ロシア海軍の編制は大きく変わる。
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『Pavel Luzin 記者による2023-4-27記事「Russia’s Changing Navy」。
ロシア海軍の編制は大きく変わる。
太平洋艦隊、北海艦隊、バルト艦隊、黒海艦隊、カスピ海小艦隊は、従来は、各地域の《方面軍/大軍区司令部》のようなものに分属させられていたのだが、それをやめ、《ロシア海軍中央司令部》がまとめて統率することになるであろう。
この決定はまだ公式発表はされていない。
なぜ、軍区に艦隊を分属させる、これまでの流儀は捨てられるか。じつは今次ウクライナ戦争中に、黒海艦隊の内部から、ウクライナ方面軍区司令部に対する猛反発が生じているのだ。
とくに海軍の所属水兵を陸戦要員として都市にぶつけて磨り潰してしまう司令部の拙劣な用兵には我慢がならない。
艦隊には常にメンテや訓練や補充や再投資が必要である。ところが、ウクライナ方面軍区司令部が今のような長期戦に没頭しているさなかに、隷下の艦隊の細かな保守整備や教育などに配慮がしてやれるかといったら、そんな余裕があるわけないのである。この状態を放置すれば、黒海艦隊は誰からも面倒をみてもらえず、放置されて立ち枯れするのは必定。
ひいては、ロシアの全水上艦隊を将来の対欧米の脅しに使うことができなくなってしまうであろう。
各艦隊司令部は、手持ちの水兵を、大消耗必至の陸戦に安直に投入されることを非常に嫌う。それで「水兵からなる陸戦旅団/大隊を新編して○○正面に提供せよ」といった方面軍司令部からの命令には、公然と抗命することになる。そのような陸海軍間の対立が相次いでいるから、あちこちの艦隊司令官が、矢継ぎ早に更迭されているのである。
それと併行して、フィンランドのNATO加盟は、バルチック艦隊と北海艦隊に衝撃を与えた。大幅な梃入れが必要になったと、この両艦隊の司令部は考えている。補強するには、他艦隊から資源を回してもらうしかない。それには、海軍の組織が地域ごとにバラバラでは、よくない。機動的に、資源を必要とする方面を補強できるようにするには、中央一元統率が、あらまほしい。
あきらめわるく廃艦にせずに繋留し続けていたキーロフ級核動力巡洋戦艦の『ピョートル・ウェリキー』も、けっきょく廃艦となりそうだ。このたびのリーク文書によれば、すでに乗組員を『アドミラル・ナヒモフ』(来年にメンテナンスが終る)へ転属させ始めている。
しかし『アドミラル・ナヒモフ』も、大金をかけて1999年から延々と改装工事をさせたはよいが、それが2024年に戦列復帰しても、その火力は、タイコンデロガ級の非核の米巡洋艦1隻と同じか、それ以下でしかない。
人手がますますなくなる近未来に、省力化のすすまないロシア海軍をどう改革すればいいのか、ロシア海軍の上層部は、頭が痛いだろう。』