中印、ウクライナ侵攻に距離

中印、ウクライナ侵攻に距離 ロシアは孤立回避に腐心
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN243X60U2A920C2000000/

『【ニューヨーク=白岩ひおな】各国の首脳級演説が続く国連総会で24日、中国やインドの外相が演説し、ウクライナ侵攻を続けるロシアに一定の距離を置く姿勢を示した。一方、ロシアのラブロフ外相は中国が重視する台湾問題をめぐり米国を非難したほか、中印やアフリカ、中南米諸国と会談を重ねるなど世界での孤立回避に腐心している。

「ウクライナ紛争の激化が続くなか、われわれは誰の側に立つのかと頻繁に聞かれる。インドは平和の側にあり、国連憲章とその創設の原則を尊重する側に立つ」。インドのジャイシャンカル外相は24日の演説でこう明言し、早期解決を求めた。

インドのジャイシャンカル外相㊨は24日の演説でロシアへの懸念をにじませた(ニューヨークの国連本部)=AP

米欧はロシアによる侵攻や、23日に始まったウクライナの親ロシア派支配地域でのロシア編入を問う住民投票について、国連憲章違反として非難している。16日にはインドのモディ首相も、ロシアのプーチン大統領との会談で「いまは戦争の時ではない」と懸念を伝えた。

中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は24日の演説で「ウクライナ危機の平和的解決に資するすべての努力を支持する」と述べ、対話による解決を優先するよう改めて求めた。プーチン大統領は15日の中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で「ウクライナ危機に関する中国の懸念を理解している」と自ら言及している。

24日の演説で、中国の王毅(ワン・イー)外相はウクライナ侵攻をめぐり、当事者の対話による平和的解決を求めた=AP

中印両国は侵攻以来、ロシアとの伝統的な外交関係から表立った対ロ批判は控えてきた。ただ、プーチン大統領が21日の国民向け演説で核兵器使用を辞さない考えを再び示し、ロシアの言動への懸念が一段と強まる中、中印はロシアと距離を置く姿勢に傾いている。

欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は23日、ロシアの核の脅しに対し中国とインドが拒否反応を示していると語った。ボレル氏は中国外相との個別会談で核の使用や威嚇に反対する発言があったと明らかにした上で「ロシアは(プーチン氏の)演説の前よりもずっと孤立している」と指摘した。

孤立感を深めるロシアは、各国への働きかけを強める。ラブロフ氏はニューヨーク滞在中、中印のほか、南アフリカなどアフリカ諸国、ブラジルやベネズエラなど中南米を中心に30カ国以上と個別に会談した。

24日に演説したラブロフ氏は「米国は台湾で火遊びし、台湾への軍事支援を約束した」と批判。中国が重視する台湾問題への配慮を強調し、中国の歓心を買おうと努めた。

ラブロフ氏は同日の会見で、ロシアに編入される地域を防衛するために核兵器を使用する可能性を示唆した。「(将来的に)ロシアの憲法にさらに明記される領土を含むロシアの領土は国家の完全な保護下にあり、すべての法律やドクトリンが適用される」と表明した。同国の軍事ドクトリンは核兵器の使用要件を「国家の存在が脅威にさらされた時」と明記し、大統領が決定すると定めている。

22日に開いた安全保障理事会では、核の脅しを強めるロシアへの非難が集中した。ブリンケン米国務長官は「プーチン氏は自らおこした火に油を注ぐために国連憲章、国連総会と安保理を徹底的にないがしろにすることを選択した」と発言した。一方、ラブロフ氏はウクライナへの軍事支援で「西側諸国が紛争を故意にあおっている」などと反論。演説後には退席した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は21日の国連総会でのオンライン演説で、ロシアの拒否権を剥奪すべきだと訴えた。ウクライナ侵攻以降、安保理はロシアの拒否権に阻まれ、法的拘束力のある決議を出せていない。8月の安保理での演説では国連総会にロシアの責任を追及する決議案を提出する方針も示していた。ウクライナの一部地域のロシアへの編入が決まれば、各国の応酬がさらに激しさを増しそうだ。』

停戦を望む中印が、プーチンに弱体化して欲しくない切実な理由

停戦を望む中印が、プーチンに弱体化して欲しくない切実な理由
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220923-00316374

『中印とも早くからプーチンに「話し合いによる解決を」と言ってきたが、それは中印ともにプーチンに弱体化して欲しくないからだ。「話し合いを」と呼びかけてきた経緯と、弱体化して欲しくない切実な理由を考察する。

◆「話し合いによる解決を」と言い続けてきた中国側の経緯

 9月21日、プーチン大統領は「部分動員令」を発布すると同時に演説で「領土に危険性があれば、持っているすべての武器を使用する予定だ。これは、はったりではない」と話した。すなわち、戦術的核兵器の使用も辞さないと表明したことになる。

 一連の動きを受け、中国外交部の汪文斌報道官は同日の記者会見で、早期停戦を呼びかけると表明するとともに、「われわれは各国の主権や領土の一体性は尊重されるべきだと終始主張している」と強調した。その一方で、プーチンの行動を「合理的な安全への懸念」(=NATOの東方拡大)であると擁護もしている。

 これはいつも通りの中国の主張で、拙著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』に書いた「軍冷経熱」という姿勢と少しも変わっていない。軍事的に賛成できないのは、中国国内にもウィグルやチベットなど、多くの少数民族地区を抱えているからだ。

 ウクライナへの侵攻が始まった2月24日の翌日、習近平はプーチンに電話して、「話し合いによる問題解決」を要求し、プーチンもそれを肯定して2月28日から停戦交渉に入りはした。

 ところが、4月24日のコラム<「いくつかのNATO国がウクライナ戦争継続を望んでいる」と、停戦仲介国トルコ外相>に書いたように、トルコの外相が「停戦させたくない国(=アメリカ)がある」と述べ、事実5月10日のコラム<米CIA長官「習近平はウクライナ戦争で動揺」発言は正しいのか?>に書いたように、アメリカのオースティン国防長官が「ロシアが二度と再び立ち上がれないようになるまでウクライナを軍事支援する」という趣旨のことを述べている。今ではウクライナ戦争はNATOを含めたアメリカとロシア一国の戦いの形となっており、戦争はやむ気配がないどころか、ますますエスカレートするばかりだ。

 そこで、習近平あるいは中国側が、こんにちまで、どのような形で早期停戦と「話し合いによる解決」をプーチンあるいはロシア側に訴えてきたか、時にはアメリカやウクライナなど第三者に表明した場合も含めて、列挙したい。もっとも、あまりに多すぎるので、拾い漏れがあるかもしれない。

【習近平】

 ●2022-02-25:習近平がプーチンに電話して、「中国側はロシアがウクライナと話し合いによって問題を解決することを支持する」、「すべての国の主権と領土保全を尊重し、国連憲章の目的と原則を遵守するという中国の基本的な立場は一貫している」と述べた。

 ●2022-03-18:習近平はバイデン(大統領)とのオンライン会談で、「ウクライナの現状は中国が見たいものではない。中国は平和を主張し戦争に反対する」と述べた上で、「関係国はロシアとウクライナの対話を支持すべきだ。アメリカとNATOはロシアとの対話を進めていくべきだ。ウクライナ危機の背後に何があるかを解明し、その問題を解決すべきだ」と主張している。

 ●2022-06-15:習近平とプーチンの電話会談で、習近平はプーチンに「中国はウクライナ問題に関して歴史的経緯と是非曲直(物事の善悪)から出発して自主的に判断している。世界平和を促進し、全世界の経済安定を重要視している。関係者は責任を以てウクライナ危機が妥当な解決を得るよう推し進めなければならない。中国はその役割を果たしたい」と述べた。

【楊潔篪(ようけっち)や王毅など】

 ●2022-02-24:王毅(外相)がロシアのラブロフ(外相)と電話会談し、王毅が「ロシアの安全問題条の懸念は理解するが、あくまでも話し合いによる解決を」と告げる。

 ●2022-02-26:王毅、ウクライナ問題に関する中国の5つの観点を表明。その中でプーチンがNATOに呼び掛けた話し合いをNATOが拒否したことを批判した上で、ウクライナ危機は外交努力によって解決すべきと表明。

 ●2022-03-01:王毅がウクライナのクレバ(外相)と電話会談し、ウクライナの国民が受けた被害に心からの悼みを表明した上で、話し合いによる解決を強く望むと表明。

 ●2022-03-07:王毅がウクライナ問題を解決するための4つの主張を表明。その中で、「冷戦思想をやめ、国連憲章に沿って各国の主権と領土保全を守り、話し合いによる解決をすべきだ」と主張。

 ●2022-03-15:楊潔篪(外事活動委員会主任)がウクライナ問題に対する立場を表明。「中国はすでにウクライナに人道主義支援を申し出ている」、「ウクライナ問題は平等な話し合いによって解決されなければならない」と述べた。

 ●2022-04-01:王毅がウクライナ問題に対する中国の5つの堅持を表明。話し合いによる解決を主張した。

 ●2022-04-04:王毅がウクライナのクレバ(外相)と電話会談。王毅が「停戦交渉がどんなに困難でも、戦争に向けてではなく話し合いに向けて努力して欲しい」と力説。中国は中立的立場で役割を果たしたいと述べた。

 ●2022-07-08:王毅がロシアのラブロフ(外相)と対面で会談し、「平和的手段でウクライナ問題を解決して欲しい」と述べた。

【中国外交部】

 あまりに多いので省略。冒頭にある発言を繰り返している。

 このように中国は「話し合いによる解決を」と言い続けているのである。

◆「話し合いによる解決を」と言い続けてきたインド側の経緯

 では、インドはどうなのだろうか。中国同様に拾ってみるが、漏れがあると思われるので、その点はお許しいただきたい。

●2022-02-24:ウクライナへの軍事侵攻が始まった直後、インドのモディ(首相)はプーチンに電話して会談した。モディは「NATOとロシアの間の相克は話し合いによってのみ解決されるべきだ」と述べ「暴力の即時停止」を強調し、「外交交渉と対話以外に解決の道はない」と述べた。

