フィリピンの軍事訓練義務化法案 大学生が反発

フィリピンの軍事訓練義務化法案 大学生が反発
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1126I0R10C23A5000000/

 ※ どこの国も、「少子化」だから、「軍隊」の頭数を揃えるのに、「四苦八苦」だ…。

『フィリピンで大学生の軍事訓練義務の復活が注目されている。マルコス大統領は中国との衝突の可能性に備えるため訓練を義務化する立法を目指すが、学生や大学関係者らは反発している。

フィリピンと中国の間で南シナ海を巡る緊張が高まるなか、政権は若者の軍事訓練が国の安全を守るために不可欠だとする。2022年7月、マルコス大統領は「国防の準備」のために予備役将校訓練課程(ROTC)を復活させると説明した。

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『ROTC法案は現在上院で審議中で、ロナルド・デラロサ上院議員とシャーウィン・ガチャリアン上院議員が主な支持者だ。同法案は高等教育を受ける学生に2年間の訓練を義務付ける。主に士官候補生が軍事的なサバイバルやリーダーシップのスキルを学ぶことを目的とする。訓練は週に1、2回で、ライフルの使い方や近接戦闘などを経験する。

デラロサ氏は声明で「我々の国は準備がなければ簡単に乗っ取られてしまう。戦争になるのを待つのではなく行動を起こそう」と呼びかけた。ROTCは3年間で10億9000万ドル(約1500億円)の予算を計画している。ガチャリアン上院議員が4月に委託した調査では約78%の回答者がROTCの復活に賛成した。

強制訓練に対する抵抗の背景には過去の事件がある。01年、ROTCの士官候補生だった聖トマス大の学生が、暴力と腐敗を暴露した数日後に殺害された。19年には別の学生が将校からいじめに遭い、殴られて死亡したとされる。

フィリピン大学の社会学教授であるサラ・レイムンド氏は、ROTCは中国への対抗ではなく「正当な反対意見」を封じるための軍拡の取り組みだという。青年活動家グループ「アナクバヤン」のジーン・ミランダ会長は「教室を増やして教育を向上させるのではなく、若者を弾圧する教育に力を注いでいる」と批判した。

聖トマス大学で学生会会長を務めるネイサン・アグスティン氏はROTCには暴力や虐待の危険性があると主張する。「学生が危険な目に遭うかもしれないと思うと、怖くて仕方がない」

(寄稿 マニラ=マイケル・ベルトラン)』