陸自ヘリ捜索、「飽和潜水」準備急ぐ 海中に機体か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE13E490T10C23A4000000/

『沖縄県の宮古島付近で10人が搭乗した陸上自衛隊のヘリコプターが行方不明になった事故で、海中を捜索した結果、機体の主要部分のようなものが13日に見つかった。防衛省は準備が整い次第、潜水士が深く潜る特殊技術「飽和潜水」によって詳しい状況を調べる。
防衛省関係者によると、機体の主要部分とみられる物体が見つかったのは宮古島西方にある伊良部島の北側の海域。大きく破損している様子が水中カメラなどで確認され、…
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『大きく破損している様子が水中カメラなどで確認され、隊員らしき姿もあるという。
事故機と確認されれば原因究明が進む可能性がある。機体とともにフライトレコーダー(飛行記録装置)が見つかるかどうかも焦点となる。
飽和潜水は海底油田の開発にも活用される特殊な技術だ。2022年4月に起きた北海道・知床沖の観光船沈没事故では、水深約120メートルの海底に沈んだ観光船内での行方不明者の捜索や船の引き揚げ作業の準備に用いられた。
水中では10メートル潜るごとに1気圧ずつ加わる。深い海で高圧にさらされた状態から地上に戻ると、気圧の変化で体内に窒素の気泡ができ、「減圧症」で体のしびれや痛み、呼吸困難を起こす恐れがある。訓練を積んだ海上保安庁の潜水士でも水深約60メートルまで潜るのが限界だとされる。
飽和潜水の場合、ダイバーが船上の加圧室に入り、深い海と同じ環境で体を慣らす。窒素の代わりに危険性が低いヘリウムなどのガスを体内に溶け込ませる。時間をかけて「飽和状態」にすることで減圧症になりにくくする。防衛省はこうした準備が整った後に飽和潜水を始めるとみられる。
陸上自衛隊の多用途ヘリ「UH60JA」=陸自提供
不明のヘリは第8師団が運用する「UH60JA」。6日午後、宮古島分屯基地を離陸し、宮古島北西の洋上でレーダーから機影が消えた。偵察訓練中で、第8師団長の坂本雄一陸将を含む10人が乗っていた。
陸自は13日、これまでに回収した機体の破片とみられる部品が少なくとも22点あったことを明らかにした。発見地点は10カ所以上に分散しており、潮流で広い範囲に流された可能性がある。
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