アメリカのCBDCの呼び水、FedNowが7月から稼働

アメリカのCBDCの呼び水、FedNowが7月から稼働
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/31521997.html

『各国の中央銀行が発行するデジタル通貨、CBDC(Central Bank Digital Currency)のアメリカ・ドル版が、いよいよ7月から運用が始まります。アメリカ経済の裏付けがあり、政府が発行するデジタル通貨なので、仮想通貨と呼ぶのは不適切でしょう。ここは、一般的に広まっていませんが、暗号資産と呼ぶべきかと思います。FedNowは、その決済部分を請け負うシステムで、CBDC導入の先駆けになるものです。

中央銀行が発行するデジタル通貨なので、納税に使えます。結局、法定通貨と仮想通貨の、一番の大きな違いというのは、それで納税が可能かどうかです。仮想通貨が、ある意味フリーで、価格がジェット・コースターのように乱高下しているのは、その価値に裏付けが無いからであり、そうである以上、納税する時の通貨としては、使用不可能です。

通貨の一般的な機能としては、価値の尺度、交換・流通の手段、価値貯蔵手段の提供があります。逆に言えば、それが担保されていれば、仕組みは、どうでも良くて、どんな方法でも通貨たりうるのですが(実際、ローカル通貨という特定の地域でしか通用しないポイントみたいな通貨もある)、各自勝手に発行した通貨は、納税にだけは使えません。アメリカが新大陸に建国した直後は、各地の銀行やら資本の大きい大企業が、政府の認証を受けて、勝手に通貨を発行して、種類が数千種類もありました。これらは、流通通貨と言われて、価値がそれぞれ違うので、流通通貨同士でも両替しないといけないという、信じられないような非効率な事をしていました。政府発行の唯一の合法通貨であるドルに統一されるのは、法律が制定されて、流通通貨が禁止されて後の話になります。

この状態というのは、ホワイト・ペーパーで、創立の主旨さえ説明すれば、誰でも勝手に新しい通貨を作る事ができる仮想通貨の世界と同じです。前段で説明したように、通貨というのは、3つの機能を満たしていると、利用する人が信じる事ができれば、成立します。国が認めようと、認めないと、関係ありません。だから、何千種類もあるし、詐欺通貨も多いのです。納税する為には、それでは困るので、国が認定する法定通貨しか使えません。デジタル通貨で、納税に使えるのは、国が発行したCBDCだけです。

CBDCが使えるようになると、銀行の営業時間に縛られる資金の移動や決済が、24時間・365日になります。外貨送金する時の手数料も、比べ物にならないくらい安くなるはずです。そして、国家が通貨の発行と管理に使っている莫大な費用が、必要なくなります。もちろん、しばらくは併用するでしょうし、停電があった時に使えないでは、通貨として瑕疵があるので、完全には無くならないでしょうが、流通すれば、現在の「現金」に比べて、その利便性の高さとコストの安さは、明らかなので、普及に関しては、まったく心配がいらないと思われます。

まぁ、代わりに、銀行の存在意義が、かなり縮小しますので、金融の世界で革命に近い改革が起きるのは、避けられないでしょう。ネットバンク程度で、既存の銀行はヒーヒー言ってますので、競争力の無いところは、市場から消えると思われます。

面白いのは、仮想通貨の代名詞である基幹技術のブロックチェーン技術は、使用していないのですね。中央集権型の価値の裏付けがある通貨の場合、流通にブロックチェーン技術を使う必要は、必ずしもありません。なので、暗号資産と呼んで分けて考えた方が良いです。確かに、通貨の価値担保に、中央銀行が出てきて保証する場合、ブロックチェーンという冗長なシステムを使う必要は無いわけです。

この次世代の決済システムのFedNowは、FRBが提供する決済システムで、CBDCの前準備に当たる位置づけです。実際にデジタル・ドルに相当する通貨が、供給されるまでには、ハードルがありますし、まずアメリカ議会で法案を通す必要があります。』