どうやら米陸軍は、「スイッチブレード300」は、もう調達せぬことにした。

どうやら米陸軍は、「スイッチブレード300」は、もう調達せぬことにした。
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『David Hambling 記者による2023-4-25記事「The U.S. Army Won’t Buy Any More Switchblade 300 Kamikaze Drones」。

   どうやら米陸軍は、「スイッチブレード300」は、もう調達せぬことにした。値段のわりに性能が低いと分かったのだろう。

 国防総省はウクライナに対して、米軍のストックから700基の「スイッチブレード300」を供与した。その穴埋めもしないわけである。実戦場における評価が出たということだろう。

 「スイッチブレード300」は2012年から生産されている。
 最近だと、米陸軍は、2022年度予算で900基の「スイッチブレード300」を調達。2023年度予算では525基を調達しつつある。しかしここで打ち止めとなりそうだ。

 「スイッチブレード」を製造しているアエロヴァイロンメント社は、あの手投げ偵察機「RQ-10 レイヴン」のメーカーである。

 ※したがって技術でも経験蓄積でも申し分はない。おそらく、ちゃんと飛んで当たってくれるのだろう。が、当たったときの破壊力が、満足の行かぬものなのかもしれない。

 米特殊部隊は、アフガニスタンとイラクで「スイッチブレード300」を用いた。「空飛ぶショットガン」と評された。敵兵の頭の手前で自爆して、前方に散弾を飛ばすのである。しかし対車両の能力がない。トラックすら満足に破壊できない。炸薬量は手榴弾レベルでしかないからだ。ピックアップトラックの運転手なら殺せるのだが。

 このことは今次戦争まで世間は知らなかった。「スイッチブレード」はながらく極秘兵器扱いで、その戦場での成績についても報道はいっさい無かったのだ。こんかい、実力がバレたということ。

 「スイッチブレード300」は、少人数のゲリラを相手にする、対人専用弾であって、対車両や対器材の破壊力が求められたウクライナ戦争では、意義が小さすぎた。

 ※対人の精密爆殺なら、DJIの安価な市販ドローンから手榴弾を落としても実行できてしまうことを、ウクライナ人たちが証明してしまった。「スイッチブレード300」は、露兵相手にはコスパが悪すぎたのだ。

 それで、対戦車威力のある「スイッチブレード600」が創られた。こっちの量産が漸く立ち上がったので、「スイッチブレード300」のラインは閉じるのだろう。

 FY2022から計算するに、「スイッチブレード300」の1セットのコストは5万8063ドル。FY2023だと5万2914ドル。この1セットには、飛翔体が10個含まれるらしい。
 そして 地上リモコン装置にはそれと別に3万ドル、必要だったらしい。

 「スイッチブレード600」のコストについては全く情報は出ていない。ちなみに「ジャヴェリン」は最新予算によると18万4455ドルである。

 ウクライナ人が市販クォッドコプターを改造したFPV特攻機は、1機のコストが700ドル以下だと信じられる。

 ※最新のSNS写真に、ウクライナ兵が市販のDJIのクォッドコプター「Matrice 30T」に、93ミリ径の「PG-7L」のHEAT弾頭を下向きに吊架している図あり。これだと反復使用できるのでコスパはますます良好だろう。』