米大統領補佐官 サウジアラビアを訪問 皇太子などと会談

米大統領補佐官 サウジアラビアを訪問 皇太子などと会談
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230508/k10014060341000.html

 ※ 今日は、こんな所で…。

『アメリカのバイデン政権で安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官がサウジアラビアを訪問してムハンマド皇太子などと会談しました。サウジアラビアは中国の仲介でイランと7年ぶりに外交関係を正常化させることで合意しており、アメリカとしては中東での影響力を保持するねらいがあると見られます。

アメリカ、ホワイトハウスはサリバン補佐官が7日、サウジアラビアでムハンマド皇太子やアラブ首長国連邦、インドの安全保障担当の高官らと会談したと発表しました。

一連の会談では「中東地域がインドや世界と密接につながった、より安全で繁栄した地域になるという共通のビジョン」について意見を交わしたとしています。

また、サリバン補佐官はムハンマド皇太子との会談で、サウジアラビアとイランの事実上の代理戦争となってきたイエメンの内戦が終結に向けて前進していることについて議論するとともに、アフリカのスーダンから自国民を退避させた際のサウジアラビアの支援に謝意を伝えたということです。

中東では、ことし3月、中国が仲介してサウジアラビアとイランが外交関係を7年ぶりに正常化させることで合意し、中国の存在感が高まりつつあります。

アメリカとしては、インド太平洋地域の重要なパートナーであるインドを巻き込む形で関係強化をはかることで、中東での影響力を保持するねらいがあると見られます。』

兵庫 伊丹 天神川で堤防決壊 10棟余で浸水“工事で川幅狭く”

兵庫 伊丹 天神川で堤防決壊 10棟余で浸水“工事で川幅狭く”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230508/k10014060151000.html

『2023年5月8日 12時21分

7日から降り続いた大雨の影響で、兵庫県伊丹市で8日未明、川の堤防が壊れ、これまでに周辺の建物10棟余りで浸水の被害が確認されています。県によりますと、堤防が壊れた場所では川底を強化するための工事を行っていた影響で、川幅が通常の半分ほどまで狭くなっていたということで、詳しい状況を調べています。

兵庫県や伊丹市によりますと8日午前0時50分ごろ、伊丹市荒牧6丁目を流れる天神川の堤防が壊れ、周りの住宅街に水が流れ込みました。

県によりますと、これまでに床上浸水が1棟、床下浸水がおよそ10棟、確認されているということです。

堤防はおよそ30メートルにわたって壊れ、周辺の道路に土砂が流れ込んで、複数の乗用車が埋まる被害も出ています。

県によりますと、堤防が壊れた場所では川底を強化するための工事を行っていた影響で、川幅が通常の半分ほどまで狭くなっていたということです。

県では去年3月から工事を始め、このうち川幅を狭めて行う作業は比較的雨が少ない去年11月から今月にかけて行っていたということで、県は「工事で流水能力が低くなっていたところに想定以上の雨が降り、堤防が決壊した」として現場で詳しい原因を調べています。
濁った水がひざ下ほどの高さまで押し寄せる

天神川が流れる兵庫県伊丹市の荒牧地区に住む女性が8日午前1時半ごろに自宅の3階から撮影した映像では、自宅前の道路が、茶色く濁った水が大人のひざ下ほどの高さまで押し寄せている様子が確認できます。

「ザー」と雨が強く降り、緊急車両のサイレンの音が鳴り響く中、警察官がライトを手に持ちながら「大丈夫ですか。避難の準備をしてください」と大声で呼びかけていました。
女性は、警察官に対し、向かいの家の人が寝ていて気付いていないようなので、知らせてほしいと伝えていました。

水が引いてからNHKの取材に応じた女性は、「午前1時半ころ、隣に住む人から『ガタガタガタという音がして大変な状況だ』と連絡が来て、起きて見てみたら辺り一面が浸水していました。水が入ってこないか心配で、どうしたらいいかわかりませんでした」と話していました。』

小学校で異臭 児童50人が病院搬送 いずれも軽症 大阪 八尾

小学校で異臭 児童50人が病院搬送 いずれも軽症 大阪 八尾
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230508/k10014060281000.html

『2023年5月8日 15時14分

8日午前、大阪 八尾市の小学校で「異臭がする」と通報があり、児童50人が気分が悪いと訴え、病院に運ばれました。いずれも症状は軽いということです。
当時、学校の周辺ではガスのようなにおいがしていたということで、消防などが原因を調べています。

8日午前10時すぎ、大阪 八尾市亀井町の市立亀井小学校で、「異臭がする」と教員から消防に通報がありました。

警察や消防によりますと、2年生から6年生の児童合わせて50人が気分が悪いと訴え、病院に運ばれました。

いずれも症状は軽いということです。

小学校によりますと、児童らは一時校庭に避難していましたが、校舎内で異臭は確認されず、教室に戻ったということです。

消防によりますと、当時、小学校の周辺では屋外でガスのようなにおいがしていて、消防などが検知器を使うなどして調べていますが、原因は分かっていないということです。

現場は、JR久宝寺駅から南西に700メートルほどの工場や住宅が建ち並ぶ地域の一角です。
小学校近くの会社従業員 “午前9時すぎくらいから異臭”

亀井小学校の近くの会社の従業員によりますと、周辺では8日午前9時すぎくらいから異臭がしていたということです。

午前11時近くになっても、屋外に出るとガスのようなにおいが漂っているのを強く感じるということです。

この従業員は「どこかでガス漏れが起こっているのではないか」と話していました。』

いざというとき自衛隊は機能するか 安倍晋三元総理が私に語ったひと言

いざというとき自衛隊は機能するか 安倍晋三元総理が私に語ったひと言
https://gendai.media/articles/-/109642?utm_source=yahoonews&utm_medium=related&utm_campaign=link&utm_content=related

 ※ 『「副長。組織を作っても使いこなせるかは政治家次第だよ。その時の総理がいかに使うかだ。有事の際に君たちが全力で戦えるようにするのも政治家だ。政治家の責任は重い」』…。

 ※ そこは、ちょっと違うだろう…。

 ※ 最終的には、「国民個々人の防衛意思」にかかっている…。

 ※ ウクライナ見れば、分かるだろう…。

 ※ 国民個々人が「日本国を防衛しなくちゃ!」と思わないならば、「政治家の責任」もへったくれも有りはしない…。

 ※ 全ては、その一点に懸かっている…。

『 いま、日米の政府高官、および軍、自衛隊幹部の間で、ひそかに「台湾有事」を想定した机上演習が行われている。

中国はいつ台湾に侵攻するのか。なにがそのきっかけになるのか。攻撃の第一波はどのようなものか。上陸戦はどう展開するのか。米軍の参戦、そして日本はどのように巻き込まれていくのか。

そうした机上演習のコーディネーター、教官役を務める元陸将・山下氏が明かす想定されるもっとも現実的な「台湾有事」のシナリオ。その驚くべき結末とは――。(『完全シミュレーション台湾侵攻戦争』より)

前編記事<台湾侵攻戦争に日本は必ず巻き込まれる 考えられる3つのパターン​>

日本は「中立国」なのか

中国の台湾侵攻は国対国の戦争であるとの立場に立つのなら、日本政府は戦時国際法により中立国の義務を果たすことになる。戦時国際法とは交戦当事国とそれ以外の第三国との関係を定める国際法である。中立国は戦争に参加してはならず、また交戦当事国のいずれにも援助してはならず、平等に接する義務を負う。

義務とは次の3項である。

回避義務:中立国は直接、間接を問わず交戦当事国に援助は行わない

防止義務:中立国は自国の領域を交戦当事国に利用させない

黙認義務:中立国は交戦当事国が行う戦争遂行過程において不利益を被っても黙認する

第二次世界大戦時、永世中立国のスイスは自国領空を侵犯した航空機は連合軍、枢軸軍を問わず撃墜した。日本が台湾の艦船や航空機を攻撃することは考えられず、領空侵犯があっても最寄りの飛行場に強制着陸させることになるであろう。艦船についても、人道的な措置として寄港拒否はしない。

Photo by GettyImages

中国は、一つの中国の原則のもと、日本に逃避した艦艇や航空機は自国の国有財産であるとして返還要求すると予想される。日本政府が中国の要求を呑み、返還することは考えられない。そんなことをすればアメリカはもとより多くの諸国の強い反発を招くことになる。

日本政府が返還を拒否すれば、中国は「台湾問題は内政問題である。日本の対応は中立国の義務ではなく、中国艦艇の拿捕及び航空機の占有である」として激しく反発するだろう。

対抗措置として、尖閣諸島の確保を目指して部隊を派遣するか、日本へ避難した艦船・航空機を精密誘導兵器によって攻撃する可能性がある。

この場合、日本政府は武力攻撃事態に認定して自衛隊に防衛出動を命じ、自衛隊は直接中国軍と交戦することになる。

インド太平洋軍は、アメリカ政府の軍事介入の意思決定が迅速に行われることを前提にして台湾有事の全般作戦計画を立案し、日本との共同作戦計画を策定する。そして、台湾との共同作戦計画を策定するか、できなければ台湾軍の防衛構想を承知する必要がある。

インド太平洋軍の作戦目的は、中国の台湾占領意図を粉砕し、核戦争への拡大を抑止することである。在日米軍基地は重要な作戦基盤であり、日本の自衛隊の協力は作戦上、必要不可欠の要素となる。』

『安倍晋三総理(当時)が語ったひと言とは

書籍『完全シミュレーション台湾侵攻戦争』を通じて理解していただきたいことは、台湾有事が発生すれば日本の南西諸島及び海域は戦場となり、好むと好まざるとにかかわらず日本は必ず巻き込まれるということである。

ウクライナ戦争では、多くの建物が破壊されている

日本有事に、国民の生命と財産を守るために、いま何をしなければならないのか。防衛力を抜本的に強化し、抑止力を高めるとともに、政府は事態の推移を的確に読み取り、適切な状況判断に基づいて国民保護や防衛作戦の準備及び防衛作戦を行わなければならない。
私は陸上幕僚副長として、2013年9月に行われた自衛隊高級幹部会同の総理主催のレセプションに参加した。

安倍晋三元総理と自衛隊(写真は2018年の様子)Photo by GettyImages

その席上、自衛隊最高指揮官である安倍晋三総理(当時)に質問する機会を得た。

「総理が創設された国家安全保障局が、いざというときに日本の司令塔として役に立ちますね」

「副長。組織を作っても使いこなせるかは政治家次第だよ。その時の総理がいかに使うかだ。有事の際に君たちが全力で戦えるようにするのも政治家だ。政治家の責任は重い」

政治家の矜持について静かに語った安倍総理の顔をいまも忘れない。

一度、戦争が開始されたら多くの自衛隊員や兵士が死傷し、一般市民にも多くの犠牲者が発生する。

もちろん台湾有事が発生しないように、外交努力を最大限に行うことは論を俟たない。クラウゼヴィッツは「戦争は政治の延長線上にあり、外交が失敗すれば戦争になる」と述べている。外交にはその後ろ盾となる防衛力が必要である。抜本的に強化された防衛力を抑止力として、平和構築の外交手段として政治家は活用しなければならない。

