中国に入る、二人の馬(マー)
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/31167599.html
『一時期は、日本に住んでいて、その後も世界各地を転々としていた、元アリババのCEOであるジャック・マー氏が、中国に呼び戻されたようです。もともと、ジャック・マー氏は、教育事業に興味があり、中国共産党に強制的にCEOを引退させられた後は、自分で中国国内に雲谷学校という私立の小~高までの一貫校を経営していました。そこを訪問するマー氏の姿が画像付きで記事になっています。
恐らく、御本人の希望では無いと思われます。何しろ、散々、事業を妨害させられた上、共産党の言い値で、自分の持ち株を売却させられて、アリババに対する代表権を失い、強制的に引退させられたわけですから、中国の敷居を跨ぎたくもないでしょう。呼び戻されたのは、結局、今度新首相に就任した、李強氏の要望だったと言われています。中国共産党は、アリババ・グループを支配下に置いたものの、そもそもITに明るい人材も無く、どう事業を発展させるかのアイデアも持っていません。なので、武漢肺炎騒動が収束した今になって、意見を聞く、業界にも知名度があり影響力のある人物が必要になったという事です。まぁ、もしかしたら、親族を人質に呼び戻されたかも知れません。(ご家族は、一緒に国外に出ているので、家族を人質にはできないはずです)
マー氏は、強制引退させられるまでの1年間で、腹心の部下に、現状維持の経営については、問題が起きない環境を整えて役員を降りたので、今のまま経営するには問題ありません。ただし、変化の激しいIT業界で、現状維持だけでは、衰退するのは目に見えています。殆ど国家公認レベルのITインフラになっている巨大企業のアリババとて、例外ではありません。そして、コントロール下に置いた共産党には、それが出来る人材がいないのです。巨額の資金を投入して、安い値段で売りまくれば、市場が奪えるといった単純な業種では無いからです。石炭や鉄鋼と同じ手は使えません。まぁ、都合が良すぎる他力本願ですが、マー氏は断れない圧力をかけられているのでしょうね。
マー氏が、ここまで攻撃された続けた原因は、一言で言うと、江沢民利権を財力で支えた中心だった事もありますが、単純に習近平氏の嫉妬ととも言われています。というのは、貿易で揉めて、トランプ元大統領と、なかなか会談できなかった時期、オンライン決済を行うアントの上場を予定していたジャック・マー氏は、アメリカ国内に100万人の雇用を生み出す事業進出をぶち上げて、単独で会談をしていたんですね。つまり、習近平氏を差し置いて、トランプ元大統領と会談し、約束までしてきたので、習近平氏が、その目立ち方に腹を立てたと言われています。後に、史上最大の370億ドル規模のIPOと言われていた、アントの上場も3日前に共産党から妨害が入って、取り止めさせられました。
もう一人、中国に入った馬(マー)氏がいます。台湾の野党・国民党の馬英九氏です。つい先日、ホンジュラスが多額の中国からの支援金と引き換えに、台湾との国交を断絶したニュースが流れましたが、台湾の親中国政党である国民党のマー氏を招いたのも、台湾包囲網の一つの動きと見られています。もともと、国民党は、中国共産党と戦って敗れた蒋介石の流れを汲む政党で、政党としての初代当主は、息子の蒋経国です。なので、当然、最初のうちは、反中国だったのですが、狭い国土で切り盛りする都合で、中国と妥協する事を余儀なくされ、そのうち、中国に毒されて、今やすっかり親中路線の政党です。今は、民進党の方が、反中国、独立路線です。蒋経国が党首だった時には、中国との付き合い方について、接する事はしない・談話はしない・話し合いもしない・妥協はないという方針を出していたのですが、今は見る影もありません。
台湾のマー氏は、中国の言う「平和的な台湾の中国への統合」の為、本人にその意図が無くても対外的に友好関係をアピールする為に呼ばれたのでしょう。つまり、台湾も中国と統合を希望する人達は、一定数いますよ。我々は、無理やり統合するわけではないですよという事です。
どちらのマー氏の中国入も、強権発動で動いてみても、結局は実力不足で妥協の道を歩まざるを得ない中国共産党のジレンマが見てとれます。戦闘機を飛ばして威嚇しても、相手が折れなければ、金を使って周りを懐柔して、有利に進めるしか無いのです。嫌いな経営者を追放してみても、事業を発展させる為には、創業者の人としてのカリスマに頼らなくてはならない。拳を振り回しても、本人に見合う徳が無ければ、現実が付いてこないのです。 』