スーダン武力衝突 きょうにもサウジアラビアで停戦向け対話か

スーダン武力衝突 きょうにもサウジアラビアで停戦向け対話か
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230506/k10014058771000.html

 ※ 今日は、こんな所で…。

『2023年5月6日 10時11分

軍と準軍事組織の間で武力衝突が続くアフリカのスーダンをめぐって、サウジアラビア政府は停戦に向けた対話のため双方を国内に招くことを検討していると明らかにしました。双方はすでに代表団を現地に送ったとも伝えられていて、緊張の緩和につながる対話が実現するかが焦点です。

スーダンでは先月以降、軍と準軍事組織RSF=即応支援部隊との間で武力衝突が続き、スーダンの保健省によりますと、これまでに550人が死亡しました。
こうした中、サウジアラビア政府は5日、スーダン情勢をめぐってファイサル外相がアメリカのブリンケン国務長官と電話会談したと発表しました。

この中で、アメリカ政府の協力のもと、停戦に向けた対話のためにスーダン軍とRSFを西部ジッダに招くことを検討していると明らかにしました。

これについて、スーダン軍はすでに代表団をジッダに送ったと発表し、AP通信は関係者の話として、RSF側も代表団を送り、対話は6日にも行われると伝えています。

スーダンでは停戦の合意が発表されながらも戦闘が続き、さらなる人道危機の懸念が高まっていて、現地に影響力を持つとされるサウジアラビアで緊張の緩和につながる対話が実現するかが焦点です。』

スーダン和解はどの国が調停できるのか?

スーダン和解はどの国が調停できるのか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20230505-00348427

『ここ30年来のスーダン紛争長期化は、全米民主主義基金がもたらしたものだが、中国はアフリカを含めた紛争調停組織を設立し、岸田首相もアフリカ歴訪で調停に意欲を表明。その真相とゆくえを考察する。

◆スーダン紛争長期化の犯人は全米民主主義基金NED

 2023年4月15日、アフリカ北東部スーダンの首都ハルツームで、国の実権をめぐって争う、国軍と準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」の戦闘が始まった。

 アフリカはかつてヨーロッパの植民地として支配され、独立はできたものの不安定な情勢から内戦や紛争が勃発してきた。

 スーダンもその中の一つで、1956年に独立した後も内紛が続き、1989年6月30日にオマル・バシール准将が民族イスラム戦線(NIF)と連携して無血クーデターを成功させた。バシールは「革命委員会」を設置し、自らが首相となったが、その後もさまざまな情勢変化があったため、1993年になって大統領に就任した。

 バシール政権は誕生当初の段階ではヨーロッパ諸国との友好を重要視していたが、湾岸戦争(1990年8月―1991年3月)やイラク戦争(2003年3月―2011年12月)において、イラク(当時のフセイン大統領)を支持したことから、アメリカによるスーダン(バシール政権)に対する厳しい経済制裁が始まった。

 周知のようにイラク戦争はアメリカが「イラクが大量破壊兵器を持っている」という偽情報に基づいて、突如イラク攻撃を始めた戦争だが、侵略後にイラクには大量破壊兵器は存在しなかったことが判明した「正義なき戦争」だった。

 バシール政権の方でも、1998年に政党結成の自由などを含む新憲法が、国民投票で96.7%の賛成を得て誕生し、2010年4月に、24年ぶりに行われたスーダン総選挙で、又もやバシールが大統領に再選されている。

 しかし2018年12月に、スーダンの国防軍が一部の地域住民の支持を取り付けてクーデターを起こし、2019年4月11日、30年にわたるバシール政権は遂に幕を閉じた。

 これら一連の動きの背後に、実は全米民主主義基金(National Endowment for Democracy= NED)がいた。そのことを、どのようにして証明できるかというと、実は2020年7月23日のNEDのウェブサイトに記載されているからだ。

 その情報のタイトルは<NED、スーダン市民社会に 2020 NED 民主主義賞を授与(NED HONORS SUDAN’S CIVIL SOCIETY WITH 2020 NED DEMOCRACY AWARD)>で、この授与式でNED のカール・ガーシュマン会長は、概ね次のように述べている。

――NEDの助成金プログラムは、1989年以来スーダンで継続的に行われてきた。(2018年の)12月革命の成功は、スーダンの人々とNEDの連携を深めたことによってのみ達成された。

 従って、NEDは1989年にスーダンでバシール政権が発足すると同時に、スーダンに潜入したと断言することができる。

 NEDは何としてもバシール政権を転覆させたかったのだ。

 そのためにNEDは1996年にスーダン開発イニシアチブ(SUDIA)という組織を設立させている。

 また2015年11月18日には、NEDは<スーダン・ダイアローグ>というイベントを開催しているが、その中にはSUIDAの代表者が出席しているし、また2008年に当時のブッシュ大統領によって「スーダンの8人の人権闘士の一人」として認定された、NEDが支援する人物(Niemat Ahmadi)も参加していた。

 こうしてアメリカはNEDを通して、30年も続いた「バシール独裁政権」を崩壊させることに成功したのだ。

 しかし、NEDは軍部を使って政府転覆を行なっているので、この政府転覆は「民主化運動」と名付けるわけにはいかない。それでもアメリカから見れば、NEDが支援した側が権力を握ったので、アメリカの言いなりになる政権が出来上がったと位置付けることができるのだろう。

 今般のスーダンでの軍事衝突が、あくまでも「軍と軍」の衝突であることは注目に値する。すなわちアメリカは、親米政権を創るために、それまでの政府を転覆させただけで、「民主化」には成功していないことになる。

 これは中東諸国がアメリカのNEDが起こした「アラブの春」などのカラー革命により、地域の治安が悪化して内戦を巻き起こし、経済の混乱を招いたことに嫌気がさして、遂に中国の仲介によりイランとサウジが和解した経緯と非常に似ている。経緯の詳細は4月6日のコラム<脱ドル加速と中国仲介後の中東和解外交雪崩現象>に書いた。スーダンでの状況も、中東からアフリカに移っただけで、現象は類似している。

◆中国はスーダン紛争和解に乗り出すのか?

 2023年1月の、中国外交部のウェブサイトによれば、中国は1959年2月4日にスーダンと国交を樹立してから、長年にわたって非常に友好的な関係を続けてきたとのこと。江沢民・胡錦涛・習近平政権ともにスーダン政権と政府高官のシャトル外交を継続し、特に習近平政権になってからは関係強化が加速している。

 たとえば、2022年1月6日に当時の王毅外相がケニアを訪問した時、「非洲之角(アフリカの角)和平発展構想」を提案して、「アフリカの角事務特使」を任命すると発表した。事実、2022年2月には、薛冰(せつ・ひょう)を「アフリカの角事務特使」に任命している。

 2022年6月に開催された「アフリカの角和平会議」にはスーダンも参加している。

 一方、中国は2023年2月16日に「国際仲裁院(International Organization for Mediation)準備弁公室」なるものを正式に立ち上げている。加盟国としては「インドネシア、パキスタン、ラオス、カンボジア、セルビア、ベラルーシ、スーダン、アルジェリア、ジブチ」などがあり、スーダンは2011年の最初の企画段階から参加しているので、当然のことながら中国が仲裁する対象となり得る。

 スーダン側は中国が国際紛争を解決する積極的な役割を果たしてほしいと、何度も大使館を通して正式に意思表明をしてはいる。2023年4月23日には「アフリカの角事務特使」薛氷がエチオピアで開催された和平プロセス感謝イベントに出席し、感謝状を授与されてもいる。

 しかし、実際に今回も中東の和解外交雪崩現象と同じように、中国が表に出るか否かは、実は未知数だ。

◆日本がスーダン紛争和解に乗り出すのか?

 ならば、日本はどうだろうか?

 アフリカ4ヵ国歴訪前の4月29日に岸田首相が<スーダン情勢安定化も協議したいと述べた>と、日本の共同通信が報道した。その報道には、岸田首相はアフリカ訪問に関し「予断を許さない状況にあるスーダン情勢についても関係国と議論し、安定化に向け協議したい」と述べた、と書いてある。

 その後、日本の複数のメディアで3日にはケニアで、4日にはモザンビークで、実際に首脳会談や会談後の記者会見などにおいてスーダン情勢に関して述べ、「日本はG7議長国、安保理非常任理事国として、スーダンの安定化に積極的に貢献する」との決意を示したと書いてある。具体的には、アフリカの各担当大使の派遣や緊急人道支援の実施などを通じ、事態の鎮静化や民政移管プロセスの再開、秩序の回復に向け、各国と連携していくとのことだ。

 この発想は、中国の国際仲裁院体制の範疇を出ていない上に、数十年前からアフリカに深く食い込んできた中国には勝てないだろう。

 興味深いのは、中国大陸のネット上にある「共同網」という、共同通信社と連携したウェブサイトが、5月4日、<日本・ケニア首相は協力強化で一致した>というタイトルで、岸田首相が歴訪先のケニアで、スーダン情勢に関して「大きな懸念を表明し、緊急人道支援を可能な限り早期に検討する」と表明したと、詳細に書いていることだ。

 また、中国版「共同網」では、中国批判のときの常套句になっている「法の支配」が、ロシアだけを対象に書かれており、中国包囲網のために創り出した言葉であるはずの「自由で開かれたインド太平洋」構想が、中国抜きで語られている。アフリカは数十年かけて中国が築いてきた地盤なので、そう簡単には日本に乗り換えることはしないだろうことがうかがえる。

 何と言っても、グローバルサウスの国々はNEDが「民主」の名の下に仕掛けてきた紛争にこりごりしている。日米が連携すればするほど、(頂くものは頂くとしても)日本から離れていく傾向にある。

◆ならば、どの国・組織がスーダン紛争和解に乗り出すのか?

 おそらく今回の仲裁は、東アフリカの政府間開発機構であるIGAD(Inter Governmental Authority on Development)ではないかと推測される。IGADの加盟国はケニア、スーダン、ウガンダ、エチオピア、エリトリア、ジブチ、ソマリアの7ヵ国で、事務局はジブチに置かれている。

 先述した、中国が主催する国際仲裁院の加盟国と重なっているので、中国は側面から支援しながら、IGADが動く可能性が高い。というのは、5月4日の中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」の「軍事」ウェブサイトは<スーダン武装部隊は、1週間の停戦延長を含む、IGAD調停提案に同意している>と報道しているからだ。

 今後どうなっていくのかに関しては、まだ成り行きを見守る姿勢が要求されるが、本稿では、現状における基本的な状況の考察を試みた。

追記(筆者からのお詫び):読者の方々には大変ご迷惑をお掛けしていますが、現在、本稿でも触れた中東和解外交雪崩現象をきっかけに、「第二のCIA」と呼ばれるNEDがこんにちまで何をやってきたのかを、NEDのホームページにある情報を基に分析し、今後の世界新秩序を展望する本を出版すべく執筆に没頭しているためコラムを書く時間が取れません。書名は仮ですが、『習近平が起こす地殻変動 「米一極」から「多極化」へ』とするつもりで、7月半ばには本屋に並ぶと思われます。6月半ばまではコラムを中断することが多いかと思います。申し訳ありません。

記事に関する報告
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『「中国製造2025」の衝撃』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

習近平政権の「思想学習」

現代中国96号
特集
建党-00年と「社会
毒」中国のゆくえ
習近平政権の「思想学習」
——社会の領域を中心に
中央大学及川淳子
https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwiFsJ_40t_-AhXAglYBHfX6A00QFnoECAQQAQ&url=https%3A%2F%2Fspc.jst.go.jp%2Fcad%2Fliteratures%2Fdownload%2F12926&usg=AOvVaw0xgz8CEjAISc_PqayW65Wk 