戦争には勝者も敗者も存在せず、あるのは荒廃した国土と多くの人々の犠牲と悲しみである。

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台湾侵攻戦争に日本は必ず巻き込まれる 考えられる3つのパターン

台湾侵攻戦争に日本は必ず巻き込まれる 考えられる3つのパターン
https://news.yahoo.co.jp/articles/1b1fa0fc53e940a3829858a0fca96c8757f62ab5?page=1

 ※ 「巻き込まれる」もなにも、「台湾」が中華人民共和国の一部となったら、「南西諸島」の「防衛」は、困難となる…。

 ※ そういう「防衛戦略的なこと」、日本の一般国民は、考えているんだろうか…。

 ※ 江戸城周りの「旧大名屋敷跡地」の住民達は、南西諸島に暮らしている人々なんか、「日本国民」の範疇じゃないと、考えているかのようだ…。

 ※ 南西諸島が取られると、次は「九州」だ…。

 ※ その次は、「西日本」全体だ…。

 ※ そういう「攻略経路」は、「戊辰戦争」で、経験済みだ…。

 ※ そういう「陸続き」の「攻略」は、「ランドパワー国家」の「お手の物」だ…。

 ※ 苦手な、「シーパワー(※ エア・パワーを含む)」に巻き込む形で、「防衛戦略」を企画・立案・実行しないと…。

『5/1(月) 7:03配信

いま、日米の政府高官、および軍、自衛隊幹部の間で、ひそかに「台湾有事」を想定した机上演習が行われている。
中国はいつ台湾に侵攻するのか。なにがそのきっかけになるのか。攻撃の第一波はどのようなものか。上陸戦はどう展開するのか。米軍の参戦、そして日本はどのように巻き込まれていくのか。

【画像】いざというとき自衛隊は機能するか 安倍晋三元総理が私に語ったひと言

台湾有事は日本にどう波及するか

写真:現代ビジネス

台湾有事は日本にどのような形で波及するのだろうか。

 台湾有事は日本にどのような形で波及するのだろうか。

 台湾と与那国島の海峡は約110キロしかなく、日本と台湾の位置関係はきわめて近い。東シナ海側から太平洋に出るためには、この海峡を含め、日本の南西諸島周辺を通過する必要がある。中国の軍事戦略上重要な第1列島線である。

 さらに在日米軍基地は米軍の台湾支援の作戦基盤となっている。米軍が作戦行動を開始すれば、事態の推移により集団的自衛権を行使することになり、さらに事態が悪化すれば武力攻撃事態に発展していく。

 日本への波及は次の3つのシナリオが想定される。


1.日本へ直接波及


2.米軍の行動に関連して波及

3.台湾の行動により波及

 まず日本への直接波及である。

 台湾侵攻の支作戦として考えられるのが、第1列島線に近づく日米艦隊の接近を阻止し中国海軍の太平洋への進出航路の安全確保を目的とした拠点確保である。

 この場合は治安出動から武力攻撃事態が認定され、自衛隊が行動することが予想される。

 日本への直接波及(侵攻)はハイブリッド戦から開始されると予想される。

 ハイブリッド戦とは、2014年に発生したウクライナ東部紛争でロシア軍が行った作戦である。〈破壊工作、情報操作など多様な非軍事手段や秘密裏に用いられる軍事手段を組み合わせ、外形上「武力攻撃」と明確には認定し難い方法で侵害行為を行うこと〉と防衛白書では解説している。

 中国軍が、戦略上の要点である石垣島に侵攻することを想定すると、以下のような事態の進展が予想される。

 第一段階は、日本本土及び沖縄本島から石垣島を分離することである。

 海底ケーブルの切断や大規模なサイバー攻撃を行い、同島と外部とのあらゆる通信やデータ送受信を遮断する。さらにサイバー攻撃によって新石垣空港の管制装置がダウンする。次いで作戦開始前に潜入した工作員によって石垣発電所を送電不能とし全島停電に陥らせる。

 第二段階は、石垣島沖数十キロに遊弋するタンカーや貨物船からの電子戦攻撃である。

 警察や海上保安庁の使用する無線、一般の携帯電話に障害を発生させ通話できない状態とする。唯一警察用携帯電話のメール機能だけを残し、そこに偽メールを送信して警察官を誘き寄せる。警察官が集まったところで、仕掛けておいた爆弾を爆発させるのである。
 第三段階は、偽装した民間航空機を新石垣空港に着陸させ、武装勢力「琉球独立団」などと偽って日本語の堪能な特殊部隊を送り込む(クリミア併合時のリトル・グリーン・メンに相当)。彼らが潜入工作員などと協力して、短期間に石垣市を占拠しその勢力下に置く。次に海上の貨物船に待機していた武装集団主力が装甲車両などとともに上陸し、陸上自衛隊を武装解除し侵攻基盤を確立する。

 この一連の作戦行動は外形上どこの国による武力行使か確認することができない。サイバー攻撃も電子戦も見えない敵からの攻撃だからだ。

 時間の経過とともに既成事実を積み上げていき、平和維持の名のもとに中国軍が進駐し、最終的には、中国政府が石垣島の独立を保障するということになるだろう。自動参戦の軍事同盟であるNATOと違い、日米安保条約はアメリカ政府の意思決定と連邦議会の承認が必要である。日米安保発動と米軍来援までにはかなりの時間がかかる。そのため当面は自衛隊単独で戦わなければならない。』

『東シナ海海空戦に突入

2014 年 沖縄にて行われた、米国海軍、インド海軍、海上自衛隊の艦船の演習の様子 Photo by GettyImages

 次に想定されるのは、台湾周辺地域での米軍の軍事行動が結果として日本へ波及する場合である。二つのパターンが考えられる。一つは重要影響事態、もう一つは存立危機事態である。

 重要影響事態とは、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態のことである。対処する外国軍の後方支援活動を行い、連携を強化することが想定されている。

 支援の対象となるのは「日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行う米軍」、「国連憲章の目的の達成に寄与する活動を行う外国の軍隊」及び「その他これに類する組織」で、国連軍等が想定されている。

 インド太平洋軍は台湾海峡の危機に対して、第7艦隊の艦艇や空軍の偵察機を派遣することになるだろう。

 横須賀の在日米海軍基地の駆逐艦や巡洋艦が東シナ海に進出し、搭載哨戒ヘリが警戒監視活動に従事していたとする。その哨戒ヘリが中国軍艦艇や航空機との偶発的な事件により撃墜・不時着した場合、米海軍は自衛隊に捜索救助を要請する。また、燃料などの補給支援も要請される。

 この場合政府は重要影響事態の認定を行い、自衛隊に捜索救助活動及び後方支援活動を命ずることになる。

 日本は直接的には中国軍と交戦していないが、後方支援活動としてこの段階で台湾有事に巻き込まれている。

 重要影響事態で後方支援活動中に事態がエスカレートし、中国軍が米海軍艦艇や航空機を攻撃した場合には、存立危機事態が認定される。自衛隊は米海軍艦艇を守るために武力行使することになり、米軍とともに中国軍と直接戦闘する。

 存立危機事態は集団的自衛権の行使であり、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と定義付けられている。

 2014年7月の閣議決定により、存立危機事態が認定され集団的自衛権を行使する以下の3要件が示された。

 (1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと。又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること

 (2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと

 (3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

 政府が示した8事例の中に「武力攻撃を受けている米艦防護」がある。


1.邦人輸送中の米輸送艦の防護
2.武力攻撃を受けている米艦防護
3.周辺事態における強制的な船舶検査
4.アメリカに向け日本上空を横切る弾道ミサイル攻撃
5.弾道ミサイル発射警戒時の米艦防護
6.アメリカ本土が武力攻撃を受け、日本周辺で作戦を行う米艦防護
7.国際的な機雷掃海活動への参加
8.民間船舶の国際共同護衛
———- 』

『中国軍の侵攻を食い止めるにはアメリカの参戦が不可欠

Photo by GettyImages

 最後に、台湾の行動によって波及する場合を見てみよう。

 台湾軍が中国軍と海空で戦火を交え、残存艦艇及び航空機が我が国へ避難してきた場合には、そのときの日本政府の対応如何によっては直接日本が攻撃される可能性がある。

 台湾が中国軍の侵攻を食い止めるには、アメリカの参戦が不可欠である。1958年8月から10月の金門島砲撃事件では、アメリカは後方支援のみで直接軍事力を行使しなかった。この当時は、中国軍に比較してまだ中華民国軍(台湾軍)のほうが軍事的優位にあった。しかし現在軍事的優位は逆転し、圧倒的に中国軍優位となっている。

 台湾としては、どうしてもアメリカを参戦させる必要がある。そのため最大限の努力を払うだろう。アメリカを軍事的に参戦させるためには日本を巻き込み、日米安保条約を発動させることである。台湾が、残存する海空戦力を日本の南西諸島に避難させることも考えられる。

続きは<いざというとき自衛隊は機能するか 安倍晋三元総理が私に語ったひと言>で公開中。

山下 裕貴(陸上自衛隊元陸将)』

「台湾有事」はCIAが創り上げたのか?!

「台湾有事」はCIAが創り上げたのか?!
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20230506-00348562

『4日、米国家情報長官は台湾有事で世界経済は年間134兆円の打撃を受けると警告した。
しかし台湾を自国領土と位置付ける中国には台湾を武力攻撃する理由はない。武力攻撃させるため台湾の独立派を応援しているのは日米ではないのか。

◆台湾有事で年間134兆円の打撃を受けると米国家情報長官

 5月5日、「ワシントン共同」は<台湾有事で130兆円打撃 米長官、半導体生産停止>と報道した。それによれば、アヴリル・ヘインズ米国家情報長官(元CIA副長官)は4日、中国による武力侵攻で世界的なシェアを占める台湾の半導体生産が停止すれば「世界経済は甚大な影響を受ける」と指摘した。最初の数年間は年間6千億~1兆ドル(約80兆~134兆円)以上の打撃となる可能性があると、上院軍事委員会の公聴会で証言したとのこと。
 ヘインズは、台湾は半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)を抱えており「台湾の半導体は世界中のあらゆる電子機器に組み込まれている」と説明し、生産が止まれば米経済への影響は避けられないとしつつ「中国経済が受ける打撃の方が深刻だ」と強調したという。(以上、ワシントン共同の報道から。)

 アメリカ合衆国国家情報長官( Director of National Intelligence=DNI)は、アメリカ合衆国連邦政府において情報機関を統括する閣僚級の高官である。インテリジェンス・コミュニティーを統括し、アメリカ合衆国連邦政府の16の情報機関の人事・予算を統括する権限をもつ。

 以前は中央情報長官(DCI)が中央情報局(CIA)とインテリジェンス・コミュニティー全体の両方の統括を行っていた。しかし、DCIが自分の統括する組織であるCIAの指揮に集中してしまったり、情報活動の8割以上を行っている国防総省との対立が原因でインテリジェンス・コミュニティーの指揮や調整の役割を果たしていなかった。2001年の同時多発テロを防げなかった一因には、情報機関の連携不足が指摘されている。そこで、2004年に情報改革とテロ予防法(Intelligence Reform and Terrorism Prevention Act of 2004)により国家安全保障法が改正されて国家情報長官が新設されたという経緯がある。

