中国、金融・香港政策を党直轄に 治安組織新設は見送り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM16BU60W3A310C2000000/
『【北京=川手伊織】中国共産党と国務院(政府)は新たな機構改革をまとめた。金融行政の司令塔や香港政策を党中央の直轄に格上げし、習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)に権力を集中させる。警察やスパイ摘発など治安維持の権限を政府から党に移管するのは見送った。
国営新華社が16日夜、報じた。金融では「中央金融委員会」と「中央金融工作委員会」の2つを設ける。
中央金融委員会は金融行政の司令塔として、不…
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『中央金融委員会は金融行政の司令塔として、不動産が絡んだ金融リスクなどに対応する。台湾有事で米国の金融制裁の影響を受けにくい体制づくりも急ぐとみられる。これまでかじ取り役を担ってきた国務院金融安定発展委員会は廃止する。
中央金融工作委員会は金融分野の規律強化や腐敗撲滅を担う。1998〜2003年にも存在していた同委員会を復活させて、習指導部への不満分子を排除し、党の指導力を強める。
党直属でハイテク分野の育成などを担う「中央科技委員会」も設けた。「中央香港マカオ工作弁公室」の新設で、政府が担ってきた香港政策も党直轄に格上げした。習指導部による香港への関与や締め付けを強める狙いだ。
一方、治安維持のかじ取り役として浮上していた「中央内務工作委員会」は設置が見送られた。国務院の所管である警察業務を担当する公安省や、スパイ摘発を担う国家安全省、戸籍管理を扱う部署を実質的に分離・統合して同委員会に移管する案が検討されていたが、慎重論もあったとみられる。
このほか「中央社会工作部」は住民組織や企業、業界団体の管理や思想工作を通じ、社会全体における党の影響力拡大を図る。ネット配達員など2億人に上るとされるネットで単発の仕事を得るギグワーカーに対する党の組織作りも進める。』