ロシアが米半導体輸入1000億円 制裁に穴、中国経由7割

ロシアが米半導体輸入1000億円 制裁に穴、中国経由7割
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE272GG0X20C23A3000000/

 ※ これだからな…。

 ※ それこそ、「AI」活用して、「疑わしきは、調査入れて、回答を要求する。」とか、「企業名を晒す」とかくらい、できんのか…。

 ※ 「正直者は、バカを見る」体制じゃ、話しにならんだろ…。

『【この記事のポイント】
・米国の半導体が制裁を回避してロシアに流れている
・日経新聞の独自分析で、約1000億円分が判明した
・香港を含む中国経由での流入が約7割を占める

米国メーカーの半導体が米制裁を回避してロシアに流れている。ロシアのウクライナ侵攻以降の輸入データを日本経済新聞が分析したところ、インテルなど米社名が記された半導体の高額取引が2300件以上あり、少なくとも7.4億ドル(約1000億円)…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』

『インテルなど米社名が記された半導体の高額取引が2300件以上あり、少なくとも7.4億ドル(約1000億円)分が流入していた。輸出元の4分の3は香港を含む中国だった。半導体の輸出規制はロシアの武器製造に歯止めをかける重要施策で、抜け穴をふさぐ追加の手立てが必要だ。

ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月、米国は米半導体のロシアへの輸出を人道目的などを除いて禁じた。違反すれば第三国の企業も米企業との取引禁止などの制裁を受ける。半導体はミサイルや軍用機の基幹部品で、高機能品は米メーカーが高いシェアを持つ。流通網の遮断でロシアの戦力低下を狙った。

しかし、米国の半導体は迂回ルートでロシアに流れ続けていた。

取引規模は侵攻前の3倍に

日経と英字媒体「Nikkei Asia」はインドの調査会社エクスポートジーニアスからロシアの通関データを23年1月27日に入手し、22年2月24日?同12月31日の半導体輸入記録を調べた。1回10万ドル以上の高額取引は3292件あり、約7割の2358件に製造元として米社名が記されていた。米半導体の輸入額は7.4億ドル以上で、侵攻前(約2.7億ドル)の3倍近くに増えた。

流通経路で際立ったのは香港を含む中国だ。米半導体取引の75%の1774件、5.7億ドル分が輸出されていた。取引業者の多くは中小企業で、侵攻後に設立された新興企業もあった。
前年同期間の中国からの米半導体高額輸出は230件(米半導体取引の21%)。取引額は5123万ドルで、侵攻後、10倍以上に膨らんだ。世界約400の金融機関などが加盟する国際金融協会(IIF)はロシアの22年1?9月の半導体・電子回路の輸入額が前年同期比36%増えたと指摘する。

新興企業などが取引に関与

別の調査会社のデータによると、22年4月設立の香港企業は9?12月にロシア企業と計1874万ドル分の取引をしていた。1個1万ドル超の製品も扱っていた。12月までに少なくとも13回にわたり計1万個以上の米半導体を輸出した別の香港企業はロシア人が設立。取引相手はロシアの富豪が所有する企業だった。

インテルや米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)のマイクロプロセッサー、米ザイリンクスのFPGA(書き換え可能な集積回路)などが高額取引の対象だった。防衛技術に詳しい未来工学研究所の西山淳一研究参与は「ミサイルなどの制御には演算処理能力の高い半導体が大量に必要となる」と話す。

インテルは日経の取材に「ロシアの顧客への出荷はすべて停止している。当社は輸出規制と制裁を順守し、人権侵害に使われることは容認しない」と答えた。ザイリンクスの親会社でもあるAMDは「正規販売業者には世界のすべての輸出規制の順守を求めている。(日経が挙げた企業はいずれも)正規販売代理店ではない」とした。

米半導体メーカー「不正に転売」「容認せず」

米アナログ・デバイセズ、米テキサス・インスツルメンツ(TI)の半導体も流入していた。アナログ・デバイセズは「(ロシアへの出荷は)当社のポリシーに対する直接的な違反で不正に転売または転用されたものだ」と指摘。TIは「当社製品が設計外の用途で使用されることは容認しない。(不正販売や転売は)半導体業界全体が直面する課題だ」とコメントを寄せた。

米国はロシアの侵攻を受け、香港の電子部品商社シノエレクトロニクスなどに「ロシア軍を支援した」などとして制裁を科した。ただ、日経調査で米半導体の取引が判明した企業のほとんどは米国の制裁リストに入っていない。米商務省は日経に対し「すでに500社以上を制裁しており、他国と連携して今後も監視を続ける」と述べた。

米国は中国への半導体輸出規制も強化しているが、輸出管理に詳しいベルギーのフランドル平和研究所のディデリック・コップス主任研究員は「サプライチェーン(供給網)が世界中に広がる半導体の最終的な行き先を把握するのは難しく、十分に監督できていない」と指摘する。

半導体の入手に苦労するロシアは「兵器にも汎用の半導体を使っている」(台湾の安全保障アナリスト)。汎用品は転売市場に流れやすく監視が効きにくい。元米通商代表部職員で香港の弁護士のベンジャミン・コスジェバ氏は「香港などの小さな商社は制裁を受けても新しい名前の会社をつくって事業を続ける」と言う。

抜け穴をふさぐのは容易ではないが「官民連携で輸出先企業の調査を徹底し、その情報がグローバルで共有されなければならない」とコップス氏は強調する。軍事向けに転用される可能性の高い半導体を追跡できるようにするなど技術面での対応も重要となる。

(長尾里穂、野元翔平、小西雄介、関優子、香港=周衛、ロンドン=鄭?方、台北=黎子荷)

【関連記事】担い手は新興企業・ロシア富豪 米半導体、ロシアに流入
この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia

多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
コメントメニュー

ひとこと解説 そもそもサプライチェーンは複雑化しており、ロシアに対する輸出を禁止するといっても、ロシアは直接輸入できなくても、間接的に輸入する抜け道はいくらでもある。お金の決済はSWIFTからロシアを排除できるが、もののチップの輸出を完全に禁止することはほとんど不可能である
2023年4月12日 8:02』