インテル入ってない:アームが半導体巨人を倒すまで

インテル入ってない:アームが半導体巨人を倒すまで
アームはモバイル端末のほか、PCやクラウドでも使用が増えている技術の設計を手掛ける
https://jp.wsj.com/articles/SB10671388092954773957304587158144275503230

『By Christopher Mims
2020 年 12 月 15 日 09:47 JST 更新

――筆者のクリストファー・ミムズはWSJハイテク担当コラムニスト

***

 米半導体大手インテルが設計し製造したマイクロチップはかつて、ほぼ全てのパソコンやクラウドコンピューティングの中核をなすほど支配的だった。だがここ何年も、競合他社の後塵(こうじん)を拝している。そうしたライバルには無数のスタートアップ企業のみならず、時価総額が数兆ドル規模の企業も含まれており、インテルの牙城を崩すまであと一歩のところまできている。

 アップルは最近、自社の新型パソコンシリーズ「Mac(マック)」へのインテル製チップ搭載を終了すると発表した。自社の設計品に切り替えるという。インテル長年のパートナーであるマイクロソフトも、自社のタブレット端末「サーフェス・プロX」に独自のチップを搭載。グーグルは自社のスマートフォン「ピクセル」にクアルコム製、パソコン「クロームブック」にはインテル製のチップを使用しているが、内製化に取り組んでいるようだ。一方、韓国サムスン電子は20年にわたり独自チップを設計している。ただしインテル、クアルコム両社との提携は続けている。

 こうした動きの背景には、効率性がかつてないほど求められていることがある。アップルは今年、「ワット当たりの性能」について大いに喧伝した。この基準はバッテリーで動く機器にとって明らかに重要だが、世界の消費電力の1%を占めるクラウドコンピューティングにとってもしかり。このようなニーズを満たすため、電子機器メーカーは自社製品によりカスタマイズしやすいマイクロチップを選択している。車両を駆動するのに開発されたエンジンと同様に。

 カスタムメードのチップ製造で先頭を走るのは製造企業ではない。ほぼ全てのモバイル端末のほか、パソコンやクラウドサービスでも使用が増えている技術の設計を手掛けるのは英半導体設計大手アーム・ホールディングスだ。同社がマイクロチップの設計図をライセンス供与するハイテク大手やハードウエアのスタートアップは計500社余り。すでにスマホやタブレット端末、ノートパソコン向けプロセッサーの市場シェアは9割に上る。

 インテルは米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)と台湾の威盛電子(VIAテクノロジーズ)との長年の関係を除けば、他社にマイクロチップの設計図をライセンス供与しない。インテルはアマゾン・ドット・コムのような大容量のデータ処理を必要とする顧客のために、自社の高性能プロセッサー「Xeon(ジーオン)」をカスタマイズする。

 アームが供与するライセンスは特定のニーズに合わせ、同社のさまざまな「コア」を組み合わせることが可能だ。同社のレネ・ハース知財製品担当プレジデントによれば、気温観測など低電力の環境センサーのチップを作りたい顧客はコアが1つしか必要ないかもしれないが、超高速のクラウドサーバー向けプロセッサーには最大96コア必要になる可能性があるという。

アップルの新「MacBook」に搭載された独自チップ
PHOTO: DANIEL ACKER/BLOOMBERG NEWS

 社内に経験豊富で大きなチップ設計チームがあるアップルやサムスン、クアルコム、エヌビディアといった一部企業はあまり一般的でないタイプのライセンスを求め、独自に設計されたチップを製造する。それでもアームのエコシステム内にある。同じ「命令セット」を使用しているからだ。

 現時点でインテルの命令セット「x86」とアームの命令セットの特徴の違いは不鮮明だ、と指摘するのはアンディ・ファン氏だ。同氏はベテランエンジニアでチップ設計企業に助言を行う。アームの命令セットはインテルのとほぼ同じくらい大きく複雑化しているが、インテルは効率性を向上させた高性能チップの設計に注力しているという。

 両社にとって現在、処理速度と同じくらいカスタマイズが戦いの場となっているが、アップルが新「MacBook(マックブック)」に搭載した独自のチップ「M1」の評価基準は、アームベースのチップが非常に処理速度が速くなり得ることを示している。現在世界最速のスーパーコンピューターには富士通の開発したチップが搭載されているが、アームの技術に基づいている。

