

 ただし、欧州に伝播してから500年も経つと、鶏は食べてもいいものになった。あまり神聖ではなくなったわけだ。

 ちなみにブロイラーが今のサイズにまで巨大化したのは、ほんのここ50年のことなのである。つぶして得られる肉の重量は、なんと5倍近くに増えた。』

生命誕生の謎に迫る はやぶさ2、採取試料にアミノ酸

※ 諸般の事情により、いつもより時間が早いが、貼ってしまうことにする。

生命誕生の謎に迫る はやぶさ2、採取試料にアミノ酸
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC065Z90W2A600C2000000/

 ※ 下の方の人も言ってるが、「生命の起源は、隕石からもたらされた。」という説を聞いたときは、「なーに、言ってんの。アハハ…。」という感じだった…。

 ※ 大体、地球は「水の惑星」とも言われ、「タンパク質、水、酸素」の生命が生存可能な「三拍子」がそろっているから、「生命」は誕生した…。それが、そういうものの「全く存在しない”宇宙空間”から、もたらされた。」とか、「御冗談を…。」という感じだった…。

 ※ しかし、そういう「先入観」こそ、思考やサイエンスの発展を妨げる「固定観念」だ…。そういう「型にはまった」思考からは、「新しいもの」は生まれない…。

 ※ シェールの文献見てたとき、「バクテリア」の話しが出てた…。

 ※ 「バクテリア」には、「好気性のもの」と「嫌気性のもの」があるそうだ…。そして、そいつらが岩石層を破砕するパイプを、「詰まらせる」ことがあるんで、その「除去対策」が必要となる…、というような話しだった…。

 ※ 世の中には、「空気がある」と、生存できないような「生命体」というものも、存在している…。

 ※ そういう「生命体」が、「生命の起源」であっても不思議はないんだ…。

『探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」から持ち帰った試料(サンプル)に、生命の源となる物質のアミノ酸が含まれていることが分かった。他の天体から採取したサンプルを地球に持ち帰る取り組みは国際的に盛んで、データを合わせて解析すれば、生命誕生の起源や太陽系の成り立ちの解明につながると期待される。

アミノ酸はたんぱく質の材料になる物質だ。生命の活動にはたんぱく質や水が不可欠だが、その材料がどこでつくられたのかは、地球か宇宙かで学説が分かれている。

りゅうぐうのような小惑星には、太陽系が誕生した46億年前の痕跡が残るといわれる。地球誕生後に溶けてしまい、地上では確認できない物質が残る可能性がある。「太陽系の化石」とも呼ばれるもので、小惑星など他の天体にアミノ酸があるかが注目されていた。

今回、りゅうぐうのサンプルから検出したことで、地球外の天体にもアミノ酸が存在する可能性が濃厚になった。過去にも地上に降った隕石(いんせき)から検出したケースはあるが、飛来後に地球でアミノ酸が混ざった可能性が残っていた。東京大学の宮本英昭教授は「地球外の物質を調べることで、生命がどのように誕生したかの理解が進むだろう」と話す。

他の天体から試料を採取する取り組みは海外でも進む。米航空宇宙局(NASA)の探査機「オシリス・レックス」は小惑星「ベンヌ」でサンプル回収に成功し、2023年に地球に帰還する予定だ。こうした海外の調査と協力し、複数の小惑星や天体のデータを検証することで、太陽系の成り立ちや生命の起源の解明につながる。

日本は10年に帰還した「初代はやぶさ」で世界で初めて小惑星からのサンプル回収に成功した。はやぶさ2に続き、火星の衛星「フォボス」からサンプルを持ち帰る新たなプロジェクト「MMX」を計画する。米国や中国も火星の土壌を地球に届ける計画を掲げる。

探査機には企業の技術が不可欠だ。はやぶさ2では開発や製造に200~300社が参画した。培ったエンジンや制御などの技術は民間主導の宇宙開発に役立つ。科学研究だけでなく産業応用への貢献も期待される。

【関連記事】

・はやぶさ2採取の砂に「生命の源」アミノ酸 地球外初確認
・小惑星の代表的試料と断定 はやぶさ2チームが論文

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青木慎一
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別の視点

生命の素になるアミノ酸は宇宙から来たとの考え方は昔は「トンデモ」でしたが、今は最も有力な仮説です。地球以外の太陽系の天体にも生命がいる、もしくはいた可能性があります。細菌のような微生物は想像を絶する厳しい環境でも見つかります。地球外の生命体発見に期待が持てます。
2022年6月6日 20:40 』

どうしてその石油からつくるプラスチックは生物分解ができないのか?

どうしてその石油からつくるプラスチックは生物分解ができないのか?
https://st2019.site/?p=19696

『Yael Vodovotz 記者による2022-5-31記事「If plastic comes from oil which came originally from plants, why isn’t it biodegradable」。

    石油が古代の藻などの生物に由来するならば、どうしてその石油からつくるプラスチックは生物分解ができないのか?

