現職、野党候補が横一線 14日のトルコ大統領選

現職、野党候補が横一線 14日のトルコ大統領選
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023050800733&g=int

 ※ 今日は、こんな所で…。

『【イスタンブール時事】14日投開票のトルコ大統領選挙は、続投を目指すエルドアン大統領と野党側のクルチダルオール候補による事実上の一騎打ちで、両候補への支持は拮抗(きっこう)している。これまでの選挙で勝利を重ねてきたエルドアン氏は大きな試練に直面。選挙戦は終盤を迎え、一段と白熱している。

シリア難民政策も争点 エルドアン政権「帰還」に傾斜―トルコ大統領選

 3日に公表された調査会社ORCの世論調査によると、大統領選での支持率はクルチダルオール氏が48.0%で、エルドアン氏の44.6%を上回る。ただ、支持率が10ポイント以上離れていた3月の同社調査に比べて差は縮まり、エルドアン氏を「優勢」とみなす別の調査もある。

 エルドアン氏は7日、イスタンブールで「170万人」(本人主張)規模の集会を開き、20年以上にわたる長期政権下での実績や2月の大地震からの復興推進などを誇示。反政府武装組織とのつながりが指摘されるクルド系政党の支持を受けるクルチダルオール氏は「テロリストと協力している」と断じ、聴衆に自身への結束した支援を求めた。

 クルチダルオール氏も6日、イスタンブールでの大規模集会でマイクを握り、大統領になれば「正義や国民の権利を守ると約束する」と訴えた。クルチダルオール氏は選挙戦で、エルドアン長期政権下での自由の抑圧や縁故主義まん延を非難している。

 一方、東部エルズルムでは7日、野党の選挙集会に石などが投げ込まれ、複数の負傷者が出た。各地で支持者同士の衝突拡大が懸念されている。

 14日は議会選の投票も行われる。エルドアン氏のイスラム系政党・公正発展党(AKP)などの与党連合と、クルチダルオール氏が率いる中道左派の最大野党・共和人民党(CHP)を中心とする野党陣営が過半数を争う。 』

アルゼンチン、ドル流出抑制へ人民元決済 通貨安加速で

アルゼンチン、ドル流出抑制へ人民元決済 通貨安加速で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN040310U3A500C2000000/

『【サンパウロ=宮本英威】南米アルゼンチンで通貨ペソの下落に歯止めがかからない。世界的なドル高と干ばつでインフレが加速し、通貨安が一段と進んだ。中央銀行は政策金利を91%まで引き上げたが効果は乏しい。政府はドルの流出を抑えようと、中国からの輸入に対して人民元決済を導入した。ドル高対策の人民元決済はマレーシアも導入拡大を検討している。

アルゼンチン政府は4月26日、中国からの輸入品の決済をドルから人…

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『アルゼンチン政府は4月26日、中国からの輸入品の決済をドルから人民元に切り替えると発表した。4月は10億4000万ドル(約1400億円)相当を、5月以降は7億9000万ドルを人民元で支払うという。中国はアルゼンチンにとって最大の輸入相手で、全体の2割強(2022年に約175億ドル)を占める。

通貨ペソの公式レートは1ドル=220ペソ程度と、年初から2割以上、ペソ安・ドル高が進んだ。実態はより深刻だ。外国人向けのレストランや土産物店で用いられている非公式の相場は460ペソ程度で、価格差(スプレッド)は240ペソ程度と、1年前の80ペソ程度から広がっている。

マサ経済相は「我が国が用いることができるあらゆる手段を使う」と述べ、通貨防衛に必死だ。5日時点で外貨準備高は340億ドルと、16年10月以来の低水準にある。人民元決済でドルの流出を抑え「外貨準備の増強につながる」(マサ氏)ことを期待する。

ドル高対策の人民元決済導入は他の新興国にも広がりそうだ。ブルームバーグ通信によると、マレーシアが中国との貿易の決済への導入について検討を始めた。アンワル首相は「我々がドルに依存し続けなければならない理由はない」と話す。

アルゼンチンの通貨安はもともとの財政の脆弱さに、主要産業である農業が干ばつで打撃を受けたことと、米連邦準備理事会(FRB)による利上げでドル高が進んだことが原因だ。

アルゼンチンは農業依存型の経済構造や歴代政権の放漫財政がたたり、財政破綻とデフォルト(債務不履行)を繰り返してきた。直近では22年に国際通貨基金(IMF)と債務再編で合意したが、財政赤字の規模や外貨準備の積み上げで約束した目標の達成に赤信号がともる。

今年に入って深刻化した干ばつについて、フェルナンデス大統領は「過去1世紀で最も深刻」と訴える。主力の大豆、トウモロコシ、小麦などの生産量が今年度は1年前に比べて3〜4割減る見通しだ。3月の消費者物価指数は前年同月比104.3%上昇と、過去30年で最も高い水準で推移している。

ペソの対ドル相場はFRBが利上げを開始した22年3月以降下げ足を速めており、「強いドル」の痛みが直撃している。

急激なドル金利の上昇は、預貸の逆ざやや保有する債券価格の下落に直面した米地方銀行の経営不安に発展し、預金流出で複数の地方銀行が破綻した。欧州ではクレディ・スイス・グループが救済買収された。

市場は「弱点探し」に動いており、マクロ経済が脆弱なアルゼンチンも標的になりやすい。中央銀行は4月20日、同27日に、政策金利をそれぞれ3%、10%引き上げた。1週間で2度、計13%の大幅利上げに動いて政策金利は91%まで上昇したが、通貨安の歯止めには大きな効果を発揮していない。

格付け会社フィッチ・レーティングスは3月下旬、アルゼンチンの外貨建て格付けを「CCCマイナス」から「C」に引き下げた。同国政府が公的機関に対して、保有する一部のドル建て国債の売却または交換を義務付けたことを受けた。

今後は、債務再編を巡る条件の修正に向けてIMFとの再交渉が必要になるとの見方が強まっている。今年10月に大統領選と議会選が迫り、与党が人気取りのばらまき策に出る可能性など、政治の混乱も懸念される。再びデフォルトという事態になれば世界経済の混乱要因になりかねない。

【関連記事】

・アルゼンチン中央銀行、政策金利81%に インフレ加速
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鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察 非常に興味深い状況。一方でドルの流出を止めることが目的でドルを使わず貯めるという選択をし、他方で中国との取引の決済には人民元を使う、という二つの点で興味深い。一つは、利上げによってドルが強くなっただけに、ドルを温存しようとする、すなわちドルへの依存を十分に認識しているという点。もう一つは、中国との決済には人民元が使えるほど人民元の準備高があること。これをもってドルの覇権が中国に移るということでは全くないが、ドルの強さと人民元の流通量を見るうえでは興味深い。また、グローバルサウスの雄であるアルゼンチンも金融の世界では、今までと変わらないという点も。

2023年5月8日 22:17いいね
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柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察 中南米諸国はドル化の恩恵を受けてきた半面、常にドルの流出に悩まされてきた。だからこそアルゼンチンのように中国との貿易で人民元決済を導入しようと考える。ただし、それは人民元がドル覇権に対する挑戦にはならない。中南米以外の国でも、マレーシア、サウジなども中国との貿易で人民元決済の導入を検討している。なぜそれはドル覇権に対する挑戦にならないのか。マレーシアとアルゼンチンの貿易で人民元決済を導入していないからである。これは外国人が我々中国人と中国語で会話する人が増えても、中国語の国際化を意味しない。なぜならば、外国人同士の会話は英語の割合が圧倒的に高いからだ。

2023年5月8日 6:52 』

[FT]マレーシア、ファーウェイの5G採用も 欧米は警告

[FT]マレーシア、ファーウェイの5G採用も 欧米は警告
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB089JW0Y3A500C2000000/

『マレーシア政府が高速通信規格「5G」の導入に向けた通信インフラの整備で、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)の技術を採用する可能性が出てきた。これに対し、欧州連合(EU)と米国が国家安全保障や外国投資上のリスクが大きいと警鐘を鳴らしている。

