習近平政権の統治方針の何が危険なのか

習近平政権の統治方針の何が危険なのか
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『最近の中央大学文学部准教授・及川淳子(じゅんこ)氏:右 の『教科書から紐解く「習近平思想」』が目を引いた。記事になった「中国共産党の「紅色」を断固守る決意を示した習近平の本音」から抜粋、編集した。
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習近平は2023年3月13日に開催された全人代第1回会議の閉会式で演説し、「強国の建設、民族の復興という壮大な目標は、人々を鼓舞し、奮い立たせる」と強調した。

演説では「強国」について12回も言及があり、第3期習近平政権を特徴づけるキーワードとなった。

習近平は今回の全人代で国家主席に再任され、名実ともに党・軍・国家の頂点に君臨し続ける体制を保持することとなった。
5年前の全人代で憲法を改正し、国家主席は2期10年までとしていた任期制限を撤廃したことによって、3期目の政権運営が実現可能になったからだ。

習近平の名を冠した政治理念は中国共産党の党規約と中華人民共和国憲法にも明記され、党と国家の重要思想として位置づけられている。

党員の思想教育のみならず学校教育の現場でも徹底されており、小学校の1年生から必修科目として学ぶための教科書まである。 

「習近平法治思想」、「習近平強軍思想」、「習近平外交思想」、「習近平新聞思想」など、これまでに次々と公開された党の文献を概観すると、「習近平思想」の本質とは、つまるところ「強国思想」と換言できるだろう。

筆者がこのように指摘する根拠は、「社会主義現代化強国」にある。

習近平政権は、中華人民共和国の建国から100周年にあたる2049年までに「社会主義現代化強国」の建設を全面的に実現する目標を掲げている。

閉会式の習近平は、「社会主義現代化強国を全面的に建設し、中華民族の偉大なる復興を全面的に推進することは、全党と全国人民の中心的な任務である。

強国の建設、民族の復興というバトンは、歴史的に我々の世代に渡されたのだ」と発言した。また、「中国式現代化建設の推進を加速させなければならず、(中略)強国の建設、民族の復興の推進のために、我々世代のしかるべき貢献を果たさなければならない」と強調した。
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‘中国共産党の「紅色」を断習近平は現体制を「新時代」と位置づけ、新たな時代に「社会主義現代化強国」を建設するという国家目標を掲げて、その道筋を「中国式現代化」と称している。「中国式現代化は、」から始まる5つの段落の冒頭部分を挙げると、右の様になる。

対立や分断が進む国際情勢を鑑みれば、習近平政権が掲げる統治理念が中国国内のみならず国際社会にも波及し得るか否かという問題は、「価値」をめぐる対立のさらなる激化を想起させる。

習近平政権は、国際社会に広く共有されている民主・自由・平等・法治・人権などの「普遍的価値」は欧米が主導する西側の価値観だと痛烈に批判している。中国国内で思想や言論の統制、弾圧が著しく強化されている背景には、中国共産党が警戒する「普遍的価値」の影響力を徹底的に排除するという狙いがある。

習近平政権発足後は「普遍的価値」に対する統制が強化され、さらには「普遍的価値」に対する挑戦も見られるようになった。国内においては中国共産党が定めた「社会主義の核心的価値観」の思想教育を徹底し、国際社会に対しては中国が主導する「全人類共通の価値」を強調するという戦略である。

「社会主義の核心的価値観」とは、国家・社会・公民の価値基準を一体化することを狙いとして定められたもので、FireShot Webpage Screenshot #701 – ‘中国共産「習近平新時代中国特色社会主義思想」の重要な構成要素である。

2012年第18回党大会で提起され、習近平政権下の10年来はこの思想教育が徹底されている。  「社会主義の核心的価値観」の具体的内容は、右のとおりだ。

一見すれば、「社会主義の核心的価値観」に挙げられている「民主」や「自由」などは、「普遍的価値」と共通するように思われるが、中国で語られるのは「中国式の民主」、「中国式の自由」という点に留意する必要がある。

さらに言えば、国際社会では「全人類共通の価値」を尊重するが、各国内では国情にあわせた統治を尊重し、権威主義体制や全体主義的独裁体制なども内政干渉しないという中国共産党の企図がある点も指摘しておきたい。

習近平政権は、「中国式現代化」によって「社会主義現代化強国」の建設を目指すだけでなく、国際秩序の再構築まで視野に入れた「人類文明の新形態」を構想している。これは、習近平政権の覇権主義的な国際戦略として見ることもできるが、筆者はむしろ危機感の裏返しだと考えている。

全人代の演説では、「党の団結と統一を一貫して保ち、党が永遠に変質せず、変色せず、風味が変わらないことを確保し、強国の建設と民族の復興のために強固な保証を提供しなければならない」と強調した。習近平が最も危機感を抱いているのは、「普遍的価値」によって中国共産党の「紅色」が色褪せてしまうことなのだろう。

多様性が尊重され複雑な色彩をもつ国際社会は、中国共産党の「紅色」だけで染められるものではない。

混迷を極める国際情勢のもと、習近平が率いる中国のさらなる影響力の拡大が注目されている。本格始動した第3期習近平政権の行く末について考察する際には、中国共産党の「紅色」の彩度とその変容にも注目していきたい。

、、、、以上を筆者の目でごく簡単に言えば、国際的な価値観とは別に、中国は自分の(共産党の)価値観を内外へ拡散するが、他国から中国への干渉はするなと取れる内容で、勝手な大国主義にしか見えない。

其の為に、ロシアと共に国連での常任理事国としての特権を振り回すのだから始末が悪い。国連改革が言われるのも当然だろう。』