米シリコンバレー銀行が経営破綻 リーマン危機後で最大
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10DL50Q3A310C2000000/
『【この記事のポイント】
・テック企業への融資で著名なシリコンバレーバンクが破綻
・米連邦預金保険公社(FDIC)が管財人になり預金保護を発動
・FRBの利上げで金利が上昇。保有債券の含み損が膨らんだ
【ニューヨーク=大島有美子】米連邦預金保険公社(FDIC)は10日、テック関連のスタートアップへの融資で知られる銀行持ち株会社SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレーバンクが経営破綻し事業を停止…
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『シリコンバレーバンクが本社を置くカリフォルニア州の金融当局は10日、同社が流動性不足に陥り、債務超過状態にあると認定した。FDICが破綻管財人となり、預金保護を発動する。FDICが保護する預金額の上限は1口座あたり25万ドルで、13日には預金者がアクセスでき支店も営業するとしている。「保険限度額を超える預金額は未確定」(FDIC)で、取引先への影響は不透明だ。銀行や顧客からの情報収集を進める。』
『SVBファイナンシャル・グループは8日に保有債券の売却に伴う損失計上や増資計画を発表。信用不安を招き、10日には身売りを模索する動きが報じられた。あるベンチャーキャピタル(VC)関係者は「9日夜から投資先が一斉に預金を引き出している」と明かす。信用不安が増幅し、資金繰りが一気に行き詰まったとみられる。米メディアによると、増資計画の断念後は身売りを検討していたが、株価急落や経営の混乱で買い手が現れなかった。
SVBは金融緩和下でVCなどから資金を活発に調達したベンチャー企業の預金を集めていた。22年3月末の預金残高は1980億ドルと3年間で3.8倍に膨張した。急拡大した預金で満期までの期間が長い米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を中心に運用していたが、FRBによる急ピッチの利上げで金利が上昇(債券価格は下落)し、含み損が膨らんでいた。
米銀では暗号資産(仮想通貨)関連企業からの預金を集めてきたシルバーゲート・キャピタルが傘下銀行を自主的に清算すると8日に発表した。』
『田中道昭
立教大学ビジネススクール 教授
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分析・考察
米国内外で起きたことを考えると、昨日は世界秩序の大きな変曲点として歴史に残る一日になるのかもしれません。テクノロジーの象徴である米シリコンバレーの銀行が取りつけ騒ぎの末に破綻した一方、中東では中国が仲介してサウジとイランが外交正常化で合意。イスラエルのメディアはネタニヤフ政権を批判し、米国メディアはバイデン政権を批判。先月の中国とイランの文書合意はサウジのための必要条件。したたかなソフトパワー外交を駆使する中国に対峙するためにも、米国での金融混乱が早期に終息することを祈るばかりです。グローバルサウスの台頭で多極化が進む中での二極化の片方が拡大する動きには要注意です。
2023年3月11日 6:57
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ロッシェル・カップ
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング 社長
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ひとこと解説
シリコンバレーの人たちは、この件で絶対的なパニックに陥っています。あまりにもショックですから。すでにテック分野の低迷が感じられますが、これはそれを加速させることは間違いないでしょう。
2023年3月11日 4:24
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芳川裕誠
トレジャーデータ 創業者・取締役会長 カーバイドベンチャーズ ゼネラルパートナー
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ひとこと解説
昨日からシリコンバレーは取り付け騒ぎといっていい状況。同行自体はリテールバンキングは行っておらず一般的な家計資金が凍結されることはないが、大小様々な当地企業が同行を決済銀行として使っており、特に来週は多くの企業でペイロール、給与支払処理が走ることから、一時的な混乱が予想される。(当地金曜日午前中の時点で、すべての口座アクセスが停止されている状況)
証券取引委員会向けの同行提出資料を読む限り、預金額のすべてまたは大半をカバーする資産を保持している一方、実際の売却時の債券価格低下の資産価値に対するインパクトや、再度資金にアクセスするために要する時間は現時点で見えていない状況である。
2023年3月11日 3:33 』