●2022-03-02:モディはプーチンに電話してウクライナにいるインド人学生の安全避難に対する協力を求めた。このときモディはウクライナのゼレンスキー(大統領)にも同様の依頼をしている。

●2022-03-07:モディはプーチンと電話会談を行った。その中でモディは「両国間の交渉が紛争の停止につながることを期待する」と述べた。

●2022-07-01:モディはプーチンと電話会談し、ウクライナ問題に関しては対話と外交で解決すべきであるという、インドの長年の立場を繰り返した。

●2022-09-15:モディとプーチンはウズベキスタンで和やかな雰囲気の中で対面会談し、その中でモディは、これまでと同様に「話し合による解決」を求めた。

 この最後の会談に関して、日本メディアは盛んに「モディ首相が初めてプーチンを批判した」というトーンで報道しているが、モディは習近平同様、最初から「話し合いによる解決を」と繰り返している。「突然、中印首脳がプーチンに冷淡になり、プーチンの孤立を招いた」というトーンで報道したくてならない日本メディアは、今後の世界動向を読み誤らせる「世論誘導」をしていると言っても過言ではないだろう。

◆中印とも、プーチンには弱体化して欲しくないと切に望んでいる

 なぜなら、習近平もモディも、プーチン政権が弱体化すれば手痛い打撃を受けるので、戦争には反対だが、なんとしてもプーチン政権には弱体化して欲しくないと思っているからだ。これを正確に把握していないと、今後の世界動向を完全に読み誤り、日本は外交政策に失敗するだろうことが目に見えているのである。

 まず、なぜ習近平がプーチンに弱体化して欲しくないと思っているかを見てみよう。

 いまアメリカは中国の強大化を抑え込もうと、経済的な制裁を強化し、対中包囲網の形成に余念がない。習近平はアメリカに対抗するために、同じくアメリカが主導している激しい制裁を受けているプーチンと手を組んでアメリカの制裁を撥(は)ね退(の)けようとしている。

 だから軍事的には冷淡(軍冷)でも、経済的には熱狂的な連携(経熱)を強化して、ロシア経済を支えている。今年8月に出されたデータによれば、ロシアのエネルギー製品に対する中国の支出は、83億ドルという最高記録を打ち出している。

 しかしもし、プーチンのロシア国内における支持率が低下し、万一にもリベラルな政権が誕生したら、「第二のゴルバチョフ」となってアメリカ側に取り込まれ、中央アジア諸国も欧米になびくので、習近平は共に対米対抗をしていく仲間を失い、完全に孤立する。となるとアメリカは中国を潰しやすくなる。

 このような状況だけは絶対に避けたいので、習近平はロシア経済を支え、ロシア国民がプーチンに不満を抱かないように密やかに、しかし必死でプーチンを支援しているのだ。

 この事情は、インドにおいても同様だ。

 インドの総選挙は2024年に行われるので、モディは再選を狙っている。

 しかし、もしプーチンが弱体化すれば、プーチンと仲が良いモディは再選されない可能性が大きくなる。

 現在のところ、5月の世論調査ではあるが、インド国民の62%が「現在のインドとロシアの関係を維持して欲しい」と回答し、77%が「軍事行動は状況を悪化させるだけだ(=だから反対)」と回答している。

 この状況下でモディの支持率は74%なので、プーチン政権が弱体化しなければモディの再選の可能性は大きいが、プーチンが弱体化すれば、モディ再選の可能性はなくなるかもしれない。

 したがって、中印ともウクライナ戦争には反対だが、プーチンには何としても弱体化して欲しくないという切なる願望を持っている。

 「プーチンが孤立した」という心地よい報道に傾いていると、日本は今「ロシア‐中国‐インド」と、大陸を北から南に貫く「巨大なアジア版コンチネンタル勢力圏」が形成されていこうとしている世界動向を見失うことになるだろう。

 そのことに警鐘を鳴らしたい。

遠藤誉

中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

米国務長官「ロシアに侵攻停止圧力」 インドの苦言巡り

米国務長官「ロシアに侵攻停止圧力」 インドの苦言巡り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1709H0X10C22A9000000/

『【ワシントン=中村亮】ブリンケン米国務長官は16日の記者会見でロシアによるウクライナ侵攻について「攻撃停止に向けた圧力が増している」と述べた。インドがロシアに苦言を呈したほか、中国も懸念を伝えたとみられることを念頭に置いた発言だ。

ブリンケン氏は「中国やインドから聞こえてくることは、ウクライナに対するロシアの攻撃の影響についての懸念を反映している」と語った。食料価格の高騰に触れて「世界中の国の指導者が(負の影響を)感じている」と言及した。

インドのモディ首相は16日、訪問先のウズベキスタンでロシアのプーチン大統領と会談し「いまは戦争の時ではない」と伝えた。プーチン氏は15日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で「ウクライナ危機に関する中国の懸念を理解している」と話していた。 』

焦るプーチン氏、中国傾斜 習近平氏と侵攻後初会談

焦るプーチン氏、中国傾斜 習近平氏と侵攻後初会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR09CAD0Z00C22A9000000/

『【北京=羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とロシアのプーチン大統領は15日、訪問先のウズベキスタンのサマルカンドで会談した。両首脳の対面会談は2月のロシアによるウクライナ侵攻後初めて。台湾情勢とウクライナ危機を巡り米国と対立する中ロが結束を誇示した。

15~16日にサマルカンドで開く中ロ主導の地域協力組織「上海協力機構(SCO)」首脳会議に合わせて会談した。プーチン氏が北京冬季五輪の開会式に出席した2月4日以来、7カ月ぶりの直接対話となった。

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会談の冒頭、プーチン氏は「ロシアは『一つの中国』の原則を断固として守っている」と台湾問題で中国への支持を表明した。ロシア通信によると、プーチン氏は「中ロの外交的なタンデム(2人1組)は世界と地域の安定の保障でカギとなる役割を果たしている」と述べた。

中国国営の新華社によると、習氏は「ロシアと双方の核心的利益に関わる問題で互いに力強く支持する」と強調した。「いかなる国も台湾問題の裁判官になる権利はない」とも訴えた。

プーチン氏は会談で「ロシアはウクライナ危機に関する中国のバランスのとれた立場を高く評価する」としたうえで「ウクライナ危機に関する中国の懸念を理解しており、すべての問題を説明する用意がある」と述べた。中国側が長期化するウクライナ侵攻に懸念を伝えていたようだ。

ロシア国防省は15日、ロシアと中国の海軍が太平洋で合同パトロールを開始したと発表した。首脳会談に合わせて結束をアピールした。

台湾情勢に危機感を強める習氏と、ウクライナの戦況悪化に焦るプーチン氏。両者の接近は、ロシアが経済で中国に従属し、中国がロシアの「反米」路線に引き込まれる危うさをはらむ。

今回の中ロ首脳会談には、ウクライナでのロシア軍の苦戦が影を落とした。

9月6日、極東訪問中のプーチン大統領はショイグ国防相、ゲラシモフ参謀総長と非公開で会っていた。ウクライナ軍が南部と東部で攻勢に転じた時期に当たる。困難に陥ったロシア軍の対応を緊急協議したとみられ、10日にはハリコフ州からの事実上の撤退が発表された。

ロシアはこれまで重視していた欧州との政治、経済関係が断たれつつあり、軍事的にも苦境が深まった。米国に次ぐ第2の経済大国となり、国際舞台で政治的影響力も増す中国への傾斜を強めざるをえなくなった。

中ロ首脳会談の日程はロシア大統領府がいち早く公表したものの、中国外務省は最後まで明かさず、温度差をみせた。

欧米がロシア産の石油やガスの輸入を急減させるなか、ロシアの資源輸出は中国依存が深まるばかりだ。15日には中国・ロシア・モンゴルの3カ国首脳会談も開き、ロシア産天然ガスをモンゴル経由で中国に輸出するガスパイプラインの建設を協議した。

仮に年500億立方メートルとされるモンゴル経由のパイプラインが実現すれば、中国へのガス供給量はいずれ年1000億立方メートル近くに達する可能性がある。それでも、2015~20年まで年1500億立方メートルを超えたパイプラインでの欧州向け輸出量をとても補えない。

中ロの貿易額は22年、前年比増加率が約15%となり、1700億ドル(約24兆円)に達する見通しだ。24年に2000億ドルとする目標だが、ロシアの対中輸出の8割を資源輸出が占め、その急増ばかりが目立つ。

ロシアは経済的な対中依存が深まれば、政治関係も対等を維持することが難しくなる。ロシア国際問題評議会会長のアンドレイ・コルトゥノフ氏は「過度の対中依存を避けることが極めて重要だが、今後は難しくなる」と指摘した。

中国も台湾情勢を巡り米国との対立を強める。ペロシ米下院議長が8月に台湾を訪問した。中国は台湾周辺で四半世紀ぶりの大規模な軍事演習に踏みきったが、米欧の議員団の訪問は続く。

米議会では台湾を北大西洋条約機構(NATO)非加盟の主要な同盟地域に指定する「2022年台湾政策法案」の審議が始まった。台湾への巨額の軍事支援や正式に同盟扱いする案も盛り込まれ、成立すれば習指導部にとって痛手となる。

習氏は中ロの中長期的な連携を確認し、軍事的に米国ににらみを利かせる狙いがある。習氏の続投を決める10月の共産党大会に向けて対米路線の継続をアピールする思惑もちらつく。

