中国の経済がV字回復しているって? 馬鹿言っちゃいけない。
http://blog.livedoor.jp/goldentail/
『最近、一部で流れている「中国経済の回復は早い」説なのですが、どうやらブルームバーグが出しているこの記事が震源地のようです。
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中国経済の回復スピード、政府上層部の想定外-関係者
Bloomberg News
2023年3月1日 22:32 JST
人口の大半が1月末までにコロナ感染、予想より早い経済回復可能に
国営メディアには景気対策の必要性小さいと報じるよう指示-関係者
中国経済の回復スピード、政府上層部の想定外-関係者
中国経済の回復ぶりは政府上層部が見込んでいたよりも速いと、事情に詳しい関係者が明らかにした。今年の景気対策が控えめなものにとどまる可能性が示唆される。
政府内の情報だとして匿名で語った関係者によると、新型コロナウイルス対策としての行動制限が突然解除された後、感染の拡大は予想以上に早く収束した。感染拡大は今年の2月か3月までは続くと見込まれていたが、人口の大半が1月末までに既に感染していたために経済の急回復が可能になったと、関係者は指摘した。
別の関係者によると、指導部は景気回復に満足しており景気対策の必要性は今のところそれほどないと、5日に開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で伝えるよう国営メディアに指示が出ている。政府は景気について追加支援よりも、「維持」を考えているという。
国務院新聞弁公室と国家発展改革委員会(発改委)にファクスでコメントを求めたが、応答はなかった。
———- 引用終わり ———-
うーん、何ですか「関係者」って。つまり、人聞きの話を、そのまま掲載しただけの記事です。なのですが、結構、中国経済復活みたいな話をする人がいますし、市場も値動きを見ていると、中国の異常な武漢肺炎対策が終わった事を、余りにも手放しで歓迎し、高く評価し過ぎている気がします。習近平氏が、ゴリ押しで進めた、殆ど効果の無かった武漢肺炎対策の続いた3年間で、どれだけ中国が商取引の信用を無くしたか、まるで考えに入れてません。中国の工業生産の象徴だった、ホンハイ(Foxconn)のiPhon組み立て工場すら、一部がインドへ移設を開始しています。去年の工場内で起きた、武漢肺炎の感染と、それに伴うロックダウン、続く従業員の逃亡で、まったく生産の予定が立たない時期が続いたから、「中国から引き揚げて、リスク分散する」事になったのです。
この事でも、象徴されますが、「中国は世界の工場」と言っても、その生産と輸出金額の多くの部分は、外国資本が中国に工場を建てて、中国人を雇い、安い人件費で製品を作って、それを世界中に輸出しているに過ぎないという事です。基幹部品は、外国から輸入しないといけないし、工作機械も殆どが外国製です。それで、内需を増やしたい習近平氏は、「中国で商売を続けたかったら、技術をよこせ」とばかり、技術開示を条件にしてきたりしています。どうせ、やり方を習得したら、あらゆる不利な条件や、不当な競争条件で、外資を追い払い、自国の企業を優先するのは判っているので、「それなら出て行ってやるよ。インドの方が平均年齢も若いし、労働人口も多いしな。この前、インドに人口で抜かれたろ? おたくはさぁ」と、ケツをまくって出ていく外資が増えています。
実際の経済の状態は、「どこかの誰かの~筋の話」とか「中国共産党の発表した数字」には出てきません。例えば、サプライチェーンの混乱で、数が足りず、輸送費用が爆騰していたコンテナですが、今は逆に余りまくっています。コンテナというのは、輸送する時にパッケージするのに使う器ですから、輸入と輸出に不均衡が生じると、輸出が不振な港に溜まる事になります。中身を詰め込んで、海外に向かって運搬する量が減るからです。これで、今、中国の港が、凄い事になっています。置き場が無いくらい、港のコンテナ置き場が、「空のコンテナ」で埋め尽くされています。地上には置けなくなって、空のコンテナを満載した船が、倉庫代わりに沖合に停泊しているくらい、コンテナが余っています。
中国政府の発表と矛盾する為、外国の記者が取材に来る時には、ワザワザ空のコンテナを積んだトラックを、忙しそうに走らせて、いかにも物流が順調なように見せかけているくらいです。それくらい、中国国内の生産は落ち込み、多くの企業が潰れ、仕事がありません。中国の今年の新卒の就職率は、実際のところで、29%という数字も出ています。いくら高学歴でも、希望の職種は選べず、就職できるだけマシというところです。中小の工場が密集する東莞という地区では、政府の経済好調の宣伝を信じて、地方から出てきた出稼ぎ労働者が、職を得る事ができず、野宿の末に死亡する光景が見られるようになっています。
また、安定職と言われていた公務員も、給料の未払いが発生し始めています。広西チワン族自治区の南寧市の公安庁が、電力会社から電力供給をストップされました。電気代の未払いが950万円に昇ったので、法律に基いて、電気を止めたのです。公安と言えば、中国の治安を力で守る重要な機関です。そこが、電気料金も支払えなくなっています。さすがに、半日程止められて、直ぐに支払いが行われたそうですが、政府の権力を盾にして、電気代を踏み倒すぐらい、地方政府の財政は悪化しています。
また、行政からの補助金で、安い運賃で運営されていたバスなどの交通機関が、補助金のカットで運営に行き詰まり、運転手に対する給料未払いなどで、運行が停止される地域も出て来ています。はたまた、役所の職員が、横断幕を広げて、賃金未払いを訴えて、市長を弾劾したり、郵便局の職員が、やはり賃金未払いを訴えて、職場でデモを起こしています。
つまり、ムチャクチャなPCR検査などの武漢肺炎対策で、物凄い経済的な負担が地方政府に発生し、しかも経済は沈下したままなので、賃金未払いが多発するくらい、地方財政は金欠です。その為、「言いがかり」に近い案件で、罰金を取りまくる事で、役所が集金マシーンと化しています。こうした、理不尽な金の収奪は、何も役人だけではありません。何と、何の権利も無い道路脇に済んでいるだけの住民が、「この道は、私の土地だ。通行料を払え」と、通りかかった車を、通せんぼして止めて、10元(200円)程度の通行料を勝手に徴収するところも出ています。しかも、1Kmも進まない距離で、3回も別々の人間に通行料をせびられるという酷さです。「役所がやるなら、俺たちがやってもいいよな」みたいな、モラルハザードですね。共産国では、割と良くあります。品行方正に生きていたら、生活できないところまで追い詰められると、こういう事が起きます。
こういう状態の国家が、「中国経済の回復ぶりは政府上層部が見込んでいたよりも速い」わけが無いのです。』