地上イージスの代替案検討 政府、敵基地攻撃も議論へ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60734420U0A620C2EA2000/

『政府は24日、国家安全保障会議(NSC)を開き、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の停止を確認した。代替となるミサイル防衛の検討に入る。攻撃を受ける前に相手の拠点をたたく敵基地攻撃能力の保有の是非に関しても、政府で議論する見通しだ。

安倍晋三首相も出席して首相官邸でNSC4大臣会合を開いた。河野太郎防衛相が陸上自衛隊の新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(山口県萩市、阿武町)への配備計画を停止すると報告した。

政府は人家近くへのブースター落下を防ぐ改修に巨額の費用と時間がかかると説明する。政府高官は計画に関し「事実上の撤回だ」と指摘する。政府は代替策の検討を進め、米国などと契約済みの1700億円超の費用の扱いも協議する。

代替策にはイージス艦の拡充や、海上に人工浮島(メガフロート)を建設してイージス・システムを運用する案がある。いずれも巨額の追加費用がかかるのが問題だ。

各国はミサイルの高性能化を図っている。事前に発射の兆候をつかみにくい固体燃料を採用したり、通常より高速で飛行して経路を変化させたりするミサイルの開発が進む。飛行経路を予測しにくいため防衛関係者からは「ミサイルを迎撃する防衛方法は困難になる」との声が上がっていた。』
『浮上するのが敵基地攻撃能力の保有論だ。

ミサイルが発射された後に空中で撃ち落とすのは不確実性が高く、コストも膨大だ。発射される前の発射場所をたたく方が容易で費用も少なくて済む、という論理だ。

自民党は2013年や18年の防衛大綱の改定議論に合わせ保有を提言してきた。首相は18日に「党から提案が出ている。受け止めていかねばならない」と表明した。

日米の同盟関係は日本が守りの盾、米国が攻撃の矛、との役割分担だった。茂木敏充外相は23日「単純に『盾と矛』と性格づけられる安保環境ではない」と指摘した。

自民党は近く敵基地攻撃能力を含めた安全保障戦略を検討するチームをつくる。7月中に政府に提言する。並行して政府も検討に入る見通しだ。』
『地上や海上から発射する巡航ミサイルを保有すべきだとの意見も自民党内にはくすぶる。

政府は憲法9条の下でも敵基地攻撃は可能との見解だ。1956年の鳩山一郎首相の「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」との答弁に基づく。国際的にも国連憲章51条で認める自衛権の範囲内との解釈が一般的だ。

政府は「もっぱら他国に打撃を与える戦力」は保持しないとの立場を取ってきた。大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機、攻撃型空母が具体例だ。菅義偉官房長官は24日「専守防衛という考え方の下でしっかり議論していきたい」と語った。』

地上イージス、総額の7割で支払い約束…。

地上イージス、総額の7割で支払い約束 米と交渉へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60460500X10C20A6PP8000/

『政府は近く国家安全保障会議(NSC)を開き地上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の計画停止を正式に決める。調達先の米国に伝え、日本が支払いを約束した費用の扱いの協議に入る。取得費の7割にあたる1700億円超は契約済みで、回収の可能性を探る。』
『イージス・アショアは米ローキッド・マーチン製で本体は米国政府から、レーダーはロッキードから購入する。装備の取得費の総額はレーダーや発射装置などを含めて2基で2520億円だ。』
『2019年度までの予算でこのうち1732億円分は支払う契約をした。55億円を情報取得費や人材育成費などにあてる。本体整備などで約束したのは計1787億円になる。レーダー分は企業側と約350億円の契約を済ませた。

20年度予算で100億円超の発射装置の購入額を計上した。本体分で残る700億円弱は予算計上が凍結になる。』
『防衛装備品は製造を請け負える企業が少なく市場も限られる。購入費が高額になりやすい構造にあり複数年かけて契約して支払う場合が多い。

イージス・アショアも同様だ。すでに契約した費用はローン返済にあたる「歳出化経費」という費目で各年度の予算に積んでいく。』
『レーダーと発射装置を除いた本体分は米国政府と直接契約する「有償軍事援助(FMS)」と呼ばれる制度を使っている。代金は原則前払いで納品との引き換えではない。FMS契約で125億円を支出した。

取得後には人件費や維持・管理費などがかかる。防衛省は30年間の費用を含めると総額で約4500億円必要だと見積もる。』
『河野氏はシステムの改修に費用がかかると判明したため停止すると説明する。