マレーシア政府は2021年、110億リンギ(約3400億円)規模の5Gネットワーク整備計画の入札で、国営企業のパートナーにスウェーデンの通信機器大手…

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『マレーシア政府は2021年、110億リンギ(約3400億円)規模の5Gネットワーク整備計画の入札で、国営企業のパートナーにスウェーデンの通信機器大手エリクソンを選んだ。だが、22年12月に発足したアンワル新政権がその見直しを表明していた。

これを受けて米国とEUの駐マレーシア大使が4月、マレーシア政府に送った書簡をフィナンシャル・タイムズ(FT)が入手した。

5Gの見直し作業はアンワル首相が安定政権を築けるかどうかの試金石であると同時に、マレーシアが欧米と中国との関係を両立できるかを試される場にもなっている。

米国は事実上の禁輸措置を科すエンティティー・リストにファーウェイを加えたが、ファーウェイはマレーシアの5G参入を目指し激しいロビー活動を展開している。

駐マレーシア米国大使のブライアン・マクフィーターズ氏は書簡の中で、マレーシアが当初の計画を見直せば「国家安全保障上のリスクが高まる」と警告した。

同氏は「当初計画を覆せば新たな通信産業は競争力を失い、5Gの成長が遅れる上、企業を優遇するというマレーシアの国際的イメージにも傷が付く」と記した。

EU大使のミカリス・ロカス氏は、契約を変更すれば「当初の公開入札時の契約条項に違反する可能性が高い」と述べた上で、EUの対マレーシア投資は250億ユーロ(約3兆7700億円)を超え、欧州企業は「政策の透明性を最重要視している」とクギを刺した。

さらに、いかなる契約変更も「入札で選ばれた企業に悪影響が及ぶだけでなく、EUの投資家、とりわけ信頼できる5G運営業者が不可欠なハイテク企業にとってマレーシアの魅力が大きく損なわれる」とけん制した。

By Mercedes Ruehl

(2023年5月2日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2023. All Rights Reserved. FT and Financial Times are trademarks of the Financial Times Ltd. Not to be redistributed, copied, or modified in any way. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translation and the Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

トルコリラに「二重相場」 選挙後に急落予想も

トルコリラに「二重相場」 選挙後に急落予想も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR02BA70S3A500C2000000/

『トルコの街中にある両替店でリラ安が進んでいる。当局がリラ安を防ぐために規制や介入を強める銀行間のレートより対ドルで5%安く、一種の「二重相場」になりつつある。当局のリラ防衛は14日の選挙をにらんだものとみられるが、選挙後は急落を免れないとの見方も広がっている。

4月下旬、イスタンブール旧市街の観光名所でもあるグランドバザールでは、1ドル=20リラ台(中値)でリラの売買が行われていた。19リラ台の銀行間レートより5%程度のリラ安だった。あるベテラン両替商は「ドルの需要がそれだけ高まっているということだ」と語った。

土産物を求める観光客であふれるグランドバザールは伝統的な外貨や貴金属の取引市場で、かつては価格形成の中心地だった。今も携帯電話を手にした仲買人らが立って大口取引を行う一角があり、全国の街中の両替店はグランドバザールの大手の価格を参考にしている。
進むリラ安、為替損で企業に打撃

なぜ銀行レートとの間で差が広がっているのか。ある民間大手銀の支店長は「中銀や財務省から毎週のように指示が来る」と事情を明かす。銀行はリラ相場安定のため、預金の60%以上をリラにする目標が課せられ、顧客のドル買いを延期させるよう求められることもあるという。

ロイター通信は銀行業界の話として、中銀の外貨準備高が4月中下旬の1週間で50億ドル(約6800億円)減少したと報じた。国営銀行を通じ、間接的なリラの買い支えを行ったためとみられる。

リラは年初から4%安と軟調ながら、1年間で数十%下落することも珍しくなかった近年の値動きと比べれば安定しているようにみえる。ただ、当局の影響力が及ばない街中の両替店ではリラ安が進行しているもようだ。

外貨取引を抑制するため、銀行間レートでは売値と買値のスプレッドも拡大している。両替店では差が1%台にとどまるのに対し、7%を超える銀行もある。大手銀の支店長によると、スプレッド拡大も当局の指示だという。

輸出企業からは悲鳴の声がもれる。日本企業との合弁の素材メーカー担当者は「もともと数%しかない利益が吹き飛ぶ」と話す。リラ安定策の一環で、輸出企業は稼いだ外貨の40%を中銀に売却する義務がある。原材料の調達に必要なドルを買い戻す際の為替損が大きくなるという。

当局がリラ防衛にやっきになるのは、14日に行われる大統領選・議会選のためだ。足元で50%を超える高インフレでエルドアン大統領への批判は強まっている。世論調査では野党候補と接戦で、再選は予断を許さない。選挙前、さらなる物価上昇につながる為替下落は避けたい思惑がある。
エルドアン政権のリラ防衛策に限界も、選挙後に急落の恐れ

ただ、こうしたリラ防衛策は長続きしないとの見方が強い。米シティバンク、JPモルガンなどの海外金融機関は、選挙後は結果にかかわらずリラが1ドル=20リラ台半ば〜30リラまで下落するとの見通しを示している。足元の相場からの下落率は20%を超える計算だ。

最大の焦点は2021年末に導入した、「為替保護預金(KKM)」だ。リラ定期預金が満期になった時に外貨換算で価値が減少していた場合、中銀や政府が差額をリラで補塡する。直近の残高は2兆リラ(約14兆円)に上り、リラ相場を支えてきた。

野党は金融・財政政策を「正統派」に戻すべきだと主張しており、政権交代すればKKMは早期に終了する公算が大きい。財政負担が重いため、エルドアン氏が続投する場合でもいずれ縮小・終了は避けられないとの見方が多い。

(イスタンブール=木寺もも子)』

中国外相、米国に関係改善取り組み要求 大使と会談

中国外相、米国に関係改善取り組み要求 大使と会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB088KR0Y3A500C2000000/

『【北京=共同】中国の秦剛国務委員兼外相は8日、米国のバーンズ駐中国大使と会談し、米中関係を正しい軌道に戻すために米側が取り組むよう求めた。中国外務省が発表した。台湾問題では強くけん制したが、米中の対話再開に意欲を示した。

秦氏は、昨年11月の米中首脳会談後、「米側の一連の誤った言動が前向きな勢いを壊した」と批判。「当面の急務は、関係を安定させて下降のスパイラルを避け、中米間でアクシデントが起きるのを防ぐことだ」と訴えた。

台湾問題では「台湾独立勢力」を支持しないよう米側に求め「中国のレッドラインを尊重すべきだ」と強調した。』

中国・中央アジアが初の首脳会議 習主席主催、18日から

中国・中央アジアが初の首脳会議 習主席主催、18日から
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM082IM0Y3A500C2000000/

『【北京=田島如生】中国外務省は8日、陝西省西安市で18、19両日に中国と中央アジア5カ国の首脳会議を開くと発表した。初めての開催で、習近平(シー・ジンピン)国家主席が主催する。中国の広域経済圏構想「一帯一路」などについて話し合う。

中国外務省によると、首脳会議では習氏が演説するほか、各国首脳と政治文書に署名する。汪文斌副報道局長は記者会見で「各方面の共同努力のもと、中国・中央アジア協力の新時代を…

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『汪文斌副報道局長は記者会見で「各方面の共同努力のもと、中国・中央アジア協力の新時代を切り開く」と述べた。

参加するのはウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの首脳。カザフはウラン、トルクメニスタンは天然ガスなどの埋蔵量がいずれも豊富だ。中国は会議を通じて天然資源の安定確保につなげる狙いもある。

