ロシア、北朝鮮から弾薬調達を計画 食糧と引き換え

ロシア、北朝鮮から弾薬調達を計画 食糧と引き換え
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN3100Z0R30C23A3000000/

『【ワシントン=芦塚智子】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は30日、記者団に対し、ウクライナ侵攻を続けるロシアが北朝鮮から追加の弾薬獲得を試みているとの新たな情報があると明らかにした。ロシアは北朝鮮に代表団を派遣しようとしており、弾薬と引き換えに食糧の提供を申し出ているとの認識を示した。

カービー氏は「北朝鮮とロシアの間のいかなる兵器取引も一連の国連安全保障理事会決議に直接違反することになる」と警告。両国の取引の中心人物としてスロバキア人の武器商人を挙げ、米政府が制裁対象に指定したと発表した。

米財務省によると、制裁対象のスロバキア人は2022年末から23年初めにかけて北朝鮮当局者と協力し、ロシアから民間航空機や原料などの物資提供を受けるのと引き換えに、数十種類の武器や弾薬を提供する取引を仲介した。制裁により米国内の資産を凍結し、この人物と取引する個人や金融機関も制裁対象になる可能性があるとした。

イエレン財務長官は声明で、ロシアは侵攻開始から9000を超える重軍事装備を失い、プーチン大統領は補充に必死になっていると分析。「この個人が試みた武器取引のような企ては、プーチン氏がイランや北朝鮮といった供給の最後の手段に頼ろうとしていることを示している」と指摘した。

ブリンケン国務長官も声明で「今日の制裁は、ロシアのウクライナに対する侵略と残虐な戦争を支援する者に米国は容赦しないという明確なメッセージだ」と表明した。

米政府は22年末、北朝鮮がロシア軍を支える民間軍事会社「ワグネル」にミサイルなどの武器を供与したのを確認したと明らかにしていた。

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小泉悠
東京大学先端科学技術研究センター 専任講師
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分析・考察

昨年秋の段階では、北朝鮮からロシアへの弾薬供給は「可能性」として語られていたわけですが、今回のカービー発言では「すでに一度大規模な弾薬供与があって、今回は追加である」という前提ですね。具体的なブローカーの情報なども開示しており、相当の確信を持っているように見えます。
ただ戦場では北朝鮮製弾薬の残骸が回収されたという報告は今のところ見られないようです。
2023年3月31日 12:05

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高橋杉雄
防衛研究所 政策研究部防衛政策研究室長
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ひとこと解説

北朝鮮は食料やエネルギーが供給されるならば弾薬を提供する可能性は十分にあります。
しかし、北朝鮮からの武器弾薬の購入は北朝鮮の2回目の核実験のあとなどに採択された国連安保理決議1718と1874に違反します。ロシアも両決議には賛成しているのですが。
2023年3月31日 20:23 』