Quad、強まる結束の意義 対ロシアでインドどう動く

Quad、強まる結束の意義 対ロシアでインドどう動く
政界Zoom
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA080OY0Y2A500C2000000/

『日本、米国、オーストラリア、インドの各首脳は24日に東京で「Quad(クアッド)」の会議を開く。クアッドは安全保障や世界経済について意見交換する4カ国の枠組みで、対面での首脳会議は2回目となる。ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに結束の意義が強まる。

クアッドは英語で「4つの」を意味する。4カ国はインド洋と太平洋を囲むように位置する。米国のバイデン大統領の来日に合わせた日本での開催となる。

自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観を共有する。インド太平洋地域の安定を目指し、新型コロナウイルスや気候変動など幅広い課題を取り上げてきた。

クアッドの構想は安倍晋三元首相が第1次政権時の2006年に掲げた。4カ国で対話の枠組みを提唱し外交当局による事務レベルの会合にこぎ着けた。中国への距離感で一致点を見いだせず安倍政権も退陣したことから立ち消えになった。

12年に第2次安倍政権が発足し再び結束の機運が高まった。念頭にあるのは覇権主義的な行動を繰り返す中国の存在だった。

日本は中国海警局の船が頻繁に沖縄県の尖閣諸島周辺の領海に侵入することなどを警戒する。インドも国境地域で係争を抱える。

米国はバイデン大統領の就任以降、専制主義の国として中国を批判する。オーストラリアも新型コロナの発生源を解明するための国際調査を中国に求めたことなどをきっかけに関係が悪化した。中国は豪州からのワインや大麦に関税を上乗せした。

クアッドは17年11月にフィリピンで局長級会合を開いた。19年9月には初の外相会合を米ニューヨークで開催した。

新型コロナ禍の21年3月にオンラインで首脳会議を開いた。9月に米ワシントンで各首脳が対面で集まった。日本から菅義偉首相(当時)が参加した。

世界銀行によると、20年のクアッド4カ国合計の名目国内総生産(GDP)は30兆ドルほどで、中国の2倍くらいになる。ストックホルム国際平和研究所のデータで国防費の合計額を比較すると3倍超にのぼる。

インド太平洋地域を巡る多国間の枠組みには米国と英国、オーストラリアの3カ国が21年9月に立ち上げた「AUKUS(オーカス)」がある。安全保障での連携に軸足を置き、人工知能(AI)やサイバーセキュリティーなどの軍事技術で協力する。

クアッドの4カ国も合同の軍事演習を定期的に実施するなど安全保障面でも力を合わせる。ただ北大西洋条約機構(NATO)のような軍事同盟ではなく足元では経済分野での関係を重視する。

21年9月の首脳会議で宇宙分野での技術開発、水素エネルギーの活用、半導体のサプライチェーン(供給網)構築なども共同文書に盛り込んだ。22年4月には初めて4カ国共同で新型コロナのワクチンを供給した。カンボジアに32万5千回分を供与した。

林芳正外相は4月28日の記者会見で「日米豪印の取り組みは自由で開かれたインド太平洋の推進に中心的な役割を果たしている」と述べた。

5月24日に開く会議については「自由で開かれたインド太平洋の実現に向け力強いコミットメントを日本から世界に示す機会としたい」と強調した。

クアッドはロシアによるウクライナ侵攻を経て重要度が高まる。侵攻が始まった1週間後に4カ国でテレビ会議形式の会合を設け、1時間ほどロシアへの対応を議論した。

岸田文雄首相は5日、大型連休を使った東南アジアと欧州への外遊を締めくくる内外記者会見で「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と危機感を示した。

「ロシアの暴挙には高い代償が伴うことを示し、国際社会に間違ったメッセージを発することにならないようにする」と語り、同盟国・友好国同士で歩調を合わせることの重要性を訴えた。

ウクライナ危機を巡るインドの立場はロシアへの批判を強める日米豪と異なる。国連総会が3月2日に開いた緊急会合でもロシアを非難する決議を棄権した。

背景にはロシアとの軍事上の結びつきがある。旧ソ連時代から協力関係にあり、武器の調達先として最大の国でもある。

ジャイシャンカル外相は3月25日、電撃的にインドのニューデリーを訪れた中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と会談した。

会談後に記者会見したジャイシャンカル氏によると、両外相はロシアによるウクライナ侵攻を巡り、即時停戦と対話の継続を促す方針で一致したという。

岸田首相も王氏に先立ってインドを訪れモディ首相と会談した。力による一方的な現状変更を許さないことを確認したものの、共同記者会見でウクライナ情勢への直接的な言及はなかった。

今回のクアッド首脳会議でもウクライナ情勢は主要議題になりそうだ。インドが日米豪にならってロシアを非難する可能性は低いとみられる。

東京外国語大の篠田英朗教授(国際政治)は「インドに民主主義陣営に少しでも近づいてもらうためにクアッドというつながりは非常に重要になる。長期の目線で会合を重ね一体感を醸成すべきだ」と指摘する。

記者の目 つなぎとめが日本の役割

岸田文雄首相は大型連休にベトナムなど東南アジア各国の首脳と会談した。ロシアを巡る各国の態度はインドと似る。ロシアと結びつきの強いベトナムはロシアを非難する国連決議を棄権した。植民地政策に翻弄された歴史を持ち主要7カ国(G7)に肩入れするように映る行動には慎重だ。

ベトナムがウクライナへの人道支援で50万ドルの供与を表明するなど首相は会談で一定の成果を得た。首相周辺は「ウクライナ危機以降、米欧の日本を見る目がはっきりと変わってきた」と指摘する。アジア各国をつなぎとめる期待を強く感じるという。

首相は理想と現実のバランスを重視する「新時代リアリズム外交」を掲げる。アジア唯一のG7としてインドの理解を得る意味でも、クアッドで日本の役割の重みは増す。(上田志晃)』

中国・習氏「安保協力強化を」BRICS外相協議に

中国・習氏「安保協力強化を」BRICS外相協議に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM19CSO0Z10C22A5000000/

※ ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ…、の外相がオンラインで協議するって、この情勢で何を協議するんだろう…。

『【北京=羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は19日、中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの新興5カ国(BRICS)外相によるオンライン協議にビデオメッセージを寄せた。「BRICS各国は政治的信頼と安全保障協力を強化しなければならない」と強調。ウクライナ侵攻で国際的な非難を浴びるロシアとも協力関係を堅持する考えを示した。

バイデン米大統領の日韓訪問前にロシアなどと足並みをそろえ、対抗する姿勢を示す狙いがありそうだ。習氏はBRICS各国について「互いの核心的利益と重大な関心事に配慮すべきだ」と指摘した。中国にとって最大の核心的利益といわれる台湾問題への理解を改めて促した。