山口県の陸上自衛隊むつみ演習場への配備を巡り、演習場内にブースター(推進装置)を落下させることができると理解を求めてきた。現状ではこれが不確実だと分かり、河野氏は改修に2000億円規模の費用がかかると指摘する。』
『イージス・アショアには造成費や建屋も必要になる。配備候補地の秋田、山口両県と交渉が難航していた。配備を前提とした造成費や建屋の予算は地元の反発を招くため計上してこなかった。

ミサイルの取得費も含まれない。1発30億円超ともいわれ、これらの費用も含めれば1兆円単位に膨らむとの見方もある。防衛省は17年の導入決定段階で1基約800億円と説明し、最新鋭のイージス艦よりも低コストだと訴えてきた。』
『イージス・アショアは装備品調達のあり方を巡る課題を浮き彫りにした面がある。FMSは価格、納期は米政府の見積もりで決める。取得費が高額になりやすく防衛費増額の要因と言われる。

20年度予算で、米軍再編経費を含む防衛費は5兆3133億円と6年連続で最高を更新した。FMSも急増している。』
『トランプ米大統領が日本に防衛装備品の購入を迫ってきたのが背景にある。イージス・アショアの購入も安倍晋三首相とトランプ米大統領のトップダウンで決まった。』
『米国に頼ると運用上のリスクも生じる。米国製の装備に不備が見つかると日本の防衛体制に綻びが出る。中谷元・元防衛相は16日の自民党会合で「日本でつくらないと、こういうことの繰り返しだ」と装備品調達のあり方の問題を指摘した。』

問題はブースターではなく、レーダー。
https://st2019.site/?p=14400

 ※ 兵頭二十八氏のサイトから、引用する…。
『地ージス醜聞の核心は、はるか過去の記事「2018-8-2」Up分と、「2018-12-11」Up分に、十全に書かれているから、いまさらだが、参照して欲しい。

 ブースターなんて問題じゃない(それが問題だというなら、PAC-3はもっと問題だろう。まるごと、東京都内に落下するんだから)。
 ブースターの話は、プロジェクトを堂々と断れる理由付けとして利用されているだけだ。

 愚かな、あるいは悪徳な前任者たちが契約させられた地ージスは、日本のABMシステムとしては永久に機能せず、ただ、米国のためのDEWL(遠隔早期警戒線)の新レーダー開発プロジェクトとしてだけ、役に立つスキームになっていた。

 レーダーが日本の資金でやっとこさ完成したところで、米国としてはとりあえず、中共製の中距離ハイパーソニック弾や、発射後5分で全MIRVが分離してしまう中共製ICBM東風41や、そろそろ完成しそうなSLBMを早期警戒することができて、嬉しいだろう。

 しかし、肝腎のABMを誘導することはできない。それができるのは、10年がかりでレーダーが完成したあと、さらに10年後の話となってしまうのだ。

 そのあいだ、20年以上も、わが国の本土上空高層は、ガラ空きなのだ。
 20年と1800億円があれば、日本版の地対空レーザー砲を開発できる。方針の大転換が望ましいだろう。

 当面の本土防空には、旧型イージス艦を離島か軍港に擱坐させて「浮き砲台」にしてしまい、軍艦としての登録を抹消すればよい。そのまま、「地ージスもどき」になってくれるだろう。海自のイージス艦定数には2隻の(もしくは数隻の)空きができることになる。それは新鋭艦で埋めればいいのだ。』
『地ージスの候補地が、本州の陸上に限定されたのは、米軍/米企業のオペレーターが通勤しやすいという都合もあったのだろう。』

 ※トランプ再選が、盤石では無い…、との情勢判断が影響を与えた可能性は無いのか…。
 安倍政権(及び、それを支える外務官僚、その他の米政界に通じている人脈・情報網…)の精度は、侮れないものがある…。トランプ当選の時に、それをまざまざと見せつけた…。今回、再選の可能性を判断するにあたって、そういう「網」が、フル活動しているだろうからな…。
 各国ともに同じだろうが、「どっちに転んでも、いいように」策を立てているはずだ…。

3年ぶり、太平洋に同時展開
https://www.47news.jp/world/4922447.html

『米軍が乗組員のコロナ感染への対応を終えたばかりの原子力空母3隻を太平洋地域に同時展開し、台湾周辺や南シナ海で活発に活動する中国軍をけん制する動きを強めている。米メディアは太平洋への3隻派遣は北朝鮮情勢が緊迫した17年11月以来で「極めて異例の態勢」だと指摘している。

