米政府、不法越境者の再入国を制限 12日から移民新規制
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN091BM0Z00C23A5000000/
『【シウダフアレス(メキシコ北部)=清水孝輔】米政府は12日、不法移民対策の新規制を導入する。不法入国者には難民申請の資格を認めず、再入国を最低5年間禁止する。新型コロナウイルス対策という名目で導入した即時送還措置「タイトル42」の失効に合わせ、厳しい規制を設けて不法越境の抑制を狙う。
トランプ前大統領は2020年、コロナ対策という名目でタイトル42を導入した。コロナの緊急事態宣言が終了するのに伴…
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『コロナの緊急事態宣言が終了するのに伴い、米東部時間11日23時59分にタイトル42が失効する。タイトル42の終了後は「タイトル8」と呼ぶ通常の移民対策を適用する。移民はスマートフォンのアプリを通じて難民申請を届け出る必要がある。
米政府は難民申請の条件を厳しくする。移民が米国をめざす過程でメキシコなど他の国を通過した場合、経由国でも難民申請を出したことを示すように求める。難民申請が認められない場合、メキシコや母国への送還措置を受け、米国には最低でも5年間再入国できなくなる。禁止期間に再び米国への越境を試みて拘束されると、罪に問われる可能性がある。
メキシコ北部の国境都市シウダフアレスの移民保護施設で責任者を務めるフアン・フィエロ氏は「多くの移民は新規制を理解していない。米国に入国しやすくなるという誤情報が拡散している」と指摘する。マヨルカス国土安全保障長官は10日、記者会見で「タイトル8の適用は不法移民にとってより厳しい結果を意味する」と強調した。
バイデン米大統領は9日、メキシコのロペスオブラドール大統領と移民対策について電話協議した。メキシコはタイトル42で送還対象となる自国以外の中南米出身者を部分的に受け入れてきた。メキシコはタイトル42の失効後も、南米ベネズエラやカリブ海のキューバなど一部の国の出身者を受け入れる見通しだ。
移民問題は24年の米大統領選で大きな争点の1つになっている。米共和党はバイデン政権の移民対策が不十分だと批判してきた。大統領選への再選出馬を表明したバイデン氏は移民に対して厳しい措置をとることで、共和党からの批判をかわす狙いがある。
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