中国がパキスタンと結束誇示 外相会談、インドに圧力

中国がパキスタンと結束誇示 外相会談、インドに圧力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM041FG0U3A500C2000000/

『2023年5月6日 17:06 (2023年5月6日 21:38更新)

【北京=田島如生、ベノーリム(インド南部)=岩城聡】中国の秦剛国務委員兼外相は6日、訪問先のパキスタンでブット外相と会談した。経済やテロ対策で協力を確かめて結束を誇示した。国境紛争を抱えるインドに圧力を強める狙いだ。

首都イスラマバードで戦略対話を開いた。会談後の秦氏の記者会見によると、両国は中国の広域経済圏構想「一帯一路」の一環である「中国・パキスタン経済回廊」事業を進めると合意した。科学技術…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』

『科学技術やエネルギーの協力拡大でも一致した。

パキスタンで中国人を狙ったテロが相次ぐのを踏まえ、安全保障や治安対策を巡る連携を申し合わせた。両国はイスラム主義組織タリバン暫定政権が実効支配するアフガニスタンを交えた3カ国の外相会談も開催する。

中国はパキスタンとの関係を重視する。2022年3月に共同開発した戦闘機「JF17」をパキスタン空軍に配備した。インドが導入した地対空ミサイルシステム「S400」に対抗するのが目的だ。

背景にはインドへの警戒心がある。同国の人口は23年半ばに中国を抜き世界最多になる見込みだ。経済、軍事の存在感が高まっており、日米印とオーストラリアによる対中抑止の枠組み「Quad(クアッド)」の一角を占める。

中印関係は20年に国境係争地で両軍が衝突し死傷者を出してから急速に悪化した。インドで今月4日に開いた中印外相会談で国境問題が話題になったものの進展はない。ジャイシャンカル印外相は5日の記者会見で国境の情勢は「正常ではない」と指摘した。

一方、インドとパキスタンには雪解けの兆しが見えつつある。ブット氏は5日の上海協力機構(SCO)外相会議に出席するため、パキスタン外相として12年ぶりに訪印した。パキスタンのシャリフ首相は1月、インドのモディ首相に対話を呼びかけた。

中国には、ブット氏の訪印直後に秦氏をパキスタンに派遣することで同国がインドに接近しないようくさびを打ち込む思惑がある。秦氏は5日、パキスタンのアルビ大統領との会談で中パ関係を「岩のように堅固だ」と表現した。』