習指導部は中央アジアを一帯一路の要衝と位置づけて関係を重視してきた。習氏は2022年9月、新型コロナウイルスの感染拡大後で初めての外遊先にカザフを選んだ。

中央アジア5カ国は旧ソ連圏でもともとロシアの影響力が強い。ただ、同じ旧ソ連圏のベラルーシと異なり、ロシアによるウクライナ侵攻には協力せず、一定の距離を置く。中国はこうしたロシアの影響力の低下も踏まえ、中央アジアへの関与拡大に動いている。

5カ国のうちトルクメニスタンを除く4カ国は中ロが主導する地域協力組織「上海協力機構(SCO)」に加盟している。SCOが5日にインドで開いた外相会合では中ロが反米欧の姿勢を鮮明にした。』

中国外相、ドイツ・フランスなど訪問へ 安保や経済協議

中国外相、ドイツ・フランスなど訪問へ 安保や経済協議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0885R0Y3A500C2000000/

『【北京=田島如生】中国外務省は8日、秦剛国務委員兼外相が8〜12日にドイツ、フランス、ノルウェーを訪問すると発表した。ベーアボック独外相やコロナ仏外相らと会談し、安全保障や経済について話し合う見通しだ。

ベーアボック氏は4月に中国を訪れ、秦氏らと会談。記者会見で台湾情勢を巡り「一方的な暴力による現状変更は欧州人にとって受け入れがたい」と述べた。コロナ氏も4月の主要7カ国(G7)外相会合で「力による一方的な現状変更」に反対した。』

米国、サウジ・インドとインフラ構想 中東で反攻狙う

米国、サウジ・インドとインフラ構想 中東で反攻狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN08C7K0Y3A500C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米政府が中東で大規模なインフラ整備の構想をサウジアラビアやインド、アラブ首長国連邦(UAE)と協議していることがわかった。米ニュースサイトのアクシオスが6日報じた。中東で影響力を強める中国に対抗し、米国が地域に関与する姿勢を示す狙いがある。

米ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は7日、サウジ西部のジッダで同国の実力者ムハンマド皇太子や、安全保障を担当…

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『米ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は7日、サウジ西部のジッダで同国の実力者ムハンマド皇太子や、安全保障を担当するインド、UAEの高官と会談した。米政府は声明で「インドや世界とつながり、安全で豊かな中東地域を築く共通ビジョンを進める」と記した。

アクシオスによると、4カ国の協議では中東の湾岸諸国を鉄道網で結び、中東とインドを航路でつなぐ計画が議題になった。2021年に設けた中東のインフラ計画を話し合う米国、インド、イスラエル、UAEの4カ国による枠組み(I2U2)で構想が浮上し、サウジも協議に加わった。

サリバン氏は4日の講演で、I2U2について「基本的な考え方は南アジアと中東、米国を経済技術や外交を発展させる方法で結ぶことだ」と指摘。「すでに多くのプロジェクトが進行中で、数カ月の間に新たなステップを踏み出す」と語っていた。

米シンクタンク米国平和研究所はI2U2を巡り、インド太平洋地域で中国を抑止する日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」になぞらえる。中東版「クアッド」と位置づけ、民間協力を含む水、エネルギー、輸送、宇宙、健康、食糧安保の重要6分野の課題に取り組む。22年7月には初の首脳会合も開いた。

インフラ支援は米政府が描く中東戦略の一環になる。イランを共通の脅威と定め、パレスチナ問題で対立してきたイスラエルとアラブ諸国の連携を志向する。

22年7月にはサウジが基準を満たすすべての民間航空機に領空の飛行を容認した。それまで原則認めていなかったイスラエル機を含み、イスラエルとアラブ諸国の関係強化をめざす米国の方針に沿った措置だった。バイデン氏は「この決定はより統合し、安全で安定した中東地域への道を開く」と評価した。

ただ、サウジとイランの外交正常化によって、地域でイランを孤立させ、イスラエルとサウジが国交を結ぶ思惑の想定が狂った。バイデン氏とイスラエルのネタニヤフ首相とのすきま風もささやかれ、イラン包囲網を築く足かせになる。

米国の影響力低下も懸念材料になる。3月のサウジとイランの関係正常化は中国が主導し、米国は交渉から外された。サウジと中国は中国の広域経済圏構想「一帯一路」で協力を深め、脱石油依存を目指すサウジの経済構造改革「ビジョン2030」でも連携する。

中国は石油消費の7割を輸入に頼る。経済成長の維持にはエネルギーの安定確保が条件で、サウジは重要な輸入相手国になる。世界有数の原油輸出国であるサウジは安定した輸出先の確保と自国産業の育成を重視し、互いにもたれ合う構図が成り立つ。

一方、米国にとって中東の価値は下がった事情もある。シェール革命でエネルギーの自立を実現し、かつて原油を依存していたサウジの優先度は低くなった。人権問題を重視するバイデン政権はサウジに厳しい目を向け、両国関係はぎくしゃくしたまま。中東で足場を築き直すのは容易でない。』

EUが中国企業に制裁検討 対ロ輸出、兵器転用を阻止

EUが中国企業に制裁検討 対ロ輸出、兵器転用を阻止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR08CJ70Y3A500C2000000/

『【ブリュッセル=辻隆史】欧州連合(EU)がロシアのウクライナ侵攻に関連し、中国企業への制裁を検討していることが分かった。ロシアに軍事転用が可能な製品を販売したとして、近く対象企業への制裁案を議論する。実施すれば中国との関係悪化につながるのは確実だ。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が7日に報じ、その後EU関係者が記者団に制裁案の検討を認めた。EUの11回目の対ロ制裁案は、第三国を通じた制裁逃…

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『EUの11回目の対ロ制裁案は、第三国を通じた制裁逃れの阻止を狙う。

EU関係者は8日「ロシアへの輸出を禁じられている製品が、同国やその軍産複合体に渡るのを防ぐことに焦点を当てる」と述べ、新たな制裁の意義を強調した。

FTによると、今回の制裁案には複数の中国企業が含まれる。キング・パイ・テクノロジーといった電子部品を扱うメーカーなどが候補に挙がっている。シノエレクトロニクス、シグマ・テクノロジーなど香港企業も対象となる見通し。

半導体やドローン(無人機)、無線システムなどの製品は軍事への転用が可能なため、米欧はロシアに渡ることを警戒する。ロシアへの直接の輸出を取り締まっても、中国など第三国経由でロシアに輸出されてしまう問題がかねて指摘されていた。

香港のシノエレクトロニクスについては4月、米国の半導体をロシアに輸出している疑いがあると日本経済新聞と英字媒体「Nikkei Asia」が報じている。香港に近い中国・深圳市には半導体や電子部品が取引される市場がある。

キング社などは2022年に米商務省が安全保障上問題のある企業を並べた「エンティティー・リスト(EL)」に加えるなど、米国が制裁対象に指定する。EUも追随する形となる。中国に加え、イランの企業も対象になるもようだ。

EUの制裁対象になった場合、加盟国内での企業資産が凍結される可能性もある。中国企業がEUの制裁対象になるのは初めてとみられ、中国の反発は必至だ。

週内にも欧州委員会の案を加盟国で本格的に議論するが、中国との貿易を重視する国からは慎重論が出るとの見方がある。成立には加盟27カ国の全会一致での承認が必要となる。別のEU関係者は8日「協議は難航するかもしれない」と語った。

【関連記事】

・ロシアが米半導体輸入1000億円 制裁に穴、中国経由7割
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青山瑠妙
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授
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ひとこと解説 この制裁案が成立するためには加盟27ヵ国の全会一致の承認が必要であり、成立するかは微妙である。中国が直接ロシアに武器を提供したという証拠のないことを理由にEUは中国企業への制裁を渋ってきたので、制裁案を協議することになったのは大きな政策転換と言える。ペースは遅いかもしれないが、EUは少しずつアメリカの政策に歩み寄っている。
2023年5月9日 7:11いいね
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説 制裁を課す理由はおそらくロシアへの軍事技術と武器供与を阻止することだろうが、制裁だけでそれを阻止することができない。企業は利益を追求するもので、制裁で被る不利益とロシアへの輸出で得られる利益を比べ、どっちが大きいか。しかもリストに載せられた以上、ロシアへの輸出をやめても、欧米諸国でのビジネスができない。逆に追い込まれてもっとリスキーなビジネスに手を出すかもしれない
2023年5月9日 7:14 』