「覇権主義や強権政治に反対し、冷戦的思考と集団的対抗に立ち向かわねばならない」と話し、結束を求めた。今月24日には東京都内で日米豪印4カ国による「クアッド」首脳会合も開かれる。BRICS加盟国のインドも含まれており、習氏の発言にはインドに米中間で中立的な立場を維持するように求める思惑も透ける。』

小麦価格急騰 専門家「インド、輸入国に転じる可能性」

小麦価格急騰 専門家「インド、輸入国に転じる可能性」
専門家の見方
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16D2V0W2A510C2000000/

『週明け16日のシカゴ市場で小麦の国際価格は急伸し、今年3月につけた過去最高値に迫った。ロシアのウクライナ侵攻により両国の輸出が大きく減るなか、インド政府が14日に国内供給を優先する輸出停止を発表し、供給不足の深刻化が警戒された。米農務省によると世界の期末在庫は6年ぶりの低水準にある。シカゴの穀物調査会社アグリソースのダン・バッシ社長に今後の見通しを聞いた。

シカゴの穀物調査会社アグリソースのダン・バッシ社長

――インドの輸出停止は世界的な品薄に拍車をかけるとみられます。

インドの輸出停止の影響は甚大だ。ロシアのウクライナ侵攻により世界輸出の3割を占めた両国からの供給が滞るなか、インドは不足分を補う「つなぎ」の役割を果たす。輸出停止は我々を食料危機の入り口へと追い込む。

今回の輸出停止については食料安全保障を考慮し必要と認めた場合の輸出は許可するとしているが、世界の需給の現状は逼迫した状況にある。インドは熱波に見舞われており、減産が深刻化すれば年間800万トンの輸出国から300万~500万トンの輸入国に転じる可能性もある。

――米国や欧州産地の干ばつも警戒されています。

注目しているのはフランスなど欧州だ。向こう3~4週間に生産を左右する重要な生育時期を迎えるが、産地では乾燥した状態が続いている。雨が降らなければ減産に見舞われ、供給不足に拍車をかける。

一方で需要の低下は見込めない。考えてみてほしい。例えば、パン1個に含まれる小麦の原料費は8セントにすぎない。小麦価格の上昇がパンの買い渋りにつながるとは思えない。食品会社の購入担当者も原料の手当てが先決であり、価格はどうあれ買うしかないだろう。

――今後の価格見通しはどうでしょう。

小麦価格は未踏の領域にある。現物価格はすでに過去最高値をつけており、先物も時間の問題だ。どこまで上がるか予想はつかないが、ウクライナ情勢が長引いており、供給不足の解消には数年かかる。高値は数年続くだろう。

(聞き手はシカゴ=野毛洋子)

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

永浜利広のアバター
永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
コメントメニュー

別の視点

日本の小麦輸入は政府によって一元的に行われ、政府が決めた売り渡し価格で国内メーカーに売り渡されます。

規定に基づいて、2022年4月の小麦売り渡し価格は17%程度の上昇となりましたが、仮に足元の小麦先物価格とドル円レートが横ばいで推移すると想定すれば、今年10月の価格改定時にはさらに4割以上の価格上昇となる可能性があります。

これは、直近ボトムの2020年度後半対比2倍以上の売渡価格になることを意味します。
このため、10月の価格改定時にどの程度政府が負担軽減に介入するかに注目でしょう。

2022年5月17日 8:16 』

インド中立、やむを得ない ロシアと決別できぬ対中事情

インド中立、やむを得ない ロシアと決別できぬ対中事情
本社コメンテーター 秋田浩之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD109WL0Q2A510C2000000/

『日本と米国、オーストラリア、インドの首脳が5月下旬、東京で一堂に会する。「Quad(クアッド)」と呼ばれる枠組みだ。

クアッドは中国をにらんで結束を強めてきたが、ここにきて暗雲が垂れこめている。ロシアのウクライナ侵略がきっかけだ。

日米豪など西側諸国はロシアを非難し、制裁を強めている。ところがインドは停戦を求めこそすれ、制裁には同調せず、中立の姿勢を変えていない。

ロイター通信によると、インドはロシアから安く石油を買うことすらも検討する。日米豪はこうした態度を改め、制裁に協力するよう、5月下旬の首脳会合でインドに求める構えだ。

ロシアによる残虐な侵略が続いているにもかかわらず、インドは制裁を控え、中立を決め込んでいる。確かに遺憾であり、失望を禁じ得ない。
さらされる一触即発の危機

しかし、インドを追い詰め、中立の態度を変えるよう迫ることが賢明だとも思えない。努力は徒労に終わるばかりか、日米豪の戦略的な利益を損ねる恐れもある。

インドとロシアの友好関係は今に始まったことではなく、米ソ冷戦中にさかのぼる。インドの当局者や元高官にたずねると、対中戦略上、ロシアとの友好を壊すわけにはいかないと口をそろえる。

いちばん大きな理由は1962年の中印戦争以来、中国との紛争が続き、一触即発の危機にさらされていることだ。2年前には衝突で45年ぶりに死傷者が出た。「いまも、両国がにらみ合い、緊迫している」(元インド軍幹部)

インドが恐れる悪夢は、この紛争でロシアが中国側に肩入れすることだ。紛争に直接介入することはないにしても、ロシアが情報提供や外交戦で中国を利する行動に出れば、インドには大きな脅威になる。

ロシアは今のところ、中立を保っている。だが、インドが敵対的な言動に出れば、ロシアは中国支持に転じるだろう。インドの外交専門家によると、ロシアはクアッドについても米国覇権の道具だと敵視し、深入りしないようインドに水面下で警告している。
目指すのは多極的な秩序

ロシアと決別すれば、インドは軍事上も少なからぬ打撃をこうむる。ロシアの兵器に深く依存しているためだ。インド軍の兵器は、約7割がロシア製との試算がある。冷戦以来、米国から最新鋭の兵器を買うのが難しかったことが一因だ。近年はフランスやイスラエルから兵器調達を増やし、ロシア比率を減らす努力を急ぐ。

インドのシブシャンカル・メノン元国家安全保障補佐官によると、全兵器輸入に占めるロシアの比率は2000年に80%だったが、19年には35%に落ちた。それでも、ロシア依存から抜け出すには、10年以上はかかるという。この間にロシアと敵対し、部品の供給を止められたら、インド軍の運用に支障が生じてしまう。

