自分の物語でなく、東京という物語を生きることの功罪

自分の物語でなく、東京という物語を生きることの功罪 – シロクマの屑籠
https://p-shirokuma.hatenadiary.com/entry/20230307/1678181885

 ※ 今日は、こんな所で…。

 ※ 人は、必ず老いて、衰えて、死んでいく…。

 ※ そういうことから、逃れられる人は、存在しない…。

 ※ その逃れられない「真実」から、逆算して、人生設計した方がいいぞ…。

 ※ 授かった、この生命(いのち)の、使い道…。

 ※ そこを、考えた方がいい…。

 ※ 「自分は、なんで生まれたのか。自分とは、なんであるのか。この先どこへ行くのか。」…。

 ※ そんなことは、誰にも分かりはしない…。

 ※ そういう「分かり得ない」ことの「追求」に、自分の「生命」を消耗するなんてのは、馬鹿馬鹿しい話しだ…。

 ※ やるべきことを、やり、やるべきでないことは、やらない…。

 ※ そうやって、与えられた「生命」を、使い果たして、死んでいく…。

 ※ ただ、それだけの、話しだ…。

『「東京をやっていこうとしている」人たちの一喜一憂 | Books&Apps
 
昨日、books&appsさんに「東京をやっていこうとしている」人たちについての文章を寄稿した。「東京をやっていく」という表現は不自然かもだが、東京のイメージに沿って生きようとしている人、東京からイメージされるライフスタイルを追いかける人ってのは実際存在している。そうした人たちを「東京をやっていこうとしている」人たちと呼ぶのはそんなに的外れでもないだろう。
 
と同時に、「東京をやっていこうとしている」こと自体は悪いことではない、はずだ。
 
リンク先でも書いたように、東京をやっていこうとしていること自体はプラスにもマイナスにも働き得る。ツイッターでぶんぶん唸り声をあげているタワマン文学的・東京カレンダー的文章に感化されると、つい、それが執着無間地獄への片道切符のようにみえるかもしれないが、タワマンに住む人が皆そうなるわけでも、上京する人が皆そうなるわけでもない。東京をやっていこうとしていて、まんざらでもない人生を歩む人もそれなりいる。
 ただ、そういう人はツイッターでぶんぶん唸り声をあげているような、いわばタワマンの上層階を見上げて首が痛くなってしまうようなライフスタイルと自意識を持っていないだけのことだ。
 
もちろん東京という街は、住まいもファッションもホビーもなにもかもヒエラルキーづける・差異化づけられる街で、ぎょろぎょろと見ている人は見ているだろう。しかしこれだって程度問題だ。タワマンの上層階を見上げて心が頚椎症のようになってしまう人もいれば、ときどき意識して、ほんのり羨ましいと思って、でもその程度で済んでしまう人もいる。羨ましいと意識にのぼることがほとんどない人だっているだろう。
 
ファッションや趣味についてもそうだ。東京では、ヒエラルキーや差異化の視点でみるなら、上を見ても下を見てもきりがない。そうしたなか、首がもげそうなほど他人を見上げたり見下したりしていれば、どうあれ、まともな精神でいられるとは思えない。
 
実のところ、本当に肝心なのは「東京をやっていこうとしている」か否かではない。その、上を見ても下を見てもきりがない環境のなかで、タワマンの上層を見上げたり下層を見下げたりして心の頚椎症になってしまうようなメンタリティ、あるいはそれに関連した自分自身のありようこそ、肝心なのだろう。
 
 自分の物語が見えてこない状態

 では、心の頚椎症になってしまうメンタリティと、それに関連した自分自身のありようとはどういったものか。
 
一言にまとめるなら、「自分の人生を生きているのでなく、『東京』という物語を生きている人」という表現になるだろうか。もとより、これで言い切れたわけではない。けれども「東京をやっていこうとしている」人が執着無間地獄に落ちてしまうストーリーに触れる時、自分の人生を生きているというより、東京という物語を生きようとしていたり、東京という物語に生かされようとしていたりするさまを連想せずにいられなくなる。
 
ここでもう一度、『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』から引用してみよう。
 
この部屋から東京タワーは永遠に見えない (集英社単行本)

作者:麻布競馬場
集英社

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 多少お金があると、人は文化と子育てにお金を使うようになるんです。僕にはそれがセットで来ました。お絵描き教室に通わされたり、市民ホールで興味のない歌舞伎を観させられたり、わざわざ車を出して隣の県の美術館に連れて行かれたり。特に母は、僕が美大にでも進むことを期待しているようでした。
 うつくしいものを注がれ、うつくしくないものは取り去られました。けろけろけろっぴのマグカップ。みんなと同じイオンのランドセル。仮面ライダーの変身ベルト。欲しかったけど買ってもらえなかったものたち。母は僕の持ち物だけでなく、まだ子どもで、友達と同じものばかり欲しがる僕の感性も完全にコントロールしようとしていました。

『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』所収、「うつくしい家」より

 
この短編集の短編それぞれの主人公たちは、「東京をやっていこうとしている」という言葉があてはまるだけではない。彼/彼女らは東京という物語を生きようとし、それが上手くいっていない。そして自分の物語を生きているという感覚がどこか薄い。
 
引用の人物などは、当人の人生に親の願いが覆いかぶさり、それが人生に染みついていてとれなくなっている。しかし同短編集で描かれているのは親の願いばかりではない。生まれた土地や継承した遺伝的形質、そういったものも自分の人生を生きることを困難にしているようにみえる。それとも、自分にはないものを持った他者を羨むあの目線。誰かをロールモデルとし、そのロールモデルに沿った価値観を内面化すること自体は構わない。しかし自分が幸福になれっこないような誰かをロールモデルとし、そのロールモデルを羨望したり嫉視したりして生きるのはいったい誰のための人生なのだろう。
 
そうしたわけで『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』には、自分の物語を生きている主人公がいないようにもみえる。主人公たちは、他人のことをよく見ていて、他人を見上げたり見下したりしている。自分自身のことも冷ややかに見ている……ようにみえるが、実際のところ、この登場人物たちは自分自身が本当に欲しいものがなんなのか、目星がつけられていないようにもみえる。「東京」をやっていく能力や背景が足りなかったのが表向きの躓きにみえて、実のところ、自分の物語、自分の執着についてこの人たちは把握できていないのではないだろうか。その結果として、東京という物語に人生を乗っ取られたマリオネットのように欲しがり、行動してしまう。
 
他人をじろじろ見るばかりで、「東京」という物語に人生を乗っ取られたかのような人物は、現実にも案外存在する。もちろん『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』の登場人物たちほど甚だしいことは稀だが、自分の物語がみえなくなって東京という物語に乗っ取られたような、それか東京という物語に依存しているような状況は珍しくない。そうした人々のすがる東京という物語にもさまざまなバリエーションがある。港区だけがその舞台なわけでもない。中央線沿線、小田急沿線でもそれは起こり得る。
 
 自分の物語をどうやって確保すればいいのか

 人間は社会的生物だから、ある程度までは社会や世間の物語を、他人の物語を生きてみたってかまわない、と私は思う。タワマンに夢を託したり、東京ならではの活動にアイデンティティの置きどころを見出したりするのも人生だ。それで自分の人生の物語を上手につくっている人などごまんといる。
 
しかし自分の物語ががらんどうのまま、東京という大きすぎる物語を生きる時、人という器は壊れてしまいやすいのだろうとも私は思う。人によっては「人という器が先に壊れていたのでしかない」と指摘するだろうし、そういう事例もあるだろうけど、皆が皆、そうというわけでもあるまい。なぜなら大学進学や就職あたりまでの時期は、自分の物語が自分でもわからなくなりやすく、社会や世間や他人の物語をレンタルせずにいられない時期でもあるからだ。
 
もし、そうした多感で曖昧な時期を東京で過ごすとして、東京の物語のマリオネットにならないためには何が必要なのだろう?
 
