フランス、中国から航空機160機受注 首脳訪問中に合意

フランス、中国から航空機160機受注 首脳訪問中に合意
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『【ジュネーブ=北松円香】フランス大統領府は6日、航空機の160機の受注やフランス産の豚肉など農産品の輸出拡大で中国と合意したことを明らかにした。マクロン大統領の訪中には仏大手企業のトップら50人あまりが同行している。政府主導で自国産業の中国市場での事業拡大を後押しする。

両国は6日、マクロン氏と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の立ち会いの下で経済協力協定を結んだ。航空宇宙や原子力発電の分野…

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『航空宇宙や原子力発電の分野で協力を深めるほか、温暖化ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの拠点を共同で建設する。

フランス側の発表によると、仏航空機大手エアバスが中国航空器材集団から160機を受注する。仏電力公社EDFと中国国有の国家能源投資集団は海上風力発電の分野で協力する。

マクロン氏は5日、中国の在留フランス人に向けた演説で「訪問中に重要な契約がいくつか締結される」と述べた。「中国が毎年生み出す富は欧州連合(EU)加盟国の合計よりも多い」と中国市場の大きさを強調した。

訪中にはエアバスのギヨム・フォーリ最高経営責任者(CEO)、仏タイヤ大手ミシュランのフロラン・メネゴーCEOらが同行した。フランス側は農産物の輸出拡大も優先議題の一つと位置づける。

フランスの国別の貿易収支は中国との赤字が最大だ。赤字額は年々膨らみ2022年は489億ユーロ(約7兆円)に達した。家電や携帯電話、衣類など消費財の多くを中国からの輸入に頼っており、輸出品の拡大が課題となっている。

仏大統領府の関係者は「中国と分断するつもりはまったくない」と言い切る。自動車メーカーのルノーが中国の浙江吉利控股集団と合弁会社設立で合意するなど、仏企業も中国市場への傾斜を強める。

19年3月に習氏がフランスを訪問した際はエアバス機300機を含む総額400億ユーロ相当のビジネス契約が結ばれた。同年11月のマクロン氏の訪中では、中国が鶏肉などフランスの農産品を大量に輸入することで合意した。

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植木安弘
上智大学グローバル・スタディーズ研究科 教授
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分析・考察 マクロン大統領の訪中は、対中貿易で高インフレや年金問題で低迷しているフランス経済を活性化させたいとの意向もあるが、もう一つの大きな狙いは、ウクライナ戦争終結に向けてイニシャチブを取りたいというもの。プーチン大統領とも対話のチャンネルを維持しており、中国の和平案を受けて、あわよくば中国と協力して和平に向けた活路を見出そうとしていると思われる。フランスの対米独立思考は知られているが、マクロン大統領にとって外交のパフォーマンスは国内政治的にも重要。中国もEUを惹きつけ、米欧にクサビを打ち込めたいとの思惑もあろう。ただ、ウクライナ戦争の行方は、今春以降のウクライナの反転攻勢を見ないと分からない。
2023年4月6日 11:46いいね
59

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青山瑠妙
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授
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ひとこと解説 今回のマクロン大統領の訪中で、中国との大型商談がいくつか成立する見通しだ。しかし、政治的なアジェンダとなるウクライナ戦争で中国の協力は、おそらく得られないだろう。それでも、中国との対話を途切れさせない、中国の政策変更を促す外交努力は評価できる。今回の訪中には、中国に比較的厳しい姿勢をみせているフォンデアライエン欧州委員長も同行している。様々な声を様々なルートで中国に伝えることがいままさに非常に重要である。
2023年4月6日 12:10いいね 』