メノン氏は語る。「米国に守ってもらえる日本や北大西洋条約機構(NATO)諸国と違って、インドは自力で中国などとの紛争に対処し、領土を守らなければならない。ウクライナの状況には当然、インドも懸念を深めているが、ロシアと敵対できない厳しい安全保障事情も理解してほしい」

対ロ政策をめぐる米欧日とインドの溝をさらに掘り下げると、全く異なる世界観にいきつく。西側諸国は第2次大戦後、世界の繁栄を支えてきた米国主導の秩序を守ることが利益にかなうと信じている。こうした立場からすれば、ロシアは秩序を壊そうとする無法者だ。

インドの戦略家によれば、同国の発想は違う。インドがめざすのは米国主導ではなく、多極的な秩序だ。複数の大国が並立する、ドングリの背比べの世界である。特定の同盟国に頼らないインドにとっては、抜きんでた覇権国がいない世界のほうが安全なのだ。

インドは特に、中国の突出を阻もうとしている。このため中国の抑え役として、米国だけでなく、ロシアにも大国の座にとどまってもらいたいと願っている。

さらに複雑なのは、インド側は長年にわたる米欧への不信感も抱いていることだ。おおまかに言えば、次のような感情である。

アフガニスタンや中東、アフリカなどあちこちで紛争が続き、難民があふれているのに、米欧は十分に対応してこなかった。だが、身近な欧州で戦争が起きた途端、世界各国に連帯を迫る。これでは二重基準であり、偽善だ――。
過剰な期待、抱かず

では、日米豪、欧州はどうすればよいのか。まずインドが中国を抑止できる軍事力を整え、国境紛争がエスカレートするのを防ぐ体制を築くことは、西側諸国の利益にもかなう。その意味でインドが対ロ制裁を控え、ロシアとの友好をつなぎ留めることは当面、やむを得ないとみるべきだろう。

そのうえで、米欧はインドが一刻も早くロシア製兵器への依存を減らせるよう、軍事協力を急ぐことが大切だ。

インドとの戦略協力を息切れさせないためには、過剰な期待を抱かないことも肝心である。クアッドの連携は中国への対応を中心とし、ロシア問題にはあまり踏み込まないほうが現実的だ。

日米豪が対ロ外交でインドとの連携をめざすこと自体は、もちろん誤りではない。ただ、深追いした結果、クアッドの結束が崩れてしまったら元も子もない。そのときにほくそ笑むのは、まさに中国とロシアである。

【関連記事】
・インド 危うくもしたたかな外交姿勢
・インド、ロシア産原油の輸入検討 割引価格で
・EUとインド、安保新枠組み創設へ 「戦略的関係深める」
・危ないロシアの中国従属 北朝鮮に劣らぬ核脅迫も

ニュースを深く読み解く「Deep Insight」まとめへDeep Insight
https://www.nikkei.com/opinion/deepinsight/ 

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

青山瑠妙のアバター
青山瑠妙
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授
コメントメニュー

ひとこと解説

クアッドなどでインドへの過剰な期待は抱かないほうが良いという主張は全くその通りである。

アメリカや日本と異なり、インドの対外戦略は対中政策だけで規定されているわけではない。

インドは「戦略的自立性」を最重要視し、「強いインド」を目指している。インドのプラグマティズムに対しては、インドの外交姿勢と政策面へのプラグマティックな関与姿勢がむしろ重要なのではないか。

2022年5月16日 12:26』

小麦生産大国インドが輸出停止 国内供給優先で

小麦生産大国インドが輸出停止 国内供給優先で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB152PM0V10C22A5000000/

『【ニューデリー=馬場燃】世界有数の小麦生産大国のインドが輸出の一時停止を決めた。インド政府は14日、小麦輸出停止について「国内の食料価格を抑制し、インドの食料安全保障を強める措置にあたる」との声明を出した。ロシアのウクライナ侵攻によって最高値圏で推移している小麦の国際価格への影響が懸念される。

米農務省の2022~23年度の推計によるとインドの小麦生産量は1億959万トン。中国の1億3695万トンに次ぐ水準で、世界全体の14%を占める。輸出量も815万トンと世界の輸出総量の4%に及び、ロシア(17%)、ウクライナ(10%)などに続く輸出大国の一角だ。

これまでインドの小麦はインド国内やスリランカなどの近隣国向けの需要が大半を占めていた。ロシアのウクライナ侵攻による供給不安を踏まえ、3月以降にアフリカ諸国やトルコなどへの輸出拡大も検討していた。

小麦相場の国際指標となる米シカゴ商品取引所の先物価格(中心限月)は12日に一時1ブッシェル11.83ドルと前日比で6%上昇、3月につけた最高値に接近した。インド政府によると、インドの小麦など穀物関連価格は4月に前年同月比で約6%跳ね上がった。

インドは3月以降に熱波が到来しており、足元で記録的な暑さに見舞われている。インドメディアによると、4月の平均最高気温はセ氏35.3度で歴史的な高さだった。5月に入ってもインド各地で気温は40度を超える日が多く、小麦生産への悪影響が懸念されている。

主要7カ国(G7)は14日までドイツ・シュツットガルトで開いた農相会合で、インドの小麦輸出停止に関して「各国が輸出制限や市場を閉鎖すると、危機をさらに悪化させる」と非難した。

【関連記事】
・G7農相、ウクライナ農業支援で一致 世界の食料安保懸念
・食料高、長期化の懸念 ウクライナ穀物輸出が半減へ
・小麦価格、コメを逆転 ウクライナ侵攻で高騰 』

経済危機のスリランカ、首相が辞任表明 大統領の兄

経済危機のスリランカ、首相が辞任表明 大統領の兄
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM09BBI0Z00C22A5000000/

『【ムンバイ=花田亮輔】スリランカのマヒンダ・ラジャパクサ首相は9日、辞任を表明した。経済危機に直面する同国では生活必需品の不足などで、政府への抗議活動が続いている。マヒンダ氏の弟であるゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は、6日に非常事態を宣言していた。

マヒンダ氏は9日、ツイッターで「大統領に辞任を申し出た」と明らかにした。足元でスリランカは深刻な経済危機に直面し、政権に対する批判が強まっていた。地元メディアによるとゴタバヤ氏は直近、混乱収拾に向けてマヒンダ氏に辞職するよう求めていたという。

スリランカは慢性的な経常赤字に加え、新型コロナウイルスによって主な外貨獲得手段だった観光業の低迷に直面した。2019年末時点で約76億ドルだった外貨準備高は、4月末時点で約18億ドルにまで減っている。外貨不足で輸入が滞っていたところに、ロシアのウクライナ侵攻に伴う国際商品市況の高騰も重なり、食料品や医薬品などの物資の不足や価格上昇が深刻になっている。

