ドイツはA400Mによるスーダンからの自国民救出に失敗、軍事的な救出作戦を準備中
https://grandfleet.info/european-region/germany-fails-to-rescue-its-own-citizens-from-sudan-with-a400m-preparing-military-rescue-operation/
※ こういう「国際関係における諸問題」の時に、よく「国際法に則った解決を!」をとか、「法の支配がなんたらかんたら!」とか言われる…。
※ しかし、その肝心の交渉相手の「国家」自体が、「割れていて」「国土(領土)」全域に支配(強制力)が及んでいないような場合、どうする?
※ アフガン撤退作戦なんかでも、見られた話しだ…。
※ まあ、策としては、「双方に、話しを通しておく。」「双方に話しができる、有力な仲介者を見つける。」「落ち着いたら、戦後復興への協力を持ちかけて、説得する。」くらいのものだろう…。
※ 国家権力が「崩壊の危機にある時」「剝き出しの力関係のみが、ものを言う」ことになる…。
※ 空港に、自衛隊機を駐機させておいても、そこまで「人員」を、どうやって安全に運ぶのか…。
※ 自衛隊は、「軍隊」ではなく、「自衛のための武力組織」なんで、基本、海外に派遣することは、難しい…。大体は、他国の軍隊(米軍とか)に「お願い」することになる…。
※ そういうことが現状なんで、そういう状況に身を置くことにならないうちに、さっさと逃げ出すことだ…。「三十六計、逃げるに如かず。」だ…。

『ドイツ空軍はA400Mによるスーダンからの自国民救出を19日に予定していたが、一時的な停戦が不発に終わりハルツーム国際空港周辺で戦闘が激化したため作戦を中止、自国民を救出するピックアップポイントを武力で確保する計画を準備している。
参考:Bundeswehr muss Rettungsmission für deutsche Staatsbürger abbrechen
ドイツはスーダンから自国民を救出するピックアップポイントを武力で確保する計画を準備中
スーダンでは正規軍と準軍事組織(RSF)による武力衝突が15日に発生、首都ハルツームを含む広範囲の地域で電気や水道といったインフラが機能しておらず「スーダンに滞在する外国人は海外に退避する必要がある」という声が増えてきており、独Spiegel紙は「ドイツは19日に自国民を救出するためA400Mを飛ばしたが戦闘が激化したため作戦を中止した」と報じている。
出典:GoogleMap ハルツーム市内の状況/管理人加工(クリックで拡大可能)
現地のドイツ大使館や自国民に被害は発生していないものの食料や飲料水の確保が難しくなっており、ドイツ政府も約150人の自国民を速やかにスーダンから救出することを強く希望、これを受けて政府の危機管理チームは救出作戦を検討、首都のハルツーム国際空港では戦闘が続いているものの滑走路などの主要設備は無傷だったため、3機のA400Mをギリシャ経由でスーダンに飛ばし、一時的な停戦(24時間)が予定されていた19日午後にハルツーム国際空港から自国民を救出する予定だったが、停戦が不発に終わり空港周辺で戦闘が激化したため作戦を中止したらしい。
独Spiegel紙は具体的な国名を上げなかったものの「一時的な停戦期間を利用した救出作戦を予定した国々も作戦を中止した」と報じているので、恐らく複数の国がスーダンからの自国民救出を予定したのだろう。
出典:Department of Defense アフガニスタンからの撤退作戦
さらに独Spiegel紙は「この結果を受けてドイツ国防省はアフガニスタンと同様に空軍や空挺部隊を投入して軍事的な救出作戦を支援、スーダンから自国民を救出するピックアップポイントを武力で確保する計画を準備している」と報じており、政府や議会が許可すれば直ぐにでも軍事的な救出作戦を実行に移すと報じている。
日本政府も19日「正規軍と準軍事組織の武力衝突が続くスーダンから在留邦人(推定60人)を輸送するため自衛隊機の派遣準備を始めた」と発表、防衛省も「現地の日本人救出が必要になった場合に備えるため外務省の要請で準備を進めている」と明かしているが、日本には「自国民を救出するピックアップポイントを武力で確保する」といった芸当は出来ないため、どのように自国民を救出するのだろうか?
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※アイキャッチ画像の出典:Bundeswehr/Jane Schmidt
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 12 』
『 くらうん
2023年 4月 19日
返信 引用
一応は当外国政府が健在(クーデターを起こした軍事政権が正統かはさておき)な中で、たとえ自国民を救助するという名目とはいえ許可なく軍を展開することは国際法上問題があると思いますけどねえ。
それがまかり通るのなら、極論ロシアがのたまっている他国領の自国民保護の為の軍派遣との線引きもできなくなるので。
最低限、政府軍とのコンセンサスは得るんじゃないでしょうか?
20
パチパチ艦隊
2023年 4月 20日
返信 引用
許可なく軍を展開することは確かに国際法上重大な問題があるかと思います。普通に激ヤバです。
しかしその違法行為について、違法性がなくなる可能性もあります。
具体的な違法性阻却事由としては、国家責任条文の第24条「遭難」が適用されうるかと。
「問題行為の行為者が、遭難の事情のもと、その者の生命やその者の世話をゆだねられた他の個人を守るために、他の妥当な手段をとりえない場合、国際義務に違反する国家行為の違法性は阻却される。」というものですね。
人の命を守るためにどうしてもって時は違法行為はしゃーないっていう話ですね。
ただし国家責任条文はあくまでも「条文」であり、慣習法であると考えることはできるものの条約としての拘束力はないこと、遭難における適用外を定めた同条文2(b)「問題行為が、同等又は更なる危険を作り出すような場合」という部分に抵触する可能性が懸念として残りますね。
長文失礼しました
12 』
『
折口
2023年 4月 20日
返信 引用
海外で人員救助しようと思ったら郊外に安全なLZを抑えて武装コンボイでタクシーしに行くしかないんですかね…。その場合LZの確保と往路の護衛が必要になりますが、自衛隊法はこの際の武力行使は認めていないので現地の治安部隊の協力が不可欠です。つまりスーダン政府軍側と連携できたとしても、政府軍にその能力や余裕が無ければ成立しないんですよね。海外展開能力を考えるとこの点はドイツも大差ないんじゃないかなあ。特殊部隊を送って救助させるって言っても戦車が撃ち合ってるところに行ったら安全のあの字もないですし、BHDみたいな状況で二次被害三次被害が出たら元も子もないですからね…。
しかしこれ難しい問題ですよね。「在外邦人保護を名目に外国に派兵しない」は日本にとっては平和憲法体制の一丁目一番地みたいなもので、ここを変えられるかどうかは政府有識者だけでは決まらない問題です(実際には決めちゃうかもしれませんが観念的には民意に諮るべきだと思います)。それとは別に、法的制約が無いなら空中機動旅団や機械化師団で乗り込んでいって内戦に干渉して良いのかといえばそんな訳ないですからね。21世紀の自国民救出作戦にベターはあってもベストは無いんですね。
6
ダッカ
2023年 4月 20日
返信 引用
伝家の宝刀
超法規的措置・・・
8
HY
2023年 4月 20日
返信 引用
超法規の一言で何でもできると思うな。たとえ憲法問題がなかったとしても一筋縄でいかない状況だ。 』