だがロシアとの関係強化には異論もくすぶる。「プーチン大統領と早く手を切るべきだ」。国務院(政府)に政策を提言する国務院参事室公共政策研究センターの副理事長などを歴任した胡偉氏はロシアのウクライナ侵攻を受け3月にこう提言して注目を集めた。

中国当局のネット検閲でたちまち閲覧できなくなったが、党内では「プーチン氏によって中国が対米ではなく反米陣営に引き込まれるのでは」との懸念が広がる。

中国と欧州の間でバランスを失ったロシアと、「反米」に舵を切ったロシアへの懸念を消せない中国。両国の「蜜月」は不安要因を抱えている。』

インド首相、中国・ロシア首脳と会談か 国際会議出席へ

インド首相、中国・ロシア首脳と会談か 国際会議出席へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1211X0S2A910C2000000/

『【ニューデリー=時事】インド外務省は11日、ウズベキスタンで15、16両日に開かれる上海協力機構(SCO)首脳会議に、モディ首相が出席すると発表した。同会議はロシアと中国が主導。出席が見込まれる習近平国家主席やプーチン大統領と対面会談が行われる可能性がある。

インドと中国は未画定の国境問題をめぐり争っており、20人以上の死者を出した2020年の国境地帯での衝突以降、首脳会談は実現していない。ただ、インド政府は8日、係争地の一部から両軍が撤退を始めたと発表しており、首脳会議を前に緊張緩和を図ったとの見方がある。

AFP通信によると、4月に就任したパキスタンのシャリフ首相も出席が見込まれるものの、モディ氏と会談するかどうかは不透明。』

[FT]中国・インド、石油「爆買い」でロシア支える

[FT]中国・インド、石油「爆買い」でロシア支える
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0916F0Z00C22A9000000/

 ※ まあ、「ウクライナ前」と「ウクライナ後」では、「世界の様相」は、随分と違ったものになるんだろう…。

 ※ それでも、「違った様相」なりに、「落ち着く」ことになるんだろう…。

 ※ 「コロナ前」と「コロナ後」が、随分と「違ったもの」になったが、「違ったなりに、落ち着いた」ように…。

 ※ できれば、その「違ったなりの世界の姿」を、でき得る限り「正確に」、描き出す「眼力」を備えたいものだ…。

『インドと中国による購入が、ロシア産石油の欧州向け出荷減少をほぼ相殺、欧州の消費者に光熱費急騰をもたらした対ロ制裁の効果に疑問を投げかけている。
ロシアの石油会社、ガスプロムネフチが運営する油田(8月、同社提供)=ロイター

フィナンシャル・タイムズ(FT)が中国とインドの税関統計から手に入るデータを分析したところ、両国が2022年第2四半期にロシアから輸入した石油は、第1四半期と比べて1100万トン増えていた。ロシア産石油に対する両国の支払額は90億ドル(約1兆2800億円)増加した。

輸入量の伸びが最も大きかったのはインドで、ロシア産石油の輸入は第1四半期の66万トンから第2四半期の842万トンに跳ね上がった。

ロシアのプーチン大統領が2月にウクライナへの侵攻を開始した後、米国、欧州連合(EU)、英国、カナダ、日本がロシアに制裁を科し、同国の金融システムをまひさせ、多くのロシア製品の輸入を禁止した。

だが、人口が世界で1、2番目に多い中国とインドの顧客は、ロシアの石油や石炭、肥料などのコモディティー(商品)を購入し続けた。

ウクライナ戦争前からロシア産原油の重要な買い手だった中国は、5月に日量200万バレルの原油を購入した。1月、2月の実績と比べると日量20万~40万バレルの増加となる。

インドと中国への出荷増加の証拠が出てきたのと時期を同じくして、米国はインドを含むロシア産石油の輸入国に対し、主要7カ国(G7)と足並みをそろえ、ロシアの石油収入を制限する価格上限制度を支持するよう働きかけている。

カーネギー財団モスクワセンターの上級研究員アレクサンドル・ガブエフ氏は、インドと中国は「市場に生じた機会を利用している」と話す。
実利的な方策

「プーチン氏を助けたいと意識しているわけではない。自らの最善の利益になるように状況を利用する、冷ややかで実利的な方策にすぎない」と同氏は言う。「しかし、欧州向けの輸出が削減されている時には、これが事実上、クレムリン(ロシア大統領府)を助けるキャッシュフローを生み出すのはもちろんだ」

インドの港湾と沿岸部の製油所は、サウジアラビアやイラク、アラブ首長国連邦(UAE)など、ロシアよりはるかに近い石油輸出国から輸送しやすい立地にある。

「インドがロシア産石油の購入を増やしていることについては、経済的な便宜によるものだと考えている」。ジャワハルラール・ネルー大学の経済研究・計画センター(CESP)に所属するビスワジット・ダール教授はこう話す。「インフレ圧力と肥料不足がすべての計算を狂わせている状況にあって、ロシアからの供給は好都合だった」

ダール氏は、インドによる購入の「重要ポイント」はウクライナ戦争に中立の立場をとったことだと指摘する。ロシアはインドにとって最大の武器供給国でもある。

インドの石油輸入市場に関する情報は不透明だが、アナリストはインド政府はロシアによる値引きも巧みに利用しているはずだと話す。

ウクライナ侵攻以来、ロシア産の石油は国際指標である北海ブレント原油と比べて1バレル当たり30ドルも低い水準で取引されてきた。それでもロシアが受け取っている石油収入の合計は21年を上回る。国際石油価格が高騰し、14年以来初めて、年初からほぼ一貫して1バレル100ドルを上回って推移しているからだ。

中国の税関のデータは、現在のロシア産石油の輸入代金が戦争前に購入していた比較的少ない量の代金とほぼ同じであることを示している。この間の石油の国際価格急騰を踏まえると、この数字は両国の取引が市場実勢価格を下回る水準で行われたことを示唆している。

中国にとって主要原油調達先であるサウジアラビア、UAE、イラク、オマーンからの輸入単価が第2四半期に1トン800ドルへ急騰する一方、ロシアからの輸入は同700ドルにとどまった。

インドの貿易統計によると、同国は戦争前の時期と比べても安い価格を享受しているようだ。インドでは、ロシアからの石油輸入価格は第1四半期に平均で1トン790ドルだったが、第2四半期は同740ドルに下落した。同じ期間、ロシア以外の原油調達先からの輸入価格は上昇している。

英市場調査会社オイルXの上級アナリストで、ウィーン在勤のニール・クロスビー氏は「正確なレベルは分からないが、ロシアは石油について大幅な値引きを提示しているようだ」と話す。「しかし、こうした取引の書類を見たことがある市場関係者は多くないだろうから、我々としては推測しかできない」
ロシア石油会社、値引きでも利益

国際金融協会(IIF)の副首席エコノミスト、エリナ・リバコワ氏は、値引きにもかかわらず、ロシアの石油企業はなお多大な利益を稼げると話す。

ロシアの石油大手タトネフチでは、22年上半期の利益が前年同期比で52%増加した。

プーチン氏は7日、経済フォーラムで演説し、ロシアはエネルギー資源を西側各国以外の買い手に難なく売れると主張した。既存のパイプラインインフラの限界のせいでガスの出荷先を変えるのは難しいものの、ロシアは石油販売を維持することにはかなり成功してきた。

「我々の資源に関して言う限り、世界市場における(ロシア資源への)需要は極めて大きく、何の問題もなく売ることができる」とプーチン氏は語った。

さらに、G7が提案したロシア産石油に対する価格上限が設けられた場合、ロシアはエネルギー契約を破棄して供給を断つと述べ、西側が「凍り付く」羽目になると警告した。

「我々はガスも石油も石炭も灯油も供給しない。何一つ供給しない」

リバコワ氏は「ロシアの当局は今笑っているかもしれないが、欧州が向こう1、2年でロシア産ガスから離れていくことになるため、エネルギー輸出について中国とインドに過剰に依存するようになる」と指摘する。

「ロシアが今、自国の影響力を駆使しているのは、そのためだ。エネルギー戦争において、この力が程なく、さほど効果的でなくなることを知っているからだ」

By Andy Lin, John Reed and Max Seddon

(2022年9月8日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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・IAEA「ザポロジエ原発に安全地帯を」 ロシアは拒否
・エネ高騰、欧州電力会社に信用不安 先物取引で資金不足 』

スリランカ支援「中印含めて議論を」 鈴木財務相

スリランカ支援「中印含めて議論を」 鈴木財務相
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA022NJ0S2A900C2000000/

『鈴木俊一財務相は2日の閣議後の記者会見で、経済危機に直面するスリランカへの支援について「中国、インドを含むすべての公的な2国間債権者が一堂に会して議論することが重要だ」と述べた。「債権国が議論に参加する場合、日本として積極的に協力していきたい」と強調した。

国際通貨基金(IMF)は1日、スリランカへの金融支援を巡って実務者間で暫定合意したと発表した。日本や中国、インドなどと債務削減をどう進めるかが焦点となっている。鈴木氏は「合意に至ったことは歓迎したい。スリランカが経済・財政改革を実施することを期待する」と語った。』

中国軍などロシア極東に到着 軍事演習「ボストーク」実施へ

中国軍などロシア極東に到着 軍事演習「ボストーク」実施へ
https://www.afpbb.com/articles/-/3421256?pid=24821161

『【8月30日 AFP】ロシア国防省は29日、極東を管轄する東部軍管区で予定する大規模合同軍事演習「ボストーク(Vostok)2022」の参加国兵士らが同日までに到着したと発表した。

 演習は9月1~7日に実施。中国やベラルーシ、インド、モンゴル、シリアなどが参加する。

 ロシア東部の複数の演習場のほか、オホーツク海(Sea of Okhotsk)と日本海(Sea of Japan)で行われる。国防省によると、各国の兵士計5万人以上と、航空機140機、艦艇60隻を含む5000以上の兵器が動員される。

 ボストークの実施は2018年以来、4年ぶり。

 中国は演習への参加について「現在の国際・地域情勢とは関係ない」と説明している。

 ロシアは参加兵士について、国別の内訳を公表していない。(c)AFP』

中露貿易の加速化 対露制裁は有効なのか?