 ※ .pdf→.txt変換した。

中国共産党の建党100年を迎えた中国は、今
後いかなる変貌を遂げていくのだろうか。

「社
会主義」を掲げる中国のゆくえを展望するため
には多様な専門領域からの考察が必要不可欠で
あり、党の思想宣伝工作に対する研究は現代中
国研究における古くて新しい課題といえよう。

党100年の歴史は、思想宣伝工作のあゆみでも
ある。政治権力の闘争は言わばイデオロギーを
めぐる対立と闘争でもあり、中華人民共和国の
建国から現在にいたるまで数多の政治運動は思
想宣伝工作と表裏一体である。

習近平政権は思想統制の強化や政治指導者に
対する個人崇拝など毛沢東時代との近似性が指
摘されているが、その実態はいかなるものだろ
うか。

「習近平新時代中国特色社会主義思想」
を掲げる現政権の思想宣伝工作に対する考察を
通して、「社会主義現代化強国」の建設を目指
す党と社会の関係性について、その特性や構造
的な変容を読み解くことは可能だろうか。

小論は以上の問題意識に基づき、習近平政権
の思想宣伝工作の現状について、その諸様相を
社会の領域から考察するものである⑴。

ここ
では、党内における思想教育とは視点を変えて、
党内外の社会全般に対する思想宣伝工作を「思
想学習」と定義して議論したい。

筆者が社会の
領域に着目するのは、近年の思想宣伝工作が社
会全般に向けて強力に推進されている傾向を重
視する所以による⑵。

2021年9月からは学校
教育における思想学習が強化され、新たなガイ
ドラインの制定や教科書の使用が日本のメディ
アでも取り上げられた⑶。

そこで、小論では
社会の領域、特に学校教育の現場における動向
に着目し、広範な社会の領域において展開され
ている思想学習の被覆性や浸透性の強化を「社
会実装」という視点で議論し、習近平政権下で
推進されている思想宣伝工作の意義およびその
機能的役割について検討する。

「社会主義」中
国のゆくえを展望する際の留意点として、習近
平政権の思想学習が中国社会全般に及ぼす中長
期的な影響についても指摘したい。

!習近平政権の思想宣伝工作

1.「習近平思想」の概要

2017年に開催された中国共産党第19回代表
大会において、中国共産党が長期にわたり堅持
しなければならない指導思想として「習近平新
時代中国特色社会主義思想」(以下、「習近平思想」
と略記)が「中国共産党党規約」に明記された⑷。

2018年の第13期全国人民代表大会では「中華
人民共和国憲法」にも記載され、「党と国家の
重要思想」として定義された。

習近平総書記の
報告や講話などを時系列で編纂した『談治国理
政』によれば、「習近平思想」とは「新時代の
中国共産党の思想の旗印であり、国家の政治生
33
活と社会生活の根本的な指針であり、現代中国
のマルクス主義、21世紀のマルクス主義であ
り、中華民族の偉大なる復興を実現させるため
の行動指針を提供する」と記されている⑸。

政治指導者の名前を付した指導思想の提起
は、「毛沢東思想」以来の重大な変化である。

また、「現代中国のマルクス主義、21世紀のマ
ルクス主義」という位置づけは、圧倒的な権威
性を象徴するものといえよう。

習近平総書記は、
自らの名前を刻んだ「習近平思想」を「21世
紀のマルクス主義」と規定するにあたり、いか
なる認識を有していたのか。

この点については、
習近平総書記が2018年にマルクス生誕200周
年記念大会で発表した談話を参照したい⑹。

「現代中国のマルクス主義、ニ^一世紀のマル
クス主義の新たな境地を絶えず切り開こう」と
題した講話で、習近平総書記は「マルクスの世
界観全体は教義ではなく方法である。

それが提
示したのは既成の教条ではなく、さらなる研究
への出発点とその研究に用いる方法である」と
いうエンゲルスの言葉を引用した上で、

「現代
中国の偉大なる社会変革は、中国の歴史・文化
の単純な延長でもなく、マルクス主義の原典の
著者が構想した枠に単純に当てはめることでも
なく、他国の社会主義をめぐる実践の重版でも
なく、海外の近代化の発展の模倣でもない」、
「理論の生命力は絶えざる革新にあり、マルク
ス主義の絶え間ない発展を推進することは中国
共産党員の神聖なる職責である。

我々はマルク
ス主義を用いて時代を観察し、時代を読み解き、
時代を先導することを堅持し、現代中国の生き
生きとした豊富な実践によってマルクス主義の
発展を推進する」と強調した。

このように、「習
近平思想」は「21世紀のマルクス主義」とし
ての権威性が確立されたのである。

「習近平新時代中国特色社会主義思想」を換
言すれば、その特性から「新時代思想」あるい
は「強国思想」と概括できる。

建国以来の毛沢
東時代を経て、登&小平、江沢民、胡錦濤が率い
た改革開放政策の時期とは明確に画期されたの
が「習近平の新時代」である。

第19回党大会
で三時間余りに及んだ習近平総書記の重要講話
では、「長期にわたる努力を経て、中国の特色
ある社会主義は新時代に入った」、

「近代以来、
長期にわたり苦難を味わった中華民族が立ち上
がり、豊かになり、強くなることで偉大な飛躍
を成し遂げ、中華民族の偉大な復興への実現に
向けて明るい前途を迎えたことを意味する」と
強調した⑺。

習近平総書記が自らの名を冠し
た「習近平思想」は、新たな時代に強い中国を
目指すための「党と国家の重要思想」として規
定されたのである。

2.思想宣伝工作の方針

習近平政権は、いかなる方針に基づいて思想
宣伝工作を展開しているのだろうか。

ここでは、
全国宣伝思想工作会議に注目したい。

政権発足
後の2013年に開催された全国宣伝思想工作会
議において、習近平総書記は重要講話を発表し
て以下のように述べた(8>。

思想宣伝工作を強化するには、必ず全党
を挙げて着手しなければならない。

各級の
党委員会は政治責任と指導責任を果たすべ
く、思想宣伝分野の重要な問題に対する分
析、研究、判断と重大な戦略的任務への包
括的指導を強化し、絶えず思想宣伝工作の
指導の能力とレベルを高めなければならな
い。

包括的宣伝という工作理念を打ち立て、
各戦線の各部門が共に取り組むように働き
かけ、思想宣伝工作と各分野の行政管理、
業種管理、社会管理をさらに緊密に結びっ
34
現代中国96号
けなければならない。

「包括的指導」と「包括的宣伝」の原文は、
それぞれ「統警指導」と「大宣伝」である。

「統
警」は「統合的な」という意味もあるが、ここ
では外文出版社の公式訳から「包括的」という
訳語を引用した。

2013年の重要講話から読み
取ることができるのは、党内にとどまらず社会
全般に対して思想宣伝工作を「包括的に」徹底
するという方針である。

第19回党大会後、2018年に開催された全国
宣伝思想工作会議では、「新たな情勢下におけ
る思想宣伝工作の使命と任務を自ら進んで担お
う」と題した重要講話が発表された(9>。

習近
平総書記は「中国の特色ある社会主義は新時代
に入り、思想を統一し、力を凝集させることを
思想宣伝工作の中心部分としなければならな
い」と強調した。

2013年の方針で「包括的指導」
と「包括的宣伝」が提起された点と比較すれば、
2018年の方針は「戦略的な任務」の実践が具
体化されたことが特徴だ。

重要講話では以下の
ように言及されている(10)〇

強い結束力と牽引力を備えた社会主義イ
デオロギーの構築は、全党とりわけ思想宣
伝戦線が必ずや担わなければならない戦略
的な任務である。

マルクス主義の宣伝教育
工作をしっかりと行い、とりわけ習近平新
時代中国特色社会主義思想の学習、理解、
実践に力を入れなければならない。

ここでは思想宣伝工作という「戦略的な任務」
の実践について、「学習、理解、実践」の各段
階で強調されている。

さらに注目すべきは、「思
想宣伝工作は人を対象とする仕事であり、民族
復興という大任を担う時代の新人育成を重要な
職責としなければならない」、「青少年の価値観
の形成と確立のカギとなる時期をしっかりとつ
かみ、青少年が人生の最初のボタンをきちんと
かけるように導く必要がある」という記述であ
る(11>。

全国宣伝思想工作会議の重要講話を参照する
と、習近平政権の思想宣伝工作は、包括的かつ
戦略的な方針に基づいて推進されている点が明
瞭だ。

近年、社会全般に対する思想宣伝工作が
強化されている実態について、「習近平新時代
中国特色社会主義思想」という新たな思想を掲
げるだけでなく、その実践が極めて戦略的に展
開されている点を指摘したい。

π習近平思想の「社会実装」

1.「社会実装」の視点による議論の試み

習近平政権が包括的かつ戦略的に思想宣伝工
作を推進する中で、近年は特に党の内外を越え
た広範な社会の領域で思想学習が強化されてい
る。

社会の広範囲における思想学習の被覆性や
浸透性の強化について考察することが本節の課
題であり、社会の実像を構造的に理解し、その
特徴を解明するには多種多様な観点からの分析
が必要だと考える。

そこで、議論の試みとして
援用するのが「社会実装」の視点だ。

「社会実装(Social implementation) J は、最新科
学技術のイノベーションを社会で実用する際の
実証過程や社会的課題の解決を目指すための変
革について用いられることが多い用語である(12))

日本では、平成28年(2016年)に内閣府が公
表した「第5期科学技術基本計画(平成28〜平
成32年度)」において、科学技術イノベーショ
ン推進の必要性を強調した際に「社会実装」と
いう用語が多用されている(13)。国立研究開発
35

法人科学技術振興機構(JST)の社会技術研究
開発センター (RISTEX)では、企業の研究開
発で成果を確認するために行われる「現場実験」
を例にして、社会のための研究開発を実証する
過程を「社会実装」と定義している(14)〇

また、
テクノロジーによる社会変革に関する研究と実
践に取り組む東京大学産学協創推進本部の馬田
隆明の著作によれば、「テクノロジーそのもの
のイノベーションだけでなく、組織や法制度、
慣習といった社会的な仕組みにもイノベーショ
ンが必要」であるとして、「社会的な仕組みの
イノベーションとしての法整備や教育システ
ム」についての指摘がある。

「テクノロジーの
社会実装とは、テクノロジーの力によって社会
を変えようとする営みであると同時に、社会の
仕組みを変えることによってテクノロジーが活
用される社会を作り出す営み」でもあるという
指摘は極めて示唆に富むものだ(15)。

「社会実装」の類語としては、「社会実験」が
挙げられるだろう。

筆者の理解では、期間や地
域などの範囲を限定化して新たな技術や制度を
試行した上で、その有効性を検証して評価する
ことが「社会実験」であるのに対し、「社会実装」
は研究開発によって得られた新たな技術やシス
テムが機能するように社会に組み込んで実用化
や普及を図るという相違がある。

「組み込む」
と言えば、イメージとしては「インストール
(install)Jに近いところもあるが、ここで「社
会実装」を暫定的に定義すれば、何らかの社会
的課題の解決を目的とした研究成果や知的財産
の具現化や実用化、あるいは一般化といえるだ
ろう。

最新の科学技術やイノベーションに限ら
ず、例えばある思想を「社会実装」すると考え
た場合、思想を専門性の高い学術的領域に留め
るのではなく、社会の広範囲に普及させて社会
的な課題解決のために思想を実践するという意
味合いになる。

最新の科学技術やイノベーションなどと親和
性の高い「社会実装」を思想の領域に援用し、
さらには習近平政権の思想学習について検討す
ることの有効性については限界や批判もあるだ
ろう。

しかしながら、「社会実装」によって広
く社会全般に対して一般化されるという点につ
いて検討すれば、社会に対する被覆性や浸透性
という観点から、思想学習の目的やその機能的
役割について構造的にとらえることができるの
ではないだろうか。