イラン、地震支援装い銃も陸送か 米軍狙いシリアに

イラン、地震支援装い銃も陸送か 米軍狙いシリアに
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB083JP0Y3A500C2000000/

『【ワシントン=共同】米紙ワシントン・ポスト電子版は7日、流出した米機密文書を基に、2月に大地震に見舞われたシリアへの救援を装い、イランがシリアに銃や弾薬、無人機を陸送していたと報じた。隣国イラクからの支援物資の車列に隠して運び、将来的にシリアに駐留する米軍への攻撃に使う目的だった。これまでに輸送が判明したのは防衛的な軍事部品に限られていたとしている。

ロイター通信は4月、イランが地震発生後に救援物資を空輸する航空機を利用し、シリアに対空防衛システムの改修用部品などを運び込んだと報道。米軍を狙った殺傷力の高い武器の輸送が今回判明したことで、米イランの対立関係が一層こじれる可能性がある。

ワシントン・ポストによると、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」がイラクの親イラン勢力と共に輸送を主導。地震発生翌日の2月7日には、イラクから支援物資を積んでシリアに向かう車列に、銃や弾薬、無人機30機が隠されていた。

トルコとともに大地震に襲われたシリアでは、アサド政権を支援するイランの影響下にある民兵組織が活動。米軍駐留基地に対するロケット弾攻撃などが疑われている。シリアには約900人の米軍が駐留する。』

北アフリカにおける「人の移動」をめぐる複合的問題

第3節 北アフリカにおける「人の移動」をめぐる複合的問題
小林周
https://www2.jiia.or.jp/pdf/research/R01_Global_Risk/05-03-kobayashi.pdf

 ※ .txt変換した。

『(1) はじめに一地中海の「向こう側」
本稿では、中東・北アフリカ諸国の一部において武力紛争や政治変動の連鎖によって国
家機構が脆弱になり、それに伴って国境管理が揺らぎ、移民・難民やテロ、組織犯罪といっ
た越境的な問題が交錯している状況を分析する。また、特に北アフリカ地域では「人の移
動(migration)1」と安全保障問題が深く交差していることから、移民・難民問題の解決の
ためには複合的なアプローチが必要であることを指摘する。
2010年末からの「アラブの春」を契機として、中東・アフリカから欧州を目指す人の移
動は激増した。これにより、「欧州難民危機」、つまり大量の移民や難民が欧州連合(European
Union: EU)諸国に押し寄せ、欧州域内で対応しきれず、政治的•社会的な混乱•変革が発
生する状況や、移動の途上で多くの人命が失われる状況が発生した2。
この問題については「欧州を目指して地中海を越える移民、その過程で脅かされる人命、
押し寄せる移民を受け入れ切れない欧州諸国」という構図から語られがちである3。しか
し、地中海沿岸にたどり着く移民がどこを出発地・経由地として欧州に渡航し(渡航を試
み)、また彼らの移動にどのような主体が関与しているのか、という点を理解しなければ、
問題の全体像は見えてこない。また、移動する人々の出身国、目的国、経由国は様々であり、
問題解決のためには複合的なアプローチが必要となる。
(2) 中央ルートが抱える問題ーリビア情勢のインパクト
中東・アフリカから欧州に至る移動のルートには、①北アフリカからイタリアやマルタ
を目指す中央ルート、②トルコからギリシャやキプロスを目指す東部ルート、③モロッコ
からスペインの飛び地セウタやジブラルタル海峡を目指す西部ルートの3つがある。
「人の移動」をめぐる問題について検討する上では、中央ルート、特にリビアから地中海
を越えるルートに注目する必要がある。その第一の理由は、移動中の死者数の多さである。
国際移住機関(International Organization for Migration: IOM)による地中海を渡る移民の死
者数を見ると、中央ルートが突出している。なお、このデータは確認された死者のみであり、
未確認の死者や地中海沿岸にたどり着く以前に内陸部で死亡した者を含めると、その数は
さらに上昇するとみられる40
中央ルートが重要である第二の理由は、リビア周辺で「人の移動」をめぐる問題にテロ
や越境犯罪といった問題が交錯し、人道・安全保障上の脅威となっているためである。リ
ビアでは、移民が民兵組織や犯罪組織によって拘束され、「奴隷」として売買された挙句に
-229 –
第5章 拡大する移民•難民問題と中東
図1地中海を渡る移民の死者数(ルート別)
口中央ルート ロ東部ルート[□西部ルート
(出所)IOM5
強制労働を課せられる事例が報告されている6。保護者の付き添いもないままに移動する未
成年は、渡航中の強制労働、暴力、性的搾取の危険にさらされ続ける。また、金銭の乏し
い移動者が、渡航斡旋の代金として強制的に臓器を摘出される事例もある7。移動中の死亡、
病気や負傷、食料や水の欠乏といったリスクは指摘するまでもない。
2017年以降、EUの国境管理や移民政策の厳格化を背景として欧州に渡る移民の数は減
少している一方で、移民・難民を取り巻く環境は悪化していると指摘される。地中海を越
えて欧州に入る移動だけでなく、欧州を目指して中東・アフリカ諸国を移動する人々、彼
らを取り巻く政治的・社会的環境を射程に入れなければ、北アフリカにおける「人の移動」
をめぐる問題の全体像はみえてこない8。
(3)人の移動をめぐる問題の複合性
北アフリカでは、紛争、テロ・過激主義、低開発、食糧危機、気候変動、国家による統
治の脆弱化などが絡み合うことで移民や難民が発生し、人の移動がさらなる混乱や衝突を
発生させている。つまり、移民・難民問題は、この地域が抱える複合的な問題の一端でし
かないことを認識すべきである。
国家による統治の脆弱化と国境管理の破綻について検討する上では、「非統治空間
(ungoverned spaces)Jという概念が有効である。「非統治空間」とは、中央政府による統治
がおよばず、政府による法執行や治安維持が十分になされない地理空間と定義される10。
-230 –
第3節 北アフリカにおける「人の移動」をめぐる複合的問題
図2中東•アフリカから欧州を目指す移民の中央ルート
英国外務・英連邦省は、国家が物理的な領域支配能力(physical territory)および明確な主
権や統治(effective state sovereignty and control)を部分的にでも喪失した状況、また国家機
関や法の支配が、完全に、もしくはほとんど機能していない環境において「非統治空間」
が発生すると述べている11。
2011年のリビア内戦以降、過激派テロ組織や犯罪組織は、リビア周辺諸国の国境監視能
力の低下と国境周辺における「非統治空間」の発生を背景として、越境的な移動・輸送経
路を構築した12。また、サブサハラ・アフリカ諸国から欧州を目指す多くの移民が、地中
海への「玄関口」として国境監視の緩いリビアに流入した。現在は、地中海の中央部(イ
タリアおよびマルタ周辺)を通過する移民のほとんどが、リビアを経由するとみられてい
る。
リビアへの密入国が容易であることは、移民の問題と同時にテロ動向にも大きな影響を
与えている。リビアにおける「イスラーム国(Islamic State: IS)」の最盛期(2016年前半)
には、戦闘員の70パーセントが外国人であったとされる。外国人戦闘員の多くは地中海
側や沿岸部からではなく、南部の国境を越えて潜入していた13。構成員の出身国は、北・
西アフリカ諸国の他、湾岸諸国、南・西アジア諸国が確認されている。ISへの加入を目指
-231-
第5章 拡大する移民•難民問題と中東
してリビアに入国した者だけではなく、元々リビア国内にいた移民労働者が加入する例も
あった14〇
さらに、移動するのは人間だけではなく、武器やドラッグ、密輸品も移民と同時に輸送
され、リージョナル、グローバルな脅威となっている。例えば、携行式地対空ミサイル
(Man-portable air-defense systems: MANPADS)については、2011年の内戦によってリビア
から5千〜1万発が中東•アフリカ諸国へ拡散したとみられている15。
2015年6月に発表された「EU戦略レビュー(EU Strategic Review) Jは、「非統治空間」
が国家や地域の不安定化の要因となり、政治暴力や紛争•テロと重なって人の移動を加速
させていると述べる。そのため、特にアフリカにおいては、「開発・治安•移民の問題に対
する統合的な取り組み(development-security-migration nexus)Jが重要だと指摘している16。
欧州の移民関連機関や各国政府は、地中海周辺での国境警備活動に加えて、中東・アフリ
カ諸国に対して非正規移動への対策や国境管理の改善のための技術指導•資材提供、地中
海沿岸での捜索•救助活動といった支援を強化している。
⑷おわりに
本稿では、リビアを中心とした北アフリカ周辺における人の移動をめぐる問題の複合性
とその安全保障上の課題について分析した。
北アフリカ周辺では、域内諸国の政府機能や治安維持の脆弱化によって国境周辺に「非
統治空間」が発生し、ヒト(移民・過激派)やモノ(銃火器・ドラッグ)の越境移動が増
加した。しかし、政治変動や紛争により各国政府には国境警備に割く余力がなく、国際機
関の支援も困難な状況で、今後も移民・難民をめぐる人道状況の悪化が懸念される。
歴史的にみれば、地中海とサハラ砂漠南縁を結ぶ移動の経路は、数世紀にわたり、移民、
商人、放牧民、民族集団など様々な主体によって構築されてきた。他方で、2011年以降の
移民・難民の増加は地域情勢の変化やグローバル化と重なった新たな現象であり、組織犯
罪やテロと連動して地域の政治•治安情勢を不安定化させていることも確かである。また、
地中海やサハラ砂漠を越える途中で多くの人命が失われている事実も軽視されるべきでは
ない。
本稿で示してきた移民•難民をめぐる問題は、地中海沿岸での「水際」の移民対策や国
境警備活動だけで対処しきれるものではなく、根本的には移民の送り出し国・経由国の安
定化や経済開発に向けた支援が必要となる。また、「人の移動」とテロや組織犯罪、武力紛
争といった問題が連動していることから、国際安全保障の観点から問題を分析し、対応し
ていくことの意義も高まっている。今後も国際社会による包括的・持続的な取り組みが求
められていくだろう。
-232 –
第3節 北アフリカにおける「人の移動」をめぐる複合的問題
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16

