仏で再び大規模スト、年金改革に反対 原発発電量も低下

仏で再び大規模スト、年金改革に反対 原発発電量も低下
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07DHP0X00C23A3000000/

『【パリ=北松円香】フランスでマクロン政権による受給年齢の引き上げを軸とする年金改革案への反発がさらに激しさを増している。7日は全土で産業横断のストライキが実施されて公共交通が止まったほか、原子力発電所の発電量も低下している。パリなど各地の路上では改革に抗議する市民がプラカードを掲げて練り歩いた。

マクロン大統領は持続可能な年金制度を構築するとして、現在62歳の受給年齢を64歳まで引き上げようとし…

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『「受給年齢は以前、60歳から62歳に引き上げられた。今回64歳への引き上げを許せば、将来もう一段の引き上げにつながるのではないか」。この日パリのデモに参加したファブリス・ジョワノーさん(49)はこう心配する。エンジニアだというジョワノーさんは「定年後は田舎でゆっくり過ごしたい」と考えており、人生設計が揺らぎかねない改革には反対だ。

仏調査会社IFOPによる2月の世論調査ではマクロン氏の支持率は32%と3年ぶりの低水準に下がった。年金改革への反感が支持率低下につながったとみられる。国民に対し制度改革の必要性をどのように訴えるか、マクロン氏の求心力が問われている。』

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鈴木亘
学習院大学経済学部 教授
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分析・考察 フランスの平均寿命は、男性80歳、女性86歳と、日本とあまり変わらないぐらい長寿国だ。それなのに、受給年齢を62歳から64歳に引き上げる改革を今頃、行おうとしているのは悠長だし、それすら大反対なのかと読者は違和感を覚えるだろう。

しかし、記事には書かれていないが、フランスの年金制度は、受給開始年齢と満額受給開始年齢が分かれている制度であることに注意しなければならない。

受給開始年齢は日本で言う繰り上げ支給の開始年のことである(日本は60歳)。満額受給開始年齢は、日本で言う支給開始年齢の事で、フランスでは既に67歳までの引き上げが決まっている(日本は65歳)。つまり、日本より改革が進んでいるのだ。

2023年3月8日 8:43 (2023年3月8日 8:46更新)
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柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説 ストは労働者の権利である。専制政治の国では、スト権が保障されておらず、ストを行ったら、関係者が逮捕されてしまう。日本では、派遣社員などの労働条件が悪いといわれながら、ストをほとんど聞かない。労働組合の幹部の顔をみると、役所の職員の感じがする。労働者が自分の権利を守る意識が薄れると、政治も緊張感がなくなる。ストは社会を混乱に陥れる活動ではなく、社会を変えるきっかけである
2023年3月8日 7:53』