ウクライナ軍は、損傷して回収されたT-64の砲塔を外して「重APC」へ改造したものを複数、戦場で使い始めている。
https://st2019.site/?p=21064
『ディフェンスエクスプレスの2023-4-17記事「Heavy IFV on Tank Chassis: Forgotten Concept Revived by Ukrainian-russian War」。
ウクライナ軍は、損傷して回収されたT-64の砲塔を外して「重APC」へ改造したものを複数、戦場で使い始めている。
固有武装あり。リモコン銃塔でNSVT機関銃を操作できる。
お客を何人運べるのかは、非公表。
臨時改造品なので、エンジンとトランスミッションは後方置きのレイアウトのままだ。
じつは、ハルキウ戦車工場では、エンジンをフロント配置に変える「BMPV-64」という重IFV(固有武装は機関砲)が可能ですぜ、と2016に提案したことがあるが、これは没になった。
エンジンの冷却に難が生じ、重心バランスもフロント過重となってサスペンションが対応できず、かけた費用に見合うほどのパフォーマンスは期待できないと判定されたからだ。
戦車を重APCに改造した先駆者はイスラエル軍で、1980年代のことだった。アラブ軍から鹵獲したT-54/55を改造し「Achzarit」と名づけた。その後、MBTのメルカーヴァーの車体をベースにした63.5トンの重APC「ナメル」も量産している。
メルカーヴァーは最初からフロントエンジンだからいいのだが、「Achzarit」のリアエンジンをイスラエルはそのままにしなかった。より小型低パワーの、デトロイト・ディーゼル製エンジンに換装し、トランスミッションもアリソン製の別物に換え、それによってエンジン右側に「通路」を設け、歩兵が車体後方から安全に出入りできるようにしたのである。後部ドアは、油圧で上にはねあがる。
こうした、機関銃しか付いていないAPCを見ると素人は、「なんで30ミリ機関砲で武装させないんだ」と思ってしまう。そんなものを載せたら車内容積はいちじるしく圧迫され、肝腎の歩兵分隊が満足に収容できなくなってしまう。車体も無意味に重くなり、得することがない。そもそも戦車改造の重APCは、さいしょから長距離走行は考えておらず、最前線での短距離ダッシュ輸送に撤するものなのである。』