 それまでの中央情報長官は、CIA専属の長官である中央情報局長官(CIA長官, D/CIA)に改められた。本稿でCIAと称しているのは「中央情報局」のことである。

◆中国大陸から見たら、台湾問題は内政干渉

 1971年7月9日、当時のアメリカのリチャード・ニクソン大統領(共和党)は、ニクソンの下で国家安全保障担当大統領補佐官(のちに国務長官)を務めていたヘンリー・キッシンジャーを、誰にも見つからないような形で極秘裏に訪中させた(忍者外交)。キッシンジャーは当時の中国の国務院総理であった周恩来と会談し、米中国交樹立の用意があることを告げた。

 その際、中国側としては「一つの中国」原則を断固として要求した。

 すなわち、「中国」という国家には「中華人民共和国(=共産中国)」しか存在せず、「中国という国家を代表するのは中華人民共和国のみである」という大原則で、もし「中華人民共和国」と国交を樹立したければ、その絶対的な前提条件として、「中華民国」台湾とは国交を断絶しなければならないということが強く要求された。

 これらを水面下で了承した上で、1971年7月15日に、ニクソンは「1972年2月に中国を訪問する」と発表し世界を驚かせた。だからこそ、1971年10月25日、第26回国連総会で、中華人民共和国(中国)が「中国を代表する唯一の合法的な国家」として国連に加盟することができたのである(第2758号決議)。同時に「中華民国」台湾は国連脱退へと追い込まれた。

 こうしてアメリカは1979年1月1日に正式に米中国交正常化を成し遂げ、同時に「中華民国」台湾との国交を断絶している。日本の場合はその前の1972年9月29日に日中国交正常化共同声明を発表した。もちろん同時に「中華民国」台湾と国交を断絶して、日華平和友好条約を破棄したのである。

 その結果、中国は中華人民共和国憲法の序文に、「台湾は中華人民共和国の神聖にして不可侵の領土である」と明記するに至っている。

 ここまで法的に整然とした経緯を経ているので、中国が台湾を自国の領土と主張するのは正当だろう。その統一をどのような形で実現するかに関しては、これは既に中国国内の「内政」になっている。

 したがって中国にしてみれば、「平和統一」以外に考えていない。

 武力統一の可能性が出てきたのは2005年で、当時の陳水扁総統が台湾独立を叫び始めたために「反国家分裂法」を制定し、もし台湾が国家として独立しようとしたならば、「国連で認められた『一つの中国』を分裂させる政府転覆罪として処罰するために武力攻撃する可能性を否定しない」ことになった。

 その後、親中の馬英九政権が誕生したので、中国は台湾周辺での軍事演習をその間は一度もやっていない。

 全米民主主義基金(NED)は台湾においては2003年以前から浸透しており、NEDは2003年にNEDと同じ機能を持つ「台湾民主基金会」を台湾に設立させている。

 これは中国を国連に加盟させた時の日米側の中国に対する誓いとは、完全に逆行した「内政干渉だ」と、中国側には映るだろう。

◆中国にとって台湾武力攻撃のメリットはゼロ!

 そもそも中国にとって、台湾を武力攻撃する必要はなく、武力攻撃などしたら大きな損失を中国がこうむるだけだ。その例をいくつか列挙してみよう。

 1.現段階では中国の軍事力はアメリカの軍事力に勝てないので、台湾を武力攻
撃したらアメリカが支援することは歴然としているため、中国が惨敗する。惨敗すれば、中国共産党による一党支配体制は崩壊するので、絶対に自分の方から戦争をしかけるようなことはしたくない。

 2.台湾には中国が喉から手が出るほど欲しい半導体産業があるので、それをそのまま頂きたいと思っているため、武力攻撃などするつもりはない。武力攻撃などして、万一にも半導体産業が破壊されたら、統一後に中国が非常に大きな損をする。そのため『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』の【第七章 習近平外交とロシア・リスク】に書いたように、2022年11月18日、APECに台湾代表として参加していたTSMCの創設者・張忠謀(モリス・チャン)のもとに、習近平はわざわざ自ら足を運んで会いに行った。二人は互いを褒め合い友好的に会話したが、インドネシアで開催されたG20と、タイで開催されたAPEC全てを通して、習近平が自ら会いに行ったのは、TSMCのモリス・チャン一人である。それくらい習近平はTSMCを重要視している。

 3.武力攻撃などで台湾を統一したら、台湾の人々が中国共産党政権に対して強い反感と怨みを持つようになり、統一後に一党支配体制が崩壊する可能性が大きくなる。

 4.特にウクライナ戦争におけるロシアに対する西側諸国の制裁の仕方を十分に知っているので、ここで武力攻撃に出るほど、中国が無策であるということは考えにくい。

 ほかにも色々あるが、ざっと見ただけでも、少なくとも以上のような基本的な状況がある。

◆中国が台湾を平和統一したら、困るのはアメリカ

 ならば、なぜ、アメリカはかくも激しく「中国が台湾を武力攻撃する」と叫び続けるのだろうか?

 それは、中国が平和統一などしたら、経済的にも軍事力的にも中国の方がアメリカを凌駕するので、アメリカとしては何としても、そのような絶望的未来が到来するのを阻止したいからだ。

 だから、何としても、中国には台湾を武力攻撃してほしいのである。

 そのために頻繁に米政府高官に台湾を訪問させ、独立を支援している。そうすれば中国が怒って、台湾周辺で激しい軍事演習をしてくれるので、「ほらね、中国はやっぱり台湾を武力攻撃しようとしてるでしょ?」と台湾の人々に言って聞かせ、来年1月の「中華民国」台湾の総統選で、親中派の国民党候補に投票せず、親米で独立志向の強い民進党に投票すれば、親米政権が台湾で継続され、中国を追い詰めることに成功する可能性が高くなってくる。

 したがって今年は来年1月の総統選まで、アメリカによる「中国が台湾を武力攻撃する」という喧伝あるいは扇動は、加速的に強まっていくと判断される。

 アメリカは米中覇権において、それでいいかもしれないが、追い詰められた中国が本気で武力攻撃をしたときに、最前線で戦うのは台湾と日本だ。

 日本の政治家は、アメリカに追随して台湾を訪問することを重視するのか、それとも日本国民の命を重視して現実を直視するのか、真剣に考えろと言いたい。 

 今年2月15日のコラム<「習近平は2027年までに台湾を武力攻撃する」というアメリカの主張の根拠は?>にも書いたように、「中国が2027年までに台湾を武力攻撃する」という「神話」はCIAが中心になって創り上げたものだ。2020年10月26日から29日まで北京で開催された第19回党大会の五中全会(第五回中央委員会全体会議)の最終日に、<第19回党大会五中全会公報>が中国共産党網で発布され、そこに「建軍百年に向けて頑張ろう!」と書いてあることを根拠にしている。習近平が中国人民解放軍の百周年記念である「2027年」に触れたのは、この時が最初だ。このあとの2021年3月から「台湾武力攻撃2027年説」が世界中を飛び回るようになった。

 アメリカの調査報道ジャーナリストであるニコラス・スカウの書いた『驚くべきCIAの世論操作』という本の日本語版が2018年にインターナショナル新書から出版されている。その本にはCIAがいかにしてアメリカに都合が良いように事実を捏造して世論操作を行っているかという実態が、実に刻銘に描かれている。一読をお勧めしたい。

 筆者自身は、NEDのホームページを当たり、多くのファクトを拾い上げて7月出版予定の『習近平が起こす地殻変動「米一極から多極化へ」』の中でリストアップした。そのリストを作成して驚いたが、世界の紛争のほとんどは1983年まではCIAが創り上げていて、1983年にNEDが創設されてからはNEDが創り上げていることがわかった。世界のどこかに内紛があると、必ずそこに潜り込んで既存の政府を転覆させ、親米政権を樹立させるということをくり返してきたことが、リストから歴然としてくる。NEDはその創設者が語った言葉から、「第二のCIA」と呼ばれているが、この「第二のCIA」が「台湾有事」という「神話」を創りあげているとしか言いようがない。

 日本の内閣が、アメリカに追従することばかりを重視せず、日本国民の命を守ることを重視すれば、おのずと見えてくる現実である。もし本気で「国民の命こそが最も大切だ」と思っているのなら、国会議員の一人一人に、現実を直視する勇気を持ってほしいと切望する。

記事に関する報告

遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。7月半ばに『習近平が起こす地殻変動「米一極から多極化へ」』(仮)(ビジネス社)を出版予定。』

米比が33年ぶりに比で空軍演習Cope Thunder再開

米比が33年ぶりに比で空軍演習Cope Thunder再開
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2023-05-03

『 【追加情報:比大統領が米国防長官と会談】
5月3日に米比国防相が合意の「bilateral defense guidelines」
https://media.defense.gov/2023/May/03/2003214451/-1/-1/0/BILATERAL-DEFENSE-GUIDELINES-FACT-SHEET.PDF

米比「1951 Mutual Defense Treaty」に基づき、以下を再確認
●太平洋や南シナ海におけるフィリピンの航空機、公的艦艇、軍隊(沿岸警備隊含む)に対する如何なる攻撃からも防御することを両国が決意する

●両国指導者は、豪州や日本を含む地域の同志国とより緊密に連携し、共有する原則(rule of law, freedom of the seas and respect for territorial sovereignty)維持に取り組む議論を行う

●米国はフィリピン軍の近代化にコミットし、抑止力強化と嫌がらせに対処する能力強化のための装備等のパッケージを見極める

●装備など物質的な支援以外の、教育や訓練演習や作戦行動を通じての(人的な)投資拡大も優先事項として対応する

●米国防長官と比大統領が今年初めに合意した、北部ルソン島とパラワン島の4つの基地への米軍アクセスについて、速やかに実現するように取り組む

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比は過去5年間、中国との穏やかな関係を追求も

中国は態度を変えず高圧的な振る舞いを変えず

結果、比は国益保護のため米国と再び急接近

米報道官も驚く過去1年の米比関係劇的改善

Cope Thunder 2023.jpg5月1日、199年のピナツボ山大噴火以来33年ぶりに米空軍とフィリピン空軍の共同演習「Cope Thunder」があのクラーク空軍基地に戻ってきました! 折しも、2022年6月に就任して以来、劇的に米比関係を改善方向に導いているMarcos, Jr比大統領がバイデン大統領とホワイトハウスで首脳会談を行った当日に、演習開始との象徴的なタイミングとなりました

米比空軍による「Cope Thunder」演習は、1970年代半ばから毎年、1991年の噴火でクラーク基地が閉鎖されるまで行われてきましたが、火山灰堆積による基地の壊滅的被害と米比関係のギクシャクもあり、33年に渡り比での訓練は中断されてきました。

