Z世代狙う投資詐欺 「FIRE」「億り人」が売り文句
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB203UM0Q3A420C2000000/
※ こういう風に、「手を変え品を変え」、騙しにかかってくるわけだ…。
※ ともかく、「分不相応に」、「欲の皮のつっぱった人間」は、イチコロだ…。
※ しかも、そういう人間に限って、「不勉強」と来てるんで、「カモへの道」一直線だ…。




『20〜30代をターゲットにした悪質な投資詐欺が相次いでいる。特に狙われやすいのが、Z世代と呼ばれる1990年代半ば以降に生まれた若年層。インターネットでSNS(交流サイト)に親しみ、将来への資産形成を本格的に考え始める世代だ。生活不安や投資への関心に巧妙につけ込み、暗号資産(仮想通貨)や外国為替証拠金(FX)取引を装って勧誘されるケースも目立つ。最近の詐欺手口を理解し、だまされないための対策をお…
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『最近の詐欺手口を理解し、だまされないための対策をおさえておこう。
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借金促し出資のケースも
「この仮想通貨は必ず値上がりする」「物価高で生活が苦しくなるから今のうちに投資を」。東京都内の男性会社員Aさん(20代)は2022年秋、SNSで知り合った人物にこんな勧誘を受けた。その人物は仮想通貨のトレーダーを自称し、SNSに高級車やブランド腕時計などを投稿し金満ぶりをアピール。仕事にも慣れ資産運用を考えていたAさんは、促されるまま資金の一部を消費者金融から借りて計100万円を出資したが、相手と連絡が取れなくなったという。
こうした若年層を狙った投資詐欺が後を絶たない。警察庁によると、投資詐欺など利殖勧誘で全国の警察が22年に受理した相談件数(2584件)のうち、20〜30代が30.6%を占めた。17年はこの年代が16.6%で、60代以上が49.7%に達していた。インターネットを悪用した手口が広がったことで、被害の中心が若年層に移りつつある。立正大学の小宮信夫教授(犯罪学)は「投資詐欺と聞くと高齢者のイメージがいまだ強いが、SNSで知らない人との交流に抵抗が少ない若者こそ被害に遭いやすい」と警鐘を鳴らす。
FX取引を名目にした被害も目立つ。注意したいのが「自動売買ソフト」を入り口にした手口や、投資家向けアプリを悪用して金銭をだまし取る手口だ。FX取引は証拠金を取引業者に差し入れて外貨に投資する。証拠金の最大25倍の金額まで取引することが可能なため損失も大きくなりやすく、初心者には本来難しい投資だ。
詐欺グループは「プログラムが自動で売買する」「何もせずにもうかる」などとソフト購入を促し、海外口座に証拠金を送金させる。画面上では利益が出るが、お金は引き出せないといった具合だ。
最近では実際に投資家が利用するFXアプリを悪用する手口も明らかになった。海外口座を開設させたうえでアプリと連携、架空の運用益を示して被害が膨らんだケースもあったという。国民生活センターに21年度に寄せられたFX取引関連の相談件数は前年度比9割増。為替相場が大きく変動する局面が増え、FX取引で稼げるという安易なイメージを打ち出しやすくなったとみられる。
周囲巻き込む「モノなしマルチ」
株式や仮想通貨など投資対象を問わず、高利回りを約束する「ファンド」にも要注意だ。なかには「月利8%」「月利15%」をうたって勧誘する例がある。これらは出資者から募った資金を実際には運用せず、後から出資した人の資金を配当と装って支払うタイプの詐欺が多い。いわゆる「ポンジ・スキーム」という手口で、初期は配当としてお金が出るため信じ込みやすい。
特に気を付けたいのが、こうした詐欺では友人や同僚から誘われるケースが相次いでいること。契約者に対して「1人誘うごとに配当が増える」などと持ちかけ、結果的に被害が広がるパターンだ。「モノなしマルチ商法」と呼ばれ、勧誘する側は加害意識が乏しいまま周囲を巻き込む例が少なくない。物価高など生活不安をあおるほか、投資で稼いで早期リタイアする「FIRE」を売り文句にする手口も目立つ。投資詐欺に詳しい杉山雅浩弁護士は「厳しい経済情勢で派手な成功例を目にすると、異常な利回りでも知人の紹介を信じてしまう」と指摘する。
では投資詐欺に遭わないためにはどうすればいいか。手口の理解とともに、投資の基本や被害者側の心理状態を知っておきたい。まず、投資に「絶対」はないことを強く意識しよう。投資にはリスクが伴い金融商品は元本割れのおそれがある。したがって「必ずもうかる」「元本保証」といった勧誘をうのみにするのは禁物だ。
ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は「金融知識が乏しい若年層は投資リターンの水準感をおさえてほしい」と話す。例えば代表的な世界株指数の年率リターンは90〜22年で平均7%だ。月利8%なら12カ月の単純計算(単利)でも年利96%、月利15%なら年利180%に上る。「月利◎%などと高金利をうたう商品は詐欺の可能性が高い」(深野氏)。
また金融商品の取り扱いには金融商品取引業の登録が必要だ。暗号資産交換業者も登録が義務付けられており、いずれも金融庁のホームページに掲載されている。勧誘を受けたら登録業者かどうか確認しよう。
仮想通貨やFX取引といった価格変動が大きい投資では、SNSなどで「億り人」や「FIRE」に関する体験談が多い。当初は自分には難しいと考えていても、「成功例ばかりを探すうちにそれが当たり前だと思い込み、自身も一獲千金ができるという心理状態に陥る」(小宮教授)。詐欺グループはそうした意識を巧妙に突いてだましてくる。
少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)など若年層から利用できる投資手段は増えている。こうした制度を活用し、資産形成は長期で取り組みたい。
被害防止、親世代が気配りも
後を絶たない投資詐欺。被害に遭うと「だまし取られたお金の回復は極めて難しい」(杉山弁護士)のが現実だ。犯人が捕まるとは限らないうえ、逮捕されても刑事裁判で判決が出るまで時間がかかり、被害財産が既に散逸しているケースが多いからだ。だからこそ普段から詐欺を防ぐ対策が重要になる。
近年は投資で高収入を得るためのノウハウを教えるなどと称して情報商材や投資セミナーにSNSで勧誘する例も目立ち、これらを入り口に投資詐欺に引き込まれるパターンが少なくない。不審な勧誘を受けたら、公的な窓口に相談するのも手だ。警察の相談専用電話「#9110」や、消費生活センターなどにつながる消費者ホットライン「188」で相談できる。
少しでも怪しいと感じたら、被害に遭う前に早めに相談したい。
新生活が始まる春は新しい同僚や友人と出会う季節でもある。親しくなった人に勧誘されても、人間関係と投資は切り離して冷静に判断するのが大切だ。若年層が投資商品のマルチ商法に巻き込まれると、多額の借金をしたり本人が加害者になったりする。親世代ら周囲が気を配ることも意識したい。小宮教授は「大型連休で家族が集まったタイミングなどに、資産形成について話し合ってみるのもいい」と話している。
(阿部真也)』