国民の不満が高まるなか、4月に入って閣僚が一斉に辞任したが、マヒンダ氏とゴタバヤ氏はそれぞれ続投していた。スリランカ政府は国際通貨基金(IMF)などにも支援を求めているが、事態打開のメドは立っていない。米格付け大手S&Pグローバルは4月下旬、スリランカの外貨建て国債の信用格付けを「部分的なデフォルト(債務不履行)」にあたる「選択的デフォルト(SD)」に引き下げた。

スリランカはインド洋の島国で、中東・アフリカと東アジアを結ぶシーレーン(海上交通路)の要衝にあたる。混乱が続くなか、周辺地域での影響力拡大をめざす中国やインドの動向も焦点となっている。

マヒンダ氏は05年に同国の大統領に就任した。国防次官だったゴタバヤ氏とともに内戦を終結させた一方で、多額の投融資を受け入れるなどして中国への傾斜を強めた。15年の大統領選挙では敗北したが、ゴタバヤ氏が19年に大統領に当選すると首相に就いた。』

スリランカ、再び非常事態宣言 経済危機で抗議活動続く

スリランカ、再び非常事態宣言 経済危機で抗議活動続く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM070E20X00C22A5000000/

『【ムンバイ=花田亮輔】スリランカのラジャパクサ大統領は6日、非常事態を宣言した。現地メディアなどが報じた。経済危機で物資不足などに直面する同国では、政権の退陣を求める抗議デモが各地で続く。非常事態宣言は4月も一時発令されていた。

スリランカは新型コロナウイルスで主力の観光業が低迷し、外貨準備高の急減などに見舞われた。外貨不足から輸入が滞り、食料品や医薬品など生活必需品の不足や価格高騰が深刻になっている。国民の不満が高まり大規模なストライキも実施された。

ロイター通信によると、スリランカ当局は一部の抗議デモに対して催涙ガスも使って鎮圧を図っている。ラジャパクサ大統領は辞任を拒否しており、事態収拾のメドはたっていない。非常事態宣言には、治安当局の権限を拡大する狙いがあるもようだ。

スリランカ政府は4月に代表団を米国に送り、国際通貨基金(IMF)に支援を要請した。IMFによると5月も9日から23日にかけて、スリランカ当局と協議を実施する予定だという。』

インド、フランスと防衛技術協力 脱ロシア依存に布石

インド、フランスと防衛技術協力 脱ロシア依存に布石
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR051PP0V00C22A5000000/

『【パリ=白石透冴、ニューデリー=馬場燃】フランスのマクロン大統領とインドのモディ首相は4日、パリで首脳会談を開いた。会談後、両首脳は最新の防衛技術分野での協力推進を盛り込んだ共同声明を発表した。インドは軍事的にロシアに強く依存しているが、依存度の低下につながる可能性がある。

両国は近年インドへの仏製兵器の供与が進んでいると指摘した上で「インドの自立を促進する計画に基づき、フランスが最新の防衛技術などで関与を強める」ことで合意した。特に関連製造業の2国間協力を深めるとしている。

ストックホルム国際平和研究所によると、過去5年の間にインドは全兵器の約5割をロシア、2割弱をフランスからそれぞれ調達した。だが2020年だけでみると、フランスからの兵器輸入額が10億ドル(約1300億円)超にのぼり、ロシアの9億7千万ドルを上回った。欧米諸国もインドによる脱ロシア依存の動きを促すため、兵器供給などで防衛関係を強化している。

インド太平洋地域については「仏印は国際法、航行の自由を尊重する」などと表明し、強引な海洋進出を続ける中国を暗に批判した。同地域での両国の協力は防衛、通商、投資など広い範囲に及ぶと説明した。』

ガンジー家、落日の様相 選挙大敗で要職辞任の観測も

ガンジー家、落日の様相 選挙大敗で要職辞任の観測も―インド
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022050200592&g=int

『【ニューデリー時事】インドで初代首相ネールらを輩出し、最大野党・国民会議派の精神的支柱となってきた名門ネール・ガンジー家が往年の勢いを失っている。

2019年の総選挙で与党インド人民党(BJP)に大敗を喫し、その後の主要地方選でも連敗。一族が党要職を辞任する可能性も伝えられ、落日の様相を呈している。

 14、19両年の総選挙でBJPに敗れた会議派は、今年2~3月に実施された主要5州の議会選で全敗した。人口2億人を上回る北部の最大州、ウッタルプラデシュ州をBJPに押さえられたほか、州議会与党だったパンジャブ州では、地方政党・庶民党に議席の過半数を奪われた。

 選挙結果を総括した3月の会議派作業部会の前には、ソニア・ガンジー暫定総裁や、長男で前総裁のラフル・ガンジー党青年部議長とその妹が党要職を辞任する可能性が報じられた。ネール・ガンジー家の党運営への不満が背景にあるとみられている。

 地元誌インディア・トゥデーによると、ソニア氏は3月の会議で、党勢回復のためなら「いかなる犠牲も払う用意がある」と辞任の覚悟を語った。結局、会議では辞任要求の動きは表面化しなかったが、一族に対する不満はくすぶり続けているもようだ。

 外交筋は「会議派はネール・ガンジー家という『選挙の顔』抜きで戦えない」と指摘する。

一方、19年の総選挙ではラフル氏の指導力欠如が露呈し、名門の威光に頼った選挙戦略の限界も明らかになっている。

国立ネール大のハルバンズ・ムキア元教授は、2日の地元紙ヒンズーへの寄稿で「会議派には、末端の支持者の声をすぐに党幹部に届けられるような真の党改革が求められている」と指摘した。』

ドイツ、インドと経済協力へ1.3兆円 G7サミットに招待

ドイツ、インドと経済協力へ1.3兆円 G7サミットに招待
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR025RZ0S2A500C2000000/

『【ベルリン=南毅郎、ニューデリー=馬場燃】ドイツのショルツ首相は2日、訪独したインドのモディ首相と会談した。気候変動対応を中心に100億ユーロ(約1兆3700億円)規模の経済協力を盛り込んだ共同宣言を打ち出した。6月下旬の主要7カ国首脳会議(G7サミット)にモディ氏を招待したことも明らかにしたが、ロシアと軍事協力関係にあるインドは中立的な姿勢を堅持している。

ショルツ氏は会談後の記者会見で「インドは安全保障や気候関連の政策でアジアにおける中心的なパートナーだ」と強調した。共同声明では脱炭素社会の実現に向けた経済協力を柱に据えた。具体的には、水素や太陽光など再生可能エネルギーの促進や環境に配慮した移動手段といった分野で長期的な協力体制を構築する。2030年までに少なくとも100億ユーロ規模の経済協力を進める計画だ。