強いエゴパワーがあればいいのかもしれない。自分がどう生きたいのか見えていたらいいのかもしれない。もっと間近で尊敬に値する人生のロールモデルとの縁があればいいのかもしれない。それとも友達関係こそ、東京という物語を直視しすぎないために必要な秘訣だろうか。
 
わからない。
しかし間違いなく言えるのは、東京というあまりにも大きい街の、あまりにも大きすぎる物語に真正面から対峙するのはなかなか大変だということだ。東京という物語に過剰適応し、自分という物語を見失ってはならない。東京という物語に飲み込まれないまま東京に住んでいる人たちにとって、それは呼吸するのと同じぐらい簡単なことと思えるかもしれない。が、そうでない人にはまったく難しいことなのだろう。
 
シロクマ (id:p_shirokuma) 16時間前 』

北朝鮮、米韓へ「圧倒的行動」 米司令官の撃墜予告に反発、警告

北朝鮮、米韓へ「圧倒的行動」 米司令官の撃墜予告に反発、警告
https://www.47news.jp/world/9027405.html

『【北京共同】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は7日、朝鮮中央通信を通じて出した談話で、米韓の言動を注視しており「いつでも圧倒的な行動に移れる準備態勢を取っている」と警告した。

 北朝鮮がICBMを太平洋に向けて発射すれば撃墜するとの米インド太平洋軍司令官の発言を6日に韓国メディアが伝えている。談話はこれに反発し、米国がこうしたことを行えば「明白な宣戦布告」と見なすと表明した。

 一方、北朝鮮外務省は6日付の談話で、米国のB52戦略爆撃機が6日に朝鮮半島に飛来し、米韓が合同訓練を行ったと指摘し「米国の核使用の企てが実戦水準で推進されている」と非難した。』

対中競争「衝突望まず」 米、冷静対応呼びかけ

対中競争「衝突望まず」 米、冷静対応呼びかけ
https://www.47news.jp/world/9031409.html

『【ワシントン共同】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は7日のオンライン記者会見で、中国の秦剛外相が米国の対中政策を批判したことについて「中国とは戦略的な競争をするが、衝突は望んでいない」と強調した。「米中関係は緊張しているが、うまくやっていけるはずだ」と述べ、中国に冷静な対応を呼びかけた。

 秦氏は北京で開催中の全国人民代表大会(全人代)での7日の記者会見で、対抗姿勢を強める米国の対中政策は「理性的で健全な軌道を完全に外れている」と非難。米国がブレーキをかけなければ「衝突に陥るのは避けられない」と警告していた。』

ブレジネフ・ドクトリン

ブレジネフ・ドクトリン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%B6%E9%99%90%E4%B8%BB%E6%A8%A9%E8%AB%96

『出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

制限主権論(せいげんしゅけんろん;ロシア語 Доктрина ограниченного суверенитета、英語 The doctrine of limited sovereignty[1])とは、1968年にソビエト連邦の主導するワルシャワ条約機構軍がチェコスロバキアに対する軍事介入(プラハの春事件)を正当化するために持ち出した論理であり、「社会主義陣営全体の利益の為には、そのうち一国の主権を制限しても構わない」という考え方のことである[2]。

すなわち、内政不干渉の原則(1648年のウェストファリア条約に遡り、1945年の国連憲章第2条第7項[3]でも再確認された)を尊重しつつも、社会主義陣営全体の利益の護持を目的とする場合に限っては例外的に武力介入を伴う内政干渉が許容される、という論理である。

この時のソ連指導者レオニード・ブレジネフの名前からブレジネフ・ドクトリン、ブレジネフ教義(ロシア語 Доктрина Брежнева、英語 The Brezhnev Doctrine)とも称される。1979年のアフガニスタンへの侵攻でもこの論理が用いられた。

やがて1980年代後半に入り、ミハイル・ゴルバチョフが新思考外交を展開するなか、新ベオグラード宣言で制限主権論を否定し、東欧各国の自主性を認めた。

これはフランク・シナトラの曲「マイ・ウェイ」にちなんでシナトラ・ドクトリンと言われることもある。これによって東欧諸国はソ連からの干渉を気にせずに共産党体制の改革を進めることができ、やがて体制転換をもたらした東欧革命につながった。

人道的介入との比較

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この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。
出典検索?: “制限主権論” ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2022年10月)

「内政不干渉の原則を尊重しつつも、人道的な保護を目的とする場合に限っては例外的に武力介入を伴う内政干渉が許容される」とする立場の人道的介入は、各国の主権を差し置いて別の何かを優先する論理であるという文脈において、制限主権論と軌を一にする。

プラハの春事件における制限主権論と同様、人道的介入という理論は、当事国政府に対する事前許可を得ない武力介入を正当化した。

具体的に、1990年代の北大西洋条約機構軍によるユーゴスラビア紛争への武力介入、2011年のリビア内戦への保護する責任の適用、2011年に始まったシリア内戦のうちシリア政府の事前許可を得ていない有志連合の軍事介入、などが挙げられる。

出典・脚注

^ 例えば、Alfred D. Low “The Sino-Soviet Dispute: An Analysis of the Polemics” (1976) p.249 l.11 (英語)
^ 。例えば、『城西現代政策研究 第1巻 第1号』(2007年3月)に森田昌幸教授が寄稿した論文 「到来の国際政治を模索して」
^ Charter of the United Nations, Chapter I: Purposes and Principles (英語)、正文ではない日本語の参考訳として 国際連合憲章

関連項目

神聖同盟
社会帝国主義 』

中国の統治機構とは 共産党がすべてを指導

中国の統治機構とは 共産党がすべてを指導
きょうのことば
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM076DE0X00C23A3000000/

『▼中国の統治機構 中国を統治する中国共産党は、憲法で国家を指導する存在と規定される唯一の政党だ。共産党は企業や学校、病院などで共産党員が3人以上いる場合に末端組織を置き、党が指導する体制を敷く。人民解放軍も共産党が設立した軍隊で、党が指揮・指導する。

習近平(シー・ジンピン)国家主席(総書記)はかねて「東西南北中すべてを党が指導する」と述べてきた。指導体制や基本方針を決める最高の意思決定機関が5年に1度開く中国共産党大会だ。党幹部に相当する約200人の中央委員の選出や党規約の改正、重要政策などを議論する。

国会に相当する立法機関の機能をもつのが毎年3月に開かれる全国人民代表大会(全人代)だ。法律の制定や改正を担う。行政機関の国務院(政府)が政策を執行する。司法機関は最高人民法院、高級人民法院、中級人民法院に分かれ、民事事件や刑事事件を扱う。日本のように立法・行政・司法による三権分立ではなく、実際は共産党がすべてを統治している。

【関連記事】

・中国が統制強化へ 治安・金融・ハイテクを共産党直轄に
・中国株減速、投信流出2年半ぶり規模 全人代評価は二分
・中国、米の金融制裁警戒 台湾有事にらみ監督強化 』

ドイツ、5G通信網でファーウェイ排除 安全保障で脱中国

ドイツ、5G通信網でファーウェイ排除 安全保障で脱中国
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07DIE0X00C23A3000000/?type=my#AAAUAgAAMA

 ※ 経済的利益と安全保障が衝突すれば、安全保障が優先される…。

『【フランクフルト=林英樹】ドイツ政府は高速通信規格「5G」の通信網から中国の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の排除を検討している。独経済紙ハンデルスブラットなどが報じた。米国のほか、欧州では北欧や英国などがすでに中国勢の排除を進めている。約6割の通信機器を中国製に頼っているドイツもようやく安全保障から脱中国にかじを切る。

独政府は特定の企業が外国政府によって直接、間接的に管理されてい…

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『独政府は特定の企業が外国政府によって直接、間接的に管理されていると認定できた場合、同企業からの機器供給を禁止する措置の導入を検討している。企業名などは特定していないものの、実質的にファーウェイの締め出しを念頭に置いているようだ。』

『2023年夏までに手続きを改め、ドイツテレコムやボーダフォンなど通信大手に機器の供給元の切り替えなどを求めていく。デンマークの調査会社ストランド・コンサルトによると、ドイツで普及する中国製機器の比率は、通信規格「4G」の通信網で57%(2020年時点)、5G通信網では59%(22年時点)に上昇した。

独紙によると、中国勢の排除は今後の新規投資計画だけでなく、既存の通信網も対象になる可能性がある。その場合、通信大手は多額の切り替えコストを負担することになる。』
『英国では20年7月、米国に歩調をあわせ、ファーウェイ製品を27年末までに排除する方針を決定。22年10月には英国内の通信35社に対し、5G向け設備からの排除に関する指示書を送付した。スウェーデンやノルウェーなど北欧各国は先行しており、4Gで5〜8割だった中国製比率が5Gでは軒並みゼロになっている。