 米軍によると、横須賀基地配備の空母ロナルド・レーガンとセオドア・ルーズベルトはフィリピン周辺で、ニミッツは太平洋東部で活動。いずれも駆逐艦や戦闘機部隊を引き連れている。

 中国共産党系新聞の環球時報は「中国は空母キラーの対艦弾道ミサイル東風21Dを持っている」などと反発した。』

地上イージス配備停止…。

地上イージス配備停止「費用と期間考慮」防衛相表明
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60368290V10C20A6MM8000/

「日米に隙」みなされる懸念 地上イージス停止
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60366410V10C20A6PP8000/
『政府が地上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の計画停止を決めた。日米の両首脳が主導した計画は同盟強化の象徴の一つだ。北朝鮮などが日米の防衛に隙が生じたと分析して挑発に動くのを懸念する。日米で足並みをそろえミサイル防衛の方向性を打ち出す必要がある。

イージス・アショアの導入は2017年、米国の装備品購入拡大を求めるトランプ大統領と安倍晋三首相によるトップダウンで決まった。北朝鮮の核・ミサイルににらみをきかせるだけではなく同盟の強固さを示す意味もあった。

政府はもともとイージス艦8隻によるミサイル防衛体制をつくる方針だった。北朝鮮の度重なるミサイル発射で海上自衛隊の現場が疲弊したことも導入の背景にあった。』
『防衛省は当初「1基約800億円」と説明した。購入を決めたのは2基で日本全体を守ることができ、1500億円程度かかるイージス艦よりコストを抑えられるという理屈だった。

想定はすぐに狂った。導入決定後は18年度の予算編成の段階で1基の価格は1000億円を超え、造成費などを含めれば数千億円かかると判明した。

北朝鮮の技術の進展への対応にも不安があった。防衛省はコストを抑えるために、想定していた巡航ミサイルの迎撃機能の追加を見送った。

調査のデータ不備や職員の居眠りなど、度重なる防衛省のミスで配備候補地の秋田、山口両県との調整は暗礁に乗り上げた。ここに追加コストの発生が追い打ちをかけた。

河野太郎防衛相は15日、将来のミサイル防衛のあり方を明確にしなかった。日米で戦略を定めて発信しなければ、北朝鮮をはじめとした周辺国に誤ったメッセージを与えかねない。』

※ 表向きは、「コスト」と「改修にかかる時間」が「見合わない」と言う話しになっている…。

※ しかし、現・北の体制に対する一定の判断が、基盤にある…、ということは無いのか…。

※ キムジョンウンに、やはり何か異変が生じ、表に登場しているのは「影武者だ」説は、根強く囁かれている…。

※ 今回の、韓国の脱北者による「北体制批判ビラ」飛ばしに反発した、「ホットライン」の切断、「共同連絡所の破壊予告」は、全て「敬愛する最高司令官金正恩同志」から委譲された権限に基づき、キムヨジョン氏が発出した…。

※ 日米ともに、「北は、現状、大規模な軍事行動を起こすような余力は、無い…。」と判断している…、ということは無いのか…。

※ 秋田から半径1000キロは、こんな感じ…。

※ 山口から半径1000キロは、こんな感じ…。

※ 韓国のソウルから半径1000キロは、こんな感じ…。THAADは、表向き「800キロ」と言われているが、ビームを絞れば、1000キロくらいは出る…、という話しだ…。

※ ということで、表向きは「弾道ミサイル」対策ということになっているが、「旧瀋陽軍区(現・北部戦区)(※「北部戦区」と言っているようだ。訂正する)」の中国軍及び極東ロシア軍の動向が、丸わかりになる「レーダー」設備だった…。

※ そもそも、軍事的には、北朝鮮の弾道ミサイル開発及び発射実験が活発化し、それに対処するための「イージス艦」の「洋上勤務体制」が、あまりに過酷となって、限界を超えている…、というのが「地上イージス」配備の出発点だった…。

※ それを、無期限延期(停止)するということは、何らかの軍事情勢判断の変更があった…、と考えざるを得ない…。

『陸上イージス高性能レーダー、月内選定へ 防衛省内、米2社製で激しい綱引き』

http://www.sankei.com/politics/news/180716/plt1807160001-n1.html

『陸上イージスは、1000キロ先を探知できる(画像)』
http://www.sankei.com/politics/photos/180716/plt1807160001-p2.html

