2021-12下旬にロシア国営ROSTECにインタビューしてわかったこと。

2021-12下旬にロシア国営ROSTECにインタビューしてわかったこと。
https://st2019.site/?p=21055

『2022-1-12記事「Russia plans to develop a wheeled version of Sprut-SDM1 125mm amphibious light tank」。
   ※古い記事だが、ロシアがこれから注力するはずの「簡易型大量生産兵器システム」のイメージが得られるので、ここで紹介しよう。

 2021-12下旬にロシア国営ROSTECにインタビューしてわかったこと。

 ロシアはもうだいぶ前から、弾薬が主力戦車と共用の125粍砲塔(無人で自動装填)を、アルミ合金製シャシで浮航のできるBMD装軌空挺装甲車の車体に無理やりに載せた「スプルト-SD M1」という全重18トンの「戦車駆逐車」〔タンクデストロイヤー〕を研究しているのだが、さらに一歩を進め、この砲塔を、むりやりに8×8の「ブーメラン」装輪装甲車(機関砲のリモコン砲塔付きで34トン)に載せることも検討しはじめているという。やはりそれも浮航ができるという。

 会社では、それを輸出商品とすることを念頭している。そのさい、バイヤーの希望に応じて、いろいろな出来合いの8×8車体に、125粍砲塔を載せてさしあげますよ、という商売だ。

 ※この商品を当初構想のままで量産するのも、とうてい不可能だろう。最新の製造設備を輸入できないからだ。

しかし、思い切って「簡略兵器」のコンセプト見本と考えるなら、ここから、間接照準専用の対戦車自走砲が、生まれるかもしれない。

用法として、現におこなわれているように、常に最大レンジで野砲のように発砲し、しかも照準の修正を完全にドローンに依拠するなら、FCSはWWII時代のアナログ式でよいわけだ。回転砲塔も無用である。

それにはもうひとつの有力参考品がある。すなわち1944年に英国が急造した、装軌式で全重17トン、3インチ対戦車砲を車体に後ろ向きに無砲塔式に装載し、天板も省略し、操縦席が砲尾の真後ろに位置していた変り種「アーチャー・17ポンド自走砲」(バレンタイン17ポンド自走砲)である。

今のロシア戦車兵は、対ドローン警戒のためなのか、すばやい脱出のためなのか、理由は不明だが最前線でハッチをいつも開けている。これは宇軍に「曳火」榴弾がないから可能になるのだろうが、ということは、そもそも天板は要らないのである。

膠着した戦線や、防禦局面での使い捨て兵器と割り切れば、エンジンも非力なものでよい。農業トラクターで牽引してもらったっていいのだ。クルスクで後退を禁じられた76.2ミリ野砲のことを考えたら、これでもずいぶんマシな兵器と思ふべし。』