ドイツは機械や自動車など主要産業で中国市場への依存度が高く、同国政府はこれまでファーウェイ排除に消極的だった。』

「天の眼は見てる」凄みある李克強・中国首相最後の挨拶

「天の眼は見てる」凄みある李克強・中国首相最後の挨拶
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK060M40W3A300C2000000/

『新たな中国国務院総理(首相)が誕生する今回の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕する直前、ものすごい勢いで中国内外に拡散した「問題映像」がある。国営中国中央テレビは、現時点でその重要場面を放送していない。いや、できないのだ。

それは、退任する首相、李克強(リー・クォーチャン、67)が、国務院弁公室を中心とする政府幹部ら800人に別れを告げる挨拶の言葉だ。そのなかに、解釈次第では共産党総書…

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『「人が何をしているのか、天は(きちんと)見ている。蒼天(そうてん)には眼があるのだ」。拡散され、一部は消去されてしまった多くの映像の場面などを丁寧に拾い、つなぎ合わせると、李克強がこう言っているのは間違いない。

凄(すご)みがある。強い意志を感じる意味深な言葉だ。これは文脈上、10年にわたって自分を支えてくれた国務院幹部の面々に向けられている。表だって評価されることがなくても、その素晴らしい働きぶりを天、つまり天帝だけは見ていたはずだから、今後も次期首相の下で精勤してほしいという大意になる。』

『中南海の内部は、大きく南と北に分かれている。南にある「南院」は、習をトップとする共産党の中央組織の拠点だ。北に位置する「北院」は、李克強が仕切った国務院系の主要な執務地である。

長い間、微妙な関係にあった「南」と「北」だが、2012年に習時代に入ってからは、徐々に南院が強くなっていった。構図が完全に固まったのは16年だ。そこには、李克強最後の言葉を他の副首相らとともに聞いていた習の側近、劉鶴(リュウ・ハァ、71)も一役、買っていた。

当時、共産党機関紙である人民日報の1面に「権威人士」を名乗る劉鶴が唐突に論文を発表した。李克強が主導する経済刺激策「リコノミクス」を暗に批判した筆致は鋭く、国務院には衝撃が走った。

この動きは、北院に陣取る李克強の国務院の勢力を削ぎ、南院の習による集権に大きく寄与する。その後、一時、世界から注目された「リコノミクス」は完全な死語となったのである。

それでも李克強は、最後に国務院で重要政策づくりを担う人々をたたえた。そして「人民の声」「人民の力」にも繰り返し言及したという。それを重んじるべきだという意味であろう。』

『政治の主役であるべき一般の中国国民を意味する「人民」から本当の声を聞き、それをくみ取りながら実際の政策に反映させるのは、伝統的な政府機関である国務院にとって最も重要な役割だ。

昨今の動きは、その伝統を無視し、全てを習が仕切る党中央に権限を集中させている。かつてない「極権」の体制が出来上がりつつある。李克強の言葉は、伝統無視に対して懐疑的な視線を向けているようにみえる。』

『天(帝)は、東洋思想の鍵となる概念のひとつで、人の上にある存在、人を超えた存在を指す。中国で「天は見ているぞ」という言葉は、一般的に「見られているのだから、悪いことをしてはいけない」という意味だ。では、いったい誰が悪いことをしているのか。解釈は様々である。

李克強がお別れのあいさつをした現場で、スマートフォンなどで撮られた複数のバージョンの映像が、中国内ばかりではなく世界中に、ものすごい勢いで拡散していったのはなぜなのか。

国務院幹部800人の中にいた李克強に心酔している「有志の人物」が、この最後の勇気ある言葉を伝えたかったからだろう。李は副首相時代を含めれば、15年もの長きにわたって国務院がある南院で真摯に仕事に励んできた。いわゆる「ファン」が数多くいるのは自然なことだ。彼らは李克強の退任を惜しんでいるのだ。』

『李克強が「天には眼があり、ちゃんと見ているぞ」という趣旨の言葉を放ったまさにその日、因果な出来事があった。国営中国中央テレビは、夜のメインニュースでこれまた意味深な原稿を読み上げたのだ。

国務院を含む全機関の党組織の政治的なトップを意味する書記らが、こぞって習に対して「書面による職務報告」をしたという内容だ。習時代以前には考えられなかった権力集中を担保する仕組みである。そのニュースは最後にこう強調した。

「習近平同志を核心とする党中央の権威と集中統一指導を断固として維持し、全党の統一意思、統一行動を確保する」。象徴しているのは、習が仕切る党中央への権力集中の完成だ。あまりにタイミングが良い。』

『李克強が去り、習側近の李強(リー・チャン、63)が新たな首相に就けば、国務院の権限低下はさらに明確になる。いま全人代で議論中の「党と国家の機構改革」もこれに拍車をかける。この結果、何が起きるのか。

「これまでは習と李の方向性の微妙な違いが、政策実行の際、障害になっていたが、これからは、完全な党主導の政策決定と実行になるのは間違いない。北院(国務院)が、南院(党中央)に全て従う手法で、党と政府の一致がはかられるなら、全てうまくいく。効率がよくなるからだ」

ある共産党関係者は、手放しで現在進行中の権力集中を評価する。だが、本当にそうだろうか。一見、論理的に筋が通っているようにみえるが、見落とされている重要な点がある。』

『国民生活を重視したきめ細かい政策づくりには、地方政府やシンクタンクなどから上がってくる正反対に近い様々な意見を中央でもみながら、裏で侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をする過程が重要である。今後は、この大切な過程が飛ばされる可能性が高い。
とりわけ、地方政府は皆、党中央を仕切る習の顔色ばかり気にするようになっている。身を守るには、本心を隠し、異論を差し挟まないのが一番だ。すでにこの傾向は鮮明で、これからさらに強まるのは明らかだ。

国務院を支えてきた劉鶴のほか、若手のホープといわれた胡春華(フー・チュンホア、59)といった副首相は皆、去り、新たにやってくる李強は、副首相として中央政府を動かした経験さえ持っていない。』

『李克強は、この5年、中国と米国との間で先鋭化した貿易戦争の激化を心配し、様々な対策を打ってきた。だが、米中関係は、安全保障面の確執からさらに悪化するばかりで、国内経済対策の効果は十分にあらわれていない。』

『20年から中国でまん延した新型コロナウイルス感染症が今なお、終わっていないことにも心を痛めている。習を核心とする党中央は「コロナへの勝利」を既に宣言している。だが、末端の厳しい状況を細かく知る李克強の認識は違うようだ。それは、国務院幹部へのお別れの言葉にもにじんでいたとされる。

5日の全人代開幕式での最後の公式演説を終えた李克強と習は、握手をした。極めて珍しい場面である。いろいろなことがあったにせよ、10年にわたってコンビを組んできた李克強が去るに当たって、習が慰労するのは当然と言えば当然だ。

習との握手の際、退任する首相の胸中は、いかなるものだったのか。この3日ほど前に中南海で「天の眼は、人が何をしているのか見ている」と最後の挨拶をした李克強の言葉の本当の意味を改めて考えざるをえない。(敬称略)』

『中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。』

「中国から資金持ち出せず」、著名投資家モビアス氏の発言が拡散

「中国から資金持ち出せず」、著名投資家モビアス氏の発言が拡散
https://jp.reuters.com/article/china-outflows-mobius-idJPKBN2V8008

『2023年3月6日9:08 午前Updated 2日前

[上海 5日 ロイター] – モビアス・キャピタル・パートナーズの創設者として知られる著名投資家のマーク・モビアス氏はこのほど、FOXビジネスとのインタビューで、中国の資本規制のために資金を国外に持ち出すことができないと述べ、政府の管理が厳しい経済への投資について「非常に、非常に慎重に」なるよう投資家に注意を促した。

2日に公表されたインタビュー内容によると、モビアス氏は「私は上海のHSBCに口座を持っている。お金を引き出すことができない。政府は国外への資金流出を制限している」と指摘。「なぜこんなことをするのか説明が得られない。彼らはあらゆる種類の障壁を設けている。彼らは『お金を出すことはできない』とは言わない。しかし、彼らは『どうやってこのお金を稼いだのか、20年分の記録を全部出せ』と言うのだ。これはクレイジーだ」と述べた。

同氏のコメントは週末に中国のソーシャルメディア「微信(ウィーチャット)」で拡散された。

モビアス氏は「現在、中国政府は全土の企業で黄金株を保有している。つまり、彼らは全ての企業を支配しようとしている。政府が経済においてますます支配志向を強めているのを見るのはあまり良い事とは思わない」と語った。』