ドイツなどの欧米諸国がウクライナに侵攻したロシアへの圧力を強めるなか、新興国ではインドの動向が焦点になっている。インドは国境の係争地で中国と対立しており、ロシアと密接な軍事協力関係にあるためだ。G7が経済制裁の実効性を確保するには、ロシア産原油の調達に動くインドを含めた包囲網の構築が急務になっている。

ウクライナ侵攻をめぐり、モディ氏は記者会見で「勝者はいない」と平和を呼びかけるにとどめた。対ロ協調を呼びかける欧州には中立的な立場を貫いており、まずは経済面での連携を進める方針だ。インドは英国や欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)交渉を進めており、ドイツとも経済関係のテコ入れに動く。長期的に再エネなど経済分野での連携が進めばロシア依存の脱却にもつながる可能性がある。

今回のドイツ訪問も、モディ政権が推進する「多極化外交」の一環になる。モディ氏は訪問に先駆けて「ドイツとの関係は我々の戦略的パートナーシップの柱の一つであり、ショルツ氏とコロナ後の景気活性化策について議論する」と表明していた。6月26~28日に独南部のエルマウ城で開催するG7サミットでは、招待されたインドが欧米との対ロ協調に足並みをそろえるかどうかも焦点になる。』

インド、対中懸念で豪とFTA アキル・ラメシュ氏米パシフィック・フォーラム常勤フェロー

インド、対中懸念で豪とFTA アキル・ラメシュ氏
米パシフィック・フォーラム常勤フェロー
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD2526Y0V20C22A4000000/

 ※ 米・中ロ対立激化で、世界は「合従連衡」の時代へと突入したか…、にも見える…。

 ※ しかし、安全保障(軍事を含む)の観点だけで視ると、「全体像」を見失う…。

 ※ 各国とも、自国の「安全保障」を図りながら、経済的な分野においては、強か(したたか)に「実利」を取って行く…。

 ※ 経済分野においては、「対立」しながら「協調」する…、ということが可能だ…。
 ※ そういう「複眼思考」が、必要だ…。

『4月2日にインドとオーストラリアが調印した暫定的な自由貿易協定(FTA)は重要な分岐点になる。豪州の対印輸出の85%以上、インドの対豪輸出の96%について関税を撤廃する協定は3つの重要な進展を含んでいる。

まずインドがビジネスに開放され、保護主義から脱却しつつある点だ。第二にインド太平洋地域に中国以外の市場ができることにより、豪州企業が経済的な威圧行為から身を守ることができる。第三に気候変動への取り組みで中国の資源に依存する必要がなくなる。

1947年の独立以来、インドは保護主義の姿勢を堅持し、先進国とのFTAを避けてきた。東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)のような貿易圏にも参加していない。

60~70年代にかけては保護主義が官僚的な認可制度に姿を変え、汚職が横行する土台になった。

91年の新産業政策に始まる経済自由化にもかかわらず、インドが世界に開放されるには30年かかった。

 Akhil Ramesh リスクコンサルティング会社勤務などを経て現職。南アジアなどインド太平洋地域の政治・経済を研究。

インドの方針転換の理由は2つある。1つは世界の製造業へと脱皮を目指すモディ首相の願望、2つ目はインド太平洋地域の地政学や経済状況の変化だ。

交渉が10年以上に及んだ豪州との貿易協定は中国への懸念に突き動かされてまとめられた。

豪州の視点からすれば、中国による経済的な威圧行為が代替市場を探す誘因になった。

中国は2020年に豪州の牛肉や大麦、ワイン、石炭の輸入を停止・制限したり、高関税をかけたりした。今回、豪州のインドへの石炭輸出に対する25%の関税がゼロになり、チタン、リチウム、コバルトなど重要な鉱物の関税もなくなる。印豪の新協定はインド太平洋地域の状況を一変させる可能性がある。

インドは21年10月、深刻なエネルギー危機に見舞われた。5つの州で産業や家庭の電力に必要な石炭が底をつきそうになったからだ。豪州から石炭を輸入すれば電力危機を防ぐことができる。

リチウムやコバルトなどの安定した調達が可能になれば、インドが温暖化ガス排出削減の目標を達成する一助にもなるだろう。よりクリーンな電力に切り替えるという長期的な政策によって、電気自動車(EV)や太陽電池パネル、風力タービンに使用される鉱物の需要が高まると予想される。

自動車の製造や再生可能エネルギーで知られるインド南部では、豪州の重要な鉱物がEVなどの生産に道を開くだろう。豪州産の液化天然ガス(LNG)の関税がゼロになったことで、石炭から再生エネへの移行期の燃料として天然ガスにも期待ができる。

中国の国営メディアが他国との貿易協定に対して好んで使う「ウィンウィン」という表現は印豪の暫定FTAの文脈にもあてはまる。

豪州がダイヤモンドや繊維など労働集約型の輸出品に対する関税を引き下げることで、インド国内で数百万人の雇用が創出される。インドは2国間協定によって、労働力の自由な移動や中国の輸出品が市場にあふれる恐れなど、RCEPに抱いていた懸念も解消できるだろう。

日豪印は3月の経済大臣の会合で、サプライチェーン(供給網)の強化に向けた取り組みを進めることで合意した。インドの豪州とのFTAは日米豪印4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」の発展途上にあるパートナーシップを強化し、4カ国間の経済協力をさらに緊密にするだろう。

関連英文はNikkei Asiaサイト(https://s.nikkei.com/3xD8wMW)に

実利でクアッド強固に

ロシアと関係が深いインドはウクライナ危機の対応で米国との距離を広げる。ロシアを非難する国連総会の決議を棄権し、ロシア産原油の輸入を増やした。クアッドで対中包囲網を築く米国の試みは空中分解しかねない。

盲点は米中の2極で描く直線的な世界観にある。仮にインドがロシア非難で西側と歩調を合わせれば、唯一の選択肢としてロシアは中国への傾斜を強めるだろう。かといってロシアへの支持を明確にしすぎれば、米国が中国を懐柔する融和策に転じる可能性もある。

インドが最も恐れるのは、米ロのいずれの後ろ盾もなく中国と対峙する構図だ。独自の安全保障観を持つインドのクアッド離脱を避けたければ、抽象的な価値観の共有ではなく、通商で現実的な恩恵を与える必要がある。

(編集委員 太田泰彦)』

EUとインド、安保新枠組み創設へ 「戦略的関係深める」

EUとインド、安保新枠組み創設へ 「戦略的関係深める」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB25B7M0V20C22A4000000/