中露貿易の加速化 対露制裁は有効なのか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220830-00312639

『8月25日、中国商務部は記者会見で中露貿易が勢いを見せていると発言し、事実、データによればロシアからの輸入は前年度比49.2%増となっている。インドの場合は244.35%増だ。これでは対露制裁は無実化しないか?

 中露印の連携は軍事面でも強化され、ヴォストーク軍事演習も共同で行う。

◆商務部記者会見:中露貿易を加速化

 8月25日、中国政府の商務部は定例記者会見を行った。記者会見では香港南華早報(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)の記者が質問し、商務部の束報道官が回答する場面があった。

 香港サウスチャイナ・モーニング・ポスト記者:中露経済貿易協力小委員会第25回会議で、ロシア側は今年の中露両国貿易額は、おそらく1650億ドルから1700億ドルという歴史上最高額に達するだろうと言い、同時に中国側がさらに一歩進んで運輸を円滑化するように希望していると言っています。そこで商務部にお聞きしたいのですが、今年の中露貿易の成長見通しをどのように見ておられますか?またどのようにして中露貿易の次のステップを推進しようとしているか、どのような領域に重点を置いているか、さらに中露辺境貿易をさらに円滑にさせるには、どういう措置を取ろうとしているのか教えてください。

 束報道官:今年の年初以来、中露貿易は勢いを増しています。われわれはロシアと協力して両国の正常な経済貿易の往来を促進しようと思っていますし、産業チェーンやサプライチェーンを引き続き安定化させようと思っています。領域としてはデジタル経済やグリーン開発、生物医薬などの新しい成長点を育成し、中露経済貿易の規模と質を「ダブル上昇」させようと思っています。中露辺境港湾運輸に関して、双方ともコロナ防疫を保障する安全な措置を通関地で実行し、両国国境における貨物の正常な秩序を保障します。今年6月に、黒河公路橋が開通し、両国の相互接続の新たなルートが生まれました。今後は、感染対策と安全確保を基礎として、通関と物流輸送がさらに円滑にいくことを目指します。(引用以上)

 束報道官が述べた黒河公路は、拙著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』のp.53~p.59で詳述した黒竜江省黒河市とロシアのブラゴヴェシチェンスクを結ぶ道路橋で、まさに中朝国境を結ぶ「友誼橋」のような役割を果たしている。

◆中国の、ロシアからの今年1-7月の輸入は前年同期比で49.2%増

 8月18日に発表された税関総署のデータによれば、今年1-7月の輸出入は6336億人民元で29.2%増、うち輸出は5.3%増、輸入は49.2%増となっている。

 それをアメリカや日本と比較して「2022年1-7月における中国の対ロシア・アメリカ・日本の貿易量に関する前年同期比」を人民元建てで作図してみたところ、以下のようになった。

税関総署のデータを基に筆者作成

 アメリカからの輸入増は非常に小さく、日本にいたっては前年同期比でマイナスに転じている中、ロシアからの輸入が大きく伸びていることが見て取れる。輸入が際立つのは、石油などエネルギー資源に起因する。

 中国だけではなく、ロシアに対して制裁を行っている国は非常に少なく、拙著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』第六章の複数個所で述べているように、対露制裁をしていない国は、対露制裁をしている国よりも圧倒的に多く、現時点で145ヵ国に上るので、ロシアに対する制裁効果は大きくはない。

 今年3月、対露制裁の効果は大きく、ロシアのGDPは16%減になるだろうという見方が多かったが、今年7月、IMFは、ロシアのGDPは2022年に6%減になるだけだと修正している。対露制裁の効果が、期待したより小さいということだ。

◆インドの輸入増は244.35%

インド政府の輸出入統計によれば、「2022年1-6月 インドからロシアの貿易額」は「輸出:14.8464億ドルから11.4748億ドルで-22.71%減少」となっており、「輸入:36.4653億ドルから125.567億ドルで244.35%増加」となっている。輸出入額は合計で167%増となる。
 この輸入増「244.35%」は、もちろん石油で、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』第六章に書いたように、プーチン大統領とモディ首相は個人的に非常に仲が良く、アメリカがドルでの取引を禁止するのなら、両国は自国の貨幣で取引をしようと、ルーブルとルピーで取引をするため、エネルギー資源輸出国であるロシアは少しも困ってない様子だ。

 逆にロシアから天然ガスを購入してはならないとするアメリカのバイデン大統領の指示に渋々応じているヨーロッパでは、ロシア依存が高かった分だけ、対露制裁が非常に厳しい形で跳ね返ってきてエネルギー資源の高騰を招き、自国の国民を苦しめるという皮肉な結果を招き、政権運営にも影響を来たしている。

 ロシアではヨーロッパへの輸出量こそ減ったが、今のところ収益においてはウクライナ戦争前よりも増えている始末だ。逆に「これ以上制裁を続けたら、ガスを止めるぞ」という威嚇めいたことさえしており、立場が逆転している。

◆中露印を含めた軍事演習

 その点、対露制裁をしていない国は、全世界的にコロナによる影響はあるものの、ウクライナ戦争によって受けるダメージは大きくなく、中露印などは軍事面においても連携を強くしている。

 中国の国防部は8月17日、ロシアが主催する「東方-2022」軍事演習(ヴォストーク、Vostok 2022 military exercises) に、中国だけでなく「インド、ベラルーシュ、タジキスタン、蒙古」などが参加すると発表した。

 ロシアは4年に一度のサイクルで、「西部、南部(コーカサス)、中央、東部」の4つの軍管区で順番に軍事演習を行っているが、ここ5年間の演習を列挙すると以下のようになる。

     2018年:ヴォストーク(東方、Vostok) 

     2019年:ツェントル(中央、Tsentr)  

     2020年:コーカサス(南部、Kavkaz)  

     2021年:ザパド(西方、Zapad)     

     2022年:ヴォストーク(東方、Vostok)

 ロシア軍の軍事演習に中国が参加し始めたのは2018年頃からで、インドは2019年辺りからだ。インドのメディアもインド軍は75名の兵士を派遣して軍事演習に参加すると報道している。人数は少ないものの、「インドが参加する」ということが重要なのであって、日米豪印「クワッド」という「対中包囲網」に熱心な日本は、特にこの事実に注目しなければならないだろう。

 拙著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』の第六章で特に「露印軍事関係の緊密さ」を強調したが、このように「インドや蒙古が参加する」ことによって、「中露印と蒙古」が大陸を縦に結び、経済的にはもちろんのこと、軍事的にまで結束していく事実は、西側諸国にとっては大きな脅威となる。

 ちなみに、8月末に予定されていた軍事演習は、9月1~7日に変更されたようだ。

 いずれにせよ、6月19日のコラム<ロシアが「新世界G8」を提唱_日本人には見えてない世界>や6月26日のコラム<習近平が発したシグナル 「BRICS陣営かG7陣営か」>で言及したように、日本は対露制裁をする側の陣営であり、米英を中心とした西側諸国が発する情報しか報道しないので、全人類の85%に相当する「BRICS陣営」で進行している現実を知らない人が多い。というか、見ようとしていない。しかし、世界は、日本が見ている全人類の15%の意向によってのみ動いているわけではないので、中国から見た時の「景色」にも留意が必要だろう。

 アメリカの君臨が許されている「制裁戦略」はアクションーリアクション(作用・反作用)の世界であり、それは人類全体に不幸をもたらしながら、実は対露制裁に踏み切らない145ヵ国の頂点に立つ中国にとっては、有利に働いている。日本人はその事実から目を逸らしてはならない。

遠藤誉

中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

中国観測船、スリランカ離れる 米印懸念、条件付き入港

中国観測船、スリランカ離れる 米印懸念、条件付き入港
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB22BFD0S2A820C2000000/

『【ニューデリー=時事】中国の観測船「遠望5号」が22日、補給のため停泊していたスリランカ南部ハンバントタ港を離れた。地元メディアなどが報じた。中国の港に戻る予定という。寄港をめぐっては隣国インドや米国が安全保障上の懸念を示していた。

遠望5号は当初、ハンバントタ港に11日に入る予定だったが、スリランカ政府は8日、到着延期を中国側に要請したと表明。ところが13日になって、スリランカ海域で科学調査を行わないなどの条件で入港を再度許可したと発表し、遠望5号は16日に到着した。

インドメディアによれば、インドのジャイシャンカル外相は17日、訪問先タイでの記者会見で「インドの安全保障に関わるいかなる事態も注視している」と表明。インドメディアは遠望5号について自国領内を偵察できる装備を備えた「スパイ船」などと報じていた。

スリランカは2017年、対中債務の返済が滞り、ハンバントタ港の運営権を中国国営企業に99年間リースしている。』

インドがロシア原油「爆買い」 安さだけでは語れぬ事情

インドがロシア原油「爆買い」 安さだけでは語れぬ事情
編集委員 高橋徹
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD213VF0R20C22A8000000/

 ※ インドの「立ち位置」も、徐々に明らかになって来ているようだ…。

『「エネルギー価格高騰の影響を和らげるため、国民にとって最善の取引をする。いまはあらゆる国がやっていることで、我が国だって同じだ」

インドのジャイシャンカル外相は今月半ば、訪問先のバンコクでの在留印僑らとの会合で、ロシア産原油の調達拡大の正当性を改めて強調した。

ロシアのウクライナ侵攻から24日で半年がたつ。プーチン政権の戦費調達を妨げるため、主要7カ国(G7)はロシア原油の輸入を原則禁止する方針を掲げた。が、新興国の多くは同調することなく、自らの「国益」を最優先して動く。世界最大の原油輸入国である中国と並び、「最善の取引」を積み上げる同3位のインドはその典型だ。