台湾へ接近する欧州 歴史的転機となった「蔡・パヴェル」対談

台湾へ接近する欧州 歴史的転機となった「蔡・パヴェル」対談
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/29608

『2023年2月2日付の台湾英字紙Taipei Timesの社説が、蔡英文総統とチェコのパヴェル次期大統領との電話会談は、中国が唱える「一つの中国」の原則と他の国々の「一つの中国」政策の違いが明確化していく文脈において重要である、と指摘している。

 蔡英文総統は1月30日、チェコの大統領に選出されたペトロ・パヴェルと電話会談を実施した。これは台湾の「外交クーデター」とみなされている。台湾とチェコとの間に正式な外交関係はない。それゆえ、総統と次期大統領との会話は重要である。

 これは2016年12月2日のトランプ次期大統領(当時)と蔡英文との電話会談と比較される。当時、多くの者は、トランプが祝福の電話を受け取ったのは、彼の無知または性格ゆえだとした。しかし、高碩泰・前駐米代表は、トランプとの電話は偶然ではなく、駐米台北経済文化代表処(大使館に相当)の1 年にわたる準備の結果だと言っている。1979年以来初めてとなる米次期大統領と台湾総統との接触は「外交クーデター」であり、当然、中国は快く思わなかった。

 パヴェル次期大統領は、昨年2月のウクライナ侵攻まで中露との友好関係を促進していたゼマン現大統領より西側民主主義諸国と積極的連携をすると約束している。欧州連合(EU)は最近、親台湾をより明確にするようになっている。パヴェルが蔡と直接対話したのは欧州国家元首としては初めてである点は注目に値する。

 パヴェルは、チェコは主権国家であり自ら正しいと信じることをなし得ると述べた。電話の中でパヴェルは、あらゆる分野における台湾との協力強化への関心を表明した。同氏が、チェコの「一つの中国」政策は、中台に同時に接するに際して矛盾なく大きな柔軟性を認めるという「二制度」の原則により補完されねばならないと述べたことも重要である。

*    *    *

 1月30日、蔡英文総統はチェコのピーター・パヴェル次期大統領と電話会談を行った。Taipei Time 社説はこれを「外交上のクーデター」に等しいと述べている。「外交上のクーデター」という表現はやや大げさだが、欧州の国家元首と台湾総統との初の直接対話の実現は、台湾にとって一大快挙であることは間違いないであろう。

 EU諸国は最近、親台湾をより明確にしつつある。特にウクライナ侵略が始まってから、自由・民主・人権尊重の価値観を共有する台湾への親近感が強まりつつあるように見受けられる。

 振り返ってみれば、2016年12月、大統領に就任することとなったトランプと蔡英文総統は電話会談を行い、蔡が祝意を述べたことが思い起こされる。この時、トランプが電話会談に応じたのは、「偶然の事故」のようなものとも言われたが、実際には、在米台湾代表処が約1年間にわたって米国側に働きかけた結果実現したものであったことは、周知の事実である。』

『パヴェルは、前任のチェコ大統領ゼマンに比べ、はるかに強く西側民主主義国家間の連携を進めようとしているようだ。パヴェルによれば、台湾は中国の言う「一つの中国の原則」ではなく、「二つのシステムの原則」に基づき中台関係を処理すればよい、ということになる。予想通り、蔡・パヴェルの電話会談に対し中国は「一つの中国の原則」に違反するとして強硬に抗議した。

来年に迫る台湾総統選の行方

 このようなEUの動きに対し、台湾の人々はどのように反応し、それが来年初めの台湾総統選挙にどう反映されるのだろうか。中国で新しく台湾事務弁公室(中国政府で台湾政策を担当)の主任に就任した宋涛は、台湾最大野党・国民党の夏立言・副主席を招き、近く中国国内で会談すると伝えられている。

 中国としては、蔡英文・民進党政権とは、事実上、対話が途絶えているので、代わりに、中国共産党に対しやや宥和的立場をとる国民党の副主席を招致し、「一つの中国の原則」に基づき、台湾問題を話し合おうということなのであろう。

 民進党側では、統一地方選挙に敗北したことを受け、蘇貞昌・行政院長(事実上の首相)が辞任し、後任に陳建仁・元副総統を選出した。新たな総統候補には、頼清徳・副総統が選ばれ、来年の総統選挙に向けた民進党の新しい布陣が決定した。やがて国民党側からも総統候補が選ばれるであろう。今から1年間、民進党、国民党ともにいかに支持者を集めることができるか、台湾の今後の行方を大きく左右する総統選挙が展開されることとなる。

 なお、最近のチェコと台湾との関係において、見落とせない一つの事実を付言しておきたい。2020年8月末から9月にかけて、チェコのビストルチル上院議長率いる政治家、財界人ら約90名かが台湾を訪問した際、立法院での演説においてビストルチルは「私は台湾人である」と発言した(これは、1963年のケネディ大統領のベルリンでの演説に倣った表現である)。

 台湾と外交関係のない国の議長が立法院で演説したのは初めてのことであったし、その中で「私は台湾人である」との発言を行ったことは、特筆すべきことであったと言わざるを得ない。』

レフチェンコ事件

レフチェンコ事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%95%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 ※ リアル・エージェント トラステッド・コンタクト フレンドリー・コンタクト デベロピング・コンタクト …。

 ※ そういうヤツらが、ウヨウヨしているわけだ…。

 ※ オレがいつも言っている、「メディアの素性を、調べて、確認しろ。」とは、そーゆーこと…。

『レフチェンコ事件(レフチェンコじけん)は、ソ連国家保安委員会(KGB)の少佐、スタニスラフ・レフチェンコが日本国内での諜報活動・間接侵略(シャープパワー)を暴露した事件。レフチェンコは1982年7月14日に米下院情報特別委員会の秘密聴聞会で工作活動を暴露。国内外に大きな衝撃を与えた。

経緯

亡命

詳細は「スタニスラフ・レフチェンコ」を参照

レフチェンコはモスクワ大学東洋学研究所卒業後、漁業研究所を経てKGB入り。日本語課程などを経て1975年2月にKGB東京代表部に赴任。表向きの役職はソ連の国際問題週刊誌ノーボエ・ブレーミャの東京特派員であった。KGB東京代表部ではPR班員として積極工作(アクティブメジャーズ)に従事し、亡命直前はPR班長代理として5人の要員を使っていた。

1979年10月24日にアメリカに政治亡命した。夫人を東京に、子供一人をソ連に残したままだった。

暴露

1982年7月14日に米下院情報特別委員会(エドワード・ボーランド委員長)の秘密聴聞会で対日積極工作を暴露した。その証言内容は同年12月2日に日本国内に伝えられ、同月9日に情報特別委の報告書「ソ連の積極工作」として関係資料と共に公表された。また、同年12月10日にはレフチェンコ自身がワシントンで記者会見をしたほか[1]、アメリカのKGB研究家でリーダーズ・ダイジェスト編集委員ジョン・バロン記者により、同証言をもとに「今日のKGB―隠された魔手」が1983年5月に出版された。

レフチェンコは1981年8月に行われたソ連軍事裁判所での欠席裁判で重反逆罪による死刑を宣告されたが、1989年にアメリカ国籍を取得している。

事件の背景

ソ連はセミパラチンスクにおける核実験を皮切りに、ノヴァヤゼムリャにおける世界最強の核爆弾ツァーリ・ボンバの実験を行うなど積極的な核開発をすすめた(マヤーク核技術施設も参照)。また、世界最大を誇る核兵器保有数と兵力を背景に、東ヨーロッパの民主化運動(ハンガリー動乱やプラハの春)を武力で弾圧したほか、キューバ危機による第三次世界大戦や核戦争の可能性や緊張の高まりが国際社会を震撼させた。さらにアフガニスタン侵攻に起因する西側諸国のモスクワ五輪ボイコットを招いた覇権主義国かつ軍事大国であった。

「対日有害活動#ロシアによる工作」、「扇動」、および「分断工作」も参照

戦前戦中にはゾルゲ諜報団・尾崎秀実らがスパイ活動や政策誘導を行い検挙された事件に加え、ソ連の対日参戦や終戦後のシベリア抑留などソ連による国際法(日ソ中立条約およびポツダム宣言)違反もあり、日本国内で対ソ感情は悪化した。その後も、ラストヴォロフ事件のほか、背乗りやレポ船によるスパイの日本国内への潜入、浸透工作や数々の防衛秘密の漏洩、安保闘争や労働争議を扇動し分断工作に利用、すでに公開スケジュールが発表されていた映画の上映に対する圧力や干渉など、ソ連による間接侵略は戦後も盛んに行われていた。

