厳しくなってきたバフムート市内の戦い、ウクライナ軍は後退を強いられる

厳しくなってきたバフムート市内の戦い、ウクライナ軍は後退を強いられる
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/battle-in-bakhmut-intensifies-ukrainian-forces-forced-to-retreat/

『バフムート市内の戦いはロシア軍(ワグナー)が前進を続けており、英国防省も「ロシア国防省とワグナーは協力関係を改善して攻撃を再開、ウクライナ軍は譲歩を強いられた陣地から撤退した」と指摘した。

参考:Latest Defence Intelligence update on the situation in Ukraine – 14 April 2023.

この状況のバフムートが6月(シュミハリ首相が言及した反攻作戦の開始時期)まで耐えられるとは考えにくい

バフムート市内の戦いはロシア軍(ワグナー)が前進を続けており、ウクライナ軍は駅周辺やスタジアム周辺の支配をほぼ失った格好で、MiG-17モニュメント周辺からスタジアム周辺や行政庁舎周辺に伸びる通りをロシア軍が越え始めている。

出典:GoogleMap バフムート市内の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

Ⓐ=ウ軍がロ軍兵士の立て籠もる建物を砲撃する様子
Ⓑ=ロ軍がウ軍兵士の立て籠もる建物を砲撃する様子
Ⓒ=ロ軍のT-90Mが砲撃する様子
Ⓓ=ウ軍がロ軍兵士の立て籠もる建物を破壊する様子
Ⓔ=ウ軍がロ軍兵士の立て籠もる建物を砲撃する様子
Ⓕ=ウ軍兵士が一帯を歩き回る様子
Ⓖ=ロ軍がウ軍兵士の立て籠もる建物を砲撃する様子

英国防省も14日「ロシア国防省とワグナーは協力関係を改善して攻撃を再開、ウクライナ軍は街の西部を保持しているものの過去48時間に大規模な砲撃に晒され、譲歩を強いられた陣地から撤退した」と指摘しているので、恐らく市内の前線は上記の戦況マップよりも酷い=ロシア軍支配地域がもっと増えている可能性がある。

ウクライナ軍は依然としてMiG-17モニュメント周辺を保持しているが、市内南西部の防衛ラインはT0504に向かって後退している可能性が高く、この状況のバフムートが6月(シュミハリ首相が言及した反攻作戦の開始時期)まで耐えられるとは考えにくいので、ゼレンスキー大統領は何らかの決断を下す必要があるのかもしれない。

どれだけMiG-17モニュメント周辺とクロモヴェ方面を維持しても、市内の抵抗拠点=コンクリート製の建物が使い物にならなくなると後退するしかない。

関連記事:バフムート市内の戦い、駅周辺やMiG-17モニュメント周辺の状況に変化なし
関連記事:ウクライナ軍司令官、バフムートのロシア軍は焦土戦術に切り替えた
関連記事:ウクライナ軍のA2ADが機能しなくなる?BukとS300の迎撃弾がまもなく枯渇か
関連記事:世界初の空中消耗戦に挑むウクライナ、戦闘機提供は勝利の助けにはならない
※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
シェアする
ツイートする
Twitter で Follow grandfleet_info

Tweet Share +1 Hatena Pocket RSS feedly Pin it 

投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 36 』


ミリオタの猫
2023年 4月 14日

返信 引用 

春の泥濘期のせいでロシア軍の攻撃の足を引っ張っていた砲弾の補給が泥濘期の終わりによって回復したのと空軍の投入による焦土戦術(本ブログ管理人さんの4月10日付記事『ウクライナ軍司令官、バフムートのロシア軍は焦土戦術に切り替えた』を参照)が効いて来ている感じがします
あとロシア軍とワグネルの対立は結局「ウクライナ軍や西側の油断を誘う為の偽情報」だった疑いが有りそうです
恐らくプリゴジンによる一人芝居だったのでしょうね(実際、ロシア軍側からは公式には何も出なかった訳で)
これに対してウクライナ軍とNATOは例の米兵による機密漏洩事件の影響も有って、反攻作戦は当面やらない可能性が有ると思います(自分は以前からNATO諸国からの砲弾供給の問題を重く見ており、春の反攻は無いと思っていました)
只、バフムート方面のロシア軍は包囲攻撃が出来ないままで正面攻撃しか手が無いのも事実ですし、このままロシア軍が調子に乗ると最悪の場合NATOが空軍をウクライナヘ介入させる可能性が有ると思っています
15