 電子機器メーカーはカスタマイズしたチップの製造をベストなファウンドリー(受託生産)企業から選べるし、最先端技術の大半はもはやインテルではなく、(ほとんどがアームの技術が基になる)チップを実際に製造している台湾積体電路製造(TSMC)やサムスンといったライバル企業に属している。

 ほかにも、インテルの領域に踏み込んでいる企業がある。画像処理半導体(GPU)と人工知能(AI)の市場を支配し、時価総額で現在最大の米半導体メーカーであるエヌビディアは、アーム・ホールディングスをソフトバンクグループから400億ドル(現金と株式)で買収することで合意している。規制当局の審査を通過すれば、業界史上最大の買収案件となる。

自社のタブレットPC「Surface Pro X」を紹介するマイクロソフトのパノス・パネイ最高製品責任者(19年10月)
PHOTO: MARK KAUZLARICH/BLOOMBERG NEWS

 アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏は2006年、同社がインテル製チップに切り替えると発表した。当時採用していたチップの製造元であるIBMが追いついてこられなかったためだ。インテルは10年以上にわたり、パソコン・サーバー向けチップの消費電力と効率性で業界トップを走り続けた。

 だが同時期にインテルは致命的なミスを犯した。当時のポール・オッテリーニ最高経営責任者(CEO)は、「iPhone(アイフォーン)」に搭載するチップを製造してほしいというアップルの依頼を断ったのだ。アップルはアームの設計に基づいて独自チップの開発に乗り出し、2010年に発表されたiPhone4に初めて搭載された。産声を上げたばかりのモバイル業界の他企業もすでにアームの技術を採用しており、アーム支配の流れに向かっていった。

 スマホ革命が起きなければ、インテルは今でも中央処理装置の市場を握っていた、とハイテク分野の調査会社ムーア・インサイツ・アンド・ストラテジーのパトリック・ムーアヘッド社長は語る。

握手するアップルのスティーブ・ジョブズCEO(左)とインテルのポール・オッテリーニCEO(06年1月)
PHOTO: PAUL SAKUMA/ASSOCIATED PRESS

 このような戦い――インテルの垂直統合的アプローチとアームのより柔軟な戦略――はクラウド、厳密に言えば、データセンターでも繰り広げられている。クラウドサービス最大手アマゾンの「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」は独自に開発したアームチップを使っている。インテル製と比べ、クラウドアプリの性能が40%上回り、コストも20%低いとしている。

 にもかかわらず、インテルのクラウドサーバー向けチップ需要は衰えていない。2020年9月までの1年間の売上高は前年同期比11%増の781億ドルだった。新型コロナウイルスの世界的流行によりパソコンとサーバーの需要が爆発的に増えたおかげで、同期間の増収率は何年かぶりの大きさだ。同社はこの勢いに乗じて新規ビジネスへの参入をもくろんでいる。そうした分野にはGPUやAIトレーニング、5G(次世代通信規格)ネットワーキング、自動運転が含まれる。ロバート・スワンCEOは、同社がもはやパソコン・サーバー市場の支配に重点を置くべきではなく、「あらゆる半導体製品」のシェア3割を目指すべきと繰り返し述べている。

マイクロ・マジックが発表したRISC-Vコア(2日)
PHOTO: MICRO MAGIC|, INC.

 一方のアームは、今後も事業拡張を続けたいなら現状にあぐらをかいてはいられない。カスタマイズと費用効率の高い製造オプションを約束してインテルから顧客を奪ったように、今度は新たなスタートアップに脅かされる立場になりかねない。そうしたスタートアップの一つが、カリフォルニア大学バークレー校が開発した「RISC-V(リスクファイブ)」だ。設計が簡略化されていることで、「ワット当たりの性能」という今では不可欠な基準において有望な結果が最近示されている。だが最大のウリはオープンソースであることだろう。アームとは異なり、RISC-Vの命令セットを無料で利用できるのだ。

 中国ハイテク大手アリババグループはRISC-Vベースのチップを発表した。米トランプ政権下で欧米の技術や知財を取得するのが困難な他の中国企業も関心を寄せている。

 一方、インテルが成長し続けることができるかどうかは、製造で再び追いつけるかにかかっているかもしれない。さまざまな試みがうまくいかなくても、インテルが巨大なエコシステムを持つことができれば、それによってもたらされる勢いはこの先何年も同社が重要な企業であり続ける一助となることは間違いないだろう。また、あらゆる種類のプロセッサーの需要が爆発すれば、最も強力なライバルさえ、インテルを締め出すのに十分な供給を行うことは難しいかもしれない。』