US-Phili.jpg比での中断間、アラスカで同演習が実施されることはありましたが、33年ぶり比で開催となった今年は、日本の三沢基地所属の米空軍F-16戦闘機12機と兵士約160名が同基地に展開し、フィリピン空軍FA-50軽攻撃機と戦術訓練を5月12日までの間で実施することになっています

往時と比較すると演習規模は小さく、クラーク基地の装備や施設不足で「Cope Thunder」準備のための空輸作戦の方が大規模だったかも・・・との噂も報じられていますが、4月に米陸軍や海兵隊を中心に約1.7万名が参加し、米海兵隊が対中国用に改編した新部隊MLR(Marine Littoral Regiment)までも投入してフィリピン側と連携を深めた大規模演習「Balikatan」演習に続く、意義深い軍事訓練となりました

US-Phili2.jpg米国政府のJohn Kirby戦略調整官は1日、「マルコスJr大統領就任後の1年弱の短期間に、米比同盟や両国関係はまさに驚愕の進歩を見せている」と記者会見で語っていますが、今年2月の米国防長官訪比時の米軍の比軍基地へのアクセス数倍増(4個基地から8個)合意、3月の米軍第5世代機(F-22)初訪比と南シナ海上での訓練、4月11日の「2+2」会合での国防支援調整協議(レーダー、無人機、軍用輸送機、防空装備、F-16輸出)など、Kirby氏による「stunning」との表現がふさわしい劇的な進展ぶりとなっています

両国間の連携改善は日々の対中国対応でも顕著で、1日の米比首脳会談直前に、中国のコーストガード海警の艦艇がフィリピン船舶に南シナ海上で嫌がらせ行為を行いましたが、米国がすかさず中国を非難して比への艦艇提供を発表し、「比は複雑な状況下での平和と安定を願っている」と米高官がコメントを出すなど、対中国連携も洗練の域に入っている様子をうかがわせています

Cooper 2.jpg米国の専門家も米比関係の急改善に注目し、ハドソンのPatrick Croninは「同演習は比空軍が(軽攻撃機のみ保有から)増強されることを示すシグナルであり、2+2でのF-16売却協議の流れに沿ったもの」と解説し、

更にAEIのZack Cooper氏は米比関係の大きな変化の背景について、「比は過去5年間に渡り中国との関係改善を狙ったアプローチを試みたが、中国側がその高圧的な態度を変える様子を全く見せないことで比国民の反感を買い、フィリピンは国益保護&追求のため、現実的に唯一可能なオプションとして米国との協力強化の道を選択するに至った」と分析しているところです

Philippine China2.jpg東南アジア諸国は中国をよく見ています。不動産バブル崩壊で混乱する中国経済の中で、習近平政権がますます強権的な態度を強め、柔軟性を失いつつあることを・・・。このフィリピンの急激な変化を見た他の東南アジア諸国や太平洋の島嶼国家が、今後対中国の姿勢をどのように変化させるかに注目です

フィリピン関連の記事
「米比2+2とBalikatan演習」→https://holylandtokyo.com/2023/04/20/4524/
「5世代機初展開F-22」→https://holylandtokyo.com/2023/03/24/4442/
「第3MLRの編成」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
「前政権時の米とのギクシャク」→https://holylandtokyo.com/2021/08/02/2065/
「三菱製レーダーを提供へ」→https://holylandtokyo.com/2020/08/31/536/

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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ブログサポーターご紹介ページ
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タグ:Zack Cooper F-16 Cope Thunder フィリピン
2023-05-08 05:00 nice!(2) コメント(0) 』

フィリピン「中国船100隻以上が1週間以上とどまっている」領有権争いが続く南シナ海

フィリピン「中国船100隻以上が1週間以上とどまっている」領有権争いが続く南シナ海
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/469082?display=1

『中国とフィリピンが領有権をめぐり対立する南シナ海で、100隻を超える中国船が1週間以上とどまっていることが分かりました。

南シナ海では先月23日、中国海警局の船がフィリピンの巡視船に衝突寸前まで接近する事態が起きました。

こうした中、フィリピンメディアによりますと、沿岸警備隊の担当者は3日、南シナ海の南沙諸島付近で「100隻を超える中国当局などの船が4月下旬から1週間以上とどまっている」と明らかにしました。

また、「海上民兵」と呼ばれる軍事訓練を受けた乗員も100人以上いるとしています。

南シナ海では2年前にも200隻あまりの中国船が確認され、フィリピン政府が「明らかな挑発行為だ」と中国側を非難していました。

訪米したマルコス大統領がアメリカとの防衛協力の強化に動き出すなか、領有権をめぐる中国とフィリピンの対立はさらに深まるおそれがあります。』

Kh-47M2 キンジャール

Kh-47M2 キンジャール
https://ja.wikipedia.org/wiki/Kh-47M2_%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB

『Kh-47M2 キンジャール(Kh-47M2 Kinzhal 、ロシア語: Х-47М2 «Кинжал»、Dagger「短剣の意味」)は、ロシア連邦軍の極超音速空対地ミサイル。最大速度はマッハ10とされ、核弾頭も搭載可能である[9]。北大西洋条約機構(NATO)の用いるNATOコードネームでは、AS-24「キルジョイ」(Killjoy)と呼ばれる[10]。

概要

当初発表された能力は以下の通り。(飛翔体単体で)2,000 km(1,200 mi)以上の航続距離[11]、最大マッハ10の速度で飛行し[9]、全ての段階で回避運動を実行する能力を備えている。通常弾頭の他に核弾頭も搭載可能。Tu-22M3爆撃機またはMiG-31K戦闘機(本来の主用途は迎撃機)に搭載される空中発射弾道ミサイル(ALBM)である。

2017年12月に就役し、2022年現在はロシア連邦軍の南部軍管区と西部軍管区の空軍基地に配備されている。

2018年3月1日に行われた、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンによる年次教書演説において、新型大陸間弾道ミサイル(RS-28)、原子力推進の巡航ミサイル「9M730」、戦略核魚雷と共に発表された6つの戦略核兵器の1つである[12]。

なお、本装備がイスカンデル短距離弾道ミサイルと酷似していることが知られており、イギリスの国防省は「キンジャルは、イスカンデルの空中発射型に過ぎない」と評価している[13]。 (空中発射型であることを勘案しても)実際の射程が公表値より短い可能性があることが2018年当初の公表時点において既に指摘されており[11][14]、後のタス通信による記事においても射程2000 kmは母機MiG-31Kの戦闘半径を含めたもの(Tu-22M3であれば3000 km)とされている[15][16]。ただし、空中給油により作戦母機の戦闘半径は延長されうる。

飛翔体単体の射程は非公表[15]。

配備と実戦投入

2017年12月1日、キンジャール極超音速ミサイル装備型に改造されたMiG-31Kが運用実験を開始した[17]。

2018年5月、改造された10機のMiG-31Kが模擬戦闘任務に就き、実戦配備の準備が整った[18]。また同月9日に実施された大祖国戦争戦勝記念日パレードにて、本装備を吊架したMiG-31Kがデモンストレーション飛行を実施した[19]。同年12月までに、同型機は黒海ならびにカスピ海周辺において延べ89回の訓練出撃が実施された[20]。

2019年2月までに、MiG-31Kの乗組員は、ミサイルを装備して380回以上の訓練出撃を行い、そのうち少なくとも70回は空中給油を実施した[21][21][22][23]。また、同2019年8月のAviadarts(ロシア語版)国際競技大会でも本装備搭載のMiG-31Kが参加した[24]。

イタルタス通信によると、Arcticでのキンジャールの最初の発射は、2019年11月中旬に行われた。伝えられるところによると、発射はMiG-31Kによって行われた。 オレニヤ空軍基地(英語版)から、ミサイルはハルミェール=ユーの試験場に設置された地上目標に命中し、飛行速度はマッハ10に達した[25]。

2021年6月、ロシア連邦航空宇宙軍によるシリア空爆の拠点となっているフメイミム空軍基地から発進したMiG-31Kによってキンジャール極超音速ミサイルがシリアの地上目標に発射された[26]。2021年にキンジャールを搭載したMiG-31Kを装備した別の航空連隊が編成された[27]。

2022年8月18日、ロシア国防省はロシア最西端の飛び地領土カリーニングラード州にキンジャールを装備したMiG-31を3機配備したと発表した[9]。同年2月初旬の未確認の報告によると、キンジャールで武装したMiG-31Kが、ノヴゴロド州ソリツイ2空軍基地からロシア西部のカリーニングラード州チェルニャホフスク海軍空軍基地に展開した[28][29][30][31]。

ロシア航空宇宙軍は、2022年2月19日にキンジャールの発射実験に成功している[32]。

2022年ロシアのウクライナ侵攻中に、キンジャールが使用されたと伝えられた。ロシア連邦軍は、2022年3月18日にウクライナ西部のイヴァーノ=フランキーウシク州デリアティン(英語版)の地下兵器庫を破壊するためにキンジャールを使用したと述べた[33][34]。
同侵攻において2023年3月9日にはロシア国防省イーゴリ・コナシェンコフ報道官が「キンジャールを含む兵器が、ウクライナの軍事インフラの重要な部分を直撃した」と説明した[35]。またウクライナ軍のザルジヌイ総司令官は同日侵攻史上最大の6発が発射されたと発表している[36]。プーチン大統領はミサイル防衛システムによる迎撃が極めて困難な「理想的な兵器」と形容しておりウクライナによる撃墜はなかったが2023年5月6日のウクライナ空軍の発表によるとキーウ上空で同月4日午前2時半ごろにパトリオットミサイルに撃ち落されたという[37]。』

パトリオットによるキンジャール迎撃成功、ロシア軍から確実な攻撃手段を奪う

パトリオットによるキンジャール迎撃成功、ロシア軍から確実な攻撃手段を奪う
https://grandfleet.info/us-related/patriots-succeed-in-intercepting-kinzhal-depriving-russian-forces-of-reliable-offensive-means/#comment_headline

『米国防当局者は「パトリオットシステムがロシア軍の極超音速ミサイルの迎撃に成功したという主張には信頼がおける」と述べ、キンジャールを使用さえすれば「確実に目標を破壊できる」というロシアの計算が崩れたと指摘した。

参考:US officials are confident in Ukraine’s claim it used Patriot system to stop a hypersonic missile, source says
米国防当局者は理論上の可能性が実戦で証明され「ロシアの計算が崩れた」と指摘した

ウクライナのディフェンスメディア(DEFENSE EXPRESS)は「キーウで見つかったミサイルの残骸はX-47(キンジャールのこと)のもので、パトリオットシステムの運用が既に開始されていたことを考えると4日夜に極超音速ミサイルの迎撃に成功した可能性が高い」と指摘したが、空軍のイグナト報道官は「4日夜にキーウ上空で弾道ミサイルは検出されていない」と述べてX-47迎撃を否定、しかしオレシチュク空軍司令官は6日「キンジャールの迎撃は事実で歴史的快挙だ」と発表したため大きな注目が集まっていた。