また、レフチェンコ事件と前後してベレンコ中尉亡命事件や大韓航空機撃墜事件なども発生していた。

証言内容

レフチェンコの活動

「ヒューミント」、「獲得工作」、「偏向報道」、「心理戦」、「間接侵略」、および「シャープパワー」も参照

レフチェンコが在日中に担当したのは積極工作部門。政界や財界、マスコミ関係者と接触し、北方領土問題を抱え米国と同盟関係にある日本の世論や政策が親ソ的なものとなるように仕向け、最終的には日米関係を損なわせること(離間工作)などを目的に、懐柔した日本人協力者を利用して様々な謀略活動を行っていた[1]。また、反ソ的な過激派の京浜安保共闘やML派などと思想的に近かった中国と距離を置くよう中立化させることも目的とされた。

エージェントの分類

「諜報#諜報におけるエージェント」、「スパイ#分類」、および「スパイ技術#エージェント獲得」も参照

KGB内部では積極工作の協力者のことを「エージェント」と呼び、以下4つの分類があった。レフチェンコの東京駐在時代には少なくとも200人の日本人がKGBエージェントとされていた。

リアル・エージェント

完全にKGBのコントロール下にある人物。

トラステッド・コンタクト

「信頼すべき人物」。政界、財界、学会、マスコミに影響力を持ち、KGBに協力していることを承知で各種情報をソ連側に提供したり、国内に逆情報を流す人物。

フレンドリー・コンタクト

「友好的人物」。現段階では本格的な協力者ではないが、ジャーナリストやビジネスマンを装うKGB将校と友人関係にある人物。

デベロピング・コンタクト

「脈のある人物」。KGBが何回か接触した結果、有望と判断した人物。

表話編歴

ロシアの旗 ロシアの諜報機関

レフチェンコのエージェント

レフチェンコは10人前後の日本人をエージェントとして直接操り、代価も支払っていた。

そのエージェントとして実名の9人を含め計33人のコードネームを明らかにした。

実名を挙げてエージェントとされたのは、「フーバー」こと石田博英(元労働大臣)、「ギャバー」こと勝間田清一(元日本社会党委員長)、「グレース」こと伊藤茂と「ウラノフ」こと上田卓三の両社会党代議士、「カント」こと山根卓二(サンケイ新聞編集局次長)、「クラスノフ」こと瀬島龍三(伊藤忠商事会長)、「ムーヒン」こと三浦甲子二(朝日新聞)など(肩書きはいずれも1979年当時)。

「ミトロヒン文書#日本に対する諜報活動」も参照

9人の日本人はいずれも「事実無根」「身に覚えがない」などと疑惑を否定した。

渡辺(邉)恒雄読売新聞論説委員長は、レフチェンコ事件の協力者リストに読売新聞記者の名が挙げられた折、本人を呼んで尋問したが、「スパイ協力行為はやっていない」と本人は証言した。

それからしばらくしたある日、渡辺が首相官邸に赴いた際、当時の後藤田正晴官房長官が「きみの社のあの記者は、ソ連のスパイ協力者だから解雇しろ」と詰め寄った。渡辺は後藤田のその物言いにカッとなり、「政府の人間が我が社の社員を解雇しろなんて、命令するのは無礼じゃないか」と言い放つと、後藤田はレフチェンコの自白を基にCIAや日本の公安当局がまとめた、コードネームは記載されているものの実名は出ていない一覧表を渡辺に示し、「おまえのとこの記者はこれに該当するんだ」と怒鳴った[2]。それを受け、渡辺が「内政干渉だ」と言うと、後藤田は今度「お前は政府に喧嘩を売る気か」と罵った。

渡辺は頭にきて、首相執務室に飛び込み、たまたま一人でいた中曽根康弘首相に後藤田とやり合ってきたこと話すと、中曽根は、執務室の机の引き出しの中から書類を持ってきて渡辺に、「これは、私と官房長官しか持っていないものです。どうぞご覧ください」とだけ告げた。それを見ると、コードネームに全部実名がついており、国会議員を含め新聞社もほとんど各社の人間が絡んでいるのが分かった。渡辺はすべてを悟ると「わかりました。僕の負けです」とだけ言ってその場から離れた[2]。

リストに挙げられたこの記者について、渡辺は特定秘密保護法に関する有識者会議の座長を務めた際、「政府の言うとおり処分したと思われないよう、時期をおいてから異動させた」と発言している[3]。

コードネームだけのエージェントのなかには、マスコミ関係者や大学教授、財界の実力者、外務省職員や内閣情報調査室関係者などが含まれていた。

「日本対外文化協会」も参照

また、エージェントと接触するKGB側の工作員として、イワン・コワレンコ元KGB中佐・当時ソ連共産党中央委国際部次長、イェローヒン、グリヤノフ両KGB東京駐在部長(1975 – 79年当時)ら8人の名前を挙げた。

「スパイ#ソ連・ロシア」も参照

表話編歴

ソビエト連邦のスパイ

一方で、日本人協力者は積極的にソ連の指示に従って対日工作に協力していた者だけではなく、ソ連の術中に嵌って無自覚に謀略に協力していた者も含まれる[1]。

スパイの暗号名

代表的な暗号名一覧[4] 暗号名 職業・肩書

アトス  「社会主義協会事務局長」

アレス  「共同通信社勤務。公安関係の友人から膨大な秘密情報を入手し、KGBに渡していた。〝情報の宝庫〟と呼ばれていた人物」

ウラノフ  「社会党国会議員」

カミュ  「東京新聞の記者で韓国問題のスペシャリスト」

カメネフ
カント  「サンケイ新聞編集局次長。社長と親しい」

ギャバー  「社会党中道派のベテラン指導者」

キング  「社会党の有力なリーダーで国会議員。レフチェンコから選挙資金を受取った」

クラスノフ  「財界と実業界で著名な人物で、日本のビジネス・リーダーの間に逆情報を流しうる」

グレース  「社会党国会議員で党中央執行委員会の重要なメンバー」

サンドミー  「日本対外文化協会事務局長」

シュバイク  「アレスの友人の公安関係者。アレスに渡した情報の中には、公安当局が作成したレフチェンコの身上調書の抄訳のコピーも含まれていた」

ズム  「ウラノフの優れた秘書」

ツナミ   「億万長者で財界の実力者。ソ連の影響力が日本の財界や実業界に及ぶのを助けている」

ティーバー  「社会党員で党の政策に影響力を持つ」

デービー  「サンケイ新聞東京版勤務。カントを〝補強〟しうる人物」

ドクター   「経済的に苦しいフリーのジャーナリストで熱狂的マルキスト。以前は共産党員。事務所、家屋、接触予定地点を撮影するなどして、KGBの工作活動に不可欠な、秘密のバックアップ活動を展開した」

トマス  「一流新聞のベテラン・ジャーナリストで、レフチェンコの執筆依頼に応じていた」

ナザール  「外務省職員。各国の日本大使館から発信された通信文を同省の電信課で入手し、撮影もしくはコピーして、自分のケース・オフィサー(KGBの担当官)に渡していた」

バッシン 「ジャーナリストでニューズレターの編集者」

フェン・フォーキング  「自民党の党員で、党内の一派閥の指導陣に影響を及ぼしうる人物」

フーバー 「自民党国会議員。元労働大臣で日ソ友好議員連盟会長」

マスロフ  「内閣調査室関係者で中国問題のアナリスト」

ムーヒン 「テレビ朝日の役員」

ヤマモト  「インテリのエージェントより成るグループの指導者で大学教授。学会で活発に活動中で、ソ連の意思に従った各種著作物を発表している」

ラムセス  「社会党党員」

積極工作の具体例

レフチェンコは具体的な積極工作の例をいくつか挙げた。

1976年1月の周恩来中国首相の死亡後にサンケイ新聞が同月23日付朝刊「今日のレポート」欄で、ある筋の情報として紹介した周首相の遺言とされる文書がKGBの工作だった。
「ミトロヒン文書#大手メディアに対する工作」、「情報操作」、「フェイクニュース」、および「プロパガンダ」も参照

