NATO事務総長「東京拠点新設」表明 日韓豪と連携

NATO事務総長「東京拠点新設」表明 日韓豪と連携
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR10EG60Q3A510C2000000/

『【ブリュッセル=辻隆史】北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は10日の米CNNのインタビューで、東京に連絡事務所を新設するために日本政府と協議していると明らかにした。中国への対応を念頭に、インド太平洋地域への関与を強める考えを示した。

日本とNATOは2024年中の事務所設置に向けて調整している。ストルテンベルグ氏は「日本はNATOにとって非常に緊密で重要なパートナーだ」と述べ…

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『ストルテンベルグ氏は「日本はNATOにとって非常に緊密で重要なパートナーだ」と述べた。

日本に加え、韓国、オーストラリア、ニュージーランドとの連携を広げる重要性を改めて強調した。東京の事務所をその足がかりとする。

NATOは中国を「体制上の挑戦」と位置づける。NATO幹部は中国が近年、インターネット上のサイバー攻撃や偽情報の拡散に深く関わっていると危機感を強めている。地理的な制約のないサイバー攻撃などは、欧州を中心に部隊を展開する軍事同盟にも重大なリスクとなるとみる。

ストルテンベルグ氏は「安全保障はもはや地域的ではなくグローバルな問題だ」と訴えた。NATOは日本などの非加盟国と新たな協力計画をつくる作業を進めている。サイバーや偽情報、宇宙といった安全保障の新領域で具体的な協調策を練る。

同氏はウクライナ侵攻を続けるロシアと中国の協力関係にも警戒感をあらわにした。「ウクライナで何が起こるかは、中国が例えば台湾に関してめぐらせている算段に実際に重要だ」とも指摘した。ロシアが勝利した場合は、中国が台湾に対してより強硬な対応にでかねないと分析した。

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益尾知佐子
九州大学大学院比較社会文化研究院 教授
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分析・考察 ロシア=ウクライナ戦争を経ての変化です。中ロ両国は戦争開始前から反米で合致してはいたのですが、今年3月の共同声明でさらに踏み込み、他国の主権や安全保障を守らないのはNATOだ、と「ルールに基づく秩序」を掲げる勢力への対抗姿勢を明確にしました(ウクライナに侵攻しているのはロシアなのに)。
今、世界は明らかに流動期に入り、どの国も新秩序の中で不利にならないよう競争しているわけですが、だんだんと新秩序の構造が定まってきたようです。シンプルに言えば、それは2つの中心(自由主義先進国と中ロ)を持つ楕円型になるのでしょう。アジアとヨーロッパの安全保障は、この構造の中で一体性を強めています。
2023年5月11日 9:02 (2023年5月11日 9:03更新)
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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ひとこと解説 NATOと日本を筆頭とするアジア太平洋のパートナー国との安全保障協力は、これまでも着実に進展してきました。サイバー空間や偽情報、そして宇宙などの新領域での安全保障の脅威が深刻化してきたこと、さらには先進技術とサプライチェーン協力など、地理的には遠い両者が協力すべき分野が拡大してきたことが背景にあります。それに加えて、ロシアと中国という地政学的なライバルの連携の動きが、NATOが東京に拠点を構え、インド太平洋のパートナーとの連携の緊密化を図る後押ししたと思われます。航空自衛官としてベルギー防衛駐在官(兼NATO連絡官)を歴任した長島純さんの以下の論考が参考になると思います。
https://www.spf.org/iina/articles/nagashima_15.html
2023年5月11日 8:06 』