出典:VoidWanderer/CC BY-SA 4.0

ウクライナ軍が保有するS-300PT/PS/PMU(推定28セット/ランチャー200基)は弾道ミサイルの迎撃に対応しておらず、弾道ミサイルの迎撃に対応したS-300V1(推定3セット)は数が少ない上、迎撃弾の残数が尽きている可能性(2月時点の残数55発/流出した機密文書の数値)が高く、そもそも迎撃弾の9M82はシンプルな弾道コースを飛翔する物体の迎撃を想定したもので、迎撃を回避する能力を備えるイスカンデルタイプ(目標までの弾道コースに変化を加える機動や囮の放出など)や目標に急降下してくるKh-22を迎撃できるように出来ていない。

そのためウクライナ空軍は「手持ちの防空システムでも弾道ミサイルの迎撃は論理的に可能だが、我々に本格的なミサイル防衛の能力はない」と繰り返し主張し、パトリオットシステムやSAMP/Tの提供を西側諸国に要求、第138対空ミサイル旅団が4月26日までにパトリオットシステムの運用を開始しているのが確認され、流出した機密資料によればGEM-T弾とPAC-3弾をウクライナ軍は受け取っているため空軍司令官の発表は辻褄が合う。

この発表に米国防当局者が注目しているのは「理論上の可能性」が実戦で証明されたためで、イスカンデルの空中発射バージョンとも言えるキンジャールをパトリオットシステムで迎撃できたということは「インタセプトコースを計算するソフトウェア」と「弾頭ミサイル迎撃弾=PAC-3弾」の組み合わせが、地上発射ではなく空中発射された弾道ミサイルにも対応できたことになり、キンジャールを使用さえすれば「確実に目標を破壊できる」というロシアの計算が崩れたと見ているのだ。

Shahed-136や巡航ミサイルは戦術的な工夫(飛行コースや複数発射など)を凝らすことで目標破壊の可能性を高めることが出来ても、絶対に目標を破壊できるという確実性はなく、プーチン大統領は「ロシアの極超音速ミサイルは全ての防空システムを貫通して目標を破壊できる」と豪語していたため、これを打ち砕いたと言いたいのだろう。

出典:流出した機密資料の画像

ただ西側の軍事アナリストの中でも「キンジャールの迎撃成功」については評価が分かれている=懐疑的な声もあるので、もう少し暫く様子を見る必要があるのかもしれない。

参考:Ukraine shoots down hypersonic missile – Media coverage less accurate

追記:カナダメディアは「パトリオットがキンジャールを迎撃したという話は大きな問題を提起しているのに、殆どのメディアはそれを見逃して軍事的無教養(技術的な側面に終始して戦術や戦略な問題を全く議論していない)に手を広げることにしか興味がない」と指摘している。

関連記事:ウクライナにパトリオットシステムが到着、私達の美しい空がより安全になった
関連記事:オランダのルッテ首相、ウクライナへのパトリオットシステム提供を表明
関連記事:米国、パトリオットやJDAMが含まれたウクライナ支援パッケージを発表
関連記事:ドイツ、マルダー歩兵戦闘車とパトリオットのウクライナ提供を発表

※アイキャッチ画像の出典:kremlin.ru / CC BY 4.0 キンジャールを搭載したMiG-31K
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投稿者: 航空万能論GF管理人 米国関連 コメント: 18 』

アラブ連盟

アラブ連盟
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%96%E9%80%A3%E7%9B%9F

『アラブ連盟(アラブれんめい、جامعة الدول العربية、Jāmi’a al-Duwal al-‘Arabīya、League of Arab States)は、アラブ世界の政治的な地域協力機構。第二次世界大戦末期の1945年3月22日創設。本部はカイロにある。加盟は22(21カ国と1機構)。 現在の連盟事務局長は元エジプト外相のアハマド・アブルゲイト。

組織

参加各国の代表からなる理事会が最高決定機関で、その下に実行機関である事務総局や常任委員会、共同防衛理事会、社会経済理事会、ほかパレスチナ問題総本部やイスラエル・ボイコット本部などの部局や専門の諸機関がある。理事会は1年に2回開催されるほか、加盟二か国または通常理事会の要請によって緊急理事会を開くことができる[2]。また、上記の組織とは別に、1963年から開催されているアラブ首脳会議は、2000年に正式にアラブ連盟の会議となった。首脳会議は年に一度加盟国の都市に集まって行われる。理事会が閣僚レベルの各国代表で構成されるのに対し、首脳会議は各国の元首が集合して議論を行うため、首脳会議の重要性は高まってきている[3]。

本部がカイロにあり、また歴代の7人の事務局長が、エジプト追放期のチュニジア人一人を除いて全員エジプト人である[4]ように、エジプトの主導権が強く、サウジアラビアなどを中心に反発もあり、サウジアラビアがイスラム諸国会議機構の設立に積極的であった理由のひとつともされる。1979年3月にはエジプトとイスラエルの単独和平によって盟主であったエジプトが連盟から追放され、本部は一時チュニジアのチュニスに移っていたが、1989年5月にエジプトが連盟に復帰すると、本部もカイロへと戻った[5][6]。

当初は1945年当時のアラブ独立国7か国で発足した連盟であるが、アラブ諸国が次々と独立していくにつれて加盟国数も拡大し、さらに1973年にモーリタニアが加盟したのを皮切りに、それまでアラブ諸国とはみなされていなかったジブチやソマリア、コモロなどの加盟が認められていった[7]。

連盟発足後すぐに勃発したイスラエルとの対立とそれによる数度の中東戦争によって連盟は結束して行動したものの、連盟自体の強制力は小さなものであり、しばしば足並みの乱れや内部対立が起こっているため、連盟はそれほど強力な政治力を持っているとは言い難い。最近ではアラブ連盟の政治的役割はますます低下しており、実質的には中東の政治問題の解決にほとんど有効な手段を取ることができていない。地域統合でも湾岸協力会議やアラブ・マグレブ連合など、より狭い地域での統合を目指す動きの方が進展が見られる。
イスラエルとは同国建国以来緊張関係にあり、イスラエルおよびその主要取引先に対する経済制裁である「イスラエル・ボイコット」も行っており、イスラエルにアラブ和平イニシアティブ(英語版)の受け入れを要求している。

歴史

創設

20世紀にはいると、アラブ民族主義の高まりを受けて、アラブ諸国家間の地域協力機構の設立が叫ばれるようになった。第二次世界大戦が始まると、アラブ諸国が枢軸国側につくことを避けるために1941年5月29日からイギリスのアンソニー・イーデンがこの構想を主張しはじめた。この時はアラブ各国の支持を受けられなかったものの、イーデンは1943年2月に再度同様の呼びかけを行い、これにアラブ各国が積極的な賛同を示したことで、この構想は一気に具体化した。とはいえ、この機構に対する各国の反応はまちまちだった。エジプトのムスタファ・エル・ナハス首相は積極的な賛成を示し、連盟設立の主導権を握ったが、エジプトの立場はこの機構を緩やかな国家間の協力機構にとどめるものだった。トランスヨルダンとシリアはともに大シリア(シリア・ヨルダン・レバノン・パレスチナ)の統合を主張し、そのうえでアラブの連合を求める考えを示していたが、ヨルダンはハーシム家による君主制を、シリアは共和制を構想していた。イラクはこれにイラクを加えた統合構想を持っていたが、イラクとヨルダンは各国家の完全な統合までには踏み込まず、やや統制の強い国家連合を志向していた。これに対しシリアはアラブ統一に最も積極的であり、創設7か国中で唯一主権放棄にも応じる姿勢を示していた。こうした積極派の諸国に対し、サウジアラビアとレバノンは主権の移譲に強い抵抗を示していた。レバノンは前述の大シリアに含まれる地域ではあったが、他地域とは違いキリスト教のマロン派が主導権を握っており、大シリアが統合された場合周囲のスンニ派に飲み込まれる恐れがあったために、どのような主権移譲の動きにも強い抵抗を示していた。サウジアラビアはもともと孤立主義的な傾向が強く、連盟の設立自体に懐疑的であり、イエメンもこれに追随した。こうした中でエジプトが主体となって妥協が行われ、どのような強制力も持たない緩やかな地域協力機構にとどめることで消極派諸国をつなぎとめ、連盟が設立されることとなった[8]。こうして1945年3月22日にアレキサンドリア議定書の発効によって、当時のアラブ7カ国が加盟してアラブ連盟が結成された。

アラブ連盟が作成した「アラブ人権憲章」は、1994年に初期版が作成されたが、批准した国はなかった。2004年に作成された最新版は、より大きな成功を収め、必要な数の加盟国の批准を経て2008年に施行された。 アラブ憲章で正式に記されている規範の多くはイスラム原理に基づいており、前文では「高貴なイスラム教によって神聖なものとされた[…]永遠の原理を[…]推進するもの」とされている。アラブ憲章が施行された4年後、当時の国連人権高等弁務官ルイーズ・アルブール氏は、アラブ憲章が他の国際人権条約と相いれないことを公に強調して反論した。[2]

中東戦争への対処

発足したアラブ連盟がまず最初に取り組んだ問題は、パレスチナ地方におけるアラブ人とユダヤ人の対立、すなわちパレスチナ問題であった。すでに連盟結成前からパレスチナ問題はこの地域における一大政治問題となっており、アラブ連盟は一貫してアラブ人の権利を主張した。1947年11月に国際連合においてパレスチナ分割決議が採択されると、アラブ連盟はこれに反対した。このころになるとすでにパレスチナは内乱状態となっており、1948年5月14日にイギリス軍がパレスチナを撤退すると、同日この地域のユダヤ人がイスラエルの独立を宣言したため、レバノン、シリア、トランスヨルダン、イラク、エジプトのアラブ連盟5か国もこれに反応してイスラエルに即日宣戦を布告し、パレスチナになだれ込んだ。第一次中東戦争である。アラブ連盟諸国は兵力的には優位だったものの共同歩調を取ることができず、やがてイスラエルに反撃され、1949年には事実上の敗北という形で停戦協定を結ばざるを得なくなった。

敗戦後のアラブ諸国では、第一次中東戦争で連帯を強めることができなかった経験を踏まえ、アラブ連盟内でより強い統合を求める動きが始まった。この動きによって1950年、共同防衛理事会とその補助を行う常任軍事委員会が連盟に設立され、加盟国間での軍事連携が深まることになった[9]。また創設以来連盟はイスラエルに対するボイコットを行ってきたが、1951年にはダマスカスにイスラエル・ボイコット事務局が設立され、イスラエルとの貿易をはじめイスラエルと取引のある企業との契約をも禁止するボイコット運動が開始された[10]。1956年に起こったスエズ危機において、連盟はエジプトを全面的に支持し、英仏とイスラエルに対抗した。エジプトが軍事的に敗北したものの政治的に勝利を収めると、エジプト大統領のガマール・アブドゥル=ナーセルの威信が高まり、彼の提唱によりアラブ民族主義(汎アラブ主義)に基づくアラブ世界の統一を目指したアラブ連合構想が各地で実現したものの、基本的にエジプトばかりかサウジアラビア、シリア、イラクがそれぞれアラブ圏での主導権を握ろうとし、互いに従属することを嫌ったためにいずれも頓挫した。