インドがロシア原油の「爆買い」に走り始めたのは4月からだ。

インド商工省の貿易統計によると、2021年の原油輸入先はイラク、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の中東3カ国で5割を占めた。10位のロシアは日量7万バレル、全体のわずか2%。今年3月単月をみても11位の9万バレルにとどまっていた。

それが4月に日量39万バレル、5月は65万バレルへ急増。6月には98万バレルに達し、サウジを抜いて2位に浮上した。ロイター通信によれば、7月も87万バレルと高水準を維持したもようだ。

理由は輸入価格が雄弁に物語る。サウジ産と比較すればわかりやすい。ロシア産は粘度が低い軽質油で、精製が容易なため、重質油の中東産より通常は高い。実際、3月の輸入単価はサウジ産の1バレル105ドルに対し、ロシア産は118ドルだった。

4月以降は状況が一変した。110ドル台へ上がったサウジ産に対し、ロシア産は4月が108ドル、5月が94ドル、6月は102ドルに下がり、逆転現象が生じた。経済制裁の影響が顕在化し、だぶつき始めたロシア産をインドが割安に買い込み、結果としてロシアの戦時財政を手助けしている図式だ。
ロシア産原油を積み、極東のナホトカ港から出港するタンカー=ロイター

もとよりインドとロシアの関係は密接だ。1971年に旧ソ連と軍事同盟的な性格の強い「平和友好協力条約」を結んで以降、ソ連のアフガニスタン侵攻、インドがパキスタンと領有権を争うカシミール問題のように、互いが批判の矢面に立つ場面でかばい合ってきた。2000年以降にインドが輸入した軍事装備品の3分の2はロシア製で、原子力や宇宙開発にも協力関係は広がっている。

逆にいえば、ロシア最大の輸出品である原油を、インドがこれまでほとんど調達してこなかったことの方が意外に思える。「それはひとえに輸送距離と経済性の問題」と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の竹原美佳・石油天然ガス事業本部調査部長が解説する。

竹原氏によると、ロシアからインドへの原油輸送には10万トン級のタンカーが使われ、黒海の港湾から出荷する場合で3週間、バルト海だと1カ月を要する。一方、中東からは30万トン級が一般的で、1週間程度で到着する。ロシア産は中東産の3~4倍の時間をかけて、3分の1しか運べない計算になる。

また輸送距離が長いほど、積み荷にかける保険料は高くなる。輸送時間が長いと、国内の需給動向をみながら機動的に調達量を調整するのも難しい。これまでインドにとってロシア原油の魅力は薄かった。

対ロ制裁がもたらした中東産とロシア産の価格逆転で、インドは調達戦略を修正した。それにしても「ロシア原油の輸入増加はインドの利益とはならない」(バイデン米大統領)といった警告を無視し、爆買いで手にする国益とは何か。大きく3つある。

第1はインフレ対策だ。インドの7月の物価上昇率は前年比で6.7%に達した。ピークだった4月の7.8%よりは下がったが、インド準備銀行が政策目標とする2~6%を6カ月連続で上回っている。

第2は貿易収支の改善である。商工省の速報値では、7月の貿易赤字は300億ドル(約4兆1千億円)と過去最悪を記録した。経常赤字の拡大により、通貨は1ドル=79ルピー台の史上最安値圏で推移する。通貨安が輸入物価を押し上げ、貿易赤字をさらに膨らませるという、負の連鎖に歯止めをかけたい。

インドは消費原油の85%を輸入に依存する。いまや輸入総額の4分の1を占める原油の調達コストを抑えることで、物価安定と貿易赤字拡大の抑止に期待をかける。

ただ、商品価格の高騰と、各国の中央銀行の利上げで、世界的に景気減速の気配は強まる。それは原油の需要減退に直結する。一時は1バレル120ドルを超えていた中東産ドバイ原油は、足元では95ドル前後と、ウクライナ侵攻前の水準まで低下している。

原油市況が落ち着き、ロシア原油の買い得感が薄れてくれば、インドは調達戦略を原状復旧させるのか。第3の国益であるエネルギー安全保障を考えれば、それほど単純な話ではないように思える。

「インド政府は原油の中東依存度の高さにかねて危機感を抱いていた」と三井物産戦略研究所のギリ・ラム国際情報部研究員は指摘する。エネルギー安保には、価格上昇と供給途絶の2つのリスクがある。ロシア原油の調達拡大は、一義的にはインドが前者を強く意識したからだが、定着すれば後者への対応にもつながる。

紛争やテロ、シーレーン(海上輸送路)封鎖といった有事で、中東からの原油供給に支障をきたす場合への備え、という面では、調達先の多様化をロシアに求めた日本と同じだ。加えてインドには宗教対立のリスクが影を落とす。

今年5月、モディ首相が率いる与党・インド人民党(BJP)の報道官が、テレビの討論番組でイスラム教の聖典コーランや預言者ムハンマドを揶揄(やゆ)する発言をした。その内容は瞬く間にSNS(交流サイト)で拡散され、中東諸国の怒りを買った。

サウジやイラク、クウェートなどが次々と「イスラム教への侮辱だ」とする非難声明を発出した。慌てたBJPは「党の立場とは相いれない」と報道官やその同調者を停職処分にし、火消しを図った。

ただしBJPはもともと「ヒンズー至上主義」を掲げる。モディ政権は国内で少数派のイスラム教徒への弾圧姿勢で国際的に批判を浴びてきた。ヘイトスピーチまがいの発言は、宗教を巡るボタンの掛け違いが、中東との関係を緊張させる危うさを示した。
6月のG7首脳会議に招かれたモディ首相㊧は対ロ包囲網への協力を求められたが=ロイター

ロシアからの原油調達は、万が一に備えたリスク分散だけでなく、一大消費国としての中東諸国との交渉力の底上げにもつながる。目先の損得とは別の文脈で、インドが今後も調達を拡大・継続する可能性は高い。

兆しはすでにみられる。インドの輸入原油の7~8割は中東諸国との長期契約だが「スポット調達の全量をロシア産にすれば、輸入全体の3割にあたる日量150万バレルまで増やせるとの見方が出ている」(JOGMECの竹原氏)。バーラト・ペトロリアムなどの国営石油会社は、ロシアとも長期契約の締結を交渉中と伝えられる。

またロシア極東の資源開発事業「サハリン1」に出資しているインド石油天然ガス公社(ONGC)は、同事業から撤退を表明した米エクソンモービルの権益や、英BPが売却を急ぐロシア石油大手ロスネフチの株式の取得も検討しているという。

制裁への同調圧力に屈せず、国益第一に徹する姿は、インドが掲げる「戦略的自律外交」の本領発揮といえようか。来年には中国を抜いて人口が世界最多となるインドを、民主主義陣営の「こちら側」につなぎ留めておきたい米欧や日本は、バケツの穴をふさぐためのロシア原油の買い手への制裁には及び腰だ。

あす24日は1991年に旧ソ連の構成国だったウクライナが独立を宣言した記念日でもある。国家主権無視のロシアの暴虐に対峙すべき場面で、必ずしも価値観や行動を共有できない異形の大国という意味では、インドは「あちら側」の中国と大差がない。それがウクライナ危機の半年が浮かび上がらせた、インドへの客観的な評価だろう。

=随時掲載
高橋徹(たかはし・とおる) 1992年日本経済新聞社入社。自動車や通信、ゼネコン・不動産、エネルギー、商社、電機などの産業取材を担当した後、2010年から15年はバンコク支局長、19年から22年3月まではアジア総局長としてタイに計8年間駐在した。論説委員を兼務している。著書「タイ 混迷からの脱出」で16年度の大平正芳記念特別賞受賞。

【関連記事】

・ロシア原油に「洗浄」疑惑 インドで精製、欧米に輸出
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産原油、中印の輸入最高に G20分断深まる 』

米中の緊張高止まり 「中立」台頭、危うい3極化

米中の緊張高止まり 「中立」台頭、危うい3極化
ウクライナ侵攻と世界(中)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD175N50X10C22A8000000/

『台湾をめぐる米中の緊張が高まっている。ペロシ下院議長の台湾訪問から2週間もたたない8月14~15日、超党派の米議員団が訪台し、支持を伝えた。

先に訪台した米有力議員は、日本政府関係者にこう告げた。「米国が助けるべき相手なのか判断するため、台湾に行った。その結果、台湾は支援すべき民主主義だと分かった。超党派で支援を強めていく」

米国は近く、米軍艦船を台湾海峡に送るほか、台湾との貿易拡大に向けた工程表も発表する。
中国にロシア、トルコやインドはいずれも米欧の言いなりにはならない

米国が台湾支援を急ぐのは、ロシアのウクライナ侵略によって対中警戒が一段と増していることが一因だ。これに対し、中国も米国の台湾接近に怒りを強めている。米中は長い対立のトンネルに入り込んだ。

その間隙を突き、台頭するのが「中立パワー」の国家群だ。米中のどちらにもくみせず、国益に応じて組む相手を変える。英誌エコノミストの調査部門EIUによると、ウクライナ侵略に中立を保つ国々は、世界人口の32%を占める。世界秩序は米欧日などの西側陣営、中ロ陣営、中立パワーの3極体制に移った。

自国の損得を優先

中立パワーの主な顔ぶれはトルコやインド、南アフリカ、サウジアラビア、ブラジルなどだ。近年、国力を伸ばしてきた新興国が多い。その行動基準は民主主義の価値よりも、自国にとって得か損かである。

特に動きが激しいのが、トルコのエルドアン大統領だ。北大西洋条約機構(NATO)のメンバーなのに対ロ制裁に加わらない。7月19日と8月5日に続けてプーチン・ロシア大統領と会い、経済協力で合意した。その裏では、ウクライナに軍用無人機を売る。