『【ニューデリー=共同】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は25日、訪問中のインドの首都ニューデリーでモディ首相と会談し、安全保障分野の協力を強化し新たな枠組みを創設することで合意した。EUにはインドがウクライナに侵攻したロシアに兵器を依存していることを踏まえ、ロシアの影響力低減を図る狙いがある。

枠組みは「貿易技術評議会」と呼ばれ、フォンデアライエン氏によると、EUが同様の枠組みを設置するのは米国に次いで2カ国目。EUとインドは共同発表で「戦略的関係を深めるための重要な一歩になる」と位置付けた。

フォンデアライエン氏は会談で、ロシアによるウクライナ侵攻を念頭に「ともに困難な政治情勢に直面しており、(EUとインドの)良好な関係がかつてないほど重要になっている」と強調した。モディ氏も新枠組みを通じた今後の関係強化に期待感を示した。

自由貿易協定(FTA)の交渉も今後加速させる。EUはロシア産エネルギーの脱却が課題になっており、再生可能エネルギー分野での連携も進める。

日米欧はロシアに経済制裁を実施。加わっていないインドが抜け穴になることを懸念して、インドを自陣に引き入れようと働きかけを続けている。モディ氏は22日にジョンソン英首相とニューデリーで会談し、安保協力を進めることで合意した。』

“制裁破り”の動きにバイデン大統領はイライラ…ロシア産原油の購入を拡大させるインドの言い分

“制裁破り”の動きにバイデン大統領はイライラ…ロシア産原油の購入を拡大させるインドの言い分
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/04240602/?all=1

『中国を包囲する形で連携を目指す日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」を主導する米国のバイデン政権にとって、インドの外交姿勢が大きな問題になりつつある。インドはウクライナに侵攻したロシアに対する国連総会の非難決議を棄権し、西側諸国が主導する経済制裁にも参加していない。

 1947年に英国から独立を果たしたインドは、旧ソビエト連邦の社会主義計画経済をモデルとして経済システムを構築した。右派寄りでヒンドゥー至上主義を支持する年長の世代は、冷戦中にソ連がインド政府を支援してくれたこともあってロシア政府に同情的な傾向が強いと言われている。

 独立してから75年しか経っていないインド人の脳裏に英国支配下の人権蹂躙の記憶が鮮明に残っており、植民地時代の積もり積もった不満から「欧米人に人権や民主主義について説教される筋合いはない」との反発が広まっている。ウクライナ侵攻を巡り「国際社会はロシア糾弾で団結した」とする認識についても、インドでは「欧米人の希望的勘違いだ」とする見方が強い。

 国境紛争を巡り中国の脅威が高まる昨今、ロシア製兵器の主要輸入国であるインドは、ロシア政府との通商関係をなんとしてでも維持したいところだろう。ロシアへの経済制裁に加われば、中国とロシアの接近を後押しすることになりかねない。

 このような理由から西側諸国に同調しないインドをバイデン政権はこれまで大目に見てきたが、ここに来て、インドへのいらだちを募らせている。インドが「制裁破り」ともとれる動きを活発化させているからだ。』

『バイデンの「苦言」にインド財務相は…

 ウクライナ危機以降、インドはロシア産原油を大量に購入している。

 国際エネルギー機関(IEA)によれば、3月のロシア産原油の輸出量は日量570万バレルだった。最大の輸出先である欧州のシェアは2月の61%から41%と急低下し、中国のシェアはほぼ横ばいの24%だったのに対し、インドのシェアは9%と急上昇した。

 ロシア産原油が大幅な割引価格で売られていることが影響していることは間違いない。
「このような状態を放置すれば同盟国や友好国に示しがつかない」と憂慮した米国のバイデン大統領は4月11日のオンライン会談でインドのモディ首相に対して「ロシアからのエネルギー輸入を加速させてはならない」と釘を刺した。

 これに対し、インドのシタラマン財務相が「燃料が安く手に入るなら、なぜ買ってはいけないのか」と疑問を呈するなど両国の溝は埋まっていない。

 世界第3位の原油需要(日量約500万バレル)を誇るインドはロシア産原油の購入拡大に向けて着々と準備を進めているようだ。

 インドの中央銀行は3月中旬、インド・ルピーとロシア・ルーブルを使った貿易決済制度について検討を始めていた(3月18日付フィナンシャル・タイムズ)。

詳細は明らかになっていないが、ロシアの中央銀行とインドの中央銀行がお互いに持ち合っている他国通貨の口座を使ってルーブルとルピーの交換を行い、民間の貿易決済を助ける仕組みだとされている。

 旧ソ連が構築した貿易圏であるコメコン(経済相互援助会議)内では貿易の大半は2国間の通貨建てだった。

インドはコメコンの参加国ではなかったが、旧ソ連と広範に貿易を行っていた。

インド中央銀行は1970年代から90年代前半にかけてルピーとルーブルの交換制度を運営してきた経験があり、国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの主要銀行が排除されたとしても、インドは対ロ貿易を継続させることが比較的容易なのかもしれない。「昨今のロシア産原油購入の決済は米ドルではなく、インド・ルピーとロシア・ルーブルが使用されている」とする観測も出ている。

 インドが今後もロシア産原油の購入を拡大するような事態となれば、「原油の禁輸によりロシアの戦争資金を断つ」という西側諸国の戦略が骨抜きになってしまう。』

『背景に苦しいインドの台所事情

「堪忍袋の緒」が切れつつある米国政府がロシア企業と取引するインド企業を対象に二次的制裁を発動するリスクが生じているが、インドには割安となったロシア産原油の購入を断念できない苦しい台所事情がある。

「2030年に国内総生産(GDP)が日本を抜いて世界第3位になる」と予測されるインドだが、年を追うごとに電力不足は深刻になるばかりだ。

 主な発電燃料は原油と石炭だが、昨年10月以来、石炭の国内在庫の水準が歴史的な低さとなっている。そのせいでインドの電力の予備率は3月中旬に危機的なレベルにまで低下し、「今年の夏は大停電になってしまう」との危機感が高まっている。

 大惨事を回避するためには石油火力発電所のフル稼働が不可欠であり、割安となったロシア産原油は「喉から手が出る」ほど欲しいのだ。

 隣国パキスタンでは通貨安と商品高が招いたインフレの高進が原因で10日、カーン首相が失職に追い込まれた。

エネルギー資源の輸入依存度が高く、ウクライナ危機後の通貨安に悩まされている点ではインドも同じだ。「インフレ圧力が強まるインドの今年の成長率は急減速する」との予測も出ており、世界最大の民主主義国を率いるモディ首相の心中は穏やかではないだろう。
西側諸国のロシア制裁に応じる余裕はなく、国内の安定をひたすら追求するしかないのが実情だと思う。