1959年に国際石油資本が産油国の了承を得ることなく石油公示価格の引き下げを発表すると、同年4月、アラブ連盟は第1回アラブ石油会議をカイロで開催し、この措置に抗議した。この会議にはアラブ諸国のみならず大産油国であるイランおよびベネズエラも招かれ、この会議を発端に産油国間の協調体制が整うようになり、1960年の石油輸出国機構の結成へとつながっていくこととなった[11]。1963年からはナセルの提唱によってアラブ首脳会議が行われるようになり[12]、1982年以降一時中断したものの2000年に復活し、2012年現在も継続している。第一回アラブ首脳会議が1963年に開かれたが、アラブ連盟はパレスチナ解放のための機関としてパレスチナ解放機構(PLO)の設立に同意し、翌年に実現した[13]。

中東戦争では引き続き連携し、1967年の第三次中東戦争でアラブ側がイスラエルに大敗し、軍事的劣勢に立たされた際には、同年9月のアラブ首脳会議において、イスラエルに対し「和平せず、交渉せず、承認せず」を決議した[14]。この第三次中東戦争の大敗はアラブ諸国にとって衝撃的であり、それまで英雄とされていたナセルの政治的威信は失墜、アラブ世界の統合の動きは衰退していくことになった。またヨルダン川西岸地区をめぐって、あくまでこの地区の奪還を目指すPLOとイスラエルとの妥協を志向するヨルダンの対立は激化し、1970年には両者の間にヨルダン内戦が勃発した。この内戦においてアラブ連盟はPLOとヨルダンの仲介に立ち、PLOは本部をヨルダンの首都アンマンからレバノンの首都ベイルートへと移転させることとなった。

1973年に第四次中東戦争では、エジプトとシリア両国がイスラエルを攻撃した。連盟はエジプト・シリアを支援したものの、緒戦の敗北から立ち直ったイスラエルは両国への逆襲に成功し、最終的にはイスラエル優勢で戦争は終結した。しかし緒戦でイスラエルが敗北したことが、イスラエルはその軍事的威厳を落とすことになり、またアラブ諸国の結束の機運を一時的に高めることとなった。アラブ連盟の動きに呼応したアラブ石油輸出国機構(OAPEC)は非友好国への石油供給削減を行い、さらにこれに石油輸出国機構が同調したことで石油価格が高騰し、第一次石油危機が勃発した。この結束の機運に乗ってPLOはアラブ連盟との関係を強めていき、1974年のアラブ首脳会議においてPLOはパレスチナ唯一の代表となり、1976年には正式に連盟に加盟してその一員となった[15]。レバノン内戦においては1976年に平和維持活動を決定した。また、1973年にはモーリタニアが加盟し、アラブ連盟が伝統的にアラブとされている領域から拡大するきっかけとなった。

エジプトの追放と復帰

こうした一連の協調を対立関係に変えてしまったのが1978年3月のキャンプ・デービッド合意である。この合意においてアラブ側の中心国家であり、4度の中東戦争において唯一アラブ側ですべての戦争に参加していたエジプトのサダト大統領とイスラエル首相のメナヘム・ベギンの間で、両国の停戦と相互承認が締結されたことは、アラブ諸国に激震をもたらした。アラブ連盟の対イスラエル共通政策である「和平せず、交渉せず、承認せず」に違反したとしてエジプトは強い批判にさらされ、同年11月にイラクのバグダッドで行われた1978年アラブ首脳会議(英語版)で主導国であるにもかかわらずアラブ連盟を追放されてしまう[16]。同時にアラブ連盟の本部もブルギーバ政権下のチュニジアのチュニスへと移転した。この会議を主催してエジプト追放に成功したイラクはエジプトに代わってアラブの盟主になることも目論み[17]、後にイラン・イラク戦争を引き起こす原因の1つになったともされる。

1980年から1988年まで続いたイラン・イラク戦争では、イラクが連盟内の国家でありイランがそうでなかったこと、およびこの前年の1979年に起きたイラン革命によって成立したイスラム共和制に対し殆どの加盟各国が強い警戒心を抱いたことから一貫してイラクを支持し続けた[18]。1987年にパレスチナで起こった第1次インティファーダについては支援を行う決議を採択した[19]。またこの間エジプトが加盟各国との関係改善に努めた結果、1989年5月にエジプトが連盟に復帰して本部も再びカイロへと戻った。

湾岸戦争

エジプトが復帰してアラブ連盟は再び以前の状態に戻ったものの、この時アラブ連盟は深刻な内部対立に悩まされていた。イラン・イラク戦争で疲弊していたイラクは原油価格の引き上げによってこの苦境を乗り越えようとしていたが、アラブ諸国が主導権を握る石油輸出国機構がこれを認めなかったうえ、クウェートをはじめとするアラブの数か国がOPECの産油量割り当てを越えて増産を続け、原油の値崩れを招いていたからである。イラクは抗議を行ったがクウェートは全く聞き入れず、やがて国境上にあるルマイラ油田をめぐって両国は深刻な対立に陥った。

1990年3月に議長国となったイラクはバグダッドでアラブ連盟の首脳会議を主催し、1990年8月2日、イラク軍はクウェート侵攻を行いクウェート全土を支配下におさめた。このクウェート侵攻をめぐって、アラブ連盟は同年8月9日にカイロ国際会議場に緊急サミットを開き[20]、エジプトの主導でイラク非難決議を採択した。この決議にイラクはもとよりPLOとリビアがイラク側に完全に立って反対し、さらにイエメンが態度保留、ヨルダンも棄権してイラク寄りの姿勢を保った[21]。アラブ連盟には深刻な亀裂が走ったものの、主流派はイラク反対派であることは変わらず、湾岸諸国やサウジアラビアをはじめとする多くの国が1991年の湾岸戦争において対イラク攻撃に参戦した。湾岸戦争はイラクの敗北とクウェートの解放によって終結したものの、この戦争によって連盟内部の深刻な亀裂と弱体さが明るみに出、これ以降連盟の求心力はさらに弱まった。

1993年にイスラエルとパレスチナ解放機構の間で合意されたオスロ合意については承認を行っている[22]。2003年に起きたイラク戦争においては、アメリカ・イギリス軍の即時撤退要求をクウェート以外のすべての国家の賛成によって議決している[23][24]。

2009年3月30日、31日の両日、カタールの首都ドーハで第21回アラブ連盟首脳会議が開かれた。会議には21カ国と1機構、国連の事務総長、イスラム諸国会議機構 (OIC) の事務局長が参加。エジプトのムバーラク大統領は欠席を表明。
最終宣言では、中東和平、イラク、スーダンの国内情勢、中東非大量破壊兵器地帯創設などの課題解決のために参加国の努力を確認した。中東非大量破壊兵器地帯創設では、核兵器保有のイスラエルに対し、核不拡散条約 (NPT) に調印し、国際原子力機関 (IAEA) の監視を受けるよう国際社会が圧力をかけることを求めた。中東和平問題では、最近のパレスチナ自治区のガザ地区に対する攻撃を「野蛮な侵略」と非難した。
討議でヨルダンのアブドゥッラー2世国王は、スーダン情勢について、国際刑事裁判所 (ICC) がオマル・アル=バシール大統領に対して逮捕状を発行したことを非難した。
アラブの春

2011年におこったアラブの春においては当初は慎重な姿勢だったが、徐々に改革派寄りの姿勢に立つようになった。これを示すのが、以下のシリア内戦に対する姿勢である。2011年10月30日カタール(ドーハ)で外相会議が開かれ、シリア内戦を論議した。31日には、アラビ事務局長が、シリア政府の反政府デモに対する武力弾圧を終了させるためのロードマップを明らかにした。11月2日には暴力行為停止などの調停案受け入れでシリアと合意したが弾圧は続き、11月16日をもってシリアは加盟資格が停止された[25]。 2011年11月16日、モロッコ・ラバトで外相会議を開き、シリア問題について話し合った。同会議は、シリア政府に対し3日以内に弾圧を停止するよう求め、これに応じなければ経済制裁を科することを決定した。 11月27日、カイロで外相会議を開き、シリアに対する制裁措置を19ヵ国(22ヵ国・機構加盟)の賛成で承認した。制裁措置は、アラブ諸国とシリア政府との関係の断絶、シリアへのアラブ各国政府の投資の禁止、アラブ各国にあるシリア資産の凍結、シリア政府高官[26]の渡航禁止、シリアへの民間航空の乗り入れ禁止[注釈 1]などから成っている。12月3日には、ドーハ(カタール)で閣僚級会合を開きシリアへの制裁について協議した。[27][28][29]

2015年3月29日、地域の不安定化の拡大に対応するため合同軍の創設で原則的に合意した[30]。

アラブ連盟加盟国(加盟順)

原加盟国

Arab League History.svg

 エジプト(1979年3月にイスラエルとの平和条約締結を理由に加盟資格停止。1989年5月に復帰)
シリアの旗 シリア(2011年11月16日より加盟資格停止)
イラクの旗 イラク
ヨルダンの旗 ヨルダン
レバノンの旗 レバノン
サウジアラビアの旗 サウジアラビア
イエメンの旗 イエメン(加盟時は北イエメンの旗 北イエメン)

追加加盟国・機構

1953年 - リビアの旗 リビア
1956年 - スーダンの旗 スーダン
1958年 - モロッコの旗 モロッコ、チュニジアの旗 チュニジア
1961年 - クウェートの旗 クウェート
1962年 - アルジェリアの旗 アルジェリア
1971年 - アラブ首長国連邦の旗 UAE、バーレーンの旗 バーレーン、カタールの旗 カタール、オマーンの旗 オマーン
1973年 - モーリタニアの旗 モーリタニア
1974年 - ソマリアの旗 ソマリア
1976年 - パレスチナの旗 パレスチナ
1977年 - ジブチの旗 ジブチ
1993年 - コモロの旗 コモロ連合

旧加盟国

1967年 - 南イエメンの旗 南イエメン(北イエメンの旗 北イエメンとの合併に伴い消滅)

アラブ連盟事務局長

事務局長    生没年     就任  辞任  国籍  画像

1 アブドゥル・ラフマーン・ハサン・アッザーム 1893-1976 1945年3月22日 1952年9月 エジプトの旗 エジプト
2 アブドル・ハーレク・ハッスーナ 1898-1992 1952年9月 1972年6月1日 エジプトの旗 エジプト
3 マフムード・リヤード 1917-1992 1972年6月1日 1979年3月 エジプトの旗 エジプト Mahmoed Riad (1969).jpg
4 シャドリ・クリービー(英語版) 1925-2020 1979年3月 1990年9月 チュニジアの旗 チュニジア Chadli klibi.JPG
5 アフマド・アスマト・アブデルマギード 1924-2013 1991年5月15日 2001年5月15日 エジプトの旗 エジプト
6 アムル・ムーサ 1936- 2001年5月15日 2011年7月1日 エジプトの旗 エジプト Amr Moussa at the 37th G8 Summit in Deauville 054.jpg
7 ナビール・エル=アラビー 1935- 2011年7月1日 2016年7月3日 エジプトの旗 エジプト Nabil el-Araby 2005.jpg
8 アハマド・アブルゲイト 1942- 2016年7月3日 現職 エジプトの旗 エジプト Msc 2005-Saturday, 16.00 – 18.00-AboulGheit.jpg