2.「社会実装」としての思想学習

それでは、習近平政権が社会の領域における
思想学習を強化している現状を「習近平思想の
社会実装」と仮定した場合、その目的や方策と
はいかなるものだろうか。

まず、目的について筆者が想起するのは、「主
要な社会矛盾」の解決である。

習近平総書記は、
第19回党大会の重要講話で「中国の特色ある
社会主義が新時代に入り、我が国の主要な社会
矛盾は、人民の日ごとに増大する素晴らしい生
活への需要と不均衡で不十分な発展との間の矛
盾へと変化している」、「主要な社会矛盾の変化
は全体の局面に関わる歴史的な変化である」
と強調した(16)。

「主要な社会矛盾の変化」に
ついては、党の重要文献においても大きく取り
上げられており、習近平政権の重要な政策課題
として位置づけられている(17)。

新時代の主要
な社会矛盾を解決するのは習近平総書記率いる
中国共産党であり、社会矛盾の解決において重
要な成果が示されれば、それはすなわち中国共
産党による統治の正統性が確保され、現体制を
維持し、さらには党の求心力強化に繋がるだろ
う。それこそが習近平政権の最重要課題であり、
最終的な目的だといえよう。

広範な社会に対す
36
現代中国96号
る習近平思想の学習という「社会実装」は、強
力な実行力によって推進され、党の権威性を高
めるために社会に対する党の影響力を拡大し、
強化しているものと考えられる。

筆者が本稿で「社会実装」の観点から思想学
習について考察するのは、党と社会の関係性を
明らかにするためでもある。

習近平政権の発足
後、党は言論や思想に対する統制を強化し、AI
やビッグデータなどの最新科学技術を用いた社
会管理によって中国共産党が社会を一元的に管
理するという社会体制が確立され、「デジタル・
レーニン主義」、「ビッグデータ独裁」と言わ
れるように、さらに厳格化の傾向にある(18>。

一方、党と社会の関係性という構造に着目する
と、一定の変化が生じていると見ることもでき
る。

すなわち、党が社会を一元的に管理してい
ると同時に、中国共産党による統治の正統性を
確保し証明するという現政権の政治目的が、実
際のところ社会との関係性において追求され、
その為に規制や統制がさらに強化されていると
いう構造である。

ここで、前述した馬田隆明の指摘について再
考してみよう。

「テクノロジーの社会実装とは、
テクノロジーの力によって社会を変えようとす
る営みであると同時に、社会の仕組みを変える
ことによってテクノロジーが活用される社会を
作り出す営み」でもあるという指摘の部分だ。

逆説的に考えれば、新たなテクノロジーが活用
できない社会は、社会の側に変革が迫られると
同時に、テクノロジー自体の真価が問われ、イ
ノベーションを迫られ、場合によっては淘汰さ
れる可能性もあるだろう。

このように「社会実
装」の視点を援用して考察すると、習近平思想
の学習という「社会実装」の推進は、党が社会
を変革するだけでなく、党自体もまた変革を迫
られるという双方向性を有し、今後はその傾向
が次第に表出され、顕著になる可能性もあるの
ではないだろうか「。

習近平思想の社会実装」は、
社会に対する党の影響力を拡大させ、その被覆
性や浸透性を強化しているが、同時に、社会の
側は常に受け身の状態にあるばかりではなく、
党は社会の側からその真価が問われるという可
能性についても指摘しておきたい。

習近平政権
の徹底した思想統制は強権的な統治の象徴だ
が、視点を変えれば、思想学習が徹底されれば
徹底されるほど、党と社会の関係性に構造的な
変化が生じる可能性もあるといえよう。

m社会に対する「思想学習」の現状

1.「人民」に対する思想学習

前項では、習近平政権による思想学習強化の
現状を「習近平思想の社会実装」と仮定し、そ
の目的や今後の可能性について議論した。

ここ
では、習近平政権が広範な社会において推進し
ている思想学習の具体的な方針や方策について
検討する。

前述した全国宣伝思想工作会議の方針に基づ
き、近年は思想学習に関する重要文献が相次い
で発表されている(19)〇

中央宣伝部や中共中央
党校が発行した重要文献を概観して想起される
のは、重要文献の発行後に各級の党組織におい
て党員の思想学習が徹底的に実施されるという
キャンペーンの展開だ。

党員の思想学習ではス
マートフォンのアプリなども活用されており、
党員生活の変化も興味深い話題であるが、それ
らについてはいずれ稿を改めて論じたい。

ここ
では社会全般に対する思想学習に焦点を絞り、
その方針および方策について検討しよう。

2021年7月、中国共産党100周年を盛大に
祝う記念式典が開催された数日後、党中央と国
37
務院は「新時代における思想宣伝工作の強化と
改善に関する意見」(以下、「意見」と略記)を
公表した(20)〇

「思想宣伝工作の強化と改善」
とは、つまり具体的な方針と方策について言及
したものである。

「意見」では、思想宣伝工作
について「党を治め、国を治めるための重要な
方法とし、思想政治教育を深く掘り下げて展開
し、基層レベルにおける思想政治工作の質と水
準を引き上げ、新時代における思想政治工作の
正しさと革新的な発展を推進」するという方針
が強調され、以下のように記述されている(21)〇

人民を中心とする旨を堅持し、党の大衆
路線を実践し、人民のより良い生活に対す
る憧れを奮闘目標とし、大衆を組織し、大
衆を宣伝し、大衆を教育し、大衆に奉仕し、
自信を強め、民心を集め、人々の心を温め、
団結を築くことを堅持する。

「意見」の中で筆者が注目したのは、思想宣
伝工作が党と国を治めるための「重要な方法」
として規定されていることである。

つまり、思
想学習は「党を治め、国を治める」ことに加え
て社会を統治して管理するための「重要な方法」
でもあるということだ。

もうひとつ指摘してお
くべきは、「人民」という用語である。

思想宣
伝工作は「党員」のみならず「人民を中心とす
る」ものでなければならず、「人民のより良い
生活に対する憧れを奮闘目標」とすることが明
記されている。

「人民のより良い生活に対する憧れ」を党の
奮闘目標として掲げたのは、習近平総書記の就
任演説に遡る。

2012年開催の第18回党大会第
1期全体会議終了後、就任したばかりの習近平
総書記が内外記者会見で特に強調したものだっ
た(22>。

以下、当時の講話から「人民」につい
て言及した箇所を一部抜粋してみよう。

「人民
の幸せな生活への憧れこそ我々の奮闘目標であ
る」、「この大きな責任は、党に対する責任であ
る。わが党は誠心誠意人民に奉仕する政党であ
る」、「人民は歴史の創設者であり、大衆は真の
英雄である。人民大衆は我々の力の源である」、
「我々は必ず人民と心を一つにし、人民と苦楽
を共にし、人民と団結奮闘し、日々怠りなく勤
勉に働くことで、歴史と人民に対して合格点の
答案を示さなければならない」。

これらの発言
から、習近平政権が「人民」との関係性を極め
て重視していることが確認できる。

「国民」、「公民」、「市民」、「大衆」、「老百姓
(庶民)」とは異なり、「人民」は政治的な概念
だが、習近平政権は「人民」という存在をどの
ように認識しているのだろうか。

「人民」と言
えば、想起されるのはかって毛沢東が論じた「人
民内部の矛盾」である(23」。

毛沢東が指摘した
ように「人民内部の矛盾」は依然として存在し、
矛盾は拡大しているとも考えられるが、それ以
上に注視すべきは、「人民内部の矛盾」よりも「人
民と党の間の矛盾」ではないだろうか。

習近平
政権は、その点を熟知して警戒感を強めている
からこそ、「人民のより良い生活に対する憧れ
を奮闘目標」とする一方で、広範な社会におい
て「人民」を対象とした思想学習を徹底してい
ると考えられる。

2.学校教育における思想学習

習近平政権の思想学習が社会の領域で徹底さ
れる重要な契機となったのは、建党100周年を
迎えた2021年であり、同年9月の新学期にあ
わせた一連の改革である。

学校教育における新
たな方針として、国家教材委員会が「習近平新
時代中国特色社会主義思想をカリキュラムと教
材に組み込むガイドライン(以下、「ガイドライ
38
現代中国96号
ン」と略記)」を発表した(24)〇

ここでは「ガイ
ドライン」の記述を確認しながら、学校教育に
おける思想学習の動向について検討したい。

まず、「ガイドライン」が重要な意義として
強調しているのは、「習近平新時代中国特色社
会主義思想は、新時代における中国共産党の思
想の旗印であり、国家の政治生活と社会生活の
根本指針であり、現代のマルクス主義、21世
紀のマルクス主義である」という点だ。

これは
前述したように、党規約や憲法に明記された文
言と完全に一致するものだ。

それをふまえて強
調されているのが、以下の記述である。

習近平新時代中国特色社会主義思想を指
導思想として一貫して堅持し、教育教学力
リキュラムのすべての過程と段階において
貫徹させなければならない。

習近平新時代
中国特色社会主義思想を全てのカリキュラ
ムと教材において全面的に実行し、広範な
青少年がマルクス主義の信念を打ち立て、
中国の特色ある社会主義の道に対する自
信、理論の自信、制度の自信、文化の自信
を揺るぎないものとし、党の話を聞き、党
と共に歩むという志を立て、正しい世界観、
人生観、価値観を形成することに重大な意
義がある。

「国家の政治生活と社会生活の根本指針」と
して習近平思想が規定されたことにより、学校
教育の現場では思想学習を徹底して「党の話を
聞き、党と共に歩むという志を立て、正しい世
界観、人生観、価値観を形成する」ことが重要
な教育目標となった。

また、「ガイドライン」
では「習近平新時代中国特色社会主義思想を教
材に組み込み、教室へと前進させ、学生の頭に
浸透させ、系統的かつ全面的で生き生きとした
具体的なものにする」という記述もある(25」。

以前、学校教育の現場では主に「道徳」や「政
治」などの個別の科目で思想教育が行われてい
たが、前述した「意見」に続いて「ガイドライ
ン」が発表されたことにより、小学校から大学
院までのあらゆるカリキュラムと科目において
習近平思想の学習が重視されることになった。

3.教科書に見る「習近平思想」

学校教育における思想学習は、2021年9月
の新学期から新たな展開を迎えた。

その象徴と
して挙げられるのは、「習近平新時代中国特色
社会主義思想学生読本(以下、「学生読本」と略
記)」である。

小学校低学年用、高学年用、中
学校、高校用の合計4冊の教科書が発行され、
週1コマの授業が必修科目となった(26」。

これまで検討してきた思想宣伝工作の方針や
「ガイドライン」は、実際のところ教科書の中
でどのように具体化されているのだろうか。

4
冊の教科書はいずれもカラー刷りでイラストや
写真が多用されている。その中でも小学校用の
教科書は子どもたちのイラストや親しみやすい
デザインが特徴的だ。また、低学年の教科書で
はアクティブ・ラーニングの要素を取り入れて
いる点も興味深い。

ここでは、具体的に以下のニ点について教科
書の記述を確認しよう。

まず、2018年の全国
宣伝思想工作会議で習近平総書記が述べた「青
少年の価値観の形成と確立のカギとなる時期を
しっかりとっかみ、青少年が人生の最初のボタ
ンをきちんとかけるように導く必要がある」と
いう一文についてである。

小学校低学年用の教
科書では、第6講「新時代のよい少年になろう」
の単元で、次のようなイラストと記述がある(写
真2参照)。

教科書では「人生の第一ボタンをきちんとか
39
写真1「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本小学低年級」表紙
人民出版社・人民教育出版社、2021年
写真2 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本小学低年級

