今月就任したばかりのフィンランド国防相は、…。

今月就任したばかりのフィンランド国防相は、…。
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 ※ 国防を「軽視」する国家は、滅びる…。

『Vazha Tavberidze 記者による2023-4-16記事「The View From Finland: With Or Without NATO, You Need To Be Able To Defend Your Own Country」。

   今月就任したばかりのフィンランド国防相は、2014年から2019年までフィンランド軍の制服トップであった元大将のリンドベルグである。戦闘機パイロット出身。

 自由欧州ラジオが、彼にインタビューした。

 御国がNATOに入って、どう変わりましたか?

 情勢を安定させる効果が大きいですね。NATO条約の「アーティクル5」のおかげで、以後もしロシアがフィンランドを攻撃すれば、それは全NATOと自動的に戦争状態に入ることを意味しますからね。

 従来あった、ロシアとのビジネスのつながりは、劇的に、消えました。フィンランドは一連のEUの対露制裁に完全に同調して行動しています。その結果、わが国の商工業者たちも、いよいよロシアからは足を抜くことになったのです。

 2022-2-24以前には、わが国の内部にも、NATO加盟には反対する人がたくさんいましたよ。しかしプーチンの侵略が始まってから1週間にして、誰ひとり反対しなくなりました。皆、このうえは早くNATOに加盟しなければ危ういと判断できたのです。この現実的な判断力はフィンランド人の特徴だと自負しています。

 現在、国民の8割が、NATO加盟を肯定的に評価しています。政党も、こぞって賛成です。

 すでにフィンランドはウクライナに対して14回の支援を発表し、そのために予算11億ドルをつぎ込みました。この支援はさらに継続されて行くはずです。

 ウクライナに航空機の援助をしようという場合、やはり合理的なのは、すでにポーランドとスロヴァキアが実行している「ミグ29」の供与です。現有機種とは違うモノを譲与されても、その支援に必要な広範な兵站チェーンを一から新規に構築せねばならない。人も部品も、とうてい間に合う話ではないでしょう。

 もともと私もミグ戦闘機のパイロットでしたから、これは断言できますよ。「F-18」が導入されたときに、私はその最初のスコードロンの隊長でした。まったく新規の機種を空軍に導入するとき、作業を早く簡単にする方法はありません。全員が、一から、ひとつひとつ、積み重ねるしかない。時間が、とてもかかるものなのです。戦争中にできる話ではないのですよ。

 かりに今、ウクライナ空軍に、西側製の戦闘機を何か供与すると決定されたとしましょう。ぜったいにその戦力は今年じゅうには、戦争の役になんか立ちません。活動できるようになるのが、来年以降ですよ。

 フィンランドが間もなく退役させるホーネットをウクライナにくれてやれという話がありますが……?

 どう考えても難しいですね。ホーネットの設計寿命は30年なんです。そのライフサイクルの終末にすでに位置しているから更新しようということになっている。ということはですね、メーカーの方でももうスペアパーツを製造しなくなってしまうんですよ。

 それともうひとつ。わが国は2025年から2030年にかけて、すこしずつ、ホーネットをF-35に換えて行きます。その期間中、わが国の防空のためにF-18には飛び続けてもらわなくてはいけないのです。ウチの防空に穴をあけてまで他国に戦闘機を譲渡できると思いますか。ウチもロシアの隣国で、しかも最前線なんですから。

 フィンランドの予備役のプールは28万人おり、他の北欧諸国の予備役ぜんぶを合計したよりも大きい。
 国防費はとっくに、GDPの2%を超えています。そして徴兵制のおかげで、そのうち2割以上を装備費にあてられる。
 だから、フィンランドの砲兵戦力は、ポーランドと並び、欧州NATO中で最大規模なのです。

 それでいて6年連続で、国連が認定する世界でいちばんハッピーな国なのですから、すごいですね。侵略的な大国に隣り合わせた小国が、参考にできるアドバイスはありますか?

 冷戦中、われわれは、他国が廃棄しようとする古い兵器を買い付けては、自国の防衛用に充ててきました。徴兵制を維持し、予備役をいつでも大量に動員できるようにしてきました。こうした努力が、実っています。

 伝統的な兵器体系の上に、近年では、陸海空のすべてにおいて、特に射程が長いミサイル/ロケット兵器を、揃えるようにしてきました。これがあるから、ロシアもフィンランドを侮れないのです。

 フィンランドの有権者は、皆、確認しました。やはりわれわれが冷戦中から冷戦後にかけて石に齧り付いて継続してきた努力は、正しかったのだと。その努力をしないで国防費をどんどん削減したウクライナは、とうとうロシアの侵略を招き、これほどに酷い目に遭わねばならなかったのですからね。

 NATO諸国はフィンランドの加盟を「お荷物が増えた」とは思っていません。単独ででも自国を守り抜く意志と実行力がある国が、たのもしい同盟者になってくれたと歓迎されています。』