アラブ首脳会談(アラブ連盟サミット)

定例サミット
2013年アラブ連盟サミットのロゴ
回 開催日 開催国 開催都市
1 1964年1月13日-17日 エジプトの旗 エジプト カイロ
2 1964年9月5日-11日 エジプトの旗 エジプト アレキサンドリア
3 1965年9月13日-17日 モロッコの旗 モロッコ カサブランカ
4 1967年8月29日 スーダンの旗 スーダン ハルツーム
5 1969年12月21日-23日 モロッコの旗 モロッコ ラバト
6 1973年11月26日-28日 アルジェリアの旗 アルジェリア アルジェ
7 1974年10月29日 モロッコの旗 モロッコ ラバト
8 1976年10月25-26日 エジプトの旗 エジプト カイロ
9 1978年11月2-5日 イラクの旗 イラク バグダード
10 1979年11月20–22日 チュニジアの旗 チュニジア チュニス
11 1980年11月21–22日 ヨルダンの旗 ヨルダン アンマン
12 1982年9月6日-9日 モロッコの旗 モロッコ フェズ
13 1985年 モロッコの旗 モロッコ カサブランカ
14 1987年 ヨルダンの旗 ヨルダン アンマン
15 1988年6月 アルジェリアの旗 アルジェリア アルジェ
16 1989年 モロッコの旗 モロッコ カサブランカ
17 1990年 イラクの旗 イラク バグダード
18 1996年 エジプトの旗 エジプト カイロ
19 2001年3月27日–28日 ヨルダンの旗 ヨルダン アンマン
20 2002年3月27日–28日 レバノンの旗 レバノン ベイルート
21 2003年3月1日 エジプトの旗 エジプト シャルムエルシェイク
22 2004年5月22日-23日 チュニジアの旗 チュニジア チュニス
23 2005年3月22日-23日 アルジェリアの旗 アルジェリア アルジェ
24 2006年3月28日-30日 スーダンの旗 スーダン ハルツーム
25 2007年3月27日–28日 サウジアラビアの旗 サウジアラビア リヤド
26 2008年3月29日–30日 シリアの旗 シリア ダマスカス
27 2009年3月28日-30日 カタールの旗 カタール ドーハ
28 2010年3月27日–28日 リビアの旗 リビア スルト
29 2012年3月27日–29日 イラクの旗 イラク バグダード
30 2013年3月21日-27日 カタールの旗 カタール ドーハ[31]
31 2014年3月25日・26日 クウェートの旗 クウェート クウェート市[32]
32 2015年3月28日・29日 エジプトの旗 エジプト シャルムエルシェイク[33]
33 2016年7月20日 モーリタニアの旗 モーリタニア ヌアクショット
34 2017年3月23–29日 ヨルダンの旗 ヨルダン アンマン[34]
35 2018年4月15日 サウジアラビアの旗 サウジアラビア ダーラン
36 2019年3月 チュニジアの旗 チュニジア チュニス[35]
緊急サミット
回 開催日 開催国 開催都市
1 1970年9月21日-27日 エジプトの旗 エジプト カイロ
2 1976年10月17日-28日 サウジアラビアの旗 サウジアラビア リヤド
3 1985年9月7日-9日 モロッコの旗 モロッコ カサブランカ
4 1987年11月8日-12日 ヨルダンの旗 ヨルダン アンマン
5 1988年6月7日-9日 アルジェリアの旗 アルジェリア アルジェ
6 1989年6月23日-26日 モロッコの旗 モロッコ カサブランカ
7 1990年3月28日-30日 イラクの旗 イラク バグダード
8 1990年8月9日-10日 エジプトの旗 エジプト カイロ
9 1996年6月22日-23日 エジプトの旗 エジプト カイロ
10 2000年10月21日-22日 エジプトの旗 エジプト カイロ
11 2016年1月7日 サウジアラビアの旗 サウジアラビア リヤド
加盟各国の人口統計
順位 国 人口 人口密度 (/km2) 人口密度 (sq mi) 注
1 エジプトの旗 エジプト 92,519,544 107 277 [36]
2 アルジェリアの旗 アルジェリア 37,100,000 16 41 [37]
3 イラクの旗 イラク 37,056,169 83 215 [38]
4 モロッコの旗 モロッコ 32,064,173 71 184 [37]
5 スーダンの旗 スーダン 30,894,000 16 41 [39]
6 サウジアラビアの旗 サウジアラビア 28,146,658 12 31 [37]
7 イエメンの旗 イエメン 23,580,000 45 117 [37]
8 シリアの旗 シリア* 21,906,000 118 306 [37]
9 チュニジアの旗 チュニジア 10,673,800 65 168 [40]
10 ソマリアの旗 ソマリア 11,400,000 18 47 [37]
11 アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦 8,264,070 99 256 [41]
12 リビアの旗 リビア 6,733,620 3.8 9.8 [37][42]
13 ヨルダンの旗 ヨルダン 6,332,000 71 184 [37]
14 パレスチナの旗 パレスチナ 4,550,368 756 1,958 [43]
15 レバノンの旗 レバノン 4,224,000 404 1,046 [37]
16 クウェートの旗 クウェート 3,566,437 200 518 [37]
17 モーリタニアの旗 モーリタニア 3,291,000 3.2 8.3 [37]
18 オマーンの旗 オマーン 2,845,000 9.2 24 [37]
19 カタールの旗 カタール 1,699,435 154 399 [37]
20 バーレーンの旗 バーレーン 1,234,596 1,646 4,263 [44]
21 ジブチの旗 ジブチ 864,000 37 96 [37]
22 コモロの旗 コモロ 691,000 309 800 [37]
総計 アラブ連盟の旗 アラブ連盟 356,398,918 30.4 78.7

アラブ連盟へのシリア復帰、米英が批判 内戦めぐり

アラブ連盟へのシリア復帰、米英が批判 内戦めぐり
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB080EE0Y3A500C2000000/

『アラブ連盟が参加資格を停止していたシリアの復帰を7日に決めたのを受け、米英が批判を強めている。米国務省の報道官は同日、「シリアがこの時期にアラブ連盟復帰という恩恵を受けるのは適切ではない」と反対の立場を示した。シリアのアサド政権が同国で続く内戦終結へ向けて必要な措置をとるか疑問視した。

欧米諸国は反体制派への弾圧を続けるアサド政権に対して経済制裁を続けている。同報道官はアラブ諸国とシリアの安定に…

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『同報道官はアラブ諸国とシリアの安定に向け目標を共有しているとした一方、「シリアへの制裁は続ける」と話した。

中東エリアなどを担当する英国のアーマッド外務閣外相はツイッターで「英国はアサド政権との関与に引き続き反対の立場だ」と述べ、アサド政権がシリア国民に対して「(不当な)拘束や拷問、殺害を続けている」と批判した。

アサド政権が2011年に始まった内戦で反体制派を弾圧したのを機に、シリアは同年からアラブ連盟への参加資格が停止されていた。アサド政権がイランからの支援を受ける一方、サウジアラビアなどアラブ諸国は内戦当初に反体制派の支援にまわっていた。

サウジはイランと3月に外交正常化を決め、シリアとの関係改善も進めている。英BBCなどによるとシリア外務省は声明でアラブ連盟の決定を「大きな関心を持って」受け取ったとし、「より一層のアラブ諸国との協力とパートナーシップ」を呼びかけたという。』

アラブ連盟、シリアの復帰を決定 12年ぶり関係改善へ

アラブ連盟、シリアの復帰を決定 12年ぶり関係改善へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0724S0X00C23A5000000/

『【テヘラン=福冨隼太郎】アラブ連盟は7日、カイロで外相会合を開き、2011年に連盟の参加資格を停止したシリアの復帰を決めた。シリアのアサド政権は内戦で反体制派を弾圧したのを機に国際社会から孤立していたが、12年ぶりにアラブ諸国との関係改善が進む見通しだ。

19日にはサウジの首都リヤドでアラブ連盟の首脳会議が開かれる予定だ。サウジはアサド大統領を首脳会議に招待したい意向だとされる。ロイター通信によ…

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『ロイター通信によると、同連盟のアブルゲイト事務局長は7日の記者会見で、アサド氏が希望すれば首脳会議に出席できるとの見方を示した。

サウジはイランと3月に外交正常化を決め、イランの支援を受けるシリアとの関係改善も進めている。中東での緊張緩和を進める動きになりそうだ。外相会合での決議によると、シリアの内戦の解決に向けてヨルダンやサウジ、エジプトなどによる閣僚級の連絡委員会を設置することを決めた。

ただ、カタールなど一部の加盟国は、シリアとの関係正常化になお否定的な立場を取っているもようだ。

11年に始まったシリア内戦では、サウジなどアラブ諸国が、イランが支持するアサド政権と対立し、欧米とともに反体制派の支援にまわった。シリアとアラブ諸国は外交関係が事実上断絶した状態になっていた。

その後、アサド政権はイランやロシアの支援で首都ダマスカスを含む主要地域をおさえて事実上優位を固めた。サウジなどアラブ諸国はシリアとの対立路線を転換している。アラブ首長国連邦(UAE)は22年3月にアサド氏を首都アブダビに招き、首脳会談で連携を確認した。

長年対立を続けてきたイランとサウジが3月に外交正常化を決め、その後、サウジはイランが後ろ盾のアサド政権のシリアを連盟に復帰させる姿勢に転じた。5月1日にはヨルダンの首都アンマンでシリアとサウジやエジプトなどアラブ5カ国が外相会合を開き、シリアの復帰について協議した。

【関連記事】

・シリアとサウジ外相らが会談 アラブ連盟復帰など協議か
・シリア、サウジと国交正常化 アラブ連盟復帰の観測も 』

中国外相「ウクライナ解決へ貢献」、ロシアに交渉促す

中国外相「ウクライナ解決へ貢献」、ロシアに交渉促す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM050WQ0V00C23A5000000/

『2023年5月5日 14:19

【北京=田島如生】中国の秦剛国務委員兼外相は4日、訪問先のインドでロシアのラブロフ外相と会談した。同国のウクライナ侵攻に関し「政治解決に向けて具体的に貢献したい」と伝えた。ロシアとウクライナの和平交渉を促す姿勢を強調した。

中国外務省が5日発…

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『中国外務省が5日発表した。ラブロフ氏は「中国の原則的な立場に賛同する。中国と率直かつ緊密に意思疎通していく」と語った。両氏は経済・貿易の協力を強め、人的な往来を促進すると申し合わせた。

両氏は上海協力機構(SCO)外相会合に出席するためインドを訪れていた。』

上海機構、中国・ロシアは反欧米 インドは「中立」腐心

上海機構、中国・ロシアは反欧米 インドは「中立」腐心
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM051VA0V00C23A5000000/

