「未成年は親の同意を」 SNS利用、米国で強まる規制
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN29CID0Z20C23A3000000/
『【ニューヨーク=山内菜穂子】米国で子どものSNS(交流サイト)利用を規制する動きが出ている。西部ユタ州は18歳未満の利用に関して親の同意を得ることをSNS運営企業に義務づける。子どもへの悪影響を理由に学区などが運営企業を提訴する動きも続く。規制強化を求める声が広がる一方、親の監視が強まりかねないとして批判も上がっている。
ユタ州で3月23日、利用者の年齢を確認し、未成年であれば親の同意を得ること…
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『2024年3月に施行する。米メディアによると、州法によるこうした規制は全米で初めてという。
午後10時半から午前6時半までは親の同意がなければ子どもがSNSを使えないようにする。運営企業が子どもの情報を収集したり、広告を出したりすることも禁止する。親が子どもの投稿やメッセージなどを確認できるようにする。
「こんなことで子どもの世代を壊してしまったと10年後に考えるだろう」。コックス知事は3月26日、子どものメンタルヘルス(心の健康)問題はSNSに原因があると批判した。年齢確認などの実効性を高めるため、すでに運営企業と話し合っていることも明らかにした。
米国では子どものメンタルヘルスの悪化が深刻な社会問題になっており、SNSを運営する巨大テクノロジー企業への批判に結びついている。
米疾病対策センター(CDC)の調査によると、悲しみや絶望を感じる女子高校生は21年に57%と、10年前(36%)から大幅に増えた。米心理学会は2月、若者がSNSの利用を減らすと自身の体への評価が大幅に改善するとの研究結果を公表した。
米メディアによると、南部テキサス州など複数の州で子どものSNS利用を制限する法案が州議会に提出されており、ユタ州のような規制が広がる可能性が高い。バイデン大統領は2月の一般教書演説で、若者のメンタルヘルス問題に関連し「ソーシャルメディア企業に責任を取らせなければならない」と指摘。連邦議会でも超党派で規制強化を求める声が強まっている。
西部カリフォルニア州のサンマテオ郡教育委員会は3月13日、SNSが子どものメンタルヘルスを悪化させ、欠席やいじめなどにつながっているとして複数の運営企業に損害賠償を求める訴訟を起こした。西部ワシントン州のシアトル公立学校による1月の提訴が皮切りとなり、同様の訴訟が全米で広がっている。
子どものSNS利用規制をめぐっては、プライバシー保護や表現の自由の観点から批判もある。業界団体のネットチョイスは「言論の自由」を保障する合衆国憲法に反すると主張。このほか家庭内で虐待を受けている子どもの存在などを念頭に、親の監視を強めることへの懸念も出ている。
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