中国が統制強化へ 治安・金融・ハイテクを共産党直轄に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM067JU0W3A300C2000000/

『【北京=羽田野主】中国は治安維持や金融監督、ハイテク部門を共産党の直轄とする組織改革を実施する。将来の台湾統一と米国との対決をにらみ、党による統治を厳格化して指導力を強める。台湾有事で想定される西側諸国の経済制裁に耐えられるよう半導体サプライチェーン(供給網)や金融システムを整備し、国内の情報統制を強化する。
習近平(シー・ジンピン)指導部の意向を受けて国務院(政府)の幹部が7日、開幕中の全国人…
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『組織改革の最大の狙いは共産党トップの習氏に権限を集中させることにある。国務院が担ってきた治安維持や金融監督などの権限を実質的に共産党に移し、台湾有事に向けて兵器製造に欠かせない半導体の調達体制や資金面の備えを急ぐ。』
『中国の憲法は国家は中国共産党の指導を仰ぐと定めている。中国の統治機構は実質的に共産党が国家の上位に位置づけられ、中央省庁や軍隊、企業などに党組織を置いて指導する体制を敷いている。』
『一方で警察や金融などの行政部門はプロ集団の国務院に実務を委ね、党が直接介入するのを控えてきた。党内の権力闘争が行政や国民生活の混乱を招かないように歯止めをかけてきた。』
『組織改革では国務院の所管である警察業務を担当する公安省と、スパイ摘発を担う国家安全省、戸籍管理を扱う部署などを実質的に分離・統合して共産党に新設する「中央内務工作委員会」(仮)に移管するとみられる。近く反スパイ法を改正してスパイ行為の摘発を強化する。
銀行・保険・証券の監督部門や中央銀行の機能を統合して共産党に設ける「中央金融工作委員会」(仮)に移す。党の直属のもとにハイテク部門の育成や教育を担う部署をつくる。
ネット上の監視を強めて習指導部への異論を封じ込めるとともに、国内のカネの流れを党が掌握する狙いがあるとみられる。』