『2023年5月5日 21:34

【ベノーリム(インド南部)=岩城聡、北京=田島如生】中国とロシアが主導する地域協力組織「上海協力機構(SCO)」の外相会合が5日、インドで閉幕した。中国外務省によると、エネルギーや金融などで協力を確認した。中ロは反欧米の姿勢を鮮明にするが、初の議長国インドは「中立」を貫こうとしている。

中国の秦剛国務委員兼外相は会合で、米国による対中半導体規制を念頭に「国際経済・貿易の秩序や市場のルールを損なう…

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『中国の秦剛国務委員兼外相は会合で、米国による対中半導体規制を念頭に「国際経済・貿易の秩序や市場のルールを損なういかなる行為にも反対する」と主張した。サプライチェーン(供給網)の安定と維持に向けた協調を呼びかけた。

ロシアのラブロフ外相は会議の途中でメディアの前に現れ、ウクライナ侵攻を巡り「今起きていることは地政学上の重要な問題だ。西側諸国が『覇権を維持し、全ての人に自分の意思を通したい』という欲求をやめなければ、国連で危機は解決されないと誰もが理解しているはずだ」と欧米を非難した。

SCOは中ロに加え、インドやパキスタン、旧ソ連の中央アジア諸国が加盟する。

初の議長を務めたインドのジャイシャンカル外相の表情は終始硬かった。「世界の人口の40%以上がSCOのメンバーであり、私たちの集団的な決定は必ずや世界に影響を与えるだろう」と述べ、中ロにも欧米にもくみしない姿勢を貫いた。

インドのモディ首相は2022年9月、ロシアのプーチン大統領に「今は戦争の時ではない」と苦言を呈し、プーチン氏は「現状が一刻も早く終わるよう全力を尽くす」と約束したとされるが、その兆しが見えずインドはいら立っているとされる。

インドは23年、20カ国・地域(G20)とSCOの両方の議長国を務める。国境紛争を巡り中国と緊張関係が続く半面、ウクライナに侵攻したロシアとの貿易拡大は欧米の批判を浴びる。外交的に綱渡りの状態にある。

インドは日米やオーストラリアとの協力枠組み「Quad(クアッド)」にも参加する。「等距離外交」を標榜するインドとしては「クアッドのなかで、インドだけがふらついている」とこれ以上、米国に思われたくないというのが本音だ。

先週、インドの首都ニューデリーで行われたSCOの国防相会議でも、議長を務めたシン印国防相は「国連憲章に基づき平和と安全を維持し、主権を尊重することが重要だ」と強調、事実上のロシア批判をしてみせた。

さらにインドを揺さぶるのは、中東で進む地政学的な再編の兆候だ。

サウジアラビアは近く、SCOの「対話パートナー」に正式になる見込み。サウジは3月、中国の仲介でイランとの外交正常化に合意した。サウジはシリアとの関係修復にも動いており、ロシアが仲介しているとされる。

サウジが中国やロシアとの関係を深めれば、中東の安全保障を危惧する米国がインドも含めSCO全体への反発を強める可能性がある。

インドの有力シンクタンクORFのサミール・パティル氏は「ウクライナ侵攻を機に、より親密になったロシアと中国がSCOに居心地の良さを感じている。しかし、インドにとっては、あくまで経済的に中央アジアと関わり続けるためのステージになるだろう」と語る。

一方、ジャイシャンカル氏とパキスタンのブット外相の間での2国間会談はなかったもようだ。パキスタン外相の12年ぶりのインド訪問は、核兵器を持つアジアのライバル同士の緊張関係に雪解けの可能性があるとの臆測を呼んでいる。

公式の場での両外相の握手はなかったものの、関係者によるによると4日夜に開かれた夕食会では握手が交わされたという。』

インド北東部、部族間の衝突で54人死亡

インド北東部、部族間の衝突で54人死亡
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0711L0X00C23A5000000/

『【ニューデリー=岩城聡】インド北東部マニプール州で7日までに、部族間の衝突によって少なくとも54人が死亡した。他の部族に対する優遇措置に反対する少数派部族のデモ隊が暴徒化した。治安当局は数千人の兵士を派遣し、インターネットを遮断するなどしたが事態は沈静化していない。

地元メディアによると、同州の多数派であるメイテイ族が政府に対し、自分たちを「指定部族」に認定するよう要求したことに少数部族で構成す…

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『地元メディアによると、同州の多数派であるメイテイ族が政府に対し、自分たちを「指定部族」に認定するよう要求したことに少数部族で構成するデモ隊が抗議していたという。インドでは、社会的地位が低い少数部族や低カーストの人たちへの差別に対処するため、政府の仕事や大学入学のための優先枠を与えている。

リジジュ法相は6日、何日も続いた衝突により「多くの人命が失われた。だが我々は同じ国家に属しており、共に生きていかなくてはならない」と述べた。隣州のナガランド州に展開するインド軍によると、1万3000人の住民が軍施設などに避難したという。

インド北東部には数十の部族グループやゲリラが存在し、その要求は自治権の拡大からインドからの分離独立まで多岐にわたる。1950年代初頭にマニプールで最初の反乱が起きて以来、これらの闘争で少なくとも5万人が命を落としたと言われている。』

モスクワでGPS誤作動 無人機攻撃の発表後

モスクワでGPS誤作動 無人機攻撃の発表後
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB061DH0W3A500C2000000/

『2023年5月6日 14:34

タス通信などは4日、ロシア大統領府があるモスクワ中心部のクレムリンがウクライナの無人機で攻撃されたとの今月3日の発表後、モスクワ市中心を囲む「サドーボエ環状道路」の内側や周辺で衛星利用測位システム(GPS)が正常に作動しなくなったと伝えた。

ロシアの独立系メディアは警察当局者の話として、クレムリン脇の「赤の広場」でプーチン大統領も出席して軍事パレードが開かれる今月9日の対ドイツ戦勝記念日に向けGPSの利用が妨害されていると報じた。クレムリンへの無人機攻撃と直接の関係があるのかどうかは不明。

ロシアメディアによると4日、モスクワの中心部で携帯電話の位置情報表示が誤作動を起こし、携帯アプリを使ったタクシーの呼び出しなどに支障が出た。

GPSの誘導機能は無人機や巡航ミサイルなどにも利用されている。(共同)』

ロシア作家負傷、当局「ウクライナの指示と男が自供」

ロシア作家負傷、当局「ウクライナの指示と男が自供」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB070HV0X00C23A5000000/

『プーチン政権のウクライナ侵攻を支持するロシアの作家ザハル・プリレーピン氏の車が爆発し運転手が死亡した事件で、ロシア連邦捜査委員会は6日、拘束した容疑者の男がウクライナ特務機関の指示を受け、道路上に爆発物を仕掛けたと自供したと発表した。インタファクス通信が伝えた。

【関連記事】ロシアの作家、自動車爆発で負傷 ウクライナ侵攻支持

ロシア外務省は声明で、責任はウクライナを支援して反ロシアの計画を実行している米国にもあると批判。事件について沈黙していることが「米国の関与を暴露している」と主張した。

ロシアは今月3日に大統領府があるモスクワ中心部のクレムリンにウクライナの無人機攻撃があったと発表。政権幹部は具体的な根拠を示さずに米国の関与を指摘するなど、今月にも大規模反攻に踏み切るとされるウクライナに軍事支援を続ける米国への一方的な批判を強めている。

捜査委によると男は1993年、ウクライナ東部ドネツク州生まれ。2018年にウクライナ特殊機関に入り、22年にプリレーピン氏殺害のためロシアに入国した。

プリレーピン氏は6日、ロシア西部ニジニーノブゴロドで乗っていた車が爆発。運転手が死亡し、自身も重傷を負った。

プリレーピン氏はウクライナ侵攻の前から、独立を主張するドネツク州などで義勇軍に参加していた。(共同)』

ロシアの作家、自動車爆発で負傷 ウクライナ侵攻支持

ロシアの作家、自動車爆発で負傷 ウクライナ侵攻支持
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR063140W3A500C2000000/

『2023年5月6日 22:59

ロシア西部のニジニーノブゴロドで6日、ロシアの保守派作家ザハル・プリレーピン氏の乗った自動車が爆発した。運転手が死亡し、プリレーピン氏は負傷し病院に運ばれた。同氏はウクライナ侵攻を支持していた。タス通信などが伝えた。連邦捜査委員会はテロ事件として捜査を開始した。

ロシア当局は容疑者の男を拘束した。プリレーピン氏が乗車した自動車の底部にTNT火薬換算で2キログラム以上の爆発物が設置されていたという。プリレーピン氏は両足を負傷し入院したが意識はしっかりしているという。

プリレーピン氏はウクライナ侵攻の支持など民族主義的な主張を積極的に発信し、通信アプリ「テレグラム」のチャンネル登録者数が31万人を超えるなど保守層から人気を集めていた。

ロシアのザハロワ情報局長は6日、プリレーピン氏を狙った爆破事件について、ウクライナが関与したと通信アプリに投稿した。メドベージェフ安全保障会議副議長(前大統領)もウクライナの関与を示唆した。

具体的な関与については明らかになっていないが、ウクライナへの報復論がロシア国内で一段と高まる可能性がある。

一方で反プーチン政権を掲げる組織「国民共和国軍」が犯行に関わったと独立系メディアは報じた。

ロシアでは保守派の著名人を狙った爆破事件が相次いでいる。ロシアの軍事ブロガー、マクシム・フォミン氏が4月にサンクトペテルブルクのカフェで爆殺された。22年8月には、モスクワ郊外で極右思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の娘でジャーナリストのダリア氏が運転していた車が爆発し死亡した。』

ワグネル、バフムトで戦闘継続 「ロシアが弾薬供給」

ワグネル、バフムトで戦闘継続 「ロシアが弾薬供給」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0723D0X00C23A5000000/

『【フランクフルト=林英樹】ロシアの民間軍事会社ワグネルの創始者エフゲニー・プリゴジン氏は7日、弾薬不足を理由に10日での部隊撤退をほのめかしていたウクライナ東部の要衝バフムトで戦闘を継続する意向を示した。ロシアから「必要なすべてのものが配備されることになる」と述べた。

ロイター通信によると、プリゴジン氏はロシアが攻撃に必要な数カ月分の弾薬と武器の供給を「一晩で約束した」と明らかにした。

プリゴジン氏はウクライナでの軍事作戦で副司令官を務めるスロビキン航空宇宙軍総司令官が今後、「ワグネルの軍事作戦に関するすべての決定権を持つようになる」とも述べ、指揮命令系統に変更があったと明かした。

ワグネルはバフムト攻撃におけるロシアの主力部隊。プリゴジン氏は2022年3月の戦力投入から1年間で3万2000人のウクライナ兵をバフムト周辺で殺害したと主張していた。

ただ最近はロシア政府との不協和音が伝えられていた。プリゴジン氏は5日、通信アプリ「テレグラム」で「弾薬不足によって我々は無用で不要な損失を被っている」と語った。弾薬不足が解消されなければ10日に部隊を引き揚げ、代わりにロシアの正規軍を投入するよう求めていた。

【関連記事】ワグネル、10日にバフムト撤退表明 「弾薬不足で損失」』