中国軍機の異常接近、米同盟国機に「頻発」 米空軍高官
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN285K00Y3A420C2000000/
『2023年4月29日 2:00
【ワシントン=中村亮】米太平洋空軍のケネス・ウィルズバック司令官は、インド太平洋地域で中国軍機による米同盟国の航空機への異常接近が頻発していると明らかにした。中国による台湾侵攻を抑止するため、長射程対艦ミサイルの調達を増やす方針も示した。
米インド太平洋軍は2022年12月に公開した動画を通じ、中国戦闘機が南シナ海の公海上空で米空軍偵察機RC135の機首から20フィート(約6メートル)以内に近づ…
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『米インド太平洋軍は2022年12月に公開した動画を通じ、中国戦闘機が南シナ海の公海上空で米空軍偵察機RC135の機首から20フィート(約6メートル)以内に近づいたと説明した。中国外務省は当時、米国側に責任があると主張したが、ウィルズバック氏は27日の日本経済新聞の取材で「ばかげているし、非常識だ」と中国を批判した。
ウィルズバック氏は異常接近に関し「我々に対してはそんなに頻繁に起きていない。懸念すべきは、同盟国やパートナー国の航空機に対してもっと頻発している点だ」とも話した。具体的には日本やカナダ、オーストラリアの航空機をあげた。
理由について同氏は「中国が米国より同盟国やパートナー国に対してもっと大きなリスクをとるようにしている可能性が考えられる」と指摘。小国ほど従うと考えている可能性があり、中国軍のパイロットが対応を使い分けていると推察した。
インド太平洋軍のジョン・アキリーノ司令官が18日に下院軍事委員会へ提出した資料によると、中国軍機が米軍機に近づいて起きた進行妨害などの回数は1年間で6倍以上に急増した。集計方法が不明で単純比較はできないが、ウィルズバック氏の説明を踏まえると同盟国に対する異常接近も同程度増えている可能性も排除できない。
米情報機関は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が中国軍に対し、2027年までに台湾侵攻能力を取得するよう指示したと分析している。ウィルズバック氏は「(台湾への)上陸作戦は実行が最も難しい軍事作戦の一つだ」と語った。台湾に上陸できる地帯が多くないことも一因といい、「私が習氏や中国の大将の立場であれば、27年に能力を本当に得られるのかをとても心配する」と述べた。
米空軍の台湾有事への対応では、長射程対艦ミサイルを「もっと調達できることを望む」と述べた。中国が艦船に搭載した対空ミサイルを駆使し、米航空機の台湾周辺などへの接近を難しくするシナリオを想定する。「我々が自由に行動したり、おそらく台湾を守ったりするためにそれらの船を沈める必要があるだろう」と言及した。
米空軍は戦闘の開始直後はまず遠方からの作戦を強いられる可能性がある。対艦ミサイルの射程が長いほど、中国から攻撃を受けるリスクを減らしながら作戦を実行できる。中国は精度の高いミサイルを大量に保有している。
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