 成長著しいインド経済の足元は極めて脆弱だと言わざるを得ない。この点を考えれば、インドが西側陣営から離反するのは時間の問題なのではないだろうか。

藤和彦

経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部 』

自衛隊機の着陸拒否明言せず 民間機は許可と説明―インド

自衛隊機の着陸拒否明言せず 民間機は許可と説明―インド
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022042101198&g=pol

『【ニューデリー時事】インド外務省のバグチ報道官は21日の記者会見で、ウクライナ周辺国への人道支援物資を運ぶ自衛隊機の着陸をインドが拒否したとされる問題について、自衛隊機の「上空飛行は認めている」と説明した。ただ、着陸許可に関しては明言を避けた。

インド、自衛隊機受け入れず ウクライナ支援、派遣ずれ込み

 報道官は「日本側からは民間機の着陸と支援物資積み込みを求められ、許可した」と述べた。 』

インド、自衛隊機受け入れ拒否ウクライナ支援計画修正へ

インド、自衛隊機受け入れ拒否
ウクライナ支援計画修正へ
https://nordot.app/889699379686129664?c=39546741839462401

 ※ 『インドとは事務レベルで同意を得ていたが、20日になって拒否されたという。』…。

 ※ トップの「政治的判断」が、介入したか…。

 ※ インドは、やはり「読みにくい」…。

『政府は21日の自民党の政調審議会で、ウクライナ避難民支援のための自衛隊機派遣計画に関し、人道支援物資の積み込み拠点となるインドから自衛隊機の受け入れを拒否されたと明らかにした。インドとの調整不足が原因としている。計画を修正するため、22日に予定していた閣議決定は見送る方向となった。

 輸送は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請で、アラブ首長国連邦(UAE)とインドに備蓄する毛布などを自衛隊機でウクライナの隣国のポーランドとルーマニアに運ぶ計画だった。出席者によると、インドとは事務レベルで同意を得ていたが、20日になって拒否されたという。』

ウクライナ支援の自衛隊機、インドが受け入れ拒否

ウクライナ支援の自衛隊機、インドが受け入れ拒否
周辺国への人道物資の輸送計画
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2120F0R20C22A4000000/

『ウクライナ避難民への人道支援物資を運ぶ自衛隊機の受け入れを物資の積み込み予定地だったインドが拒否したことがわかった。自民党の高市早苗政調会長が21日の党会合で明らかにした。ウクライナの隣国のポーランドやルーマニアに毛布などを運ぶ計画は再調整が必要になった。

自民党が21日に計画を了承し、政府が22日にも閣議決定する見通しだった。高市氏は「明らかに政府の根回し不足だ」と問題視した。

支援は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が日本に要請した。政府は国連平和維持活動(PKO)協力法に基づく「人道的な国際救援活動」との位置づけで自衛隊機による輸送を計画した。

松野博一官房長官は21日の記者会見で「協力法にもとづく支援も含めさまざまな支援の可能性を検討していく考えだ。現時点で具体的に決まったことはない」と述べた。』

米、対ロ制裁同調求め圧力 中印発着機への給油に罰則も

米、対ロ制裁同調求め圧力 中印発着機への給油に罰則も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN11D3M0R10C22A4000000/

『【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権がウクライナに侵攻したロシアへの制裁に加わらない中国やインドへの圧力を強めている。中印との間で運航したロシアの航空会社3社に罰則を科した。中国やインドの企業がこの3社を含むロシア行きの航空機に給油などのサービスを提供した場合、罰則を科すことも辞さない構えだ。ロシアの「制裁逃れ」を防ぐためだが、中印との対立が深まるリスクもある。

「我々の輸出規制を無視する人は、危険を覚悟でやっているということだ」。レモンド米商務長官は14日の声明で、制裁に違反した企業に厳しい姿勢で臨むと強調した。

同日更新した「違反事例リスト」にはロシアとベラルーシの企業が運航する航空機153機が並ぶ。ほぼすべてが米ボーイング製だ。商務省の許可なく米国製航空機をロシアなどに飛ばしたため、ハイテク製品の輸出規制を順守していないと判断した。
レモンド米商務長官は対ロシア輸出規制の違反に厳しい罰則を科す構えだ

商務省はこれに先立ち、違反事例の中からロシア最大手アエロフロートなど同国の航空会社3社に罰則を科したと7日発表した。3社は米国の部品供給やサービスを受けられず、運航の継続が難しくなる。

米政府の視線はロシアの先にある。商務省は声明で、アエロフロートの航空便が3月上旬、それぞれ中国の北京、インドのデリー、トルコのイスタンブールとアンタルヤ、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイからモスクワに飛んだと国や都市を特定して批判した。

米国の輸出規制は米国外への幅広い適用が特徴だ。罰則を受けるのは、米国製航空機を飛ばすロシアの航空会社だけではない。「違反になるのを知りながら」給油や修理など製品やサービスを提供すれば、中国やインドの企業も罰則対象になり得る。

日本などロシアとの直行便をやめた国は多いが、同国との関係が深いアジアや中東などの国々は続けている。米国のリスト公表や罰則発動は、ロシアとの関係を断ち切るよう圧力をかける狙いがある。

米政府は半導体など電子部品の輸出にも神経をとがらせる。外国製品でも米国製の半導体など規制部品を価格ベースで25%超含んでいれば、対ロ輸出の禁止対象になる。さらに米国の製造技術でつくった外国製品も規制対象とする新規則も設けた。

米ピーターソン国際経済研究所によると、ロシアの2020年の半導体輸入のうち中国関連は57%を占めた。米欧日が輸出を止めても、中国が供給を続ければ、ロシアが戦闘機などウクライナ侵攻に必要なハイテク製品を引き続き、調達できてしまう。

米政府高官は「中国など外国の企業が(業績拡大のため)ウクライナ危機につけ込もうとしている」と警戒する。中芯国際集成電路製造(SMIC)など中国企業が米国の製造装置や設計ソフトでつくった半導体をロシアに輸出すれば、罰則を科す可能性がある。

米国が対ロシア制裁違反の名目でロシア以外の国に強硬措置を講じれば、強い反発を受けるのは必至だ。バイデン大統領は3月のオンライン協議で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に対し、制裁に違反しないようクギを刺した。

米商務省高官によると、同省は在米中国大使館の担当者に、米国の規制や罰則がいかに広く適用されるかを説明し、抵触しないよう注意を促している。実際に違反を見つけても罰則を科すかどうかは高度な政治判断になる公算が大きい。