トルコは自分が1つの「極」であるかのようにも振る舞う。ロシアとウクライナの停戦仲介を試み、国連と協力し、黒海封鎖問題の解決に一役買った。

エルドアン氏が憧れを隠さないのが、トルコの前身で、1922年まで約600年間、世界に君臨したオスマン帝国だ。同国の外交ブレーンは「NATOの一角に甘んじるのでも、ロシアにこびるわけでもない。トルコは独自の路線を突き進む」と語る。

衰える米国の指導力

インドも米欧の言いなりにはならない。同国は「Quad(クアッド)」の枠組みで、米日豪と結束する。外交筋によると、インドは中国軍などの行動を強く批判し、米日豪に対中連携を呼びかけてきた。

だが、インドは対ロ制裁には応じず、ロシアとも良い関係を保つ。「国境で中国と紛争を抱えており、ロシアまで敵に回すわけにはいかないからだ」(元インド政府高官)。

「米国1強」の時代には中立パワーの裁量は限られたが、米国の指導力が衰えて構図は一変した。西側陣営と中ロを両てんびんにかけ、双方から実利を引き出しやすくなっている。

西側陣営はそんな中立パワーを引き寄せ、秩序維持への支持を得なければならない。各国の損得勘定を読み解き、互恵の協力を探ることが第一歩になる。

(本社コメンテーター 秋田浩之)

【「ウクライナ侵攻と世界」記事一覧】

深まる分断、消える500兆円 逆回転するグローバル化

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東京大学大学院総合文化研究科 教授
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分析・考察

先進国から見ると、中露vs先進国、加えて第三勢力があるように見える。他方、中国は(中国の主導する)開発途上国+新興国vs(アメリカの主導する)先進国と見える。だからこそ上海協力機構やBRICSを重視する。そもそも先進国と中国とでは異なる対立像をイメージしている。次に、その第三勢力だが、これらの国々は必ずしもまとまっているわけではない。世界をフラットに見て、それぞれの国益に即して、中国であれ、先進国であれ、利用すべきは利用しようとする。本来日本は、先進国の中で最も、中国のことも、あるいはアジア諸国のことも理解できる存在のはずだ。果たしてそうなっているか、そう振る舞えるか。大きな試練だ。
2022年8月23日 5:53 (2022年8月23日 7:50更新)
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

政治のブロック化、経済のブロック化の先にあるのはただ一つ、新冷戦。中立の道を歩む国は国際社会で主役になれない国、いつも脇役で目の前の損得を勘定する。一流国家は目の前の損得ではなく、中長期的な国益を最大化する。結論、新冷戦はもう避けられない。
2022年8月23日 7:13
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青山瑠妙
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授
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ひとこと解説

この記事を読むと、アメリカのドラマ「マダム・セクレタリー」を思い出す。「中立パワー」の国家群はおそらく第3の「極」になることはないだろう。こうした国々に共通の理念や価値観はなく、そこで動いているのは個々の国の損得勘定だけ。民主主義陣営に協力させるために必要なのは、マダム・セクレタリーのエリザベス・マッコードのようにそうした国の損得勘定に働きかけていく敏腕な外交力だ。
2022年8月23日 7:04 (2022年8月23日 7:05更新)

秋田 浩之

長年、外交・安全保障を取材してきた。東京を拠点とし、北京とワシントンの駐在経験も。北京では鄧小平氏死去、ワシントンではイラク戦争などに遭遇した。著書に「暗流 米中日外交三国志」「乱流 米中日安全保障三国志」。

米中の緊張高止まり 「中立」台頭、危うい3極化(2:00)
台湾有事、備え足りぬ日本 危機体制づくりの猶予短く(17日)』

進む中印デカップリング VCやアリババが撤退モード

進む中印デカップリング VCやアリババが撤退モード
ASIA TECH
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK160G10W2A810C2000000/

 ※ 安全保障と経済活動(経済的利益)が衝突した場合、安全保障に軍配が上がる…。
 ※ 安全保障は、身体・生命の安全に直結するからだ…。

 ※ 何事も、「命あっての物種。」「生きていればこそ。」の話しだ…。

 ※ 人間、命さえ拾っておけば、「明日のおまんま」なんてのは、どうにかこうにかなる…。どうにかこうにか、して行くモンなんだ…。

『5月、インドと中国の間で進む経済デカップリング(分断)の流れを象徴する出来事が起こった。アリババ集団とその傘下の金融会社アント・グループが、インド電子商取引(EC)大手ペイティーエム・モール(Paytm Mall)への出資を一気に全て引き揚げたのだ。


大損確定でも出資引き揚げ

同社は2019年に時価評価額が30億ドル(約4000億円)近くに達し、当時はインドに20社程度しかなかったユニコーン(時価評価が10億ドル以上の未上場企業)の一角を占める有力新興企業だった。しかしその後、米アマゾン・ドット・コムや米ウォルマート傘下のフリップカートなどとの競争で劣勢になり取扱高が減り、時価評価も縮小した。

今回のディールでは、中国2社が合計で4割を超えていた持ち分をペイティーエム・モールに買い戻させた。その株価で計算した時価評価は1300万ドル程度と、30億ドルから10分の1未満に縮小したと現地メディアは伝える。買い取り側の負担を抑える割引価格だったとみられる。数億ドルで買った株を数百万ドルで売却し、大損を確定する形での撤収だった。約2割を持つ大株主のソフトバンクグループも似た規模の評価損を出したはずだ。

ペイティーエム・モールの創業者、ビジェイ・シェカー・シャルマ氏は21年に新規株式公開(IPO)したモバイル決済大手ペイティーエム(Paytm)の創業者でもある。同社もソフトバンクGとアリババ系の出資でインド有数のユニコーンに成長した。

シャルマ氏(右)はアリババ集団をモデルにしてきた(21年11月、ペイティーエム運営会社の株式上場式典)=ロイター

ペイティーエム・モールの先行き不安説にもシャルマ氏は「我々にはママ(アリババ創業者の馬雲=ジャック・マー氏)とパパ(孫正義・ソフトバンクG会長兼社長)がついている」と、両グループの後ろ盾を頼りにしきっていた。ECとモバイル決済を親子関係にしないで並立させるモデルもアリババとアントGのやり方をまねた。アリババ系の出資引き揚げのショックは大きそうだ。

アリババは21年、食品宅配大手ビッグバスケットの株を全てタタ財閥に売却。ソフトバンクGと一緒に出資していたもう一つのインドEC企業スナップディールの株も売り払った。料理宅配のゾマトが同年新規株式公開(IPO)した際にも、アリババは持っていた株を売却しており、インド新興企業投資からは完全に撤退モードに入っている。

バイトダンスや小米系も続々

撤退モードにあるのはアリババ系だけではない。簡易動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国系の字節跳動(バイトダンス)はこの4月、簡易動画投稿アプリの「ジョシ(Josh)」とローカル言語ニュース表示アプリの「デイリーハント」を運営する会社の株を全て売却した。

スマートフォン大手小米(シャオミ)系の大手ベンチャーキャピタル(VC)、順為資本(シュンウェイ・キャピタル)は20年秋にインド拠点を閉鎖。21年春には「インド版ツイッター」と呼ばれるクー(Koo)への出資を解消した。

45年ぶりにインド軍に死者を出した20年6月の中印国境紛争後、インド政府はTikTokなど中国製スマホアプリの使用を禁止する一方、中国資本によるインド企業への投資を許可制にするなど、中国の製品と投資を排除する姿勢を打ち出している。中国自動車大手の長城汽車が6月末、米ゼネラル・モーターズ(GM)のインド工場の買収を断念したのも投資許可が出なかったからといわれる。

中国企業はモバイル・インターネット革命を通じたスタートアップの急成長が中国に続いてインドでも再現できるとみて投資を重ねてきたが、流れは完全に変わったようだ。他方で、米中、中印の経済デカップリングが進めば、日本や米国の新興企業投資マネーがインドと東南アジアに向かう流れは今後さらに加速しそうだ。

(編集委員 小柳建彦)
スタートアップGlobe 』

中国「スパイ船」が入港 スリランカ、債務巡り関係苦慮

中国「スパイ船」が入港 スリランカ、債務巡り関係苦慮
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM168770W2A810C2000000/

『中国の調査船「遠望5号」が16日、スリランカに入港した。スリランカは当初、「スパイ船」と懸念するインドに配慮し、中国に入港延期を求めていた。経済危機に陥るなか、国際通貨基金(IMF)から支援を受けるには、中国との債務再編交渉が欠かせないと判断。最終的に対中関係を優先する形で入港を認めた。

遠望5号は16日、南部ハンバントタ港に入港した。同港は直近まで政権の要職を占めていたラジャパクサ兄弟の地元にあり、中国からの投資で開発が進んだ。

その後、スリランカは債務返済に行き詰まり、2017年に同港の99年間の運営権を中国に引き渡した。援助と引き換えに権益を失う「債務のワナ」の典型例と指摘されてきた。

中国外務省の汪文斌副報道局長は16日の記者会見で、調査船の入港について「国際法と国際慣習に合致しており、いかなる国家の安全や経済利益にも影響しない。第三国の妨害も受けるべきではない」と強調した。

遠望5号は当初11日にハンバントタ港に入港予定だった

ロイター通信によると、遠望5号は、中国人民解放軍の戦略支援部隊によって運用されている。同船は衛星などの観測任務に従事してきたとされるが、インドのメディアは周辺領域を偵察するスパイ船だと報じた。