 石油はたくさんの「プロピレン」を含んでいる。

 石油からプラスチックをつくるとき、触媒によって、このプロピレンの分子を繋げて、長い鎖にする。これをポリマーと呼ぶ。

 ポリプロピレンとも言う。この「ポリ」は「複数の」という接頭辞である。
 この長い鎖の結合が、じつに強力なのである。

 段ボールのような非プラスチック素材は、自然界の微生物が、その中のポリマーを分解して消化してしまえる。これは微生物がもつ消化酵素の助けによる。

 たとえばリグニン(材木の形を長く保たせている構造の正体)は天然のポリマーである。だがキノコや、シロアリの体内微生物は、それを分解できる。酵素の働きで。酵素は蛋白質の一種である。

 もし酸素と接触が保たれている環境ならば、微生物は、ポリマーを最後まで生物分解できる。そのあとに残されるのは二酸化炭素や水などだ。

 酸素は、生物分解を担う微生物を長生きさせる。また生物分解反応は、暖かい水溜りのようなところで最も加速される。

 これまで微生物が進化する過程で、天然のポリプロピレンに出会う確率は、とても小さかった。だから微生物は、それを分解する酵素も持たなかった。

 ほとんどの微生物は、人工合成分子であるポリプロピレンを、消化吸収可能な餌としてはそもそも認識ができない。だから分解しない。

 いまわたしども(オハイオ大学)が研究しているのは「バイオプラスチック」。微生物に作らせるプラスチックで、機能的には石油から合成するプラスチックと同等。でありながら、容易に生物分解させることができる。

 現在製造され消費されている石油由来プラスチックを、バイオ由来プラスチックで置き換えていく「政策」が、求められている。

というのは今のところバイオプラスチックは製造コストが石油プラスチックより高いので、もし市場原理に任せていたら、普及速度が遅すぎて、それが普及し切る前に地球汚染のレベルがもう救いようがなくなるからだ。』

スペースX、衛星ネットでフィリピン参入へ 東南アで初

スペースX、衛星ネットでフィリピン参入へ 東南アで初
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM308WK0Q2A530C2000000/

 ※ 『有線のインフラ整備に時間とコストを要する島しょ国にあって、衛星の強みを生かして各地の通信手段の確保にもつながる見通しだ。』…。

 ※ フィリピンだけの話しじゃ無いな…。

『【マニラ=志賀優一】米起業家イーロン・マスク氏率いる宇宙企業スペースXが衛星インターネットサービス「スターリンク」でフィリピンに参入する。同国の国家電気通信委員会が27日、サービスの提供・運営を許可したと発表した。スターリンクの東南アジア展開は初めて。フィリピンを皮切りに従来の欧米などから事業エリアを広げる。

事業の認可を取得したのはスターリンク・インターネット・サービシズ・フィリピン。マスク氏も「スターリンクがフィリピンで承認された」とツイッターに投稿した。

フィリピン当局はサービスの提供開始時期について「数カ月」の内だとしている。スターリンクはほかの東南アジア諸国でも2023年ごろにサービスを開始するとみられる。

スターリンクは衛星通信を活用して高速・低遅延のネットサービスを提供。ロシアの侵攻を受けたウクライナの通信の一翼を担ったことでも知られる。マスク氏は今回、フィリピンのほか、アフリカのナイジェリアとモザンビークでも事業の申請が承認されたと明らかにした。

フィリピンは国民の1日あたりのネット利用時間が10時間を超え、東南アジアで最も長いとの調査がある一方、データ通信速度の遅さが課題となっている。有線のインフラ整備に時間とコストを要する島しょ国にあって、衛星の強みを生かして各地の通信手段の確保にもつながる見通しだ。』

スーパーキャパシタと充電式電池は何がどう違うのか。

スーパーキャパシタと充電式電池は何がどう違うのか。
https://st2019.site/?p=19627

『2022-5-20記事「Low-cost battery-like device absorbs CO2 emissions while it charges」。
   スーパーキャパシタと充電式電池は何がどう違うのか。

 電池は、ケミカル反応を利用して充電しまた放電する。
 キャパシタ(コンデンサ)は、ケミカル反応を利用しない。電極間の電子の挙動を利用する。
 このためキャパシタは、製品の寿命が長い。(連続給電時間が長いという意味ではない。)

 このたび発明された廉価な新デバイス。スーパーキャパシターなのだが、充電されるときに二酸化炭素を選別的に吸着する。そして放電するときにその二酸化炭素を解放するが、その発生ガスを集めて大気中に再び逃がさないような仕組みは簡単に作れる』

【コラム】大胆なてこ入れ迫られる韓国のノーベル賞プロジェクト

【コラム】大胆なてこ入れ迫られる韓国のノーベル賞プロジェクト
著名な科学者に対し資金を提供してきたIBS研究団、相次いで空中分解
10年間の実験は事実上失敗、偏りのあるR&D(研究開発)予算は再分配すべき
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/05/06/2022050684718.html

