バイデン氏、G7サミット出席へ 豪州・パプア訪問は中止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16E850W3A510C2000000/
『【ワシントン=坂口幸裕】米ホワイトハウスは16日、バイデン米大統領が19〜21日に広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)後に計画していたパプアニューギニア、オーストラリア訪問を取りやめると発表した。G7サミットには予定通りに出席する。18日の日米首脳会談を含む訪日中の日程に影響はないもようだ。
バイデン氏は米連邦政府債務の上限引き上げを巡る協議が難航すれば、出張計画に影響が出る可能性がある…
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『米国の与野党対立が米国の首脳外交に波及する事態に発展した。
ジャンピエール米大統領報道官は16日の声明で「G7サミット終了後の21日に米国に戻り、デフォルト(債務不履行)回避のために議会が行動を起こすよう議会指導者と会談する」と記した。
バイデン氏は16日、アルバニージー豪首相と協議して訪問を延期すると伝えた。アルバニージー氏を米国に国賓で招待する意向も示した。日程は米豪両政府で調整する。パプア政府にも今回の訪問を取りやめると伝達した。
G7サミット後、バイデン氏は現職の米大統領として初めてパプアを訪れ、その後に日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」の首脳会合に参加するためオーストラリアのシドニーに移動する予定だった。
ホワイトハウスの声明で「同盟関係を立て直し、クアッドのようなパートナーシップを推進することは大統領にとって引き続き重要な優先事項だ」と指摘。「世界の安定と繁栄を促進するために欠かせない」と訴えた。豪州やパプア、太平洋諸国の指導者とかかわっていく方策を検討していくと強調した。
米財務省は6月1日にも資金繰りが行き詰まり、デフォルトに陥ると警鐘を鳴らす。財政改善に向けた歳出削減策を協議したい共和の主張をバイデン政権が拒む事態に陥っており、膠着を打開できるメドは立っていない。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は16日の記者会見で、デフォルト回避が「大統領にとって最優先事項だ」と強調。「ロシアや中国のような国は米国がデフォルトに陥るのを望んでおり、そうなれば米国が安定した信頼できるパートナーではないと指弾する」と指摘した。
G7首脳はサミット期間中に広島平和記念資料館を訪れる。カービー氏は「バイデン氏は広島に投下された原爆で犠牲になった罪のない人々の命に敬意を表する」と語った。現職の米大統領が被爆地・広島を訪れるのは2016年5月のオバマ氏に次いで2人目になる。
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G7と世界 変わるパワーバランス
G7広島サミット
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察 インド太平洋地域の諸国は、米中対立の激化に巻き込まれることも懸念していますが、一方で、米国の地域への関与が低下することも懸念してます。中国との経済関係は継続したい一方で、中国だけの強い影響下で暮らすことを望んでいないからです。その意味で、バイデン大統領が日本でのG7をキャンセルしなかったことはグッドニュースですが、パブアニューギニアと豪州訪問のキャンセルは残念でした。これによって、米国が国内の分断によってインド太平洋地域での求心力が低下するという図式への各国の懸念が、さらに深まることになりそうです。
2023年5月17日 9:05いいね
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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分析・考察 外務省が16日公表した広島サミットの日程には、平和記念公園が2回出てくる。まず、サミット初日の19日に岸田首相が平和記念公園で参加各国の首脳を出迎える。最終日の21日には岸田首相と招待国首脳が平和記念公園を訪問する。連邦政府債務上限引き上げを巡る緊迫した交渉が続く中でも来日することになったバイデン米大統領は、パプアニューギニアと豪州の訪問はとりやめて、帰国を早めることになった。現時点ではサミット参加日程に影響はないようだが、債務上限を巡る交渉の展開次第では途中で切り上げて帰国するケースも考えられる。その場合でも、広島で平和記念公園を訪れた実績は最低限残るスケジュール設定である。
2023年5月17日 7:52』