この画像で疑問だったのは、山口から半径1000キロの円が、中国側を詳し
くは載せてないことだ。
どうせまた中国様に忖度して、載せなかったんだろうと思って、「山口から半
径1000キロ」がどうなるのか、調べてみた。
そしたら、こういうサイトに当たった。
『みんなの知識 ちょっと便利帳』というサイトだ。
( https://www.benricho.org/map_fukushimagenpatsu/ )

「map_fukushimagenpatsu」とあることからも分かる通り、「原発事故が起こる
と、こーんな広範囲に影響が及ぶんだよー。オソロシヤ、オソロシヤ。みんなで、
原発再稼働に反対しましょうねえ。」っていう、左翼がやってるサイトだろう。
しかし、使ってるのは、「グーグル・アース」の機能だ。
2個ある涙形の矢印の内側が円の中心で、外側が円周を示していて、どちらも
マウス・ドラッグで操作するという簡単な機能だ。
それで、オレのPCで操作して、秋田から半径1000キロ、山口から半径1
000キロ、ついでにソウル近郊から半径1000キロを設定して、WinShotと言
うキャプチャリング・ソフトで画像をキャプチャして、.jpgにしたんで、それを
添付する。
これを見たオレの感想は、以下のようなものだ。
1、山口から半径1000キロでは、言うほど中国軍の動向が丸わかりというほ
どでもない。北京あたりまでは、到底届かない。
しかし、中朝国境辺りの中国軍の動向は、丸分かりだ。これが、やはり嫌なん
だろうな。
中朝は、敵対しつつ依存し合う関係だ。中国としては、傀儡(金正男の長男の
金漢率(キムハンソル)なんかが有力候補だ)を送りこみ、(米国との談合の上
で)、中朝国境から中国軍を進軍させて、制圧するというのがシナリオ(選択肢)
の一つだからな。
2、秋田から半径1000キロでは、ロシア極東のロシア軍(中露国境、露・北
朝鮮国境)の動向が丸分かりだ。
だから、イージス ・アショアを秋田に設置するというのは、おそらくアメリカ
様のご意向でもあるんだろう。
だから、佐竹知事がどんなに反対しても、多分ムダ。まあ、本人も重々承知だ
ろうから、いかに「県民第一に考えました。」という体裁を取り繕うかという話
しになるだろうよ。
3、ソウル近郊から半径1000キロでは、対陸軍では、それほど秋田から半径
1000キロと大差はない。やはり、北京辺りまでは届かない。
ただ、このTHAADのレーダーは、出力を上げたり、ビームを絞ったり(指
向性を上げたり)できると言われているんで、そうなれば+200キロで、ギリ
ギリ北京あたりまでは、届くのかな、という感じだ。
それより、むしろ西日本の自衛隊の動向が丸分かりとなる。それを韓国側に設
置する時の説得材料に使ったかもしれないな(THAADは、米軍の所有物なん
で、取得した情報は、まず米軍が分析・解析することになっている。その後、お
もむろに韓国軍にも提供することになっている。しかし、こういう軍事関係に密
約はつきものだ。その時の国際情勢でどう転ぶかは、知れたモンじゃない)
韓国は、一応防衛の協力国ということになっているが、潜在的には敵国だ。こ
っちがそう思っていなくても、むこうが明確にそう思っている。だから、こっち
もそれを前提に対策を立てざるを得ない。
ムンジェイン政権になって、露骨に従北(もはや、北朝鮮の代弁者と言ったと
ころだ)し出したんで、なおさらだ。
対海軍では、山東半島・遼東半島までカバーしてるんで、中国海軍が黄海に出
てきたら、その動向は丸分かりだろう。
ただ、中国海軍の最優先の目的は、台湾侵攻のはずで、主力海軍は南シナ海方
面に置かれているはずだ。
一朝、北朝鮮でドンパチとなったとき、黄海方面に出てくる中国海軍について、
米軍と自衛隊(海自)がどういう風に認識しているのかは、残念ながら情報収集
できてない。と言うより、一般向けの情報が、殆んど流通してない。
それなりに、軍事的には、シミュレーション済みなんだろうがな…。
まあ、あれこれ考えてみてよ…。