スリランカは中東・アフリカと東アジアを結ぶシーレーン(海上交通路)上の要衝にあたり、かねて中国とインドが影響力を競ってきた。

インド外務省の報道官は7月下旬、同船の入港を巡り「注視する」とコメント。そのうえで、インドの安全や経済的利益を守るうえで「必要なあらゆる手段を講じる」と述べていた。スリランカに対し、外相会談なども通じて懸念を伝えたとみられる。

スリランカは足元で、中国寄りだったラジャパクサ前大統領らが経済危機で退陣。代わってインドや欧米に近いとされるウィクラマシンハ氏が7月下旬に新大統領に就任した。

遠望5号は当初11日に入港する予定で、スリランカの許可も得ていた。だが、スリランカ外務省は8月に入って「さらなる協議の必要」があるとし、中国に入港延期を申し入れていた。

だが、中印でスリランカを巡る応酬が続くなか、スリランカ外務省は13日に「外交チャンネルを通じて全ての関係者とハイレベルで広範囲な協議を実施した」と表明。遠望5号の停泊を16日から22日まで認めると発表していた。「近隣の安全保障と協力が最も優先される」とインドへの配慮をみせたものの、結果としては中国側の意向に従った格好となった。

スリランカの対応が揺れた背景にあるのは、同国が直面する経済危機がある。かねて経常赤字に苦しんでいた同国財務省は4月、財政再建策がまとまるまで対外債務の返済を一時停止すると発表した。

IMFに金融支援を要請しているが、ロイター通信によるとIMFは支援にあたりスリランカに対中債務などの再編などを求めている。

国際金融協会(IIF)によると、スリランカの対中債務は65億ドル(約8700億円)と推定されている。すでにスリランカのラジャパクサ前大統領は1月に中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と会談し、対中債務の支払いの条件緩和を求めたとされている。

経済立て直しに向けてインドだけでなく中国の協力も欠かせない。スリランカは当面、中国とインドとの外交バランスに苦慮しそうだ。

(ムンバイ=花田亮輔、伊地知将史)』

漂流していた中国の「スパイ船」,スリランカ政府が,一転してハンバントタへの入港同意

日刊 アジアのエネルギー最前線 : 漂流していた中国の「スパイ船」,スリランカ政府が,一転してハンバントタへの入港同意 – livedoor Blog
http://blog.livedoor.jp/adachihayao/archives/2023529.html

『【日刊 アジアのエネルギー最前線】 漂流していた中国の「スパイ船」,スリランカ政府が,一転してハンバントタへの入港同意
http://www.adachihayao.net

2022年8月17日 水曜日 雨

中国の海洋進出に注目している,昨日は中国政府の漁業解禁が伝えられ,南シナ海に接するフィリピンや尖閣を有する日本は緊張を増している,このときに,中国の観測船「遠望5号」がインドの港への寄港を拒否されて漂流し,その行く先が関心の的であった,この船は,「スパイ船」とも呼ばれる,

今朝の各紙が一斉に報じた,中国の調査船の寄港を拒否していたスリランカが,一転,寄港に応じ,南部のハンバントタ港に入った,スリランカは経済混乱から,親中であったラジャパクサ前政権が崩壊し,財務大臣であったウィクラマシンハ首相が新大統領に選出され,IMFの支援で復興の途上,

スリランカのハンバントタ港は,中国資金で整備が進み,その借金返済に行き詰まった前政権が,中国政府に99年の運営権を譲渡したところである,経済復興の主導権はIMFが握り,米国やインド,日本などが協力する形が整いかけている,中国は運営権を盾に寄港を強行した,今後を注視したい

◆220817 朝日新聞デジタル https://ux.nu/1FRXz
スリランカの港に中国観測船が到着 「債務のわな」で注目
中国の観測船「遠望5号」が16日、中国への債務返済に窮したスリランカが実質的に運営権を譲渡した同国南部のハンバントタ港に到着した。中国の進出を警戒するインド…

極東情勢

2022年8月16日20時50分

◆220817 読売新聞オンライン https://ux.nu/8uydy
中国軍調査船、スリランカ入港…米印は軍事利用警戒
【ハンバントタ(スリランカ南部)=浅野友美】インド洋の島国スリランカ南部のハンバントタ港に16日、中国の調査船「遠望5号」が入港した。22日まで停泊し、燃料…
.3時間前

◆220817 朝日新聞デジタル https://ux.nu/1FRXz
スリランカの港に中国観測船が到着 「債務のわな」で注目
中国の観測船「遠望5号」が16日、中国への債務返済に窮したスリランカが実質的に運営権を譲渡した同国南部のハンバントタ港に到着した。中国の進出を警戒するインド…
.9時間前

◆220817 BIGLOBEニュース https://ux.nu/3EVqr
中国軍観測船が入港=インドと板挟みで迷走―スリランカ …
【ニューデリー、北京時事】中国海軍の観測船「遠望5号」が16日、スリランカ南部ハンバントータ港に到着… … (C)JIJI PRESS LTD., All rights reserved.
.13時間前

◆220817 読売新聞オンライン https://ux.nu/51vNs
ペロシ氏訪台「歓迎」53%、台湾の世論調査…中国軍事演習は「怖くない」78%
【台北=鈴木隆弘】台湾の世論調査機関「台湾民意基金会」が16日に公表した世論調査結果によると、ナンシー・ペロシ米下院議長の訪台(2~3日)を「歓迎する」との…
.2時間前

◆220817 NHK https://ux.nu/NSO2L
米 中国軍の台湾周辺での軍事演習は「過剰反応」と批判
アメリカの議員団が台湾を訪れたことへの対抗措置だとして、中国軍が台湾周辺で軍事演習を行ったと発表したことに関連して、アメリカ国務省の報道官は「過剰反応だ」と…
.12時間前

◆220817 NHK https://ux.nu/DWxsg
中国 台湾周辺含む東シナ海などで漁解禁 多くの漁船一斉に出港
台湾海峡の緊張が高まる中、中国政府が、台湾周辺を含む東シナ海などで独自に設けてきた禁漁期間が、16日終わり、台湾の対岸にある福建省の港でも多くの漁船が一斉に…
.3時間前

◆220817 東京新聞 https://ux.nu/cnpDa
中国、尖閣や台湾で漁解禁 敏感海域「向かう」漁師も
【石獅共同】中国が沖縄県・尖閣諸島周辺や台湾海峡を含む東シナ海で設けた禁漁期間が16日に明け、福建省石獅市では大量の漁船が出港した。当局は「敏感な海域」での…
.1時間前 』

中国「調査船」、スリランカ入港巡り膠着

中国「調査船」、スリランカ入港巡り膠着
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM129MN0S2A810C2000000/

『【ニューデリー=花田亮輔、伊地知将史】スパイ船と疑われる中国の調査船「遠望5号」が12日時点で、入港予定であるスリランカ南部のハンバントタ港から約1100キロ離れた地点にとどまっていることがわかった。同船は11日から17日まで同港に停泊予定だったが、隣国インドが懸念を強めていた。スリランカは8月に入って寄港延期を中国に要請していた。

7月中旬に中国を出航した遠望5号は、インドネシア方面からスリランカをめざしていた。船舶情報会社マリントラフィックによると、10日ごろから複数回にわたり針路を変更して周辺海域にとどまっている。同船はもともと「補給」目的でスリランカに寄港すると説明されていた。

ハンバントタ港は中国からの資金で開発が進んだが、債務返済に行き詰まったスリランカが2017年に99年間の運営権を中国に引き渡している。援助と引き換えに権益を奪われる「債務のワナ」の典型例だと指摘されていた。

遠望5号は衛星などの観測任務に従事してきたとされるが、インドのメディアは同船が中国海軍の管理下にあるスパイ船だと指摘していた。インド外務省の報道官は7月下旬に同船の入港について「注視する」と述べたうえで、インドの安全や経済的利益を守るうえで「必要なあらゆる手段を講じる」と語っていた。

スリランカ外務省は中国側に「さらなる協議の必要」があるとして、寄港の延期を申し入れたと8日に発表した。中国外務省はインドを念頭に「スリランカに圧力をかけるのは全く道理がない」と反発していた。』

[FT]インド、小売り新インフラ 消費者3億人と結ぶ実験

[FT]インド、小売り新インフラ 消費者3億人と結ぶ実験
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB082OO0Y2A800C2000000/

『筆者がフィナンシャル・タイムズ(FT)で小売業界を取材していた1990年代前半、経営者らは「成功の3つの秘訣」を決まり文句のように唱えていた。「1に立地、2に立地、3に立地」と。当時の小売業はおおむね、立地条件のよい物件を押さえることが重要だった。
インド政府主導で導入されたデジタルインフラ構想は、小規模事業者がアマゾンなどに対抗できる力を持てるようにすることを目指している=ロイター

企業は来客数を予測するため進出する地域の人口構成や経済情勢、インフラを分析するのに多くの労力をかけ、最も有望な物件に巨額の資金を投じた。クモの巣に虫がかかるように、好条件の立地に店舗を構えれば客は自然と集まってきた。

この小売業モデルは潤沢な資金を持つ先行企業に明らかに有利だったが、インターネットの爆発的な普及がこれに風穴を開けた。ネット販売が普及すると店舗の立地は関係なくなった。

米アマゾン・ドット・コムは実店舗を持たずに消費者に商品を直接配送する形態から始まった。小売業の成功の秘訣は「1に物流、2に物流、3に物流」へと急速に変わっていった。
失速したショッピファイ

小売業の次の進化では、消費者向けのブランドを展開する企業や小規模事業者が、従来の小売店や電子商取引(EC)プラットフォームを介さず消費者に直接販売するようになった。

これによってDTC(消費者直接取引)ブームに火がついた。このブームに火をつけたのが革新的なECプラットフォームとして登場したカナダのショッピファイだ。

同社は管理業務や決済、配送インフラなど、小規模の独立系小売業者にとっては資金面で自社での構築が難しい各種サービスを提供し、アマゾンに対抗する存在とみられるようになった。