人民出版社•人民教育出版社、2021年、47頁
ける」と題して、以下の説明がある(27)〇

「習
近平おじいさんは言いました。価値観を作り上
げるのは服のボタンをかけるのと同じです。も
しも初めのボタンをかけ違えたら、残りのボタ
ンも全部かけ違えてしまいます。人生のボタン
は初めからきちんとかけなければいけません」。

教室にいる子どもたちの様子を描いたイラスト
の吹き出しには、「もし初めのボタンをかけ違
えたら、服が歪んでしまって、カッコ悪いよね」、
「僕たちは人生の第一ボタンをどうやってかけ
るのか今から理解しなければいけません」とい
うコメントがある。

青少年に対する思想宣伝エ
作を「人生の最初のボタンをきちんとかける」
と例えた習近平総書記の言葉は、小学校低学年
の子どもたちにも分かりやすい事例として教科
書で大きく取り上げられた。

次に参照するのは、習近平総書記が第19回
党大会の重要講話で述べた「主要な社会矛盾」
についてである。

中学校の教科書では、「我が国
の社会の主要な矛盾の変化」について次の記述
が見られる(写真4参照)。

1981年の第11期
六中全会当時の「人民の日ごとに増大する物質
文化の需要と立ち後れた社会生産との間の矛
盾」という指摘から、2017年第19回党大会で
提起された「人民の日ごとに増大する素晴らし
い生活への需要と不均衡で不十分な発展との間
の矛盾」が併記され、「主要な社会矛盾」が変
化している点が図表で強調されている(28。。

高校教科書では、「主要な社会矛盾」に関す
るイラストや図表は見られないが、第19回党
大会の習近平講話の文言を引用して以下のよう
に記述されている(写真6参照)(29。。

中国の特色ある社会主義が新時代に入
り、我が国の主要な社会矛盾は人民の日ご
とに増大する素晴らしい生活への需要と不
均衡で不十分な発展との間の矛盾へと変化
しており、これは中国の特色ある社会主義
の新時代における重要な特徴である。

新時
代の我が国の主要な社会矛盾の変化は、全
体の局面に関わる歴史的な変化であり、我
が国の社会のニーズと社会生産の新たな特
40
現代中国96号
写真3 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本初中」表紙
人民出版社・人民教育出版社、2021年
写真4 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本 初中」
写真5 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本高中」表紙
人民出版社・人民教育出版社、2021年
人民出版社・人民教育出版社、2021年、17頁
写真6 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生
読本高中」
徴を本質的に反映している

以上、学校教育における思想学習の新たな展
開について「ガイドライン」や実際の教科書に
注目したが、新カリキュラムの運用について
は、今後、教育現場についての考察やさらなる
分析が必要だ。

学校教育の現場で習近平思想の
人民出版社・人民教育出版社、2021年、5頁
学習が週1コマの必修科目になったため、他の
科目の学習や入試制度にいかなる影響が生じて
いるかという点も興味深い。

また、子どもたち
の学習負担と家庭の経済負担を軽減させるため
に宿題や塾を減らし、ひいては少子化問題の改
善も期待されているいわゆる「双減政策」との
関連など、学校教育における思想学習との関わ
41
りで議論すべき課題は多岐に及ぶといえよう。

2021年から新教科書で習近平思想を学ぶ学
生たちは、建国100周年を迎える2049年には
中国社会を担う年齢層となる。

習近平政権の思
想学習が中国社会に及ぼす中長期的な影響につ
いても、今後見極めていく必要があるだろう。

結びにかえて

小論は、習近平政権の思想宣伝工作の現状に
ついて社会の領域から考察した。

学校教育のガ
イドラインや新教科書が象徴するように、近年
の思想宣伝工作は社会全般に向けて強力に推進
されている。

広範な社会の領域で深化している
思想学習について、その被覆性や浸透性の強化
を「社会実装」という視点で議論するという試
みが果たして論理性や説得力をもつものであっ
たか否か、これについては読者からのご叱正を
乞うところである。

筆者が小論で指摘したのは、党と社会、党と
人民の関係性という構造的な問題の所在とその
変容についてである。

社会主義現代化強国を目
指す中国共産党政権のもと、党と社会、党と個
人は、いかなる関係を構築していくのだろうか。

思想学習の徹底は、強権的な政治手法によると
ころが大きく、社会に対する党の影響力拡大と
いう側面に目を奪われがちだが、社会の側は常
に受け身の状態にあるばかりでなく、党と社会
の関係性には常に構造的な変化が生じる可能性
も内包されている。

小論では「人民」という用語で議論したが、
もとより「人民」は個別具体的な「人」である。

中国の社会で逞しく、しなやかに、したたかに
生きる人々が、果たして思想学習を受容してい
くのか、あるいは面従腹背でやり過ごしていく
のか、中国社会の実相は極めて興味深い。

その
意味でも、中国社会の構造変容について考察す
る際に、社会を構成する人々の思想や行動につ
いて理解を深め、同時代を生きる隣人として中
国社会の諸様相に関心を寄せる視点を持ち続け
たいと考える。

注)

(1) 本稿は、2021年10月23日開催の日本現代中国学
会第71回全国学術大会共通論題「建党100年と「社
会主義」中国のゆくえ」における報告をもとに執筆
したものである。全国学術大会の開催校である西南
学院大学、全国理事会、西日本部会、共通論題のコ
メンテーター各位にあらためて感謝を申し上げたい。
また、投稿に際しては『現代中国』編集委員会、学
会事務局の各位より格別のご高配をいただいた。付
して感謝いたします。

(2) 思想宣伝工作に対する論考として、以下を参照さ
れたい。拙稿「『習近平時代』の思想宣伝工作——学
校教育と家庭教育における最新動向」(連載“習近平
の中国”:ヤヌス像のアナトミー 4)『東亜』一般財
団法人霞山会、2022年1月号。

(3) 例えば、以下など。「中国全教育課程で『習近平思
想』指導」『東京新聞』2021年8月26日。「小学校教
科書に登場する「習おじいさん」中国で進むある「変
革」」朝日新聞デジタル版、2021年10月4日。

(4) 外文出版社の刊行物や国営新華通訊社などの公式
日本語訳では、「習近平の新時代の中国の特色ある社
会主義思想」と記述されるが、小論では中国語の原
文「習近平新時代中国特色社会主義思想」のまま表
記し、本文中では「習近平思想」と略記する。

(5) 習近平『談治国理政第三巻』外文出版社、2020年、
巻頭「出版説明」より。なお、『談治国理政』の引用
箇所の日本語訳は筆者によるが、訳語については日
本語版『国政運営を語る』を適宜参照した。

(6) 「不断開辟当代馬克思主義、二十一世紀馬克思主義
新境界」(2018年5月4日)『談治国理政第三巻』外
文出版社、2020年、74-76頁。

(7) 「決勝全面建成小康社会、奪取新時代中国特色社会
主義偉大勝利」(2017年10月18日)前掲、『談治国
理政第三巻』外文出版社、2020年、8頁。

(8) 「把宣伝思想工作做得更好」(2013年8月19日)習
近平『論党的宣伝思想工作』中央文献出版社、2020年、
14-18頁。引用箇所は、18頁。なお、会議の名称は「全
国宣伝思想工作会議」のままとしたが、引用箇所で
は「宣伝思想工作」ではなく「思想宣伝工作」と訳
出した。

42
現代中国96号
(9) 「自覚承担起新形勢下宣伝思想工作的使命任務」
(2018年8月21日)前掲『論党的宣伝思想工作』337
-342 頁。

(10) 同上、340頁。

(11) 同上。

(12) 中国語では> Social implementationの訳語として「社
会実施」の使用例が見られる。例えば以下など。趙
紅梅「経済法的私人実施與社会実施(〇n Private and
Social Implementation in Economic Law)」『中国法学』
中国政法大学民商経済法学院、2014年第1期、177-
195 頁。

(13) JST-RISTEX [研究開発成果実装支援プログラム]
『社会実装の手引き——研究開発成果を社会に届ける
仕掛け』工作舎、2019年、8頁。「第5期科学技術基
本計画(平成28〜平成32年度)」(平成28年1月22
日閣議決定)は、以下を参照。

内閣府、(https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/index5.
html>(2021年8月31日閲覧)。

14」同上『社会実装の手引き——研究開発成果を社会
に届ける仕掛け』8-9頁。

(15) 馬田隆明『未来を実装するテクノロジーで社会を
変革する4つの原則』英治出版、2021年、68-69頁。

(16) 前掲「決勝全面建成小康社会、奪取新時代中国特
色社会主義偉大勝利」(2017年10月18日)『談治国理
政第三巻』9頁。

(17) 例えば、以下など。中共中央宣伝部『習近平新時
代中国特色社会主義思想三十講』学習出版社、2018
年、65-73頁「第六講」。

(18) この点については、以下を参照されたい。拙稿「中
国『デジタル•レーニン主義』の思想的背景」『国際
問題』公益財団法人日本国際問題研究所、No.705、
2022年2月。

(19) 主要な文献として、以下などを参照されたい。中
共中央宣伝部『習近平新時代中国特色社会主義思想
学習綱要』学習出版社•人民出版社、2019年。中共
中央党校(国家行政学院)『習近平新時代中国特色社
会主義思想基本問題』人民出版社・中共中央党校出
版社、2020年。中共中央宣伝部『習近平新時代中国
特色社会主義思想学習問答』学習出版社、2021年など。

(20) 中共中央、国務院印発「関於新時代加強和改進思
想政治工作的意見」2021年7月12日、<http://www.
gov.cn/zhengce/2021-07/12/content_5624392.htm) (2021
年8月31日閲覧)。

21」同上。

(22) 「人民対美好生活的向往就是我イ門奮闘的目標」(2012
年11月15日)『談治国理政』外文出版社、2014年、
3-5頁。「人民」に関する引用箇所はこれによる。

(23) 毛沢東『人民内部の矛盾を正しく処理する問題に
ついて』外文出版社、1968年。

(24) 「国家教材委員会関於印発『習近平新時代中国特
色社会主義思想進課程教材指南』的通知」中華人民
共和国教育部、2021年7月21日、
(2021年8月31日閲覧)。以下、「ガイドライン」の
引用はこれによる。

(25) 同上。「教材に組み込み、教室へと前進させ、学
生の頭に浸透させ」の原文は、「進教材、進課堂、進
頭脳」。

(26) 「学生読本」の編集、審査、発行については、前
掲の拙稿「『習近平時代』の思想宣伝工作——学校教
育と家庭教育における最新動向」を参照されたい。
27。「習近平新時代中国特色社会主義思想 学生読本 小
学低年級」人民出版社•人民教育出版社、2021年、
47頁。

(28) 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生読本初
中」人民出版社•人民教育出版社、2021年、17頁。

(29) 「習近平新時代中国特色社会主義思想学生読本高
中」人民出版社•人民教育出版社、2021年、5頁。
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2020 年
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〔習近平著作(日本語版))
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「中国『デジタル•レーニン主義』の思想的背景」『国
際問題』公益財団法人日本国際問題研究所、
No.705、2022 年 2 月 44

面子で生きる共産国の正体を良く表す出来事

面子で生きる共産国の正体を良く表す出来事
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/31454429.html 

『上の動画は、トルコで行われた黒海経済会議で、ロシアの外交官がウクライナ外交官からウクライナ国旗を奪うという騒動が起きた様子を映したものです。しかしウクライナの外交官はすぐさま掴み掛り、国旗を取り戻すことに成功する映像が話題になっています。
「まぁ、なんて卑劣な事をするんだ」という感想を持つと思いますが、実は、この行動に「思想的な正しさ」で国を作った共産国の本質が出ています。いわゆる、民主国家や資本主義国家の場合、実際の運用がちゃんとされているかは、置いておいて、システムとしては、民意の反映で政治をやっています。色々と言いたい事があるのは判りますが、それが機能していないのであれば、それはシステムの問題ではなく、運営している我々の問題です。

