台湾情勢「米中に追随せず」 仏大統領発言に批判相次ぐ

台湾情勢「米中に追随せず」 仏大統領発言に批判相次ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB11CJ20R10C23A4000000/

 ※ 『「欧州が台湾情勢に関して米中のどちらに付くか明確にしないなら、我々もウクライナ問題は欧州が自力で対応しろと言うべきかもしれない」』…。まあ、そう言われるわな…。

 ※ 「地政学的な利害関係」は、その「地理的な距離」から、「濃淡」があるのは、当然だ…。

 ※ しかし、明からさまに、「自国の利害関係」のみを主張しては、マズいだろ…。

 ※ 特に、現下の情勢は、「二次大戦後」の「各国の領土・主権の尊重」の大原則、権威主義国家の台頭による、その「二次大戦後の世界秩序への挑戦」を、どう「押しとどめる」のかという、「大義」のもとに「有志国」が集結・協力している…、という構図のハズだからな…。

『【パリ=北松円香】台湾情勢に関して「欧州は米中の追随を避けるべきだ」との趣旨の発言をしたフランスのマクロン大統領に対し、各国から批判が相次いでいる。アジア太平洋における中国の台頭を問題視してきた米欧の足並みの乱れにつながるとの懸念が強い。同氏が重視する欧州の結束にもひびが入りかねない状況だ。

マクロン氏は4月上旬の中国訪問時に、仏経済紙レゼコーなどのインタビューを受けた。台湾情勢について「最悪なのは米国のペースと中国の過剰反応に欧州が合わせるべきだと考えることだ」と発言。欧州が「自分たちのものではない混乱や危機にとらわれる」ことを警戒し、「第三の極」を目指すべきだとした。

中国訪問に同行した欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長が「我々は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」とクギを刺したのに比べると、マクロン氏は中国に対して融和的過ぎるとの批判が広がる。マクロン氏は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と2日連続で夕食を共にするなど異例の厚遇を受けたことも、懸念が強まりやすい背景にある。

米共和党のルビオ上院議員は9日、ツイッターに投稿した動画で、米国がロシアのウクライナ侵攻に対抗するために多大な支援をしていると指摘。「欧州が台湾情勢に関して米中のどちらに付くか明確にしないなら、我々もウクライナ問題は欧州が自力で対応しろと言うべきかもしれない」と述べた。

ドイツ連邦議会のレトゲン議員も10日にツイッターで「マクロン氏は訪中を習氏のPRと欧州外交の大惨事に変えることに成功した」と皮肉った。マクロン氏は欧州の主権を「米国とのパートナーシップではなく米国と距離を置くことと定義している」と分析し、「そのような考え方では欧州で孤立する」と警告した。

11日には各国議員が参加する中国政策の有志団体、IPACがマクロン氏の発言について「欧州の立場を代表していない」とする声明を発表した。「台湾が世界経済に占める重要な立ち位置を軽視するだけでなく、台湾海峡の平和を保とうとする国際社会の長年の努力を傷つける」と批判した。

声明には英国やドイツ、オランダなど、欧州を中心に各国議員38名が賛同して署名した。賛同者にはフランスの上院議員2人も含まれる。

仏大統領府は火消しに追われている。マクロン氏の発言に関連して11日、「台湾に関する我々の立ち位置は変わらない。我々は現状維持を支持し、民主的体制であると広く認められている台湾との交流や協力を続ける」との声明を発表した。
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

フランス人らしい言動といえるが、マクロン大統領は四面楚歌の状況に陥った。国内の年金改革によって支持率が急低下している。どのようにして難局を打開するか、まったく出口がみえない。このままいくと、マクロンの支持基盤は揺らいで退陣もありうる。欧州の一角を占めるフランスが不安定化すれば、EU全体も不安定化し、ロシアに対する制裁とウクライナ戦争の早期停戦はさらに遠のくことになる
2023年4月12日 7:58 』