スパコン「富岳」6月に続き連続首位、4冠を達成

https://www.yomiuri.co.jp/science/20201117-OYT1T50148/

『スーパーコンピューター(スパコン)の計算速度を競う世界ランキング「TOP500」で、理化学研究所と富士通が開発した「富岳ふがく」が、今年6月に続いて1位となった。スパコンの研究者らで作る国際会議が17日発表した。日本のスパコンの連続首位は「京けい」が達成した2011年以来、9年ぶり。

計算速度で再び世界一になったスーパーコンピューター「富岳」(神戸市中央区で、6月23日撮影)
 同ランキングは毎年6、11月の年2回発表される。発表によると、富岳の計算速度は毎秒44京2010兆回(京は1兆の1万倍)。2位の米国製スパコンの約3倍となるスピードで圧倒した。4位までの順位は前回と変わらなかった。

 このほか、人工知能(AI)分野で使う計算能力やビッグデータの解析能力など3部門でも1位を獲得し、4冠を達成した。

 富岳は、同じく理研と富士通が開発した「京」の後継機で現在試運転中。21年度の本格運用に向け、心臓部にあたる中央演算処理装置(CPU)をフル稼働させ、能力をアップさせた。

 富岳は既に新型コロナウイルス対策に緊急投入され、唾液の飛沫ひまつの拡散予測などで成果を上げている。21年度以降は公募で選んだ研究テーマで活用し、気象予測や創薬など幅広い分野での利用が期待されている。』

スパコン「富岳」、世界4冠へ貫いた信念とは?

スパコン「富岳」、世界4冠へ貫いた信念とは?理研・松岡氏が明かす開発の舞台裏
浅川 直輝 日経クロステック/日経コンピュータ

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00677/080600058/

『「スパコンは使われてなんぼ」。理化学研究所計算科学研究センターの松岡聡センター長は、かねてこう公言してきた。スーパーコンピューター「富岳」の開発でも信念を貫いた。性能ランキングの世界4冠を達成した決め手は何だったのか、最先端技術を開発する国家プロジェクトのあるべき姿とは。開発をけん引した松岡氏に直撃した。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長)

改めて「富岳」の世界4冠獲得、おめでとうございます。開発プロジェクトにおいて最も重視したことは何でしょう。

 アプリケーションファーストの設計思想を貫くことです。企業や研究機関が実際に使う様々な科学技術計算用アプリケーションを、最高の性能で動かす。これを一番の目標に掲げて徹底しました。

 我々は富岳の開発過程で、社会的・科学的に意義が大きく重点的に取り組むべき「重点課題」を9つ設けました。いくつかの課題については既に現状の100倍以上のアプリケーション実効性能を発揮しています。重点課題全体の平均でも数十倍ですね。

 何か1つの分野ではなく様々な分野のアプリケーションを最高の性能で動かすために、我々が知る限り最善のマシンを作りました。結果としての世界4冠だと考えています。

 開発に当たり、特定のベンチマークで1位を目指すつもりは全くありませんでした。およそ10年の開発期間を通じて、設計についてベンチマーク性能とのトレードオフを迫られた際にベンチマーク性能を選んで設計を変更したことは、今まで一度もありません。

演算パターンの多くをカバー
富岳が1位をとった4つの指標のうち、TOP500(LINPACK演算性能)以外の「HPCG」「Graph500」「HPL-AI」の意義を教えてください。

 HPCGは自動車や飛行機の空力設計、構造計算といった産業用アプリケーションの性能を測る代表的な指標です。

 Graph500は文字通り大規模なグラフ、すなわち多数の頂点と枝から成るデータ構造を解析する性能を評価する指標です。実社会の複雑な現象を表現する際に、グラフをよく使います。ソーシャルネットワークや各種のビッグデータなどです。

 最後のHPL-AIはCNN(たたみ込みニューラルネットワーク)をはじめとする深層学習(ディープラーニング)の性能評価の指標です。2019年にできたばかりのベンチマークですが、今後は従来の伝統的な数値計算をある程度置き換わるものになるでしょう。