制裁の効力を高めるため、参加者を増やす取り組みも同時並行で進む。米主導の対ロ輸出規制への参加国は計37カ国に増えた。日本や欧州連合(EU)加盟国は2月当初から参加し、3月に韓国、4月8日にはスイスなど4カ国が加わった。

米国の輸出規制を巡っては、過去に中国の華為技術(ファーウェイ)の経営に大きな打撃を与えた。日本や台湾なども一斉に半導体の供給を止めた。罰則という実力行使をちらつかせて他国からも協力を引き出す仕組みだ。

米国が独自にロシア産原油の輸入を禁じたが、輸入を続ける他国を罰する規定はない。バイデン氏は11日、インドのモディ首相にロシア産原油の輸入を増やさないように求めたが、ロシアからの輸入抑制については、これが精いっぱいの対応だ。
この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Transportation/U.S.-turns-up-heat-on-Chinese-Indian-companies-servicing-Aeroflot?n_cid=DSBNNAR 』

ロシア製ミサイル2基目搬入へ インド輸入継続姿勢示す

ロシア製ミサイル2基目搬入へ インド輸入継続姿勢示す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB164DH0W2A410C2000000/

『【ニューデリー=共同】インドは16日までに、ロシアの地対空ミサイル「S400」の2基目の関連機器を輸入した。ミサイル本体の搬入は遅れているという。インドメディアが報じた。ウクライナに侵攻したロシアに日米欧が厳しい経済制裁を科す中、インドはロシアから兵器輸入を継続する姿勢を改めて示した。

インドは、国境紛争を抱える中国やパキスタンに対抗するための兵器をロシアからの輸入に依存。「S400」5基の供与を受けることで合意した。1基目は配備済み。米国はウクライナ侵攻前から輸入に反対してきた経緯があり、今後も米印間の火種になりそうだ。

日米欧はインドがロシア制裁の抜け穴になることを懸念。ロシアは兵器に加え、インドへの原油輸出も拡大したい意向だ。割引価格での販売を提示し、インド企業の一部が既に購入契約を締結した。一方、米国はインドに輸入を大幅に増やさないよう求めている。』

[FT]パキスタン軍、カーン氏の首相在任時の訪ロを批判

[FT]パキスタン軍、カーン氏の首相在任時の訪ロを批判
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB150WQ0V10C22A4000000/

『パキスタンの軍指導部が、自分は米国主導の陰謀の犠牲になったというカーン前首相の主張を一蹴し、ロシアがウクライナに侵攻した日の同氏のモスクワ訪問を「恥ずべきこと」と表現した。

議会の不信任投票で失職したカーン前首相は、ロシアへの支持を理由に米国が自らの失脚を企てたと主張した=ロイター

パキスタン軍報道官のババル・イフティカル少将は14日、軍としては珍しい公式会見を開き、パキスタンの国家安全保障委員会が先月、クリケットの元スター選手のカーン氏を首相の座から下ろす陰謀があったと判断したとする同氏の主張を否定した。

カーン氏は、10日にパキスタン首相として史上初めて議会の不信任投票によって失職した。その追放劇をめぐり人口2億2000万人の国論が二分するなかで、イフティカル氏の発言はカーン氏に追い打ちをかけた。

カーン氏は自ら唱えた陰謀説の根拠の一つとして、2月のロシア訪問に米政府高官から抗議を受けたことを駐米パキスタン大使が本国に報告していたことを挙げた。3月下旬には国家安全保障委員会が、某国が「介入主義」の行動をとり、パキスタンが外交ルートで正式に抗議したという声明を出した。カーン氏はこの二つの件を結び付けた。

「ここに陰謀などという言葉が1つでも使われていますか。ないでしょう」。委員会の声明に触れて、イフティカル氏はこう語った。米政府は、同国が核保有国パキスタンの政権交代を求めているという見方を繰り返し否定している。

米政府が、ロシアを支持する自分の退陣を求めたというのがカーン氏の主張だ。米国主導の策略を想起させ、夜間の集会に参加した何万人もの支持者を沸かせた。

イフティカル氏は、軍は首相による2月のロシア訪問には同意していたが、戦争の勃発によって「非常に恥ずべき」事態になったと述べた。この発言は、ロシア政府がウクライナ侵攻計画についてパキスタン政府に予告していなかったことを示唆する。モスクワでは、カーン氏はあるロシア政府高官に向かって「すごいタイミングで来たものだ。興奮する」と語っている様子をカメラにとらえられた。

「軍による丁寧な忠告」

カラチ経営管理大学のフマ・バカイ准教授は今回の軍の発言に関して、パキスタンの二大都市であるラホールとカラチで予定されている大規模集会に先駆けて、カーン氏にメッセージを送る狙いがあったと見ている。

「軍は彼が大衆の前に姿を現すことを知っている。これは、非常に厄介になるような発言を控えるようにカーン氏に丁寧に忠告する方法だった」。バカイ氏はこう述べ、「イムラン・カーンも軍と真っ向から対立したくはないはずだ」と付け加えた。

複数のアナリストは、軍が米国との関係を守ろうとしている可能性があるとみている。米国は過去に度々パキスタンに武器を供給しており、米軍はテロ対策でパキスタンと連携している。

退役中将で、シャバズ・シャリフ新首相率いるパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)の元上院議員でもあるアブドゥル・カイユム氏は、「パキスタン軍としてはその関係を損ないたくない」と語る。

「カーン氏は陰謀論を押し出すことで、自らの政府の問題点を覆い隠そうとしてきた。そこへ今、軍が、非常に率直な見解を示している」

カーン氏のパキスタン正義運動(PTI)が2018年の総選挙で勝利を収めて以来、政敵は軍が同氏の後ろ盾になっていると主張してきた。だが、この数週間でパキスタンの政治的混乱が広がり、インフレに対する怒りから有権者が反カーンに傾いた時、軍は同氏を援護しなかった。

バカイ氏によると、パキスタンではカーン氏の失職以来、ツイッターなどのSNS(交流サイト)で反軍感情が沸き起こったという。

バカイ氏は、イフティカル氏は「先日起きた政権交代に軍が加担したという臆測を一掃し、軍が(カーン氏よりも)権力を握った新政府に友好的だと見られている状況に終止符を打とうとした」と話している。

By Chloe Cornish and Farhan Bokhari

(2022年4月15日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

【関連記事】
・[社説]パキスタンは政情安定を急げ
・[FT]パキスタン首相失職、権力を奪回した2つの政治一族
・パキスタン新首相にシャリフ氏 政情混乱の恐れ
・パキスタン首相が失職 野党主導の不信任投票で
・パキスタン首相、軍の支持失う 』