JPモルガン、ファースト・リパブリック銀行を買収。

JPモルガン、ファースト・リパブリック銀行を買収。
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/31425775.html

『 いやー、なかなか黒いところに買収されましたねぇ。3月から続いているアメリカの銀行の破産ですが、ほぼ破産が確定していたファースト・リパブリック銀行を、JPモルガンが106億ドルで買収するようです。もちろん、銀行が抱えている負債や資産を引き取るのと込みで、この買収金額です。

何かシンクロニティを感じてしまうのですが、丁度今、「バーナード・マドフ詐欺事件」のYoutube動画を編集していて、JPモルガンは、詐欺のシステムを、恐らくは故意に見逃して口座を利用させていて、罰金は食らったものの、誰も罰せられていないという、ウォール街と政治のパイプを最大限に活かした責任逃れをしている部分を編集していたところです。まぁ、あそこの4大証券会社は、叩けば埃で息ができないくらい、不法行為をやりまくりなんですよね。そして、罰金は払うけど、刑事罰は受けないんですよ。そういう決まりらしいです。なので、犯罪が再発します。国が金融危機でディフォルトした後、徹底的に関係者の責任を追求して、見事に立ち直ったアイスランドとは、金融規律面では雲泥の差です。

ファースト・リパブリック銀行は、顧客の預金流失が止まらなくて、破産が噂されていました。一時期は、メガバンクが巨額の貸付を発表して、資本面での心配が無くなったかに見えました。しかし、この銀行の顧客は富裕層が多く、スイスのクレディスイスと同じく、ウェルネス事業が得意な業態だったのですね。なので、口座に預金している額が、政府が補償する25万ドル程度では、全然足らない資産持ちが多くて、破綻した時に財産を失うので、ガンガン預金の引き出しが続いていたようです。株価も70%も下落していて、ほぼクズ株状態でした。

この銀行が破綻しそうになった原因も、先に処理されたシリコンバレー銀行と同じです。急激に政策金利が上がった為、資産運用として所有していた債権の価値が下がり、かつ、預金の流出で資産が減ったので、含み損を決済して現金を作る必要に駆られた為、潜在的な負債が表面化したのです。ただ、ここの場合、主業務がウェルネス事業なので、シリコンバレー銀行ほど、債権に依存していなかったので、傷は比較的浅いほうです。ただ、富裕層というのは、資産の運用には、一般人よりも敏感ですから、「危ない」と噂が立つと、容赦なく資金を移動させるのですね。それで、経営が破綻した模様です。

この引き出された資金は、今は高金利なアメリカ短期国債の購入に流れています。その為、アメリカの短期国債のチャートが、異常な動きを見せています。ニューヨークダウなどの株価指数と、逆相関になるのが通常なのですが、最近では無関係に単独でチャートが動いています。つまり、他所から、今まで市場に無かった資金が流入してきたという事です。このように、経済というのは、シームレスにつながっています。どこかで異変が起きたら、波紋が広がるように、他に影響が出るのです。

影響と言えば、アップルの始める銀行が、4%以上の高金利で話題を呼んでいますが、それが可能なのも、今のアメリカの政策金利が、最大4.75%もあるからです。ですから、残念ながら、アメリカ以外では、この高金利は、絶対に適用されません。逆ザヤになっちゃいますからね。逆に言うと、インフレが収まると、FRBは確実に金利を下げてくるでしょうから、恐らく2年も、アップル銀行の高金利は続きません。これは、断言できます。慌てて資金を移動させるようなものではないです。

経済はリレーションを見ていると、実に面白いし、飽きないですよ。その過程で、洒落にならない悲喜劇を引き起こすので、ドラマにもなりますし。今、編集している「マドフ詐欺事件」も、ドラマの塊です。逃れられない選択を迫られるので、人生の縮図と言えますね。その辺りの情け容赦なさは、投資というものの怖さを思い知らされます。』