 これらとTOP500を加えた4つのベンチマークで世の中の演算のパターンをかなりカバーできています。これらのベンチマークに関する富岳の演算性能が評価されたのは、私たちが掲げた開発方針に照らして大きな意義があると考えています。

(写真:菅野 勝男)
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汎用性を高めるため、京の「SPARC」に代えて「Arm」を採用しました。決断には曲折があったのでは。

 Armの採用を決定するまでにはすごい戦いがありました。理研側は絶対Armにしようと言っていました。

 京の失敗の1つは売れなかったことです。エコシステム(普及促進に向けた生態系)を作れず、ソフトウエアが出てこなかった。

 最終的にArmに決めてよかったと思っています。富士通にとっても、CPUの重要な部分を外部から吸収できたのはベネフィットがあったのではないでしょうか。

Armのエコシステムにはどう貢献すると考えますか。

 社会的インパクトが大きいと思います。今やスマートフォンのCPUとして誰でもArmを使っているわけですから。スパコンというお化けみたいなArm搭載機が登場したのは、Armの特徴を分かりやすく示した例と言えるでしょう。

 クラウドをはじめとする様々な分野のエコシステムにArmが採用される道が開けたと考えています。富岳に使ったバージョンか将来のバージョンが、クラウドのデータセンターで大規模に使われる可能性は十分にあるでしょう。動画配信は得意分野ですし、AI向けの用途も期待できます。

(写真:菅野 勝男)
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富岳の開発プロジェクトにおいて最も苦労したことは何でしょう。

 メンバーごとに違うと思いますが、私としては消費電力の目標を達成するのに最も苦労しました。むちゃくちゃアグレッシブな目標でしたから。

 消費電力に関しては、1ワット当たり十数ギガフロップスの性能を達成しないとマシンを作れないと分かりました。これは当時としては常識外の(省エネの)数字でした。当時の世界トップクラスのGPUマシンと比べても3倍の開きがあった。これをCPUでやらなくてはならなくなったのです。

 京は1ワット当たり1ギガフロップス以下でしたから、これは大変なことだと。当時の(GPUを採用した)TSUBAME2.5でも3ギガフロップスくらいでした。

半導体技術の見直しが奏功
目標を達成するためにどんな工夫を?

 ポイントは半導体の設計にあったと考えています。あれこれアセスメントした結果、このままでは目標に届かないという結論に達しました。そこで製造を委託した台湾の半導体大手TSMCからの詳細な設計データを基に議論を重ねました。

 その結果、半導体のアーキテクチャーを見直しました。当初の富岳用チップは(京の派生スパコン)FX100に近い設計でしたが、現在は大きく変えています。

半導体の設計レベルで見直したと。

 その通りです。富士通の貢献が大きかった。

省電力性能を競う「Green500」は4位でした。結果をどう評価しますか。

 富岳の順位は4位でしたが、消費電力効率の値そのものはトップと2割ほどしか違わないんですよ。パワポ(Microsoft PowerPoint)まで動く汎用性を確保したうえで、たかだか2割しか違わないのはすごいことです。

 Green500向けに富岳のハードやソフトをチューニングする時間がまったくありませんでした。だから今回のGreen500の結果は、本当の実力ではありません。

富岳の世界4冠は日本のコンピューター産業の発展や人材の育成にどう貢献すると考えますか。

 まず富士通が素晴らしいプロセッサーを作ったことをみなさんに分かっていただきたい。なぜ実現できたのかと言えば、国プロ(国家プロジェクト)として取り組んだからです。民間企業としてのビジネス目的だけだったら、絶対に無理だったでしょう。

 民間では担保できないリスクマネーを国が投入して、オールジャパンでつくり上げたからできたんです。ある意味、ムーンショット(月面着陸のような革新的な取り組み)と言えるのではないでしょうか。

 IT産業は民間が主導している印象があるかもしれませんが、民間だけで本当の最先端技術を開発するのはリスクが大きすぎます。ソフトウエアなどの既存資産がありますから。民間はむしろ、最先端技術の研究開発にコンサバティブになる面がある。一方である程度アグレッシブな技術や製品を開発しないと、世界では競争できません。

国家プロジェクトが必ずしも成功するわけではありません。むしろ失敗とされる事例が多いのでは。

 おっしゃる通りです。IT産業に国が口を出して失敗した例はたくさんあります。ただ、あまりに失敗の印象が強いため、国がそういうところに何か参加して、リスクマネーをばらまいても意味がないんじゃないかと捉える風潮があるような気がするんです。