ー注ー
人の移動における「正規(合法)・非正規(違法)」「移民・難民・避難民」といった分類は自明かつ固
定的なものではないが、本稿では議論をぶらさないために、「人の移動」および「移民•難民問題」と
いう語を用いて分析を進める。墓田桂「「難民問題」の複合性」『国際問題』№.662 (日本国際問題研究所、
2017 年 6 月」5-16 頁 や IOM, Key Migration Terms などを参照。
墓田桂『難民問題』(中央公論新社,2016年);遠藤乾『欧州複合危機』(中央公論新社,2016年)31-32頁。
Douglas Murray, The Strange Death of Europe: Immigration, Identity, Islam, Bloomsbury Publishing, 2017;
UNHCR, “The Sea Route to Europe: the Mediterranean Passage in the Age of Refugees,” July 1,2015 ,
accessed on January 15, 2020.
スーダンやエジプトからリビア東部を経由する移民ルートにおいて、2014年から2016年の間に少なく
とも1,200人以上が地中海沿岸への到達以前に死亡した可能性が高いと報告されている。Colin Sollitt,
“Forgotten Fatalities: the Number of Migrant Deaths Before Reaching the Mediterranean,” Regional Mixed
Migration Secretariat, June 27, 2016 , accessed on January 15, 2020.
IOM, Missing Migrants Project https://missingmigrants.iom.int/region/mediterranean, accessed on December 5,
2019.
Nima Elbagir, Raja Razek, Alex Platt and Bryony Jones, “People for Sale: Where Lives are Auctioned for $400,”
CNN, November 14, 2017 https://edition.cnn.com/2017/11/14/africa/libya-migrant-auctions/index.html,
accessed on January 15, 2020; IOM, “IOM Learns of ‘Slave Market’ Conditions Endangering Migrants in North
Africa,” April 11, 2017 , accessed on January 15, 2020.
Alex Forsyth, “Meeting an Organ Trafficker Who Preys on Syrian Refugees,” BBC, April 25, 2017.
小林周「リビアにおける『非統治空間』の発生——交錯する過激主義組織と人口移動」『反グローバリ
ズム再考 国際経済秩序を揺るがす危機要因の研究ーグローバルリスク研究会』(日本国際問題研究
所、2018年4月)63-76頁;小林周「中東•アフリカからの非正規移動とEUの外交•安全保障政策」『国
際安全保障』第46巻4号(2019年3月)32-47頁。
Medecins Sans Frontieres, “Trading in suffering: detention, exploitation and abuse in Libya,” December 23,
2019 , accessed on January 23, 2020.
小林周「リビアにおける『非統治空間』をめぐる問題とハイブリッド・ガバナンスの可能性」『KEIO
SFC Journal』Vol.18, No.1(慶應義塾大学湘南藤沢学会、2018年9月)256-273頁。
ただし英国外務・英連邦省は、「非統治空間」という用語の使用についてかなりの留保をつけてお
り、その存在を自明のものとすることはできないという立場を取っている。Foreign and Commonwealth
Office, “The Link between ‘Ungoverned Spaces’ and Terrorism: Myth or Reality?,” March 23, 2015 , accessed on January 15, 2020.
Mark Shaw, Fiona Mangan, “Illicit Trafficking and Libya’s Transition,” Peaceworks, Vol. 96, United States
Institute of Peace, April 2014;小林「リビアにおける『非統治空間』の発生」。
Human Rights Watch, “We Feel We are Cursed: Life under ISIS in Sirte, Libya,” May 2016.
小林周「リビアにおける『非統治空間』の発生」63-76頁。
Daryl Kimball, “MANPADS at a Glance,” Fact Sheets & Briefs, Arms Control Association, March 2013
https://www.armscontrol.org/factsheets/manpads, accessed on January 15, 2020; Andrew J. Shapiro,
“Remarks: Addressing the Challenge of MANPADS Proliferation,” U.S. State Department, February 2, 2012
https://2009-2017.state.gov/t/pm/rls/rm/183097.htm, accessed on January 15, 2020.
EU, “Strategic Review – The European Union in a changing global environment,” June 25, 2015.
-233 - 』

続・ヨーロッパ難民危機 ヨーロッパで今、何が起きているのか

続・ヨーロッパ難民危機 ヨーロッパで今、何が起きているのか
https://www.japanforunhcr.org/appeal/4846

『あの時のことを、覚えているでしょうか。
2015年9月 ― シリア人の小さな男の子、アイラン君の遺体がトルコの海岸に打ち上げられ、私たちは、安全に暮らせる場所を求めてヨーロッパを目指す何十万人もの難民の苦しみと危険な海の旅の実態を知ることになりました。2016年3月 ― トルコとEU間の協定※により、ギリシャからバルカン半島を北上しヨーロッパを目指す難民の避難ルートが閉ざされると、トルコから海路でギリシャに上陸する人の数は減りました。しかし、ヨーロッパにおける難民危機は、まだ続いています。
ヨーロッパで今、何が起きているのか ― 。
今号では、ご支援者の皆様から当協会に寄せられた質問にお答えしながら、未だ続く、難民の「ヨーロッパ危機」をお伝えいたします。

※EUとトルコは、トルコからギリシャへの難民流入を食い止めるために、2016年3月20日以降、トルコからギリシャにビザなしで海路から入国する人たちを、トルコに送還することで合意

Greece ギリシャでは…

Qギリシャからバルカン半島を北上するルートが閉鎖された時、さらに先のヨーロッパの国々を目指す多くの難民がギリシャに残っていたと聞いています。この人たちは今どこにいるのでしょうか?

