岸田文雄首相、7〜8日に韓国訪問表明 尹大統領と会談へ
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『【アクラ=塩崎健太郎】岸田文雄首相は1日(日本時間2日午前)、7〜8日に韓国を訪問すると表明した。訪問先のガーナの首都アクラで記者団の質問に答えた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談する。首脳間の相互訪問「シャトル外交」の再開と位置づける。
首相は「諸般の事情が許せば7から8日の日程で韓国を訪問する方向で調整中だ」と語った。「日韓関係の加速や激変する国際情勢について腹を割った意見交換をする良い機会になると期待している」と強調した。
日本の首相が韓国を訪れるのは当時の安倍晋三首相が2018年2月に平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開会式に出席して以来5年ぶりとなる。シャトル外交での訪韓は11年10月の野田佳彦首相を最後に途絶えていた。
両首脳は23年3月に東京で開いた首脳会談でシャトル外交の再開で合意していた。今回の首相の訪韓で経済、安全保障の両面での協力方針を確認する。
尹氏は4月26日にワシントンでバイデン米大統領と会談した。核兵器を含む米国の戦力による「拡大抑止」の強化を盛り込んだ「ワシントン宣言」を発表した。日韓首脳はこの内容も踏まえて日韓、日米韓の連携を話し合う。
経済関係では日本が輸出優遇措置の対象となる「グループA(旧ホワイト国)」に韓国を再指定すると発表したばかりだ。半導体などのサプライチェーン(供給網)を安定させる方策など経済安保での連携策を議論する。
首相は5月19日から広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)の拡大会合に尹氏を招待している。これにあわせて日米韓首脳会談も予定する。
2カ月ほどの短期間のうち日韓首脳があわせて3度お互いの国を訪問する。
日韓関係は文在寅(ムン・ジェイン)政権下、国交正常化以降で最悪といわれる状況に陥った。15年の慰安婦問題の日韓合意を事実上破棄し、18年に元徴用工問題で韓国最高裁が日本企業に賠償を求める判決を出して悪化した。
尹政権が22年5月に発足し、関係改善の動きが出ている。韓国側は23年1月に元徴用工問題を巡り、韓国の財団が賠償金を肩代わりする解決案を提示した。
一方で韓国内には日本側の明確な謝罪がないという批判も出ている。今回の首脳会談でも韓国の解決策の履行状況を確認したうえで日本の対応が議題にのぼる可能性がある。
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