※ 韓国は、まず、サイエンスの各分野(医学・生理学、物理学、化学など)での、「ノーベル賞候補」入りから、目指すべきだろう…。

※ そういう「各分野」における、「画期的な論文」を各分野から「推薦」されて、最終的に「選考」されて、「受賞」が決まる…、という仕組みになっているんだから…。

※ まず、そういう「各分野」での、推薦され得るような「候補・画期的な論文」にすら入っていないのでは、「話しになって」いない…。

※ こんな「台座」なんか、いくら準備したところで、何の効果も、ありはしない…。

※ それでも、いくらか「精神的な鼓舞」には、なったものなのか…。

『2005年にソウル大学物理学部のミン・ドンピル元教授をはじめとする科学、芸術、人文学の教授らが集い、「ランコントゥル(出会い)」という集まりをつくった。彼らは、世界一流の科学者が集まって自由に討論し、研究する「銀河都市」をつくるべきだ、と提案した。世界中の物理学者らを呼び込める加速器(超大型施設)の建設も進めるべきだと主張した。

 この構想は、当時大統領選の候補だった李明博(イ・ミョンバク)元ソウル市長に「銀河プロジェクト」という名で報告され、公約として採択された。こうして2011年11月、基礎科学研究院(IBS)が発足した。一つの研究団に年間100億ウォン(約9億6000万円)の研究費を支援し、最低10年間の研究期間も保障する、という前例のない破格のシステムだった。韓国の念願とも言えるノーベル科学賞を受賞させ、研究成果を上げる、というのが目標だった。著名な科学者たちが次々と研究団に合流した。「多くの支援を受けているため、あえてIBSに行く必要がない」と大口をたたいていたあるソウル大教授も、わずか1カ月後にはIBSに志願した。理由を尋ねたところ、「ほかの人は皆志願しているのに私だけやらないとなると、レベルが低いかのように誤解される」と答えた。

 10年以上にわたって、IBSは数多くの成果を上げてきた。30以上の研究団が毎月数多くの論文を著名な学術誌に掲載した。しかし、内部をのぞくと、IBSの奇形とも言える構造が如実に垣間見える。昨年IBSは三つの研究団に対する支援を打ち切り、今年も一部の研究団が消える。研究団が解体されれば、構成員らは皆、新しい職場を探さなければならない。10年間蓄積してきたノウハウが空中分解するわけだ。評価内容としては「団長と副団長間の協力不足」「独自性不足による競争力低下」「次期研究団長に適当な候補者不在」といった辛辣(しんらつ)な内容が盛り込まれている。今年の評価については「落第寸前だったある研究団が団長の政治力で生き残った」という言葉まで聞かれる。KAIST(韓国科学技術院)のある教授は「最初から予想されていた惨事」という。学者として最盛期を過ぎた科学界の人々が、名声を掲げて研究団長に就任したため、ノーベル賞を受賞するだけの研究成果は最初から期待し難かったのだ。

 ノーベル賞は、通常30-40代に研究した成果がその20-30年後に認められることで受賞するようになるが、IBS研究団長はその大半が50代以上である上、研究分野もそれほど画期的とは言えないとの声が多い。従来本人たちが行ってきた研究を、所属だけを変えて続けるもので、ある日突然画期的な研究成果が生まれるわけがない。内部からの雑音も絶えない。ある研究団長は、特許を流出した疑いで有罪判決を受けたほか、商品券の不法現金化、虚偽の見積書作成などで懲戒処分となった研究員もいる。IBSを代表する施設である重イオン加速器「ラオン」は、2017年の稼働が目標だったものの、工期の遅れなどが重なり、完成は27年にまでずれ込む見通しだ。この加速器に少しでも関係した人々は「触れたくもない」と口を閉じる。表面的には技術的な問題を理由にしているが、実際は内部構成員間のあつれきが絶えないため、との話も聞かれる。

 ここ10年間、IBSに投入された予算は実に1兆6849億ウォン(約1600億円)にも上る。ソウル大学の1年間の予算をはるかに上回る資金を約30の研究団につぎ込んできたものの、ノーベル賞の糸口さえも見いだせていない。ノーベル賞受賞者たちは一様に「最初からノーベル賞を取ろうと思って研究を始めたわけではない」と話す。ノーベル賞を受賞するとして、特定の科学者たちに集中して資金を与えることがどれほど無駄なことなのか、受賞者たちが口をそろえる。3000万ウォン(約290万円)、5000万ウォン(約480万円)の元手がないために進めたい研究ができない若い科学者が多い。彼らの頭の中のアイデアは、IBS団長の過去の研究成果よりも、はるかにノーベル賞に近いかもしれない。10年間の実験で成功を得られないとすれば、大胆なてこ入れもやむを得ないだろう。

パク・コンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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