Aこのときギリシャに残っていた人の多くは、ギリシャ政府管轄の避難所に移動し、そこで生活することになりました。UNHCRは政府と協働し、このような人々を保護し、安全かつ尊厳のある暮らしを送れるような生活の場を提供し支援することに注力しています。
政府管轄の避難所のほか、地域社会と協力し、使用されていないホテルや賃貸マンション、キャンプ場なども住居として提供できるよう手配。また、ギリシャに留まっている人たちとヨーロッパ各国へ先に逃れていた家族との再会や、受入れ態勢の整っている他国への移住をサポートするなど、多岐にわたる援助活動を行っています。

Q親や保護者のいない子どもたちの多くが、海を渡ってヨーロッパを目指していたと聞いています。このような子どもたちも、ギリシャにいるのでしょうか?

Aはい、ギリシャには保護者のいない約2000人の子どもたちが留まっており、多くは子どもに特化した支援を受けられる専用の仮設住居で暮らしています。
難民の兄弟
無邪気にかくれんぼをする兄弟。アテネで両親と再会を果たすまでは子どもだけで心細い思いをしていた

子どもたちは拘束されることを恐れ、難民登録に応じようとしないケースも多く、同じ年頃の子どもたちとあてもなく時間をすごし、助けを必要としているのに、どうすればいいのかわからずに途方にくれている子どももいました。UNHCRは、保護や支援に関する情報提供や逃れてきた状況についての聞き取りなどを通して、一人ひとりの精神状態に寄り添う形を探りながら、子どもたちを保護するために支援を行っています。

QUNHCRはギリシャに留まる人のために何か活動をしていますか?

Aはい、下記のような援助活動を続けてきました。
◎ 難民登録のサポート
◎ 保護者のいない子どもたちの登録・支援、はぐれた家族との再会をサポート
◎ 設備が整っていなかったり、受入れ数過多で生活の質が低下している避難所の環境改善
◎ 厳しい寒さになる冬に備えた住居の防寒対策
◎ 避難先での過酷な暮らしを支える生活支援 など

世界から、皆様から、ご支援を受けてできたこと
難民の一家
冬を前にテントからプレハブの仮設住居に移った一家

政府管轄の避難地区以外にホテルや賃貸マンション、ホストファミリーなど 2万人の滞在場所を確保
保護者なしで逃れている子どもに 734の居場所 を確保
約1万人の家族の再会を支援
(2017年末までにさらに2万人が再会できるよう、ヨーロッパ各国に要請)

一方アフリカでは…

Q2015年と比較して、海を渡ってヨーロッパを目指す人は減ったと思うのですが、具体的にどのような状況になっているのでしょうか?

Aトルコからギリシャに海を渡って逃げてくる人は確かに減りましたが、北アフリカからイタリアやスペインに逃れてくる人の数は増え続けています。
たとえば、リビアから命の危険を冒して地中海を渡る人は、2017年だけで9万人以上にのぼり、増え続けています。また痛ましいことに、2360人が行方不明になったり命を落としたとみられています。
地中海の地図:地中海を渡り、ヨーロッパに上陸した人の数の推移

Qヨーロッパを目指すアフリカの難民は、どこから、どのような理由で逃れてきているのですか?

A北アフリカのリビアから船に乗って逃げてくる人が多くを占めます。
救出された難民の生年
青年は、乗っていたボートから投げ出され溺れかけていたところを救助された

大多数はまずはじめに、貧困や紛争にさらされた周辺国から、情勢的にも経済的にも比較的安定しているとされているリビアに逃げてきて生計を立てようとします。しかし、実際はリビア国内の状況は安定しているとは言いがたく、逃れてきた人々は搾取や暴力の対象にされやすく、誘拐される人もいます。このような避難先での命を落としかねない状況から逃れるために、多くの人が命をかけてヨーロッパを目指して海を渡っています。

母国に帰ることはできません。

紛争が続き、私の国では社会の秩序が失われているのです。
― ソマリア難民 ホーダン(33)

QUNHCRはこのようなリビアの状況を変えるために援助活動を行っていますか?

AUNHCRはヨーロッパへの難民の流入に大きく関わるリビアでの支援を拡大し、以下のような活動を行っています。
◎リビアで保護を必要としている難民や、国内で避難を強いられている人々の保護
◎ 同国でもっとも弱い立場に追い込まれている人々の特定、難民登録の仕組みを強化
◎ 横行している暴力から人々を守り、施設や精神的なサポートを用意し保護する取り組み
◎ 難民・国内避難民が必要な医療を受けられるよう支援

また、難民が漂着するイタリアなどでも援助活動を行っています。とりわけ、親とはぐれたり、保護者なしで逃れてきた難民の子どもたちの保護はUNHCRの最優先事項のひとつです。特にイタリアでは、たどり着いた子どものうち94%以上がたった一人で逃げてきた子どもで、子どもの保護においてUNHCRの活動が特に重要な役割を果たしています。

子どもたちの命がけの旅
オマール
保護された後、UNHCRの職員にその厳しい道のりの様子を語るオマール(右)

「食べるものも飲むものもなく、まるで悪夢のようでした」。そう語るのは、母国イエメンの紛争から逃れ、避難途中で所持金を奪われ、サハラ砂漠をさまよい歩き、やっとリビアまでたどり着いた少年オマール(15)。彼はその後一時拘留され、密航業者を頼り海からヨーロッパを目指しました。しかし、乗ったボートが遭難しかけ、なんとか救助されてイタリアにたどり着きました。このように多くの子どもたちは、その旅の途中で何度も命の危機にさらされています。たどり着いた先で子どもたちの心の傷を癒し、未来への希望をつかむ足がかりを用意したい。そのために、UNHCRはヨーロッパにたどり着いた子どもたちの保護にも力を入れて取り組んでいます。

※ここまでの内容は、ニュースレター With You 38号(2017年10月)発行当時の数値・情報を元にしています。

ギリシャ レスボス島 難民キャンプ モリア受入センターでの火災につきまして

2020年9月9日未明、ギリシャのモリア受入センターで大規模な火災が発生し、大部分が焼失しました。死傷者は今のところ報告されていませんが、約12,000人の難民などが住まいと持ち物を失い、至急の支援が必要です。
UNHCRは難民の移送、テントや毛布、寝袋などの緊急援助物資の配布、 保護者の同伴のない子どもの保護などの支援を開始しています(9月10日現在の情報)。

動画:難民キャンプ火災の後、ホームレスとなる庇護申請者たち

難民の試練の旅は今も続いています

中東だけでなく、アフリカやアジアでも、紛争や迫害により、多くの人々が避難の旅を強いられています。平穏な暮らしをしていた人が、ある日突然その当たり前の日常を失い、難民になるのです。

UNHCRは人道支援を最優先に、1人でも多くの難民の命を守るため、食料や医薬品、そして避難所を提供できるよう、難民支援活動を行っています。しかし、増え続ける難民の数に資金が追い付かず、必要な支援が届きにくくなっている状況です。

難民の人々がもう一度安心して暮らせる日まで、私たちの活動に力をお貸しください

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は1950年に設立された国連の難民支援機関です。紛争や迫害により故郷を追われた難民・避難民を国際的に保護・支援し、水や食料・毛布などの物資の配布や、難民キャンプなどの避難場所の提供、保護者を失った子どもの保護や心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。
この国連の難民支援活動を支えるため、広報・募金活動を行う日本の公式支援窓口が、国連UNHCR協会です。

当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は税控除(税制上の優遇措置)の対象となります。

*皆様のご支援は、UNHCRが最も必要性が高いと判断する援助活動に充当させていただきます。』

苦境のアフリカ、欧州へ大移動 スーダンでドミノ倒しも

苦境のアフリカ、欧州へ大移動 スーダンでドミノ倒しも
編集委員 下田敏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM082IM0Y3A500C2000000/