メガネやサングラス販売の米ワービーパーカーやフィットネス機器の米ペロトン・インタラクティブ、衣料品の米スティッチフィックスといったDTC企業に投資家はこぞって資金を投じた。

こうした企業はソーシャルメディアを通じてブランドの認知度を上げて消費者をひきつけ、商品を直接配送する企業戦略をとった。この作戦はしばらくは順風満帆で、複数のDTC企業が目を見張るような高値で上場を果たしたこともあった。

だが、投資家は今ではDTCという事業モデルそのものに重大あるいは致命的な欠陥があると判断したようで、DTC企業の株価は大幅に下落している。ショッピファイの株価はこの1年で73%下がり、7月26日には全世界の従業員の10%を削減すると発表した。小売業界では次に何が起こるのだろうか。
物価高に広告料金値上げ、DTC企業に逆風

ショッピファイのトビアス・リュトケ最高経営責任者(CEO)は今回の規模縮小は事業見通しを過度に楽観視していたことが原因だと説明している。

ショッピファイは新型コロナウイルス禍から5~10年先までECの成長が持続すると想定し、需要増を見込んで事業拡大を急ぎすぎたという。リュトケ氏は従業員にあてたメモの中で「賭けが実らなかったことが明らかになった」と悔いた。

だが、根拠が薄いにもかかわらず楽観的な長期見通しをしたという説明はDTCのより根深い欠陥を覆い隠してしまう。DTC企業も他の小売業者や消費財メーカーと同様、急激な物価上昇や金利の上昇、消費の減退への対応に苦労している。

さらに、配送料の高騰やサプライチェーン(供給網)の混乱、製造拠点として先行きの不透明感が増す中国に大きく依存しているといった問題を抱える企業も多い。

だが、DTC企業にはこれらに加え特有の圧力もかかっている。フェイスブックが広告料金を値上げしたことで顧客獲得コストが大幅に上昇した。

ソーシャルメディアを通じてターゲット層を特定することも、米アップルがユーザーに「アプリにトラッキングをしないように要求」する選択肢を追加したことで難しくなった。さらに、DTC企業はコピー商品業者との過酷な競争にさらされることもある。

米国のウォルマートやクラフト・ハインツ、ナイキといった小売りや消費財の老舗大企業もDTC取引の手法を採り入れ、(実店舗とECを結ぶ)オムニチャネル化を進めている。

一方でアマゾンは実店舗網を拡大しつつある。アマゾンは厳しい経済情勢から苦境に立たされているが、それでも事業を展開する市場の大半でEC最大手の地位を維持している。

消費者にとってはブランドごとに異なるサイトへ行くよりも一つのプラットフォームで買い物できる方が便利だ。

アマゾンは自ら小売業者としてオンラインで商品を販売する部門と第三者の小売業者が参加して販売できる「マーケットプレイス」の両方を運営しているが、規制当局がこの2つを切り離すために介入する可能性は低い。競合他社が「EC界の巨人」の地位を奪うような状況は想像しにくい。

だが、ビジネスの世界は政治やスポーツと同様、向かうところ敵なしとみえる時こそ最も足をすくわれやすい。誰もがアマゾンを王座から引きずり下ろそうと狙っている。

そうしたなかで、注目すべきはインドの100都市で試験的に導入された「デジタル商取引のためのオープンネットワーク(ONDC)」だ。小売取引のためのデジタルインフラ構想で、インド政府が主導している。

民間の閉鎖されたプラットフォームではなく、数百万もの小規模事業者がサプライヤーや顧客、配送業者につながり、誰もが相互運用可能な共同ネットワークを構築するのが狙いだ。24年末までに3000万の小売業者と3億人の消費者を結ぶという目標を掲げている。

インドIT(情報技術)サービス大手インフォシスの共同創立者でONDCの立案者の一人でもあるナンダン・ニレカニ氏は控えめな表現とはほど遠い人物ではあるが、この計画を「世界で今起きている中で最もエキサイティングな事業変革」と呼んでいる。
インドのデジタルインフラ、小規模事業者にも力

インドは以前から公共のデジタルインフラの整備に力を入れてきた。同国のデジタル個人識別番号制度「アドハー」は13億人が登録している。インド政府が主導して構築し、個人の銀行口座とひも付いた「統合決済インターフェース(UPI)」は7月だけで63億件のオンライン取引を扱った。

ONDCは何百万もある地元の小さな事業者がアマゾンやウォルマート傘下のEC大手フリップカートに対抗できるだけの力を持てるようにすることを目指している。

この実験が成功すれば、小売業界の新たな決まり文句は「1にローカリゼーション(現地化)、2にローカリゼーション、3にローカリゼーション」となるかもしれない。

By John Thornhill

(2022年8月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

スリランカ前大統領、タイに入国へ 経済危機で退陣

スリランカ前大統領、タイに入国へ 経済危機で退陣
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM10CNU0Q2A810C2000000/

『【ニューデリー=花田亮輔】スリランカのラジャパクサ前大統領が、タイに入国する見通しであることがわかった。タイ外務省が10日、明らかにした。ラジャパクサ氏は経済危機に伴う抗議活動の激化により7月にスリランカを出国し、シンガポールに入っていた。

タイ外務省は声明で「スリランカ政府から、前大統領の入国について要請を受けた」と説明した。亡命要請ではなく、ビザなしで90日間の滞在が可能だという。ラジャパクサ氏が11日にシンガポールを出国する予定だと、ロイター通信は報じている。

スリランカでは生活必需品の不足や高騰といった経済危機により、一族で政権の要職を占めてきたラジャパクサ氏らへの不満が高まった。7月には政権退陣を求める多数のデモ隊が、大統領公邸などを一時占拠する事態に発展した。

ラジャパクサ氏はモルディブ経由で同月14日にシンガポールに入り、大統領を辞任した。首相などを務めてきたウィクラマシンハ氏が、同月下旬に大統領に就任している。

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https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGM10CNU0Q2A810C2000000&n_cid=DSPRM1AR08 』

スリランカ、中国「調査船」入港に延期要請 現地報道

スリランカ、中国「調査船」入港に延期要請 現地報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM072BO0X00C22A8000000/

『【ムンバイ=花田亮輔】スリランカが中国の調査船を巡り、南部ハンバントタ港への入港延期を求めていることがわかった。スリランカやインドのメディアが報じた。調査船「遠望5号」は11日から17日までの停泊を予定している。中国船のスリランカ入りを巡っては、隣国のインド側から懸念の声が上がっていた。

地元メディアによると、スリランカ外務省は5日に「本件についてさらなる協議が実施されるまで」入港しないよう中国に求めたという。それまでスリランカ政府は入港について補給目的と説明し、停泊を認める方針を示していた。

スリランカは中国に対する債務の返済に行き詰まり、2017年にハンバントタ港の99年間の運営権を引き渡している。中国から借金をした結果、権益を奪われる「債務のワナ」の典型例と指摘されてきた。

遠望5号は衛星などの観測任務を担ってきたというが、隣国インドのメディアは同船が中国人民解放軍の管理下にある「スパイ船」だと報じている。インド外務省の報道官は7月28日、遠望5号のスリランカ入りの情報について「インドの安全保障や経済的利益に関する全ての動きを政府は注視している」と述べていた。

スリランカでは大統領や首相を歴任したマヒンダ・ラジャパクサ氏のもとで、中国資本による開発が進んだ。最近までマヒンダ氏の弟であるゴタバヤ氏が大統領を務めていたが、22年に入って物価上昇などの経済危機に端を発した政権への抗議活動が激化。ゴタバヤ氏は7月に国外に脱出して大統領を辞任した。

その後、首相や大統領代行を務めてきたウィクラマシンハ氏が大統領に就いた。ラジャパクサ兄弟が「親中派」と指摘されてきたのに対し、ウィクラマシンハ氏は欧米やインド寄りとみられている。

スリランカは中東・アフリカと東アジアを結ぶシーレーン(海上交通路)上の要衝にあたる。』

スリランカ大統領、IMFとの支援交渉「8月中に再開」

スリランカ大統領、IMFとの支援交渉「8月中に再開」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM038NS0T00C22A8000000/

『【ムンバイ=花田亮輔】スリランカのウィクラマシンハ大統領は3日の議会演説で、経済再建に向けた国際通貨基金(IMF)との協議について「8月中に再開する」との見通しを明らかにした。対外債務の返済に行き詰まっている同国はIMFに金融支援を要請しているが、政府に対する抗議活動の激化で7月にラジャパクサ前大統領が辞任に追い込まれるなど混乱が続いていた。

かねて経常収支の赤字に直面してきたスリランカは、4月に経済再建のメドがつくまで対外債務の返済を一時停止すると発表した。6月にはIMFの代表団が同国を訪れ、金融支援について政府関係者らと協議を実施していた。

ロイター通信によると、ウィクラマシンハ氏は3日の演説で「近くIMFに債務再編計画を提出する」と表明した。「大統領は王や神である必要はない」とも述べ、大統領権限を縮小する憲法改正に前向きな姿勢も示した。

スリランカでは経済危機をきっかけに、政府の要職を一族で占めてきたラジャパクサ前政権に対する不満が高まった。7月には抗議デモ隊が大統領公邸などを一時占拠し、ラジャパクサ氏は国外に脱出して大統領を辞任した。首相などを務めてきたウィクラマシンハ氏が、同月20日に議会投票で新大統領に選出されていた。

同国では新型コロナウイルスにより観光業が低迷し、外国人観光客の減少で外貨準備高が急減した。ロシアのウクライナ侵攻に伴う国際商品市況の悪化なども重なり、輸入品を中心とした生活必需品の不足や高騰が続いている。主な指標であるコロンボ消費者物価指数の7月の上昇率は、前年同月比で60.8%を記録していた。

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