 もちろん投資すべき分野の見極めは必要です。国プロの評判が悪くなったのは見極める力や人材が不足していたのも一因でしょう。

(写真:菅野 勝男)
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 富岳に関しては私は当事者ですが、やはりプロジェクトの過程や結果を客観的に分析すべきです。勘所の方程式をまとめ上げて、ITや他の分野に適用していく必要があります。こうした取り組みを重ねれば、日本の産業は世界の中でより競争力を高められるのではないでしょうか。』

スパコン世界4冠の「富岳」、そのすごさを丸っと解説!

https://newswitch.jp/p/22744

『今回のスパコン首位奪還は国産コンピューターの底力に加え、日本のモノづくり力を世界に知らしめた。

その象徴とも言えるのが、富岳の心臓部を担う中央演算処理装置(CPU)「A64FX」だ。スパコン「京」でも理研とタッグを組んだ富士通は、長年培ってきたプロセッサー設計の知的財産とノウハウをA64FXに注ぎ込んだ。

A64FXは携帯電話向けでも知られる英ARM(アーム)仕様の64ビットプロセッサー。ARMと共同で、スパコン向けに新しいアーキテクチャー(設計概念)を開発し、世界に先駆けて商用化した。

アーム仕様はオープンソースを推進する開発コミュニティーなどが多く、稼働するアプリケーションの数も多い。これが京と富岳との大きな違いだ。』
『京は高性能のUNIXサーバーで実績を持つ「スパーク」仕様をベースに独自にプロセッサーを作り込んだ。これにより11年に世界最速の座を射止めたが、独自仕様がハードルとなり、市販のアプリがそのままでは動かず、仲間作りでは苦労を余儀なくされた。富岳ではこの教訓を生かしアーキテクチャーをアーム仕様に切り替えた。』
『A64FXは演算処理を担うコア(回路)数が48個。トランジスタ数は約87億個に上り、ピーク性能は2・7テラフロップス(テラは1兆)以上。プロセッサー内には高速メモリー「HBM2」が直付けされており、処理能力を左右するピークメモリーバンド幅は毎秒1024ギガバイト(ギガは10億)と高速だ。

富士通は米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)とのパートナー契約により、HPE傘下でスパコンの老舗である米クレイに対してA64FXの外部供給を始めている。A64FXの外部供給は初めて。

富士通の時田隆仁社長は23日の会見で「今回の開発目標の一つは富岳の成果をグローバルに展開すること。富岳の成果を世界中に提供したい」と胸を張った。A64FX搭載のクレイ機は米国のロスアラモス国立研究所やオークリッジ国立研究所のほか英国のブリストル大学などが導入を検討中という。』

日本のスパコン「富岳」、8年半ぶり世界一奪還

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60655390S0A620C2MM8000/

『スパコンは核実験のシミュレーションなどにも使われ、国の科学技術力や安全保障に影響を及ぼす。先端技術を巡って覇権争いを演じる米中は1~2年以内に毎秒100京回の計算をこなす次世代のスパコンを投入してくる見通しだ。今回の首位を日本が獲得したのは、スパコンが世代交代の時期を迎えるなかで、米中より早く次世代機を投入できた面もある。

資金力で劣る日本が米中と同じ土俵で闘い続けるのは難しい。世界最速の称号は、むしろ富岳を活用してどう成果を生み出すかといった課題を日本に突きつける。

世界では次世代の高速計算機である量子コンピューターの開発も進む。デジタル技術が社会を変えるなか、日本として高速コンピューターの技術をどう開発し、活用していくか、中長期の戦略を描くことも必要になる。(AI量子エディター 生川暁、三隅勇気)』

富士通、富岳の技術が活きる“19.4PFLOPS”のスパコンをJAXAに納入

富士通、富岳の技術が活きる“19.4PFLOPS”のスパコンをJAXAに納入(中村 真司2020年4月23日)
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1249039.html

『 富士通株式会社は22日、を国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)より、スーパーコンピュータ「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000」を受注したことを発表した。稼働は10月を予定。

 JAXAでは、航空機やロケットなどの研究における流体力学や構造力学などの数値シミュレーション、衛星が収集した地球観測データを研究者や一般利用者向けに加工したり、ディープラーニングの計算に活用したりするなどの目的で、スーパーコンピュータを利用しており、3,240ノードで構成される富士通のPRIMEHPC FX100などを使用している。