『食料不安や物価上昇で経済困難に直面するアフリカから欧州への移民が急増している。最短ルートである中央地中海からの不法越境者は前年の4倍に膨らみ、移民の出身国でもコートジボワールやギニアなどが目立って増えてきた。スーダンの軍事衝突が長引き、周辺地域が不安定化すれば、ドミノ倒し的にアフリカからの移動が増大する恐れがある。

移民急増で非常事態宣言

イタリアは4月中旬、地中海を渡る移民が急激に増加したとし…

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『イタリアは4月中旬、地中海を渡る移民が急激に増加したとして6カ月間に及ぶ非常事態を宣言した。移民流入で非常事態宣言が出されたのは、中東・北アフリカで民主化要求運動「アラブの春」が起きた2011年以来だ。メローニ政権は非正規移民に厳格な姿勢で臨んでおり、非常事態宣言によって法的手続きなどを簡略にし、滞在資格がない移民の身元確認や本国送還を迅速化する狙いがあるとみられる。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年1〜4月に海路でイタリアに到着した移民は約4万2000人に上り、2018〜20年の年間流入数をすでに上回っている。海を渡る移民は気温の上昇につれて増えるため、イタリアは非常事態宣言という先手を打って移民の流入阻止に動いたとも考えられる。

地中海での「異変」は欧州連合(EU)の国境警備を担う欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス)の報告からもうかがえる。アフリカのチュニジアとイタリアを南北につなぐ中央地中海ルートの不法越境者数は今年1〜3月で約2万8000人に上り、前年同期の約4倍に膨らんだ。この間、ほかの主要流入ルートは前年比でほぼ横ばいか減少であり、中央地中海の突出ぶりがわかる。

地中海ルートでは海難事故が多発する(ボートが転覆して救援を待つ移民、イタリア)=AP

これまでは中東や南アジアからの不法越境者が多く、流入経路も、EU非加盟で審査が緩いセルビアなどにいったん入国し、そこから陸路を歩いて加盟国との国境を越える西バルカンルートが主流だった。中央地中海ルートは多くの移民を乗せたボートが転覆するなど海難事故が多発する危険な行程だからだ。

だが、昨年はロシアによるウクライナ侵攻で、両国産の安価な小麦の輸入が難しくなった北アフリカのエジプトやチュニジアからの流入が増え、中央地中海ルートは前年比51%増になった。今年に入ってからの爆発的な増加はアフリカから欧州への移民流入が本格化したためと映る。

移民の出身国の顔ぶれも変わった。国際移住機関(IOM)によると、23年の出身国別の移民数ではエジプトやチュニジアに加え、コートジボワールやギニア、カメルーンなどのアフリカ勢が上位を占めた。22年は内戦が続くシリア、イスラム主義組織タリバンが制圧したアフガニスタンが上位だったが、今年はアフリカ勢がそれらを上回っている。

人口増加に雇用が追いつかず

ルゾフォナ大学(ポルトガル)のテレザ・ヌゲイラ・ピント助教授は「アフリカから欧州への移民流入は今後数十年にわたって増加する可能性が高い。アジアと異なり、アフリカは冷戦後のグローバリゼーションの恩恵を受けられておらず、人口増加に経済成長と就業機会が追いつかない」と語る。

アフリカの人口は右肩上がりで増え続け、国連人口推計によると50年には約24億8500万人と現在の約1.7倍に拡大する。だが産業の高度化は進んでおらず、ナイジェリアでは今でさえ若年層の失業率は約40%と非常に高い。経済成長のポテンシャルは高いが、これだけ急激な人口の伸びに見合うだけの雇用の受け皿は用意できそうにない。

ピント氏は「エチオピアやモロッコなど、いくつかのアフリカの国では、出稼ぎ労働者からの国内送金が援助や投資を上回る対外資金源になっている」と話す。短期的には食料不安や物価上昇で、中長期的には出稼ぎ目的で、アフリカから欧州への人の移動が予想される。

欧州のレストランで働く移民労働者(イタリア、ミラノ)=ロイター

本来、アフリカでは大陸から離れて人が移動することは少ないとされる。総面積が米国と中国とインドの合計よりも広いうえ、国際的な所得水準の低さから海外渡航費用を捻出するのが難しいためだ。通常は経済困難や就業難に直面すると、その国内やアフリカ域内で相対的に豊かな都市部に流入する。

アフリカ内でも移民が問題に

注目されるのは今年2月のチュニジアでの移民排斥の動き。カイス・サイード大統領が国家安全保障会議で「サブサハラ(サハラ砂漠以南)から不法移民の大群が来る状況が続いている」と警告し、取り締まりを強化する方針を示した。この発言がきっかけとなり、チュニジアでは西アフリカなどからの移民に対する人種差別が激しくなった。

チュニジアに滞在する非正規移民の一部は、中央地中海ルートの出発点にあたる同国で働き、渡航費用を稼いでいる。移民排斥への懸念から、西アフリカなどの出身者が一斉に地中海を渡り、欧州への移民流入が急増しているのは確かだろう。

見逃してはならないのはそのチュニジアからも職を求めて欧州に大量の移民が流入していることだ。22年にチュニジアから欧州に流入した移民は約1万8500人と出身国別で第3位の多さだった。経済困難に陥った人たちがアフリカの都市部に流れ込み、法的に保護されていないインフォーマルセクターなどで彼らの低賃金労働が拡大し、その影響で職を失った人々が欧州に流入するという構図が垣間見える。

スーダンの戦闘による難民は80万人を超える可能性がある(スーダンの首都ハルツーム)=ロイター

ドミノ倒しの移民流入を引き起こすのは経済困難ばかりではない。軍と準軍事組織によるスーダンの戦闘が長期化すれば、難民が周辺国にあふれ、新たな移民を生み出しかねない。

UNHCRはスーダンから近隣7カ国に逃れる難民が81万5000人に上る可能性があるとみている。4月15日の戦闘開始以降、すでに10万人以上が国外に逃れたもようだ。ただチャドや中央アフリカなどの近隣国の多くは最貧国で経済的に難民を抱え込む余裕に乏しい。南スーダンは内戦終結後も紛争が絶えず、もともと80万人を超す難民がスーダンに避難していたという状況にある。

気候変動で8600万人が移民に

気候変動の影響も気がかりだ。世界銀行は21年のリポートで「早ければ30年から気候変動で移住を余儀なくされる人が現れ、その数は50年までに2億1600万人に上る」と予測した。特に気候変動に脆弱で、熱波や干ばつ、洪水などが頻発するサブサハラアフリカでは8600万人の移民が発生するとみている。

シリアを中心に182万人が流入した15年の移民危機をきっかけに、EUは国境管理の強化など移民流入対策を厳格にしている。現在は欧州全体(ロシアとベラルーシを除く)で約530万人のウクライナ難民を受け入れているが、これは将来の帰国が前提になっているためだ。スキルが高い人材の受け入れを除き、特に出稼ぎ目的の経済移民については本国送還の方針を強めつつある。

経済困難や地域の不安定さが高まるにつれてアフリカからの移民流入は増え続け、それを抑えようとするEUとのあつれきが生じる。欧州移民問題は解のない難題になりつつある。』

日韓レーダーを連結、北ミサイル発射情報を即時共有へ…迎撃能力やJアラートの精度向上

日韓レーダーを連結、北ミサイル発射情報を即時共有へ…迎撃能力やJアラートの精度向上
https://news.yahoo.co.jp/articles/b625eb2ac4663f7498c032df0c71994f28082439?page=1

 ※ 地球は「丸い(球形をしている)」ので、遠い場所ほど、レーダー探知は困難となる…。

『日米韓3か国は、北朝鮮の弾道ミサイルを探知・追尾する日韓両国のレーダーシステムを米国経由で連結し、ミサイル関連情報を3か国で即時共有する方針を固めた。日本の迎撃能力強化につながる取り組みとなる。6月初旬にシンガポールで開催予定の日米韓防衛相会談で大筋合意する段取りで、早期の運用開始を目指す。

