共同親権、なぜ導入を議論? 離婚後も父母が子育て関与
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE2911B0Z20C22A8000000/
※ 「人の信じる価値・追求する価値は、対立する。」…。
※ ここでは、「21年に同省がひとり親を対象に行った調査では、母子家庭の56.9%が「養育費を受け取ったことがない」と回答した。もう一方の父母に会う「面会交流」は45.3%が「したことがない」と答えた。子どもの利益が守られているとはいえない状況が浮き彫りになった。
その背景のひとつとして指摘されたのが、親権を持たない親が子育てに関与しづらい単独親権だった。」という価値と、
「ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待などの問題を指摘する。「離婚した後も親権を共同で行使することになり、関係の継続が義務付けられれば子どもの身の安全が守れなくなる」」という価値の対立か…。
※ どちらも、「ごもっとも。」なわけだ…。どちらも、「切り捨てる」ことはできない…。
※ そういう場合の、「解決策」としては、「折衷策」となる…。
※ 『中間試案は
①原則は共同親権で一定の要件を満たせば例外として単独も認める
②原則は単独で一定の要件を満たせば例外として共同も認める
③具体的な要件を定めず個別ケースごとに単独か共同かを選択可能にする――の3つの導入案を記した。』…。
※ そういう3案を、提案しているようだ…。
※ ③が最も「具体的妥当性」を実現し易いが、社会的な「リソース」の問題もある…。
※ 「家裁」で「調停、審判」というような話しになる可能性が高いが、処理のキャパがあるのか…。今だって、「離婚調停・審判」「相続調停・審判」なんかを抱えて、アップアップの状態だろう…。
※ まあ、①か②だろうな…。
※ 「社会の趨勢」からは、①となる可能性が高いと予測しておく…。
『離婚後も父母の両方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入に向けた議論が動き出す。国際的には共同親権を認める国が多いものの、日本は慎重論が根強い。子どもの権利・利益を守りつつ、離婚した親がともに子育てに関わりやすくなる制度設計が欠かせない。賛否が割れる理由や議論の経緯を3つのポイントから読み解く。
・共同親権とは何か?
・単独親権の問題点は?
・導入に向けた議論の行方は?…
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『(1)共同親権とは?
「親権」は未成年の子どもの身の回りの世話や教育、財産を管理する権利・義務の総称で、結婚している夫婦は双方が持つ。問題となるのは離婚した場合だ。
日本は離婚した父母の一方を親権者に定める「単独親権」を採用している。民法の規定は父親が強い権限を持つ家父長制が色濃かった明治時代につくられた。戦前は父親が単独で親権を持っていた。戦後もその名残で、父母の一方が親権を持つ単独親権が続いた。
共同親権では離婚後も父母の両方が子どもの養育に関わり続ける。海外では共同親権を認めるのが一般的だ。イタリアやフランスでは共同親権を原則としつつ、子どもの利益に反する場合に裁判所の判断で単独親権も認める。
(2)単独親権の問題点は?
民法は夫婦が協議離婚する際、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と定める。実際は夫婦の離婚後、子どもへの養育費の不払いが続いたり、親権のない親と子が交流できなかったりするトラブルが相次ぎ、社会問題化している。
厚生労働省によると、2020年に離婚した約19万3千組の夫婦のうち6割にあたる約11万1千組は未成年の子どもがいた。
21年に同省がひとり親を対象に行った調査では、母子家庭の56.9%が「養育費を受け取ったことがない」と回答した。もう一方の父母に会う「面会交流」は45.3%が「したことがない」と答えた。子どもの利益が守られているとはいえない状況が浮き彫りになった。
その背景のひとつとして指摘されたのが、親権を持たない親が子育てに関与しづらい単独親権だった。上川陽子法相(当時)が21年2月、共同親権の導入を含む家族法制の見直しを法制審に諮問した。
(3)導入に向けた議論の行方は?
共同親権を巡る賛否の隔たりは大きい。
導入を求める立場からは「男性の育児参加が進むなど社会が変化するなかで、単独親権しか認めない現行制度は時代に合わなくなっている」との声がある。例えば母親が親権を持つケースでは離婚後の父親が育児に関わりにくい現状がある。厚労省によると、21年度の男性の育休取得率は13.9%で、16年度調査から10ポイント以上増えた。
慎重派はドメスティックバイオレンス(DV)や虐待などの問題を指摘する。「離婚した後も親権を共同で行使することになり、関係の継続が義務付けられれば子どもの身の安全が守れなくなる」と訴える。
法制審の部会は18日の会合で、共同親権の導入に向けて議論を始めることで合意した。22年11月にまとめた中間試案は単独親権を維持する案も併記した。検討の幅を絞り制度設計の議論に入る。
18日の会合では離婚時に父母双方が親権を持つことに同意した場合の対応を話し合った。複数の委員から反対意見が出たものの、最終的に社会情勢も踏まえて制度の変更を前提に話し合う方向で折り合った。
中間試案は①原則は共同親権で一定の要件を満たせば例外として単独も認める②原則は単独で一定の要件を満たせば例外として共同も認める③具体的な要件を定めず個別ケースごとに単独か共同かを選択可能にする――の3つの導入案を記した。
試案公表後のパブリックコメント(意見公募)ではおよそ2カ月で8000件以上が集まった。単独親権の維持も含めた幅広い考えが寄せられた。法制審の部会でも慎重論に配慮して制度設計を進める必要がある。社会的合意をつくる努力も欠かせない。
諮問から2年強がたった現在も着地点は定まっていない。法制審が法相に検討結果を答申する時期も見通せない。
共同親権を導入しただけで離婚後の親子のトラブルがなくなるわけではない。DV被害の防止策や、子が養育費を受け取りやすい仕組みづくりも焦点となる。どうすれば離婚後の子どもの利益を守れるかを最優先に議論を進める必要がある。
(嶋崎雄太、上田志晃)
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