31歳の撮り鉄、ミハイル・コロトコフは、プーチンのデラックス装甲列車を狙い続けているプロ

31歳の撮り鉄、ミハイル・コロトコフは、プーチンのデラックス装甲列車を狙い続けているプロ
https://st2019.site/?p=20974

『Robyn Dixon 記者による2023-3-15記事「A railroad fan photographed Putin’s armored train. Now he lives in exile.」。

    31歳の撮り鉄、ミハイル・コロトコフは、プーチンのデラックス装甲列車を狙い続けているプロ。2018年からその写真がSNSに投稿されている。

 「不死身の男はこんな列車では旅行しないよ」といったコメントも添えられている。

 客車の天板に「ドーム」状の構造物が載っていたら、それは衛星通信用のパラボラをカバーしたレドームだ。
 プーチンは身の安全には病的にこだわる。特に新コロ流行後はひきこもりがちとなった。
 彼の住まいには「汚染除去トンネル」がしつらえてあり、そこを通る間に消毒薬が噴霧され、紫外線が照射される。

 何週間も屋内に引き籠っていて、たまに長距離移動するときは、特別列車を仕立てる。これもパンデミック中に定着したパターンである。

 プーチンの列車利用指向は、2021から徐々に強まった。その理由を、ロシアの体制批評家のコドルコフスキーは、「飛行機は位置がすぐバレるが、列車なら特定されにくいからだ」と説明する。

 コロトコフは、モスクワに近い田舎町で育った。そしてパソコンを私有すらしていなかった大学2年生のときに、「Railway Life」というブログを立ち上げた。

 自動二輪車や、4輪バイクで長駆遠征しては、特別列車を追い求める。時に、珍しい飛行機も撮影する。

 プーチン列車の撮影に成功したときは、多数の写真を投稿したりはしない。ほんの数枚だけにとどめておく。これが当局を刺激しないコツだ。

 もちろんコロトコフは、プーチン護衛隊からは不快に思われているであろうことは、間違いないだろう。

 2021-5のある日、コロトコフのユーチューブのページに、不気味なコメントが投稿された。コロトコフが別な列車撮影マニアとハイキングの相談をした電話の一言一句を、テキスト化してあったという。FSBが「監視しているぞ」と伝えたかったのだろう。

 これを警告と受取ったコロトコフは、10年続けてきたブログを、慌てて店仕舞いした。
 2022年、事態はますます暗くなった。コロトコフのブログは、反国家のテロ・ゲリラ活動であるとみなされかねない。事後法によって身柄を刑務所に送られるかもしれない。

 コロトコフの本業は、フィナンシャル・アナリスト。副業で、物理学の教師もやっている。

 コロトコフは大学を2015に卒業しているが、ほとんどの同窓生たちは、2014のクリミア侵略以降、ロシアの未来に見切りをつけて、外国に出てしまった。しかしコロトコフは、プーチン列車を追いかけるのが趣味だったから、出国をためらっていたのだ。もはや、ぼやぼやしている時ではない。

 彼は自動車を運転してカザフスタンの国境を越えた。
 ほぼ同時に、彼を軍隊に招集する令状がアパートに郵送されたという。
 さらにコロトコフは、バックパックにPCを入れて、インドを彷徨った。

 げんざい、彼はスリランカの海岸近くに住む。そこからオンラインで、ロシア企業のためのIT訓練コースを引き受けている(元いた投資会社は、彼が国外逃亡した直後、彼を馘にした)。

 また、専ら飛行機を対象に、趣味の撮影を再開している。』