【図表】ひと目でわかる…日韓のレーダーには、それぞれ探知できないエリアがある

 複数の日米韓政府関係者が明らかにした。3か国は昨年11月の首脳会談で、北朝鮮のミサイル関連情報を「リアルタイム(即時)で共有する意図」を確認し、具体策の議論に入っていた。岸田首相が今月7~8日に訪韓するなど、日韓関係が改善したことも追い風となり、大筋合意の道筋がついた。19~21日に広島市で開催する先進7か国首脳会議(G7サミット)にあわせて実施する日米韓首脳会談で調整状況を最終確認する方針だ。
 具体策は、自衛隊と在日米軍、韓国軍と在韓米軍がそれぞれ使用するレーダーなどの「指揮統制システム」を、米インド太平洋軍司令部(米ハワイ州)を通じて接続し、日米韓が情報を即時共有する仕組みだ。同盟関係にない日韓のシステムを直接つなぐのは困難なため、双方の同盟国である米国経由が最適と判断した。

 法的な枠組みとしては、2014年締結の「日米韓情報共有に関する防衛当局間取り決め(TISA)」を活用する方向だ。

 実現すれば、イージス艦や地上のレーダーで探知・追尾したミサイルの航跡を、日韓が瞬時に共有しながら部隊運用に生かせるようになり、北朝鮮への対処力・抑止力の向上が見込まれる。

 日本の弾道ミサイル防衛(BMD)や全国瞬時警報システム(Jアラート)は、北朝鮮のミサイルをいかに速く探知・追尾できるかが成否のカギを握るが、日本単独では限界がある。

 北朝鮮が4月13日に新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」を発射した際には、日本政府は、レーダーに映ったミサイル部品を別のミサイルと判断し、北海道への落下の恐れがあるとしてJアラートを発令した。北朝鮮に近く、より速く探知できる韓国軍のレーダー情報を瞬時に得られれば、迎撃やJアラートの精度向上が期待できる。』

『機微なレーダー情報の開示範囲を巡っては意見の隔たりも残っているため、大筋合意後、互いのシステムをどこまで接続するかなどの詰めの実務協議を急ぐ。

 日韓は現在、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に基づき北朝鮮関連の情報を2国間で交換しているが、部隊運用に直結しない事後の共有にとどまっている。』

3月の実質賃金 前年同月比2.9%減 12か月連続マイナス 厚労省

3月の実質賃金 前年同月比2.9%減 12か月連続マイナス 厚労省
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230509/k10014060871000.html

 ※ 賃金の上昇が、物価の高騰に追いついていない…。

 ※ 余力のある大企業(内部留保もある)は、十分な賃上げが可能だろう…。

 ※ しかし、中小・零細は、ムリな話しだ…。

 ※ 世界経済全体・日本経済全体が、「上向いて来る」のを、ジッと待ち続けるしか無い…。

 ※ しかし、先行きに、「明るい兆し」なんてものは、見えない…。

 ※ まあ、「できること」から確実に…、だな…。

『物価の上昇が続く中、ことし3月の働く人1人あたりの実質賃金は去年の同じ月に比べて2.9%減少し、12か月連続のマイナスとなりました。

厚生労働省が従業員5人以上の事業所3万余りを対象に行っている「毎月勤労統計調査」の速報値によりますと、物価の変動分を反映したことし3月の実質賃金は去年3月に比べて2.9%減少しました。

基本給や残業代などをあわせた働く人1人あたりの現金給与総額は、平均で29万1081円と期末手当の支給が増えたことなどから去年3月に比べて0.8%増加しましたが、物価の上昇率がこれを上回りました。

実質賃金がマイナスとなるのは12か月連続です。

厚生労働省は「実質賃金のマイナスが長期化してきている。一方、ことしは、春闘で例年にない賃上げの動きが広がっていて、大企業を中心に賃金改定が行われる4月以降の動向を注視したい」としています。』

法務省ホームページで障害、サイバー攻撃か

法務省ホームページで障害、サイバー攻撃か
https://nordot.app/1028474293717123072?c=302675738515047521

『斎藤健法相は9日、法務省のホームページが一時閲覧しにくくなる障害が発生したと明らかにした。ハッカー集団「アノニマス」を名乗るツイッターアカウントが日本の難民政策に抗議したサイバー攻撃をほのめかしており、関連を調べる。

© 一般社団法人共同通信社 』

銀座 高級腕時計店強盗に関与か 別の建物へ侵入疑いで4人逮捕

銀座 高級腕時計店強盗に関与か 別の建物へ侵入疑いで4人逮捕
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230508/k10014060841000.html

『8日午後、東京 銀座の高級腕時計店に複数の男が押し入り、店員を刃物で脅した上、ショーケースをたたき割るなどして商品を奪って逃走した強盗事件で、男らは店内におよそ10分間とどまり犯行に及んでいたことが分かりました。奪われた腕時計は100点余りにのぼる可能性があり、警視庁は、都内の別の建物に無断で侵入した疑いで逮捕した男ら4人が強盗事件に関与した疑いがあるとみて捜査しています。

8日午後6時半ごろ、東京 銀座の大通り沿いの高級腕時計店に複数の男が押し入り、店員を刃物を突きつけ「伏せろ。殺すぞ」と脅したうえ、ショーケースをたたき割るなどして商品を奪って車で逃走しました。当時店には5人の店員がいましたが、けがはありませんでした。

これまでの捜査で、実行役は3人とみられ、客のいない店内に押し入ったことが分かっていますが、男らはおよそ10分間、店内にとどまり、バールのようなものでショーケースを次々とたたき割るなどして犯行に及んでいたことが警視庁への取材で分かりました。

店ではおよそ50万円から、最も高いもので2200万円の腕時計を扱っていて、100点余りが奪われた可能性があるということで、警視庁が被害品の確認を進めています。

男らは店の前に止めていた埼玉の大宮ナンバーのワゴン車で逃走し、警視庁が行方を捜査していましたが、実行役とみられる3人を含む男ら4人を港区赤坂の建物に無断で侵入した建造物侵入の疑いで逮捕しました。警視庁は、4人が銀座の事件に関与した疑いがあるとみて捜査しています。
現場は
現場となった高級腕時計店では、時計などが入っていたとみられるガラスのショーケースが粉々に割れ、棚も壊れている様子が分かります。床の上には箱が落ちている様子も確認できました。

店の前には規制線がはられ、多くの警察官が現場の確認を行っていました。
現場近くで働く男性「白いお面をかぶった3人組」
現場近くで働く50代の男性は「白いお面をかぶった3人組の男らがバールのようなものでショーケースをたたいて時計を奪い、白いワンボックスカーに乗って逃げていった。銀座は人通りも通行量もあるので、こうした事件が起きるとは思いませんでした。近くで事件が起きて怖いです」と話していました。』

東武西新井駅で缶破裂、女性けが 聴取の中国籍男性「洗剤入れた」

東武西新井駅で缶破裂、女性けが 聴取の中国籍男性「洗剤入れた」
https://news.yahoo.co.jp/articles/0555ac74f10b240d423d88d8a60d8356958fde33

『8日午後4時前、東京都足立区の東武鉄道西新井駅構内の券売機付近でコーヒーの缶が破裂し、近くにいて顔と下半身に液体がかかった20代女性がけがをした。警視庁によると、缶を置いたとみられる中国籍の男性(49)=足立区=は任意の事情聴取に「破裂は故意ではない。勤め先の洗剤を家で使うため缶に入れた」などと説明している。

 警視庁は、洗剤と缶の素材が化学反応を起こし破裂した可能性があるとみており、過失傷害の疑いも視野に捜査している。

 女性はやけどをしたとみられる。女性を介抱した20代の女性駅員も左手の指に違和感を訴えて病院に搬送された。券売機付近の防犯カメラには男性が缶を置くような様子が写っていた。男性は定期券を購入し、数分で券売機から離れたという。

 東京消防庁のホームページによると、アルミ缶などの金属製容器に洗剤を入れると、密封された場合には破裂する危険がある。』