    ため息
    2023年 4月 15日
    返信 引用 

NATO全軍の介入はさすがに無いでしょう。
ただ最近の、ポーランドの前のめりの姿勢を見ると
単独で先走るかもです。

それをしてしまえば、プーチンもロシア国内の
過激派を抑えられなくなり、あなたはありえないと
おっしゃっていますが、私は小型核爆弾の使用に
踏み切る可能性もあると考えています。

全面核戦争の可能性は飛躍的に高まり、米軍基地が
ある我が国も危機に晒されます。そんなことをロシア
ができるはずないという楽観的予測は危険過ぎます。
7
        ミリオタの猫
        2023年 4月 15日
        返信 引用 

    私が有り得ると思っているのはNATO全軍では無く、空軍部隊だけの介入です
    具体的にはウクライナ周辺の加盟国の航空基地から戦闘機部隊を発進させてウクライナ軍支配地域での防空任務や対地支援を行うと言った感じで、核報復を招く可能性が高いロシア領内への攻撃は想定していません
    これまでのNATOによる武器支援に対するロシアの反応の経緯を見る限り、今後ウクライナ側の戦況が悪化して他の手段で改善が見られない場合に限られますが、ロシア領内への攻撃をしなければNATOの戦闘機部隊を介入させてもロシア側は核攻撃を行う可能性は低いと思います(やったら「NATO軍部隊への攻撃」と解釈されてNATOから核報復されるリスクをロシア側が感じる事も考慮すべき) 』


ひろゆき
2023年 4月 14日

返信 引用 

反抗作戦の情報流失、、、アレ滅茶苦茶痛かったね

バフムートの血の犠牲が一人の馬鹿によって延期になり、無駄になるとか反抗作戦を信じて死んでいったウクライナ兵士が可哀想🥹
15

    xk9x
    2023年 4月 14日
    返信 引用 

バフムートでロシア軍はウクライナ軍を上回る大量の資源と兵士を喪失しているので、バフムートの血の犠牲は無駄にならないと思いますよ。
メヘレン事件のようにウクライナは他の反攻プランを採用するかれませんし。
32

ぁ
2023年 4月 14日

返信 引用 

 アホがアホやらなければ、今頃、とは思っちゃいますね・・。

 頭Qが、内通者としてのポテンシャルを見せちゃいましたから、今後、ロシア側は軍や政府施設にいるそういうのを探して接触していくかもしれませんし、もしかしたらもう最悪接触はしているかもしれませんし・・。
6

    TKT
    2023年 4月 14日
    返信 引用 

そもそもトランプ大統領もロシアとの関係を疑われ、機密文書を自宅に持ち帰っており、さらにバイデン大統領も自宅に機密文書を持ち帰っていると言われたりします。アメリカでは大統領でさえもそうなのです。

ブラボー忍者小隊の日本人義勇兵は、ウクライナ軍の司令部員に個人情報をロシア軍に晒されたと言われ、それ以前に認識票ももらえません。ウクライナ軍の公安や情報部員も、大勢ロシア軍に協力していたと言われ、たくさん免職されています。
14
        ぁ
        2023年 4月 14日
        返信 引用 

     バイデンやトランプのそれが問題ないとはもちろん言いませんが、今回の米軍基地情報漏洩問題は、内容と実害含めても、過去最大級レベルの惨事の1つにはなるでしょうね・・。
    7 』


ヴェルダン
2023年 4月 14日

返信 引用 

件の情報漏洩、末端の情報保全のやらかしが数百から果ては数万人の生命に関わる人的被害を出すと言う点で、
CVEに最高レベルで登録して、開発現場で後世まで語り継いでいきたい現場ねこインシデントすぎる。

スターリングラードとかノルマンディーのカーンの戦いとかでコンクリの瓦礫さえあれば抵抗拠点は何とかなるもんかと勝手にイメージしてたけど、そうはいかないんですね。
4

    xk9x
    2023年 4月 15日
    返信 引用 

スターリングラードは約2ヶ月間の戦闘でドイツ軍が市内の殆どを制圧しましたし、カーンは2ヶ月間の戦闘で連合軍が攻略に成功しました。
バフムートの戦いは昨年8月(前哨戦も含めると昨年5月)から続いていますので、バフムートはスターリングラードやカーンよりも持ち堪えていますけどね。
ロシア軍は面積約42km2の都市とその周辺を攻略するのに8ヶ月以上掛かっています。
4 』