外務省の「ナザール」「レンゴー」が秘密公電のコピーなどを大量に提供していた。
公安関係者の「シュバイク」がマスコミ関係者の「アレス」を通じて公安情報を流していた。

日本の防諜体制の弱さに対する指摘

レフチェンコは証言の中で、「日本人の大半がソ連の対日諜報謀略工作の実態や目的について驚くほど無頓着。KGBによる対日工作は執拗かつ周到に行われている。日本には防諜法も国家機密保護法もないため、政府が外国諜報機関の活動に効果的に対処できず、日本人協力者に対して打つ手も限られている」と日本の防諜体制の弱さを指摘した。

「防諜」、「情報漏洩」、および「日経新聞記者北朝鮮拘束事件」も参照

外国による世論誘導やスパイ活動に対する危機感が皆無かつ情報管理が杜撰でだらしない日本社会の現状に、時の総理中曽根康弘の口からは「スパイ天国」の言葉が突いて出たという。この事件は、後のスパイ防止法案の審議や特定秘密保護法の制定に大きな影響を与えた。

日本の捜査

「公安警察」および「外務省#関連紛争や諸問題」も参照

警察は1983年3月下旬に警察庁警備局外事課と警視庁公安部外事第一課から2人の係官を渡米させ、極秘裏にレフチェンコの事情聴取を行なった。また、エージェントとされた人物からの聴取を進めるなど事実調査を行なった。

警察庁は同年、日本に対する諜報活動について、「レフチェンコが直接接触していたエージェントは国会議員を含む11人にのぼったが、公訴時効の壁や物的証拠が乏しいなどから捜査の端緒が得られず、刑事事件として立件することは無理」との調査結果を公式な発表とした。

「11人のエージェントにはリアル・エージェントはおらず、せいぜい『信頼すべき人物』以下で、これらの人たちから国益に反する情報が漏れた事実はなかった」と結論付けるとともに、捜査を打ち切ったとされた。

なお、証言内容については、「信憑性が高い」との判断を下した。

秘密公電漏洩という重大な疑惑をもたれた外務省は「ナザール」「レンゴー」と呼ばれる人物の特定など独自の調査を行なったが、同年5月末までに「機密漏洩の事実はない」との結論に達したとされている。

レフチェンコ証言について、産経新聞社は1983年5月24日付朝刊で「レフチェンコ証言は全体として信憑性が高い」と報じた。

また、同年5月25日の衆議院法務委員会で当時警察庁警備局長の山田英雄が玉澤徳一郎の質問に下記答弁した[5]。

警察といたしましては、レフチェンコ証言の内容につきまして犯罪の存否を確認いたしますために、彼が政治工作担当のKGB機関員として直接運営しておった十一名の者につきまして、必要と判断しましたそのうちの数名の人から事情を聴取するなど所要の調査を行ったわけでございます。また、公務員が絡むとされておるケースも二、三ございました。これはレフチェンコ氏が直接取り扱わなかったものでありましても、事柄の性質上、同様に必要な調査を行ったわけでございます。その結果、いずれも捜査の端緒は得られず、立件には至らないという結論に達したわけでございます。

こうしたことは捜査上の課題でございますが、それとは別に、レフチェンコ証言の信憑性について触れますと、同証言において述べられた政治工作活動はいろいろあるわけでございますが、これと、警察はレフチェンコ氏在日中も彼はKGB政治工作担当機関員の容疑ありということで視察しておりましたが、そうしたレフチェンコ視察の結果あるいは他のKGB機関容疑者の視察結果と照合するとき、また裏づけ調査のプロセスで判明したことの結果、そういうものの照合の結果多くの点で一致するところがありますので、その信憑性については全体として高いと判断いたしております。以上が、一昨日調査結果ということで発表いたしました内容でございます。

ソ連の対応

ソ連の法廷は1981年にレフチェンコを「売国者、嘘つき」と徹底的に非難した他、ソ連共産党国際部日本課長のイワン・コワレンコはその著書内でレフチェンコを「精神的に問題がある嘘つき」と非難した。

さらにKGBエージェントのスヴェトラーナ(Svetlana Ogorodnikov)とニコライ(Nikolai Ogorodnikov)はアメリカでレフチェンコを探し出そうとしたが、これらの試みは「リチャード・ミラー・スパイ事件(英語版)(Richard Miller spy case)」で露見することとなった。

脚注
出典
[脚注の使い方]

^ a b c “第97回国会 衆議院 予算委員会 第1号 昭和57年12月13日”. 国会会議録検索システム. 国立国会図書館. 2019年12月21日閲覧。
^ a b 『渡邉恒雄回顧録』p.410 - 411。中公文庫
^ “首相発言を削除 政府の秘密法議事要旨 公開議事録から判明”. 東京新聞. (2014年2月14日). オリジナルの2014年2月22日時点におけるアーカイブ。 2014年2月15日閲覧。
^ Levchenko, Stan (1984). KGB no mita Nihon : Refuchenko kais?roku. T?ky?: Nihon R?d?zu Dajiesutosha. ISBN 4-8213-1020-1. OCLC 34571964
^ 第98回衆議院法務委員会(10号)議事録

参考文献

『時事年鑑1984年版』時事通信社
聞き手御厨貴、伊藤隆、飯尾潤『渡邉恒雄回顧録』中公文庫、2007年。ISBN 9784122048003。元版・中央公論新社、2000年

関連文献

『KGBの見た日本―レフチェンコ回想録』日本リーダーズ・ダイジェスト社 編集部訳・刊、1984年
『レフチェンコは証言する』週刊文春編集部編、文藝春秋、1983年
『ソ連KGBの対日謀略 : 米国下院特別情報委員会レフチェンコ証言の全貌』加瀬英明監修、宮崎正弘訳、山手書房、1983年
宮崎正弘『ソ連スパイの手口 : レフチェンコ事件の読み方』山手書房、1983年
山内智恵子『ミトロヒン文書:KGB工作の近現代史』江崎道朗監修、ワニブックス、2020年

関連項目

スタニスラフ・レフチェンコ
ユーリー・ラストヴォロフ
ソ連国家保安委員会(КГБ、現在のロシア対外情報庁/СВРの前身)
ロシア連邦軍参謀本部情報総局(ГРУ)
ゾルゲ諜報団 - 尾崎秀実
ヴェノナ文書 - ミトロヒン文書
日経新聞記者北朝鮮拘束事件
間接侵略 - シャープパワー - 諜報活動 - 対日有害活動
情報操作 - 偏向報道 - フェイクニュース - プロパガンダ - 扇動 - 分断工作
ハイブリッド戦争 - サイバー戦争
国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案 - 特定秘密の保護に関する法律
ベレンコ中尉亡命事件 - 大韓航空機撃墜事件

外部リンク

第098回国会 衆議院法務委員会 第10号 - 衆議院会議録情報

表話編歴

政府に関する情報漏洩・内部告発
カテゴリ:

諜報工作日ソ関係ロシアの工作活動KGB1982年の日本の事件1982年の国際関係日本の公安1982年7月

最終更新 2023年3月5日 (日) 14:00 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。』

習近平がアメリカを名指し批判して示す、中国経済の新しい方向性

習近平がアメリカを名指し批判して示す、中国経済の新しい方向性
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20230307-00340183

 ※ この記事にある通り、『中国はアメリカにより全方位的に封じ込めを受け、ハイテクに関して次から次へと激しい制裁を受けているが、それでもここまで凄まじい競争力を持っている』ならば、何故にそんなにも、力み返って『全方位から中国を打倒しようとするアメリカとその同盟国を批判・攻撃』するのか…。

 ※ 淡々、粛々と『中華民族の偉大な復興という「中国の夢」を実現』していけばいいだけの話しだろうに…。

 ※ 前にも言ったが、別に他国は、貴国の「発展・復興」に協力しなければならない義務を、負っているものでは無い…。

 ※ 「発展」したければ、ご自由に…。

『3月6日、習近平は全方位から中国を打倒しようとするアメリカとその同盟国を批判し、民間企業を中心に断固経済発展させる決意を示した。事実、デジタル産業を支えるハイテク分野で中国は世界のトップを行っている。