ところが、共産国というのは、「正しい思想」が国家の根幹を成していて、それを擁立している唯一の集団が共産党という位置づけです。なので、独裁国家になりやすいのです。「正しい思想」が決まっているので、それ以外の事を検討するという事が、罪になるような考え方をするわけです。国の成り立ちって、数十年も続くと、国民の思考パターンにすら影響を与えるのですね。なので、ロシアの外交官は、黒海経済会議という場で、ウクライナの旗を強奪するという行為であっても、旗が隠されればロシアの面子が立つと、恐らくある程度マジで考えています。「ウクライナという民族と国は、存在してはいけない」とロシアが大真面目に考えて、それを履行する事を、本気で考えているのが判る場面です。実は、プーチン氏が核爆弾を落とすとか言うよりも、政府側とは言え、ロシア人(スラブ民族)が、ナチュラルに、こういう行動に出るほうが恐ろしいのです。つまり、これが、多くのロシア国民の中で一般化しているという事です。

なぜ、ウクライナという国が領土を奪還するまで、戦争を続ける必要があるかという理由が、ここにあります。停戦しても、準備が整えば、いずれロシアは「ウクライナ人とウクライナを地上から抹殺する為」に攻めてきます。それが、ロシアの指導者が決めた判断であり、その後ろには「正しい思想」があるからです。まぁ、だから、私は思想と宗教は、国にとって時に有害と考えています。それを成し遂げる事が、ロシアという国の目標になり、面子になっちゃっているのですね。ウクライナ語廃して、文化的な建造物や物品は破壊し、歴史の教科書を書き換え、地理の地図からウクライナを消す。代わりにロシア語を植え付け、ロシア人と交配させ、ロシア人が入植し、ロシアの指導者を讃えさせる。そうする事で、ウクライナという国が存在した事すら、歴史から消すまでロシアは戦争を止めません。停戦しても、いずれイチャモンをつけて、侵攻してきます。その為には、全てを犠牲にするでしょう。良い悪いの問題ではなく、彼らにとっては、そうしなければならない問題だからです。

先日、ロシアで10歳の女児が、平和を望む絵を授業で描いたら、父親が懲役20年の刑罰を受けて、その子供は孤児として施設に出されるという事件が起きました。ロシアにおいて、ウクライナを支配下に置くという事は、このレベルで国家が成すべき事と考えられていて、そこに妥協は無いという事です。「人命が大事だぁ。停戦しよう」みたいな、いかにもな方々による集会が日本でも行われていますが、「話し合いが成立する相手と、そうでない相手」が世界にはいるという事です。それが、行動として現れているのが前出の動画です。「これだから、ロシアは。あはは」で済ませられない、無意識に行われたロシア人の意識が現れた映像なんですよ。

共産国の基本的な考え方は、どんな歪んだ形でも、思想的正しさと彼らが考える事に、現実を合わせるという事です。なので、一度始まった国家事業は、いかに間違っていても、最後まで続けるし、その結果として消滅したのが、世界4位の淡水湖だったアラル海です。灌漑計画で環境に甚大な被害が出ても、一度計画したら止められる人がいなかったからです。丁度、一年位前に、ウクライナ侵攻が始まった頃、このブログで「プーチンは既に戦争に勝利している」みたいな事を書きました。ロシアにとって、戦勝とは、具体的な事実よりは、そう考えられる根拠を何点か押さえてしまえば、成立するんですよね。なので、現実がどうであろうと、「プーチンが勝った」と言えば、ロシアの戦勝は確定なのです。そういう意味で、「プーチンが戦争を始めた時点で、結果がどうなろうと、ロシアという国家が消滅しない限り、戦勝は規定事実として記録される」という意味で言いました。外交の舞台というのは、そういう国家の本質が垣間見える場所でもあります。』

米国の国家情報局長が上院の軍事委員会で証言。プー之介は、ウクライナ征服は諦め、…。

米国の国家情報局長が上院の軍事委員会で証言。プー之介は、ウクライナ征服は諦め、…。
https://st2019.site/?p=21115

『Tom Porter 記者による2023-5-5記事「Putin has given up on ambitions to conquer Ukraine after military losses that could take a decade to repair, says US intel」。
   米国の国家情報局長が上院の軍事委員会で証言。プー之介は、ウクライナ征服は諦め、次等の目標として「ウクライナをせめてNATOには加盟させない」ことを、再設定した。

 ※これでますます戦争の短期終息は見えなくなってきた。バイデンの選挙対策本部としては、大統領選が本格化するタイミングで、対露の直接交戦が今にも始まるような危機が醸成されてくれるのが理想的であろう。

つまり、あと1年半、プーチンに粘ってもらった方が、米政府としては嬉しいのだ。

ただし、一寸先は闇とも言う。もし突如としてプーチンが暗殺されたり病死したりすれば、米大統領選挙前の劇的な「手打ち」が起きるかもしれない。

その場合、クリミアは勢いで奪回され、ロシアの頭首はプリゴジンになっているだろうと私は予想するが、それはともかく、そうなった場合には、バイデンは選挙で負けてしまうであろう。

また全然かんけいないが、米共和党員はいったい何を考えているんだ? 英国王の戴冠式に米大統領は参席するべきだ――とトランプが発言しているんだぞ。《リパプリック》とは何だ? それは君主を戴かないという精神の標榜である。トランプは、自分は王党派だと自白したようなものだ。いやしくも「米国共和党員」なら、そんな発言できるわけがない。即時、追放に値するであろう。』

5月4日にウクライナ軍が1機の露軍の固定翼ドローンを撃墜したところ、それが「全木製」であった…。

5月4日にウクライナ軍が1機の露軍の固定翼ドローンを撃墜したところ、それが「全木製」であった…。
https://st2019.site/?p=21115

『Defense Express の2023-5-5記事「Russia Manufactures Wooded Drones For Reconnaissance And Ukraine’s Air Defense Distraction」。

   5月4日にウクライナ軍が1機の露軍の固定翼ドローンを撃墜したところ、それが「全木製」であったのでビックリ。中味には、市場で調達されたカメラなどが搭載されており、レッキとした偵察任務機であった。

 動力は、モーターハンググライダー用と思われる小型のレシプロエンジンを串形に双発配置。

 ところで、ロシアには「E95M」という、巡航ミサイルをAAで迎撃するための訓練に用いられる標的無人機がある。これはガソリンのパルスジェットエンジンで30分だけ飛行する。コストは、開戦前の話だと、1機5万ドルしかしない。「ペニー・ドローン」と言っては大袈裟だが……安い。

 「安く大量にドローンを生産する競争」が、すでに始まっているのである。
 敵の防空アセットを飽和させ、敵の高額なSAMを無駄射ちさせるのに、それはとても役に立つのである。』

2015年いらい、モスクワ市心にはGPS攪乱のための電波妨害設備がフルセットで揃っている…。

2015年いらい、モスクワ市心にはGPS攪乱のための電波妨害設備がフルセットで揃っている…。
https://st2019.site/?p=21115

『Mike Stone 記者による2023-5-5記事「Drones over Kremlin likely launched from inside Russia, experts say」。

    ダナ・ゴワードは、GPSはもっと妨害に強いものにしなければダメだと主唱している米国内のNPOの代表。彼いわく。

 2015年いらい、モスクワ市心にはGPS攪乱のための電波妨害設備がフルセットで揃っているから、国境外から無人機が悠々とそこへ到達できるとは思えない。

 またいわく。
 今回のクレムリン突入UAVのサイズは中型だ。おそらくGPSを頼りにはしていなかった。おそらく目視リモコンで操縦されていただろう。ということは、すぐ近くから発進したのである。リモコンをしなかったという可能性もある。すなわち、飛翔するアジマス方位角を最初に確定し、その方位角をひたすらキープさせる。そしてプリプログラムによって、時刻ごとの高度を変化させるのだ。

 このようにすれば、GPSスプーフィングや、リモコン電波ジャミングを、はねのけられる。

 ロシアのSNSで公開されているビデオによると、UAVは2機、たしかに飛来したようだ。
 2機とも、同じコースでやってきている。
 どちらも、クレムリン「上院」のドームをめがけてきた。
 1機目は、煙をちょっと噴き出した感じで、自壊した。
 2機目は、炎を上げ、残骸をドーム上に遺した。

 ドローン・メーカー「BRINC」社の設立CEOである、ブレイク・レズニックいわく。
 GPSを頼りにせず、また地上からリモコンもしないようにすれば、ジャミングやスプーフィングをかわせますよ。

 垂直離着陸機協会の専門家、ダン・ゲティンガーは言う。400km以上を飛行できる無人機を製造している国は多くありません。ウクライナには、製造できます。

 しかしもしロシア国内から発進させればよいのであれば、今回のようなミッションを実行できる小型UAVは世界中に無数にあり、どれを使ってもいいでしょう。』

オデッサ

オデッサ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%B5

 ※ 「歴史」のみを、ざっと紹介する。

『歴史

建設以前

オデッサ、およびその周辺にはキンメリア人、サルマタイ人、スキタイ人、ギリシア人、スラヴ人が居住していた[14]。オデッサが位置する場所にはタタール人によってカチベイ(ロシア語版)という集落が形成され、15世紀にオスマン帝国によってカチベイの跡地に建設されたハジベイという集落がオデッサの直接の起源にあたる[7][15]。1764年にハジベイにエニ・ドゥニア要塞が建設された[7]。

露土戦争の過程で1789年にロシア帝国はハジベイを占領し、1792年に締結されたヤシ条約によって正式にロシア領に編入された。露土戦争に従軍した海軍中将ホセ・デ・リバス(英語版)、オランダ人技師デ・ヴォラン(英語版)らは皇帝エカチェリーナ2世にハジベイに港を建設することを進言し、1794年から港の建設が開始される[16]。1795年にハジベイは「オデッサ」に改称される[7][8]。

ロシア帝国時代

トーマス・ローレンスによるリシュリュー公爵の肖像画
1905年に撮影されたポチョムキン号

エカチェリーナ2世の死後に帝位に就いたパーヴェル1世はリバスを首都ペテルブルクに召還し、オデッサに与えられていた補助金と特権が廃止される。パーヴェル1世の跡を継いだアレクサンドル1世はオデッサの経営に関心を示し、1803年にフランス人アルマン・エマニュエル・リシュリューをオデッサの長官に任命した[17]。また、移民の誘致と並行して、貿易の振興に必要な港湾施設の整備、税制の優遇政策が実施された[18]。リシュリューの下でオデッサは劇的に発展し、1803年当時9,000人だった人口は1813年の時点で35,000人に増加し、1804年に2,340,000ルーブルだった輸出総額は1813年には8,860,000ルーブルに増加する[19]。1812年8月から1814年2月にかけてオデッサでペストが流行し、人口の2割程度が死亡したと推定されている[20]。1814年9月にリシュリューはオデッサ長官の職を辞し、フランスに帰国した。

1819年にオデッサは自由貿易港に定められ、1823年にノヴォロシア総督に就任したミハイル・セミョーノヴィチ・ヴォロンツォフの下で自由貿易港となったオデッサは飛躍的な発展を遂げる[21]。ヴォロンツォフは経済の振興以外に文化事業、慈善事業にも力を注ぎ、彼の在任中に考古学博物館、救貧院、孤児院、聾盲学校が設立され、有力紙となる『オデッサ報知』が創刊される[22]。雨後の筍に例えられる急速な発展を遂げたオデッサは「幼年期を持たない都市」とも呼ばれ、19世紀後半に入った後にも成長は続く[23]。

