陸自ヘリ事故、機体引き揚げ急ぐ 発見5人のうち2人死亡
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE153GD0V10C23A4000000/
『沖縄県の宮古島付近で10人が搭乗した陸上自衛隊のヘリコプター「UH60JA」が行方不明になった事故で、防衛省は16日、海中で機体が見つかったと発表した。現場周辺で隊員とみられる5人を発見し、うち男性2人の死亡を確認した。不明となってから10日。搭乗者の捜索を続けるとともに、原因究明に向けて事故機の引き揚げを急ぐ。
同省は16日午前、深い海での作業を可能とする特殊技術「飽和潜水」による海中の捜索を再開した。午前8時半ごろに宮古島西方にある伊良部島の北約6キロで陸自ヘリの胴体部分が見つかったほか、周辺で隊員とみられる5人も発見した。レーダー消失地点からは北に約4キロ離れており、海底の水深は約106メートル。
同省は見つかった5人のうち2人を引き上げ、16日夜までに死亡を確認した。他の3人は17日以降に救助を目指す。
飽和潜水は水圧が高い深い海で作業するための技術。潜水士を乗せた装置を海中に投入する。水中に出た潜水士は酸素を送るホースでつながれており、活動はホースが届く範囲に制限される。
海上自衛隊の潜水艦救難艦が14日午後に飽和潜水の作業に入ったが、機材にトラブルが生じて中断した。15日は天候不良などを理由に中止となっていた。
不明のヘリは6日午後3時46分に宮古島分屯基地を離陸し、同56分に宮古島北西の洋上でレーダーから機影が消えた。偵察訓練中で、第8師団長の坂本雄一陸将を含む10人が乗っていた。13日夜に水中カメラなどで機体とみられる物体が見つかり、付近では14日にかけて複数の人影も確認されていた。
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田中道昭
立教大学ビジネススクール 教授
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ひとこと解説
まずはお亡くなりになられた方々やご家族、関係者の方々に謹んでお悔やみ申し上げます。今回事件が起きた宮古島周辺は九州南部から台湾北東へと続く南西諸島の重要な一角。西側には中国が防衛ラインとしている第1列島線が並行して走っています。台湾情勢が緊迫化しているなかで南西シフトと呼ばれるように日米が重点地域に位置付けてきた重要な防衛の最前線。今回事件にあった第8師団は熊本に拠点を置き有事には南西諸島を防衛することを使命としている師団。有事には宮古島の人達は自分達が守るんだという強固な使命感で今回も警備に当たっていたということに想いを馳せたいと思います。他の隊員の方々の一刻も早い救助をお祈りしています。
2023年4月17日 5:32 (2023年4月17日 5:34更新) 』