◆アメリカとその同盟国を名指し批判して、習近平が指示した中国経済の方向性

 習近平は3月6日、現在開催中の<全国政治協商会議(全国政協)に参加している「民建、工商聯」界委員の意見を聴取し、「民間企業のハイレベル発展を目指すべきだ」と強調した>。「民建」というのは八大民主党派の一つで全称は「中国民主建国会」。主として経済界の主要人物によって組織された党派だ。全国政教の構成メンバーだ。「工商聯」の全称は「中華全国工商業界聯合会」で、中国の工商業界が組織した民間団体の一つである。統一戦線の一部分も担い、全国政教に参加する多くの民間団体の一つでもある。

 意見聴取をした後に、習近平が述べた主要点をピックアップして示す。

 ●アメリカを中心とする西側諸国は、中国に対して全面的な封じ込め・抑圧を強化しており、わが国の経済発展を阻止するために、あらゆる妨害を試みている。

 ●そうでなくとも、度重なる新型コロナウイルスの流行により経済の下押し圧力の高まりなど、わが国は複数の困難に直面しているが、困難に立ち向かい、冷静に対処し、悪意に満ちた圧力を恐れず、人民が一致団結しなければならない。

 ●民間経済はわが党が長期にわたって全国人民の団結とともに目指してきた「2つの100年」奮闘目標を達成するための非常に重要な力だ。これなくして中華民族の偉大な復興という「中国の夢」を実現することはできない。民間企業の財産権と起業家の権利と利益を保護し、その要件を強化していく。

 ●能力と条件を備えた民間企業は独立したイノベーションを強化し、科学技術の自立自強と科学技術の成果を産業化していく上で、さらに大きな役割を果たしていかなければならない。

◆民間企業に強い次期国務院総理・李強

 日本のメディアでは必死になって経済に強かった李克強が退任するので、中国経済は成長を見込めないという論調が多いが、新チャイナ・セブンの党内序列2位の李強は、実は民間企業に強い。

 浙江省、江蘇省、上海市というのは、中国で名だたる三大ビジネス・エリアだが、拙著『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』の第一章で書いたように、李強はこの三大ビジネス・エリアを軸に動いてきた男だ。

 李克強は河南省や遼寧省といったやや北部に偏った地方政府の省長や書記を歴任したあと、2007年にチャイナ・ナイン(胡錦涛政権の中共中央政治局常務委員9人)入りをした。河南には「南」という文字が付いているので南方への赴任かというとそうでもなく、エイズ村の後始末をさせるために江沢民が押し付けた場所で、遼寧省は石油などの国有企業の根拠地である。

 したがって李克強は国有企業には強いかもしれないが、民間企業には弱い。

 それに比べて李強は、古来より温州商人として知られる浙江省を地盤として力を蓄え、その後、やはり民間企業やイノベーションに長けた江蘇省の書記や中国一の商人の街・上海市の書記を務めている。上海市ではイーロン・マスクを呼び込み、テスラのEV生産の約50%近くを上海工場が担うという外資導入にも力を発揮した。

 習近平が李強を新チャイナ・セブン入りさせたのは、李強の民間企業に強い側面を評価したこともあるにちがいない。

 全人代では、今年はGDP成長率5%を目指すと発表しているが、その多くは民間企業の活性化に負うところが大きい。今後もその傾向は強くなるだろう。

 拙著『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』のp.175に掲載した【図4‐2 中国企業別有効特許の構成】にあるように、特許の79.5%は民間企業によって占められている。国有企業はわずか5.7%だ。その図表を、念のために下記に転載する。

『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』の図表4-2から転載

 習近平政権が国有企業を重視して民間企業を軽視しているという日本のメディアの大合唱とは真逆の現実が中国にはある。

 基礎研究の約80%を民間企業が占めていることを頭に入れた上で、以下の調査結果をご覧いただきたい。

◆重要なテクノロジーのグローバル・レースにおける中国の世界ランキング

 オーストラリアのAustralian Strategic Policy Institute(ASPI)(オーストラリア戦略政策研究所)は、今年3月2日に<重要なテクノロジーの追跡 ―未来の力をめぐるグローバル・レース>という調査結果を発表した。そこでは、経済や安全保障などの基盤を形成する重要な技術の国別競争力のランキングを図表を使って示している。調査項目は44項目にわたり、そのうち37項目に関して中国が世界1位となっている。

 以下、ASPIの結果を日本語に翻訳して紹介したい。

 一番右側の列にある数字は見えにくいと思われるので、少しだけ説明すると、たとえば最初の行「ナノスケール材料と製造」の右端にある「10/10」は、「上位10ヵ国の内、1位の国が占める割合」を示している。これはすなわち、「上位10ヵ国の内、1から10位までが、すべて中国である」ことを意味している。

 次にある数値「8.57」は「1位の国と2位の国の割合」を示しており、この場合は「中国が58.35%であるのに対してアメリカが6.73%でしかないので、中国がアメリカより8.57倍強い」という数値を意味している。

 最右端の列にある「high, medium, low」は、「1位の国の全世界に対する独占率」が「高い、中くらい、低い」の3種類を示している。

 それでは順次掲載しよう。

以上すべてASPIのデータを筆者が和訳して再作成

 冒頭に書いたように、中国はアメリカにより全方位的に封じ込めを受け、ハイテクに関して次から次へと激しい制裁を受けているが、それでもここまで凄まじい競争力を持っている理由は、拙著『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』の第三章で考察した通りだ。特にp.126にある【制裁を受けても「製造大国」になった中国のからくり】に詳述した。p.120に書いた【アメリカの制裁で沈没した日本の半導体】とあわせてご覧いただくと、日本の戦略のなさとアメリカ崇拝と絶対服従がもたらした日本国民への不利益が浮き彫りになると思う。

 中国を考察することにより、日本国民のために、日本政府のあるべき姿を読者とともに考えていきたい。

記事に関する報告

遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(2022年12月中旬発売。PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『「中国製造2025」の衝撃』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

中国外相「日本が新冷戦参加なら古傷に痛み」 米国同調をけん制

中国外相「日本が新冷戦参加なら古傷に痛み」 米国同調をけん制
https://mainichi.jp/articles/20230307/k00/00m/030/212000c

『中国の秦剛(しん・ごう)外相は7日の記者会見で、日中関係について「中国は常に日本に対して善意を持って接しており、善隣友好の関係を望む」と両国関係の改善に前向きな姿勢を示した。1972年の日中共同声明など日中両政府が合意した四つの政治文書に触れ、「互いに脅威とならない」との原則を守るべきだと訴えた。

 秦氏は、「日本の軍国主義はかつて中華民族を深く傷つけ、それは今日に至るまで痛みを伴っている」と歴史問題に言及。「中国を封じ込めるための新冷戦に参加するなら、両国の古傷にまた新たな痛みを加えることになる」と続け、対中圧力を強める米国に同調しないよう求めた。【北京・岡崎英遠】』

中国外相「日本は新冷戦に加わるな」 歴史問題に触れつつ強硬姿勢

中国外相「日本は新冷戦に加わるな」 歴史問題に触れつつ強硬姿勢
https://www.asahi.com/articles/ASR374F01R37UHBI00W.html

『中国の秦剛外相は7日、全国人民代表大会(全人代)にあわせた内外メディアとの記者会見で、日本との関係について、歴史問題に言及しながら「(日本が)中国を抑圧しようとする新冷戦に加わるなら、両国に新たな痛みをもたらすだろう」と述べた。

「米国の対中政策は完全に逸脱」 中国新外相、語気強く米国を批判

 秦氏は今年が1978年の日中平和友好条約締結から45周年であることに触れ、同条約を含む日中間の四つの政治文書が両国の「政治関係の基礎」だと強調。「とりわけ、『互いをパートナーとみなし、互いの脅威とならない』との合意を守らなければならない」と述べた。

 かつて日本が中国を侵略した、両国の歴史問題にも言及し、「歴史を忘れることは裏切りであり、罪を否定することは罪を重ねることだ」と強い言葉で牽制(けんせい)した。

 さらに、国際秩序をめぐる日中間の緊張にも言及。「日本の一部の指導者は(国際)秩序について好んで語っているが、その秩序とは何か。今日の国際秩序は反ファシズム戦争の勝利を土台とするものであり、3500万人の中国の軍人や民間人が命と引き換えに得たものだ」として、「戦後の国際秩序と国際正義に挑む歴史修正主義を中国人民は決して受け入れない」と、中国側の主張を重ねた。