また、ペテルブルクからの追放処分を受けていた詩人アレクサンドル・プーシキンは、オデッサ滞在中の一時期ヴォロンツォフに仕えていた。プーシキンとヴォロンツォフの妻は恋仲になり、ヴォロンツォヴァ夫人がプーシキンに贈ったヘブライ文字が刻まれた指輪はオデッサに伝説を残した[24]。

プーシキンが指輪を持ち帰ったにもかかわらず、指輪はオデッサに残されていると信じられ、指輪がオデッサを守護し続けていると言われている[24]。

1853年から1856年にかけてのクリミア戦争においてオデッサも戦渦に巻き込まれ、1854年に4月10日にイギリス・フランス合同艦隊の砲撃によって死傷者が出、ヴォロンツォフ宮殿などの建築物も被害を被った[23]。

砲撃を受けてもオデッサは抵抗を続け、防御を突破できなかった合同艦隊はやむなく退却する[23]。クリミア戦争時にイギリスのフリゲート艦から奪取した大砲は海並木通りに置かれ、当時の記憶をとどめている[23]。

19世紀末にオデッサはペテルブルク、モスクワ、ワルシャワに次ぐロシア帝国第四の都市に発展し[5]、ペテルブルクに次ぐ貿易港となる[7]。

1865年に鉄道が開通し、オデッサ大学の前身であるノヴォロシア大学が開校した。生活用水の需要を満たすために1873年にドニエストル川の水を汲み上げる設備が建設され、翌1874年に大規模な下水道が完成する[25]。上下水道の整備、市当局による環境・衛生状態の調査によりオデッサはロシアを代表する衛生的な都市として知られるようになる[26]。

1875年にロシア初の労働者の政治組織とされる南ロシア労働者同盟がオデッサで結成され、1900年にはロシア社会民主労働党オデッサ委員会が設立された[27]。

1905年から1907年にかけてのロシア第一革命ではオデッサは革命運動の一拠点となり、1905年6月には水兵による反乱が起きたポチョムキン号が入港する。

革命後に町は落ち着きを取り戻し、穀物輸出と工業生産が上向きを見せ始めた[27]。1914年に第一次世界大戦が勃発した後、オスマン帝国によってダーダネルス海峡が封鎖されたためにオデッサの対外貿易は停止し、町は爆撃を受ける[27]。

ソビエト連邦時代

1917年の二月革命後のオデッサには臨時政府、ソビエト権力、ラーダなどのウクライナ民族派が並立し、それらの勢力に外国の干渉軍も加わって支配権を争った。

1918年1月にソビエト政権が支配権を握るが、3月から11月にかけてドイツ・オーストリア軍がオデッサを占領した。

ウクライナ民族派のディレクトーリヤの支配を経て、1919年4月までイギリス・フランス連合軍の占領下に置かれる。

1919年8月から1920年2月まで反革命勢力のアントーン・デニーキンがオデッサを制圧するが、デニーキンはソビエト軍に破れ、1920年2月7日にオデッサにソビエト政権が樹立された。

二月革命からソビエト政権の樹立に至るまでの騒乱はオデッサの経済に大きな痛手を与え、町の建築物の4分の1が破壊されたと言われている[28]。

1914年当時のオデッサは630,000人の人口を擁していたがボリシェヴィキ政権を避けて多くの人間がロシア国外に脱出し、さらに1921年から1922年にかけての大飢饉が町の衰退をより進め、1924年に人口は324,000人に減少していた[28]。

ソビエト連邦時代にオデッサはウクライナ・ソビエト社会主義共和国オデッサ州の州都に定められる。

第二次世界大戦期においては、1941年8月5日にドイツ・ルーマニア軍がオデッサを攻撃し、2か月以上の戦闘の末にソ連軍はセヴァストポリに撤退した(オデッサの戦い (1941年))。

1941年10月16日から1944年4月10日までオデッサはナチス・ドイツ、ルーマニア連合軍の占領下に置かれ、複雑に入り組んだ地下の石灰岩の採掘跡を拠点としてパルチザン活動が行われた[29]。

第二次世界大戦中にオデッサの多くの建物が破壊され、280,000に及ぶ人間が虐殺・連行されたが、犠牲者の多くはユダヤ人だった[30]。ドイツ軍に対するオデッサ市民の抵抗を顕彰され、戦後町は英雄都市の称号を与えられた。

オデッサの工業は第二次世界大戦後も成長し、1970年代には新しい港湾施設が建設された[30]。1970年代後半に人口は1,000,000人に達し、ソ連時代末期の1989年には1,115,000の人口を擁していた[30]。

オデッサの戦いにおいて構築されたバリケード

オデッサの戦いにおいて構築されたバリケード
ソビエト連邦期に発行された「英雄都市」オデッサの切手

ルーマニア陸軍, オデッサ

ウクライナ独立後

ソビエト連邦崩壊後のオデッサには一時的に経済的に困窮した時期が訪れる[31]。2000年3月にオデッサの商業活動を振興するため、約140年ぶりに自由貿易港に指定された[31]。
2014年の親ロシア派騒乱では、オデッサでも暴力の伴う衝突が起こった。

2014年5月2日の衝突事件では親ウクライナ派と親ロシア派との間で42人の死者が出た。抗議中に4人が殺害され、火炎瓶の投げ合いによって労働組合庁舎に火がついたことで少なくとも32人の労働組合員が死亡した[32][33]。2014年の9月から12月の間に行われた調査では、オデッサ市民にロシアへの編入を支持する者はいなかった[34]。

2021年8月、旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンによる「大粛清」の犠牲者とみられる数千人の遺骨がオデッサで発見された。これらの遺骨について、国立記憶研究所の地方館長を務めるセルギー・グツァリュク(Sergiy Gutsalyuk)は、国家保安委員会(KGB)の前身かつスターリンの秘密警察として知られた内務人民委員部(NKVD)が1930年代に処刑した人々のものではないかとみている[35]。

ロシアによる侵攻が始まった2022年7月には、オデーサ(オデッサ)でロシア皇帝エカテリーナ2世の像を撤去してゲイポルノ俳優のビリー・ヘリントンの像を立てるよう要求する署名に2万5000人以上が署名した[36]。ロシアの国営テレビはこの署名運動やウクライナでの「ガチムチ」の流行を「米欧に洗脳された染まったウクライナ市民の異常な価値観」として批判している[37]。 』

ウクライナ警察は、オデッサ市長を逮捕した。

ウクライナ警察は、オデッサ市長を逮捕した。
https://st2019.site/?p=21115

『AFPの2023-5-4記事「Ukraine Arrests Odesa Mayor in Corruption Case」。
    ウクライナ警察は、オデッサ市長を逮捕した。開戦前からの汚職が理由という。
 この市長は2014年から現職。同年に、ウクライナの反汚職運動も始まった。EUに加盟するためには、行政が腐敗していてはならないのだ。

 こやつは経営破綻した工場を、適正価値の2倍の公金で買収した。金額は220万ユーロ相当。

 もともと、プロ・ロシアのヤヌコビッチの子分で、素性が怪しかったのである。

 オデッサはウクライナ最大の港であった。同時にそれは、密輸ビジネスの巣窟であることも意味した。』

バフムート市内の戦い、焼夷弾攻撃でウクライナ軍が保持する最後の区画が炎上

バフムート市内の戦い、焼夷弾攻撃でウクライナ軍が保持する最後の区画が炎上
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/battle-of-bakhmut-incendiary-attack-burns-last-ukrainian-held-sector/#comment_headline

『ロシア軍はバフムート市内のウクライナ軍が保持する最後の区画に対して焼夷弾攻撃を実施、その様子を収めた動画が登場して注目を集めており、ロシア軍は戦勝記念日(5月9日)に向けて最後の攻勢に出たのかもしれない。

参考:Бахмут в огне: враг массово использовал фосфор – ССО

ロシアとウクライナの政治的面子を賭けた戦いは最終的局面を迎えようとしている

露ワグナーのプリゴジン氏が「5月9日の戦勝記念日まで占領する予定だった」と明かしたバフムートでは、ウクライナ軍が保持する最後の一画にロシア軍が焼夷弾攻撃を実施、炎上している「アパート密集地」を映した映像も登場した。

炎上しているのはバフムート市内の西端にあるコンクリート製の建物が密集する区画で、ここを失う(使い物にならなくなる)とロシア軍の砲撃に耐えられる抵抗拠点が無くなるため、市内を保持するウクライナ軍の努力は一層厳しくなるしかなく、ロシア軍は戦勝記念日に向けて最後の攻勢に出たのかもしれない。

あと3日でロシア軍はバフムート市内からウクライナ軍を追い出すことに成功するのか、それともウクライナ軍が街の一画を保持して「バフムート制圧宣言」を阻止するのか、ロシアとウクライナの政治的面子を賭けた戦いは最終的局面を迎えようとしている。

出典:GoogleMap バフムート市内の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

因みにプリゴジン氏の後退宣言を受けてチェチェン共和国のカディロフ氏は「ワグナーの代わりにカディロフツィを派遣する用意がある」と表明した。

カディロフ氏は「私は我が国の運命に無関心でない人々と同様にプリゴジンの発言を不快に感じるが、国防省上層部がワグナーに何も説明しないのもの不快だ。ワグナー部隊のドンバス解放に対する貢献は敬意を払うに値するもので、もし何かが不足しているなら国防省はきちんと説明すべきだ。そうすればワグナーの指揮官は大砲に頼れない戦いのため戦術を調整しただろう」と指摘。

出典:Kadyrov_95

さらに「マリウポリで戦ったチェチェン人部隊も歩兵を支援するため国防省に戦車を5輌要求したが、割り当てられたのは最初の戦闘で兵士が放棄した1輌だけで、私は自らモスクワに電話をかけて1ヶ月後には問題を解決することができた。つまり最初の電話だけで問題を解決出来なかったが、チェチェン人部隊は敵を喜ばせるような動画は撮影しなかった。世間の関心を集めるため戦友の遺体を撮影するのはいけないことで、絶対に止めるべきだ。戦場で問題が起きない日はなく常に誤解が生じるもので国防省とプリゴジン氏が和解することを望んでいる」と述べている。

最後にカディロフ氏は「ワグナーが(バフムートから)去れば、代わりにカディロフツィが向うだろう。しかし兵士の命を犠牲するのではなく、最高司令官であるプーチン大統領の命令を実行するという相互理解、支援、指揮官と兵士の決意の結果して残り2kmの占領を実現してほしい」と書いているので、恐らくプリゴジン氏と国防省上層部の対立は本物で「バフムートでの前進は容認できない死体の上に築かれたもの」と認識している可能性が高い。

追記:ウクライナ軍は「5日夜にロシア軍がバフムートで焼夷弾と白リン弾を使用して街を地上から消し去ろうとした。しかし我が軍の兵士は勇敢に街を守り続けている、この様な状況下でも敵を破壊し続けている」と発表した。

関連記事:バフムート市内の戦い、ウクライナ軍が保持する一画を襲うロシア軍の砲撃
関連記事:露ワグナーのプリゴジン氏、5月10日にバフムートから後退すると正式発表
関連記事:露ワグナーのプリゴジン氏、ゲラシモフ総司令官やショイグ国防相を名指しで批判

※アイキャッチ画像の出典:Telegram経由
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 3 』

『 名無しさん
2023年 5月 06日

返信 引用 

ロシアは度々焼夷弾攻撃を行っていますね。
スペックだけ聞くと、一度に大量の歩兵を排除できるように思えるのですが、案外有効な攻撃となっていないのは何故なのでしょう?

