株2万7000円割れ 疑心暗鬼の連鎖、一段安への懸念残る
https://www.nikkei.com/article/DGXZASFL16HN4_W3A310C2000000/
『16日午前の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前引けは前日比255円安の2万6974円と、心理的節目の2万7000円を下回った。世界的な金融システム不安の拡大を背景に、投資家はリスク回避姿勢を一段と強めている。下げ幅を600円近くまで広げた後は急速に下げ渋ったものの、市場では当面、不透明感の強い展開が続くとの見方が多い。
シリコンバレーバンク(SVB)など米銀の相次ぐ破綻に始まった金融不安は、…
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『シリコンバレーバンク(SVB)など米銀の相次ぐ破綻に始まった金融不安は、スイスの金融大手クレディ・スイス・グループにも波及した。クレディは14日、過去の財務報告の内部管理に「重大な弱点があった」と発表。経営不安が強まっていたなか、15日に筆頭株主のサウジ・ナショナル・バンクが追加投資を否定したと報じられると、市場の不安がさらに高まった。
一方で日本時間16日午前、クレディがスイス国立銀行(中央銀行)から最大で500億スイスフラン(約7兆1000億円)を借り入れる用意があると表明すると、市場は金融当局も含めた迅速な対応を評価し、日経平均も下げ渋る展開に転じた。
現時点で、市場では「無秩序な破綻に陥るリスクは低い」(野村アセットマネジメントの石黒英之シニア・ストラテジスト)との声は多い。信用力の低い借り手を対象にした「サブプライムローン」が発端となったリーマン・ショックに比べると、「米銀の破綻やクレディの経営不安は固有の問題が大きい」(三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジスト)とみられている。
それでも投資家が慎重姿勢を崩せないのは、同様のケースが今後も続く恐れを払拭できないためだ。疑念が負の連鎖を生む構図は、これまで金融市場で幾度となく繰り返されてきた。野村アセットマネジメントの石黒氏は「金融機関同士が疑心暗鬼になると、実際に資金の目詰まりが起こってしまう可能性には注意が必要だ」と指摘する。
21~22日には米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える。金融システム不安が広がるなか、米連邦準備理事会(FRB)は利上げを見送るとの観測も浮上している。米国での高インフレを理由に0.25%の利上げに踏み切れば、再び金融不安の火種になりかねないといった警戒にもつながる。一方で利上げを見送っても「何かさらなる金融不安の材料があるのではと市場の疑念は強まる」(国内証券ストラテジスト)との声もある。FOMCの結果を受けた相場波乱にも警戒が必要だろう。
金融当局の対応などヘッドライン(ニュースの見出し)に反応して相場が一時的に持ち直しても、投資家の疑心暗鬼は当面続く公算が大きい。リスク資産の圧縮に伴って株安圧力が強まる場面は、今後も起こりうると考えておくべきだろう。
〔日経QUICKニュース(NQN) 内山佑輔〕』