 今回JAXAは、理化学研究所が共同開発しているスーパーコンピュータ「富岳」の技術を活用したPRIMEHPC FX1000を5,760ノード導入し、倍精度(64bit)での理論演算性能で現行システムの約5.5倍となる19.4PFLOPSを実現する見込み。

FX1000は、Armアーキテクチャを採用するA64FXプロセッサを搭載。導入されるシステムのノートあたりの性能は3.3792TFLOPS、メモリは32GB。システムはTofuインターコネクトDで接続される。』
『また、大容量メモリやGPUを搭載し、さまざまな計算に対応可能な汎用システムとして、FUJITSU Server PRIMERGYシリーズを465ノード導入するほか、約10PB(ペタバイト)の高速アクセス記憶装置を含んだ、50PBの大容量ファイルシステムが構築される。』

富士通、Armを採用した“ポスト京”スパコンの製造開始(佐藤 岳大2019年4月15日)
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1180127.html

『富士通開発のCPU「A64FX」を搭載し、Armアーキテクチャにより、幅広いソフトウェアに対応する汎用性を持ち、超並列、超低消費電力、メインフレームクラスの高い信頼性などを実現するとしている。

 A64FXは、Armv8.2-A SVE命令セットアーキテクチャに基づいたCPUで、計算ノードは48コア+2アシスタントコア、IO兼計算ノードは48コア+4アシスタントコアという構成。2.7TFLOPS以上の倍精度演算性能を謳う。メモリ容量はHBM2 32GB(4スタック)、バンド幅は1,024GB/sで、インターコネクトには「TofuインターコネクトD」を採用する。』
『富士通では、ポスト京のハードウェア開発/製造、ソフトウェア開発において、オープンソースコミュニティと連携し、Armエコシステムの推進、オープンソースソフトウェアの活用、ポスト京で創出された成果の展開などを進めるとしているほか、ポスト京の開発を通じて培った技術を活かし、商用スーパーコンピュータの製品化を行ない、「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX100」の後継機として、2019年度下期にグローバルで販売開始を予定しており、導入しやすいエントリーモデルの開発、他ベンダーへの供給なども検討するとしている。』
『PRIMEHPC FX100の後継機では、1ラックあたり384ノードを収容し、ノードあたりA64FXを1基搭載。OSはLinuxで、HPCミドルウェアは「FUJITSU Software Technical Computing Suite」の後継ソフトが採用される見込み。』

よくある質問 – 筑波大学 計算科学研究センター Center for Computational Sciences
https://www.ccs.tsukuba.ac.jp/pr/ques/
『Q ノードとはなんですか。
A 「ノード」は「台」とほぼ同じ意味です。2560ノードは、コンピュータが2560台あると考えてください。』

用語集
http://www.nsc.riken.jp/project/yougoshu.html

 ※ 「5760ノードの納入」ってことは、コア数にすると、「48×5760=276480」コア…、ということだぞ…。これを全部稼働させて、「並列計算」していくわけだ…。凄まじい話しだ…。 これが、「スパコンの世界」だ…。ちなみに、オレのシステムは「4コア+4HT(仮想コア含めて、8コア)」だから、単純にコア数の計算だけでも276480÷8=34560倍だ…。目が眩んでくるな…。
 しかも、「能力が足りなければ」、さらに「発注して」「ノードを増大」すればいい…(収めるスペースの問題は、あるが…)。リース料金も、「何億/月」「何十億/月」という世界なんだろう…。
 ただ、こういう「電子計算機」は、どこまで行っても「発熱」と「電力供給」の問題がつきまとう…。とくに、「電力供給が途絶えた場合」には、どんな巨大なシステムであっても「巨大なガラクタの固まり」と化す…。阪神淡路や311、熊本大地震、千曲川の氾濫による水害、台風襲来による送電鉄塔の倒壊による停電…の例が、そういうことをまざまざと示している…。
 それと、ARMのアーキテクチャへの乗り換えからは、そういう「消費電力」と「パフォーマンス」のバランスの問題とか、商用展開にあたっての「縛り」の問題なんかが透けて見えるな…。「オープンソース」への舵切りとかからも、そういう方向性が見てとれる…。