    same
    2023年 5月 06日
    返信 引用 

有効ですけど、建前が解放戦争的なものなので、いくらウクライナ軍の防衛拠点になっているとはいえ、
建物そのものを破壊する行為は躊躇があるのではないでしょうか。

今後防衛の拠点とするなら住宅もできるだけ残しておきたいでしょうし。
        匿名
        2023年 5月 06日
        返信 引用 

    これでは答えになってない気がします そもそもロシア軍が本当に拠点として残したいのならばマリンカやバフムトみたいに全てを灰燼に帰すような砲撃はしないと思います 焼夷弾があまり効果的でないという問は塹壕やビルなどの堅固な建物には効果が薄く木造住宅や森林などの延焼しやすいものが都市には少ない(もしくは既に砲撃などで消滅している)ないからだと思います
    1 』

ワグネル、10日にバフムト撤退表明 「弾薬不足で損失」

ワグネル、10日にバフムト撤退表明 「弾薬不足で損失」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0528C0V00C23A5000000/

『【パリ=北松円香】ロシアの民間軍事会社ワグネルの創始者エフゲニー・プリゴジン氏は5日、激しい戦闘が続いているウクライナ東部の要衝バフムトから部隊を10日に引き揚げると表明した。弾薬不足が解消されず、部隊に重大な損失が生じているためとした。

プリゴジン氏は通信アプリ「テレグラム」で「弾薬不足で我々の損失は日々飛躍的に増大している」と撤退の理由を説明し、代わりにロシアの正規軍を投入するよう求めた。

撤退表明に先立ってワグネルの兵士だとする複数の遺体の前で撮影したビデオも投稿した。弾薬の補充が足りないと主張し、ゲラシモフ参謀総長やショイグ国防相を強く批判していた。

プリゴジン氏はこれまでも発言を撤回したことがあり、実際にバフムトから撤退するかは不透明だ。弾薬の供給を巡りロシア軍に圧力をかける狙いの可能性もある。

ロシアのペスコフ大統領報道官は5日、プリゴジン氏が主張した弾薬の供給不足の指摘について「コメントできない」と記者団に述べた。

【関連記事】

・ウクライナ軍、南部で攻撃 反転攻勢へ威力偵察か
・ウクライナ反攻準備、戦車230台到着 ロシアは防衛強化
・激戦地でロシア兵2万人死亡、半数がワグネル 米政府 』

〔四臣(ししん) 千里を照らさんとす…。〕

中国通史で辿る名言・故事探訪(四臣 千里を照らさんとす)
 「四臣(ししん) 千里を照らさんとす」

                     ◇ 戦国時代 ◇
https://gonsongkenkongsk.blog.fc2.com/blog-entry-310.html 

 ※ 「宝物(ほうもつ)」自慢の話しを聞くと、いつもこれを思い出す…。

  『四人の優れた将軍が、それぞれの所定の国境地帯で守備に就き、

 よく外敵を防いで国家の平安に寄与するとともに、また敵国に対しても

 その余影を与える事が出来たという故事。

  ※ 千里とは距離の実数ではなく、方千里の国という「国の異称」で

    ある。

 《 斉の威王と魏の惠王の国宝問答 》

   斉王と魏王が城外で相互親善の狩猟をした時のこと、魏王が斉王に

  問うた。

   「斉にはどんな宝がありますか」と。

   問いを受けて斉王は、

   「あると言えるほどの宝はありません」と。

   魏王は其の言葉を聞いて、自慢げに言った。

   「私の国は小さいとはいえ、直径が一寸ほどの宝玉があり、

  その輝きたるや車の前後 十二乗の距離を輝き照らす事が出来ます」

  と。

   だが斉王は悠然として言った。

   「私の宝は、王のものとは異なります。  

   我が臣に壇子と言う者がいますが、南の城を守らしてからというもの、

  楚は敢えて領土の泗上を侵攻しなくなり、十二諸侯まで来朝するよう

  になりました。

   肦子(はんし)と言う者に高唐を守らせたところ、

  趙の人たちは敢えて東の河を侵略しなくなりました。

   黔夫(けんぷ)と言う者に徐州を守らせたところ、

  燕は吾が北門に、趙は吾が西門に来て攻められないように祈り、

 祭礼をするようになりました。

   種首(しょうしゅ)という者を盗賊に備えさせれば、

  当に道 遺ちたるを拾わず、と言う治安状態となりました。

   この四臣、将に千里を照らさんとす、

   豈に特(ただ) 十二乗のみならんや」と。

   これを聞いた魏王は、恥じ入った態であった。

                 「十八史略 戦国・斉」』

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(※ Z会の教材の一つらしい…。)

 ※ 「原文」を読みたくて検索したが、なかなかヒットしなかった…。

 ※ かろうじて、これくらいのものだ…。

「バイデン大統領、王室無視する」チャールズ国王戴冠式を控え英国が激怒

「バイデン大統領、王室無視する」チャールズ国王戴冠式を控え英国が激怒
https://news.yahoo.co.jp/articles/64fddd34ff8d4747b121694d3b7ed5752520ae88

『5/1(月) 7:23配信 中央日報日本語版

来月6日に開かれる英チャールズ国王の戴冠式にバイデン米大統領が不参加を決めて議論が起きている。

BBCが先月29日に伝えたところによると、バイデン大統領は同月4日のチャールズ国王との電話で戴冠式に出席しない考えを伝えた。代わりにジル夫人が出席することにした。

ホワイトハウスはバイデン大統領の戴冠式欠席の理由については特に言及していないが、「バイデン大統領が戴冠式後に英国を訪れチャールズ国王に会いたいとの意向を伝えた」と明らかにした。

こうした知らせを受け英国では「バイデン大統領が英国王室をないがしろにしている」という批判が出てきた。これと関連し、ボブ・シーリー英下院議員(保守党)は「一生に一度あるかという行事に出席しないのはとてもおろそかにした処置」とテレグラフに話した。

アイルランド系のバイデン大統領の民族的ルーツが戴冠式欠席につながったという見方もある。ジャーナリストのラッセル・マイヤーズ氏はスカイニュースに「バイデン大統領はアイルランド系米国人のルーツをとても誇りに思っている。そのため戴冠式に来る可能性はない」と話した。

バイデン大統領は母親がアイルランド系で、父親もアイルランド系の血が入っている。アイルランドは英国に800年間植民支配され悪感情が根深い。こうした歴史的関係からバイデン大統領が反英感情を出しているという主張だ。

しかし多くの専門家はこの数世紀にわたり英国の戴冠式に参加した米国大統領は1人もいなかっただけに、バイデン大統領も単純に慣例を受け継いだものと分析した。

アメリカン大学歴史学科のローラ・ビアーズ教授は「1837年にビクトリア女王が即位した当時、英国の君主制は米国人の間で好感を得た。それでも当時のビューレン米大統領は戴冠式に行かなかった」と話した。続けて「当時(交通事情など)現実的に難しい部分があったが、その後米国大統領の戴冠式欠席が慣行になったようだ」と説明した。

米大統領は1939年に大西洋を横断する空路が開かれるまで欧州訪問が容易ではなかった。しかし航空交通事情が良くなった1953年のエリザベス女王の戴冠式にも当時のアイゼンハワー大統領は参加しなかった。これに対しては韓国戦争(朝鮮戦争)が終わっていない状況でホワイトハウスを空けることができないという理由が大きかったとの評価が出ている。

一方、今回の戴冠式に中国が韓正副主席を派遣するだろうというニュースに英国政界では「無礼だ」との反応が出ている。韓副主席は香港が中国に返還される前に英国と結んだ「自治権保護」の約束を無視し2019年に香港で大規模反政府デモが広がると武力鎮圧と香港国家保安法導入を主導した責任者であるためだ。』

イギリス チャールズ国王 戴冠式 見どころは?参列者は?

イギリス チャールズ国王 戴冠式 見どころは?参列者は?
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/05/03/31265.html

『5月6日に行われるイギリスのチャールズ国王の戴冠式。
エリザベス女王の時以来、70年ぶりとなる戴冠式の見どころや参列者は?
わかりやすく解説します。

そもそも戴冠式って?

イギリス王室は戴冠式について「宗教的な儀式であると同時に、君主の即位を祝福する機会でもある」としています。

エリザベス女王の戴冠式(1953年)

チャールズ国王は去年9月、エリザベス女王の死去に伴って国王に即位しましたが、戴冠式は君主の頭に王冠を授けるという象徴的な儀式によって、即位したことを国内外に印象づける意味があります。

戴冠式は1000年以上にわたりほぼ同じ形で続けられ、今も行っているのはヨーロッパではイギリスだけとされています。

今回の戴冠式はいつ?どこで?

現地時間の5月6日午前11時、日本時間の午後7時から、イギリスの首都ロンドン中心部のウェストミンスター寺院で行われます。

ウェストミンスター寺院

1066年以来、イギリス国王の戴冠式が行われてきたウェストミンスター寺院。1953年のエリザベス女王の戴冠式をはじめ、これまでに38回の戴冠式が行われています。

具体的なスケジュール、ルートは?

戴冠式の当日、チャールズ国王とカミラ王妃はバッキンガム宮殿を出発し、ウェストミンスター寺院で戴冠式を行ったあと、再び宮殿に戻ります。

国王夫妻は馬車に乗って近衛兵などの列とともにバッキンガム宮殿を出発し、宮殿の中央ゲートを通って祭典や儀式などが行われる「ザ・マル」という通りを進みます。
そして、1912年に完成した歴史的な建造物「アドミラルティ・アーチ」をくぐって首相官邸や政府機関の建物が建ち並ぶ「ホワイトホール」という通りを南下。
議会の周辺を通り、ウェストミンスター寺院に入ります。

戴冠式の見どころは?

イギリス王室に伝わる数々の伝統の宝物が見どころの1つです。
戴冠式では、チャールズ国王が誓いを述べたあと、イギリス国教会の最高位の聖職者であるカンタベリー大主教によって、聖なる油がチャールズ国王の手や頭に塗られ、その後、王冠が授けられます。

聖エドワードの王冠

チャールズ国王が戴冠するのが「聖エドワードの王冠」です。1661年につくられたもので、エリザベス女王にも戴冠式で授けられました。

ルビーやアメジスト、サファイア、ガーネットなど大きな宝石で彩られ、重さは2キロほど。上部にある十字架と宝珠はキリスト教の世界を象徴しているとのことです。

そして70年前も、エリザベス女王が両手に持っていた笏。

エリザベス女王が持っていた笏

十字架がついているものと、白いハトがついているものの2本。

「公平」と「慈悲」など王室の役割を象徴しています。十字架の下にある大きなダイヤモンドは、世界最大の原石「カリナン」から切り出された貴重なものです。

式典では、こうした貴重な宝物の数々が披露されるということです。

両手に笏を持つエリザベス女王(1953年)

使われる馬車は2種類?

バッキンガム宮殿からウェストミンスター寺院に向かう際に乗るのが「ダイヤモンド・ジュビリー・ステート・コーチ」。
そして、戴冠式のあと宮殿に戻る際に乗るのが「ゴールド・ステート・コーチ」です。

「ダイヤモンド・ジュビリー・ステート・コーチ」は、2012年のエリザベス女王の即位60年を記念してつくられ、これまで女王をはじめ、イギリスを訪れた各国の首脳などが使用してきました。

「ダイヤモンド・ジュビリー・ステート・コーチ」

内装には、バッキンガム宮殿やウィンザー城、それに、16世紀にフランスとの海戦で沈没した船「メアリー・ローズ号」など、イギリスの歴史にゆかりがある建造物の木材や金属が使われています。

長さは5メートル超、重さは3トン以上だということで、6頭の馬が引きます。中にはエアコンが取り付けられているほか、窓は電動で開閉できるということです。

一方、宮殿に戻る際に使用される「ゴールド・ステート・コーチ」。

「ゴールド・ステート・コーチ」

1831年の国王ウィリアム4世の戴冠式以降、すべての戴冠式で使用されていて、エリザベス女王の即位70年を記念する去年の「プラチナ・ジュビリー」でも登場しました。

金ぱくが施された豪華けんらんなデザインが特徴で、長さは約7メートル、高さは3.6メートルあります。重さが4トンあり8頭の馬で引きますが、歩くようなペースでの移動になります。

乗り心地について、エリザベス女王がかつて「ひどい。あまり快適でない」と回想した、とも言われています。

戴冠式の招待状も話題に?

