米財務省など「シリコンバレー銀行の預金、全額保護」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN130AL0T10C23A3000000/
『【ワシントン=高見浩輔】米財務省と米連邦準備理事会(FRB)、米連邦預金保険公社(FDIC)は12日、米銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻について共同声明を公表した。イエレン米財務長官は預金者を完全に保護する方法で破綻処理を完了する措置を承認した。FRBが銀行の資金繰りを助ける新たな枠組みを導入する。
FRBによると、新たに導入するのは「銀行タームファンディングプログラム(BTFP)」。金融機関を対象に、米国債や住宅ローン担保証券を担保として、最長1年の融資をする。政府の基金から最大250億ドルを利用できるようにする。
共同声明によると、預金の保護はFDICとFRBからの勧告に基づき、イエレン氏がバイデン米大統領と協議のうえで承認した。声明は「預金者が3月13日からすべての資金にアクセスできるようになる」と説明。SVBの破綻処理に伴う損失が納税者の負担になることはないとも付け加えた。
州の認可機関によって閉鎖されたシグネチャー・バンク(ニューヨーク市)についても、同様のシステミックリスク例外措置を発表した。「この金融機関の預金者はすべて救済されることになる」と明記した。
株主と担保を持たない一部の債務者は保護されない。声明は上級管理職を解任したとも説明した。
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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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分析・考察
金曜日に経営が破綻した金融機関を当局が保護、東京市場が開く直前の米国の日曜夕方に当局が緊急対策を公表する展開はリーマンショック前後の2008年夏から秋にも頻発。イエレン財務長官も当時はサンフランシスコ連銀総裁で当局者。既視感があります。違いは当時は未経験で手探り、後追い、不十分な対応を繰り返したのに、今回は当時を教訓に規模は過大に近いが保護対象は限定する政治にも配慮した規律ある対策が講じられたことでしょうか。とはいえスタートアップと伝統的な金融の接点となった金融機関の破綻は新たな問題。スタートアップの金融面の脆弱さが意外に大きな影響をもたらすことも分かり、しばらく警戒が必要だと思います。
2023年3月13日 8:56 (2023年3月13日 9:09更新)
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加藤史子
WAmazing 代表取締役/CEO
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ひとこと解説
シリコンバレー銀行保護ではなく、預金保護。金曜日にいったん取引を凍結し土日の間に判断。月曜日朝には預金全部を保護することを発表。おそらく最も最善の速い対応でさすがである。これにてシリコンバレー銀行をメインバンクとするスタートアップ各社が給与遅延や大規模リストラ、倒産につながるということは免れた。米国は月に2回給料日があったり15日が給料日である会社もあったりと心配されていた。
2023年3月13日 8:16
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説
金融システム不安への対応は、迅速に、かつ十分すぎるほど行うのが良策。FRBの非公式会合は一部で13日開催と報じられていたが、預金取り付け騒ぎが広がらないよう、12日に前倒しして動いたのは適切な対応だと筆者も考える。とはいえ、これで金融システム不安がどこまで沈静化するかには、実際に状況を見きわめなければ分からない面がある。
2023年3月13日 8:12
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蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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ひとこと解説
現地時間の日曜午後、ひとまず月曜からの営業に向けて安堵が広がっている。一昨日の段階からFDIC自らが資産整理を断行し資金繰りに奔走しているとの噂がエコシステムにおいて流布していたが、ともかくもこれで最悪しばらくの間、買い手が見つからずとも大きな支障なく、従って買い叩かれる事なく買収交渉を進める事が出来る、当局の対応としてはこれ以上ない対応ではなかろうか。
2023年3月13日 8:08』