イギリス王室が公開した招待状には、盾にライオンやユニコーンなどをかたどった国王の紋章のほか、色とりどりのイギリスの草花が描かれ、中央には「チャールズ3世国王とカミラ王妃の戴冠式」と書かれています。

戴冠式の招待状

話題となったのは、カミラ王妃の肩書きです。

カミラ王妃についてはこれまで英語で「国王の配偶者」を意味する「クイーン・コンソート」という称号が使われていましたが、初めて「クイーン」という称号が使われました。
カミラ王妃をめぐっては、慈善活動に取り組む姿勢が評価される一方で、チャールズ国王がかつてダイアナ元皇太子妃と離婚したあとに再婚した経緯などから、王妃と名乗ることに抵抗感があるという声は根強くあります。

チャールズ国王とカミラ王妃

エリザベス女王も生前「その時が来たら、カミラ夫人が『クイーン・コンソート』と名乗ることが心からの望みです」という声明を発表していましたが、公共放送BBCは「王室は今回『クイーン』という称号を使うことで、亡き女王の意向よりさらに一歩踏み込んだ」と報じています。

戴冠式の参列者は?

秋篠宮ご夫妻

日本からは秋篠宮ご夫妻が参列されるほか、アメリカからはバイデン大統領の夫人、ジル氏が参列する予定です。
また、オランダのウィレム・アレキサンダー国王、スウェーデンのグスタフ国王、スペイン国王のフェリペ6世など、イギリス王室の親類にあたる王族の参列が予定されています。

イギリスのメディアは、戴冠式に他国の王を招くことは異例で「900年の伝統から離れることになる」などと伝えています。

バッキンガム宮殿 (2018年7月)

王室メンバーでは、ウィリアム皇太子やキャサリン皇太子妃などが参列するほか、3年前(2020年)に王室の公務から退き、現在はアメリカで生活している次男のハリー王子も出席する予定だとイギリス王室が明らかにしています。一方、妻のメーガン妃は欠席するということです。

また、ウィリアム皇太子夫妻の長男ジョージ王子は「ページ・オブ・オナー」として少年7人とともに国王夫妻の長いローブのすそを持つ役目を務めます。

今回の戴冠式の特徴は?

伝統的な儀式が行われる一方で、エリザベス女王の時と比べて規模を抑えたものになっています。

BBCなどによりますと、エリザベス女王の戴冠式では、臨時の席を設けるためにウェストミンスター寺院を5か月間閉鎖して準備にあたるなど、1952年2月の即位から1年以上の準備期間を経て、1953年6月に行われました。

前回の参列者は8000人以上でしたが、今回は2200人程度になる見通しだということです。また、式典の時間も、エリザベス女王の時より短くなる見込みだと伝えられています。

社会の多様性反映する戴冠式に

さらに今回の戴冠式では、チャールズ国王の希望で現代のイギリス社会に存在するさまざまな宗教やコミュニティーに配慮するよう計画が練られているということです。

イギリス王室によりますと、戴冠式に招待された2200人以上の参列者の中には、新型コロナウイルスの感染拡大の際に生活に困窮した人の支援に尽力した人なども含まれているということです。

また、式典にはイスラム教やヒンドゥー教、シーク教やユダヤ教を信仰する議員も出席して戴冠式に必要な「戴冠宝器」の一部を届ける役割を担うということで、キリスト教徒以外がこうした役割を担うのは初めてだと伝えられています。

チャールズ国王の戴冠式についてイギリス王室は「長い伝統に根ざすとともに、現代の王室の役割を反映し、未来を見据えたものになる」としています。

チャールズ国王の課題は?

最大の課題は、イギリス王室の存在意義について国民からの理解を引き続き得られるかどうかです。

バッキンガム宮殿

大手調査会社「ユーガブ」が4月に行った調査で「イギリスにとって君主制は良いか、悪いか」という質問に対し、「良い」と回答した人は全体の53%で「悪い」の14%を大きく上回りました。

ただ、4年前の調査と比べると「良い」は7ポイント減ったのに対し、「悪い」は4ポイント増え、その差は縮まっています。特に若い世代ほど君主制を疑問視する人の割合が多くなっていて、18歳から24歳まででは「悪い」が21%と2割を超えています。

背景には、記録的なインフレが続き国民の多くが生活費の高騰に苦しむ中、王室はばく大な不動産収入や税制の優遇措置などによって優雅な生活を送っているという批判の高まりがあります。

メーガン妃とハリー王子

さらにチャールズ国王の次男・ハリー王子と妻のメーガン妃が王室内で人種差別的な発言をされたと述べたことや、王室に長年仕えてきた補佐官が黒人女性に人種差別的な対応をしたとして辞任を余儀なくされたことも、イメージの悪化を招きました。

また国外でも、イギリスの君主を国家元首としてきたイギリス連邦の一部の加盟国では、エリザベス女王の死去をきっかけに立憲君主制を廃止し、共和制に移行するべきだという声が高まっていて、国際社会におけるイギリスの存在感の低下に拍車がかかる可能性も指摘されています。

当時のチャールズ皇太子とエリザベス女王(2022年)

70年にわたって君臨した母親のエリザベス女王が築いてきた伝統と信頼を受け継ぎながら「新たなイギリスの顔」として時代に即した王室像を国内外に示していけるかが注目されます。』

伝統馬車で祝賀パレード 戴冠式控えロンドン厳戒

伝統馬車で祝賀パレード 戴冠式控えロンドン厳戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR053DY0V00C23A5000000/

『【ロンドン=江渕智弘】英国のチャールズ国王の戴冠式が6日午前11時(日本時間午後7時)からロンドンのウエストミンスター寺院で行われる。式典後に伝統の馬車でロンドン中心部をパレードする。1万人を超える警察官を動員する厳戒態勢となる。

国王はエリザベス女王の死去に伴い2022年9月に即位した。君主の頭に王冠を授ける戴冠式は国内外に即位を印象づける意味がある。1000年以上ほぼ同じ形で続く。

国王とカミラ王妃はバッキンガム宮殿を出発し、寺院まで「ダイヤモンド・ジュビリー・ステート・コーチ」に乗って移動する。12年のエリザベス女王の即位60年を記念してつくられた馬車で、女王や各国の首脳らが使ってきた。
戴冠式当日は伝統馬車「ゴールド・ステート・コーチ」が用いられる(3日、ロンドン)=ロイター

国王は戴冠式で英国国教会の最高位聖職者カンタベリー大主教から聖油を塗られ、王冠を受ける。女性聖職者や、シーク教や仏教などキリスト教以外の宗教代表が初めて式の進行にたずさわる。多様性を重んじる時代を映す。

2時間の式のあと、バッキンガム宮殿に戻る際は1760年代に製造された馬車「ゴールド・ステート・コーチ」に乗る。全長7メートル、4トンの重さがあり、8頭が引く。
バッキンガム宮殿前は戴冠式前日から泊まり込みで並ぶ人であふれた(5日、ロンドン)

宮殿から寺院までの沿道には5日から椅子やテントでパレードを待つ人が大勢いた。5日の昼から宮殿の目の前に陣取っているというオスロから訪れた女性は「とても興奮している。待ち遠しい」と話した。エリザベス女王の国葬やウィリアム王子とヘンリー王子の結婚式の際も英国を訪れたという。

祝賀ムードが高まる一方、テロや混乱を防ぐため、警察当局は「黄金の宝珠」と名付けた警備計画で厳戒態勢を敷く。戴冠式当日は、1日としては過去数十年で最高の約1万1500人、前後も合わせると計2万9000人を超える警察官が警戒にあたるという。行進ルートの周辺では王室廃止を訴えるデモが予定される。

国王は5日夕、バッキンガム宮殿で各国の賓客を招いたレセプションを催した。』

WHO、新型コロナ緊急事態宣言終了を発表 3年3カ月

WHO、新型コロナ緊急事態宣言終了を発表 3年3カ月
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR041XM0U3A500C2000000/

『【パリ=北松円香】世界保健機関(WHO)は5日、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言を終了すると発表した。ワクチンの普及などで死者数が大幅に減ったためで、2020年1月末に始まった緊急事態は3年3カ月で終了を迎えた。今後もワクチン接種などの感染対策を通じた共存が課題となる。

4日に開いた新型コロナに関する専門家の緊急委員会の議論を受けて決めた。緊急委は各地の感染状況を踏まえ、20年1月にWHOが宣言した「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」の終了を勧告した。

WHOのテドロス事務局長は5日の記者会見で新型コロナについて「緊急事態から、他の感染症への対応と並行して(流行を)制御する局面に移った」と指摘した。

各国は既に新型コロナ対策を大幅に緩和している。米国は11日に国家非常事態宣言を解除する方針で、入国時のワクチン接種証明書の提示も不要になる。日本でも8日に感染症法上の位置づけが「5類」に移行し、日々の感染者数の発表は終了する。

緊急事態が終わっても、新型コロナの感染がなくなるわけではない。WHOは3月に改定したワクチン指針でも高齢者や妊婦、複数の持病を持つ人などは定期接種の対象とすべきだとした。

専門家からはWHOによる緊急事態宣言終了で「各国の対策が緩む」との懸念の声もあがる。今年に入ってオミクロン型の新派生型XBB.1.16の感染者が増えるなどウイルスは常に変化している。

東京医科大学の浜田篤郎特任教授は「現在の新型コロナウイルスは冬に流行する傾向があるため流行を予測しやすいが、別の変異株が広がれば再び流行を予測しづらくなるおそれもある」と指摘する。今後も重症化しやすい型の出現などには注意が必要だ。

WHOは「国際的な公衆衛生上の脅威となり得るあらゆる事象」の報告を各国に義務付けた05年の国際保健規則の改定以降、新型コロナを含めて緊急事態を7回宣言している。長期化するケースもあり、14年に緊急事態を宣言したポリオは今も継続中だ。22年に緊急事態が宣言されたサル痘(エムポックス)も、まだ終了宣言が出ていない。

WHOによると、各国から5月3日までに報告された新型コロナウイルスの死者は累計で692万人に達した。

多様な観点からニュースを考える

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石原純
インペリアルカレッジロンドン 講師
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ひとこと解説

3年にわたって私たちの関心事であり続けた新型コロナはようやく緊急事態が終わりました。
アメリカ政府の推奨のように、ワクチンはこれからも年に1回接種するのか。変異株が流行ったらどうするか。マスクはどうするのか。などこれからも議論することはいくつもあります。
しかしとりあえずはこの日が来たことは喜ばしいことだと思います。
2023年5月6日 2:29

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詫摩佳代
フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)訪問研究員 / 東京都立大学教授
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分析・考察

世界を席巻し、変異を繰り返し、多くの方が命を落とし、社会に大きなダメージを与えた新型コロナ、ようやく緊急事態宣言終了に至りました。よかったです。他方、感染自体は終わっておらず、引き続き警戒が必要です。途上国でのワクチン接種率向上に向けた努力に加え、引き続きウイルスの動向を注視し、国際、地域、国という複数のレベルで、いざという時に適切に対応できる体制を整える必要があります。喉元過ぎれば痛みは忘れさられますが、我々が様々なウイルスの脅威に晒されていること自体は変わりません。過去3年の苦い経験を踏まえ、新しいシステムを作っていく覚悟と努力が問われています。G7主催国としての日本の責務は重いです。
2023年5月6日 1:00』