 一方で、両国間の経済協力の必要も訴え、「ともにサプライチェーンを守り、世界経済の回復に注力すべきだ」とした。

 また、日本政府が進める福島第一原発の処理水の海洋放出計画にも言及し、「日本だけの問題でなく、人類の健康に関わる大きな問題だ」と指摘。「日本側が責任ある態度で対応するよう促す」として、日本の対応次第では両国間の政治問題化するとの立場を強く示唆した。(北京=林望)』

『ニッケイ・アジア』によると、ことし67歳の王滬寧〔→2021-11-7の過去記事を見よ〕が…。

『ニッケイ・アジア』によると、ことし67歳の王滬寧〔→2021-11-7の過去記事を見よ〕が…。
https://st2019.site/?p=20949

『Francis P. Sempa 記者による2023-3-4記事「China’s Leading Ideologist: Wang Huning」。

   『ニッケイ・アジア』によると、ことし67歳の王滬寧〔→2021-11-7の過去記事を見よ〕が、台湾攻略の方法についても熊プーから立案を任されたという。

 ※熊プーは人民解放軍を抑える理論を何も持っていないので、そこをカリスマ理論家の王滬寧に頼ろうというのだろう。

だとするとこれから日米がいちばん警戒しなければならないのは、台湾国内の国民党(蒋介石一派の残党)だ。国民党陣営が大陸からの利権工作を受けて、台湾の自衛力をなしくずしに破壊する工作に励むだろう。

昨年いらい、台湾徴兵の無意味無内容な訓練内容が暴露され、その背後には台湾軍の上層に巣食う国民党一派の意向があると強く推定される。

米軍もそこに気づいたから、これから州兵教官を送り込んで「郷土防衛軍」「市民軍」の構築にかかると思う。

軍隊の政治的腐敗を下のほうから浄化して行くしかないのだ。それがウクライナでは有効であった。』

欧州が探る「戦争の終わらせ方」 政治秩序の歴史的転換

欧州が探る「戦争の終わらせ方」 政治秩序の歴史的転換
欧州総局長 赤川省吾
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR263GJ0W3A220C2000000/

『ロシアのウクライナ侵攻から1年がすぎた。ウクライナはもとより欧州諸国のあいだでもロシアへの不信感は拭えず、停戦は遠いとの見方が広がる。それでも戦場となった欧州では「戦争をどう終わらせるか」というシミュレーションが水面下で始まった。これは欧州秩序の歴史的な転換になるかもしれない。

ウクライナの安全保障がカギ

ウクライナの安全保障をどう担保するのか――。それが戦争を終わらせるカギを握ると欧州連合(E…

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『ウクライナの安全保障をどう担保するのか――。それが戦争を終わらせるカギを握ると欧州連合(EU)加盟国の複数の政府高官は語った。ロシアのプーチン大統領はウクライナを「兄弟国」と呼び、ロシアと一体であると主張する。仮に停戦しても再軍備のための時間稼ぎにすぎず、再びウクライナを侵略するかもしれない。野望を封じる仕組みがなければ、ウクライナはとうてい停戦に応じられない。』

『そんなウクライナの心境を欧州は痛いほど知る。フィンランドのハービスト外相に「停戦の定義」を問うと言葉を慎重に選びながら答えた。「もたらされた平和の時期が軍事力の回復に使われてはならない」』

『「目先の平和を考えるだけでなく、長期的な視点でウクライナの防衛力を強化すべきだ」。英首相官邸報道官によるとスナク英首相は2月、ショルツ独首相との会談で語った。』

『再軍備や再侵略を防ぐにはロシアの野心をくじくような「戦後秩序」にするしかない。そこで「停戦」と「戦後の欧州秩序」をセットにした「戦争の終わらせ方」が欧州の政策当局者のあいだで取り沙汰される。』

『まず欧米の支援でウクライナは少なくとも1年前の全面侵略前のラインまでロシア軍を押し戻す。ウクライナに極めて有利な状況で外交交渉に入り、停戦成立後は欧州がウクライナ防衛と復興に全面的に関与する――。そんな案だ。』

『停戦後も欧州はウクライナへの武器供与を続ける。戦闘機などの最新兵器も検討対象に入る。さらに英国、フランス、ドイツ、ポーランドなどが個別にウクライナと軍事同盟を結ぶことが考えられる。北大西洋条約機構(NATO)への加入は難しいが、2国間の合意ならハードルは下がる。

停戦になればEUや主要7カ国(G7)からの膨大な復興資金がウクライナに流れ込み、経済面でもウクライナは欧州と一体になる。「夢物語と思われていたEU加盟が現実味を帯びるかもしれない」との声がEU官僚から漏れる。』

『一方でロシア制裁は停戦後も続ける可能性がある。ロシアがウクライナの一部を占領した形での停戦なら「全面撤退まで制裁継続」という案が浮かぶ。

昨年夏ごろまでは「ロシアを追い詰めるのはよくない」との意見が欧州でも多かった。しかしロシア軍の残虐行為などで極度の不信感が生まれ、対ロシア強硬派の中・東欧勢の発言力が欧州内で強まった。欧州の盟主ドイツもロシアとの断絶を覚悟する。3月初旬に訪米し、バイデン米大統領と会談したショルツ独首相は「必要な限りウクライナを支援する」と公約した。

バイデン米大統領㊨と会談したショルツ独首相はウクライナの支援継続を公約した=ロイター

もはやウクライナとロシアはもとより、欧州とロシアの関係も元通りになりそうにない。これは欧州史の大きな転換点になる。』

『19世紀、ナポレオン戦争後の欧州秩序を決めるウィーン会議に「欧州の大国」としてロシアが参加した。各国の利害が対立し、「会議は踊る、されど進まず」と称されたウィーン会議から200年余り。欧州の政治秩序には常にロシア、そしてソ連がかかわってきた。

20世紀初頭にはロシア、英国、フランスの三国協商が成立し、ドイツに対抗。第2次世界大戦後は共産圏の盟主として東欧諸国を自らの影響下に組み込んだ。』

『もう「ロシアを含めた欧州秩序」はないだろう。プーチン体制が倒れたら、再びロシアは欧州の一部になるのか。 答えはノーだ。ポスト・プーチンが民主的とは限らない。少し前まで対ロシア融和策を掲げていたドイツ与党の重鎮は悲観的だ。

「我々はソ連やロシアの指導者が代わるたびに民主主義に近づくと信じてきた。その対ロシア政策は失敗した。ドイツは歴史から学ばないといけない」』

『欧州から排除されたロシアはどうするのか。ますます東に目を向け、中国との絆を深める。「強権VS民主主義」の構図はウクライナにおける戦争が終わっても続く。』

『肝心の停戦はなお遠い。中国は2月、独自の仲裁案を公表した。だがロシアに寄り添う中国が公平な仲介者として振る舞えるか疑念は残る。

国際機関・欧州安保協力機構(OSCE)も水面下で停戦を働きかける。東アフリカなどでロシアとウクライナの対話を探ったが、双方の溝があまりにも深かったと関係者は明かす。いま停戦を強く促せば「OSCEはロシア寄り」との印象になってしまうとのジレンマもある。』

『ウクライナは欧米から主力戦車の供与を受け、反転攻勢に打って出たい。いま停戦すればロシアの領土占領を追認することになってしまう。クリミア半島を含めた全領土の奪還はウクライナの悲願だ。一方、ロシアは2024年の大統領選を控えて譲歩できない。ウクライナを支える西側諸国の支援疲れや厭戦(えんせん)機運を忍耐強く待つ。』

『戦争は長引きそうだが、「終わらせ方」の模索は始まった。法の支配を軽んじ、民主主義に挑戦するロシアを利する停戦は禍根を残す。将来の台湾有事などをにらみ、日本は民主主義陣営の一員としてロシアに毅然と対峙すべきだ。日米欧の結束がますます大切になる。日本がG7議長国となったこの1年は、そのような歴史的な局面にある。』

仏で再び大規模スト、年金改革に反対 原発発電量も低下

仏で再び大規模スト、年金改革に反対 原発発電量も低下
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07DHP0X00C23A3000000/

『【パリ=北松円香】フランスでマクロン政権による受給年齢の引き上げを軸とする年金改革案への反発がさらに激しさを増している。7日は全土で産業横断のストライキが実施されて公共交通が止まったほか、原子力発電所の発電量も低下している。パリなど各地の路上では改革に抗議する市民がプラカードを掲げて練り歩いた。

マクロン大統領は持続可能な年金制度を構築するとして、現在62歳の受給年齢を64歳まで引き上げようとし…

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『「受給年齢は以前、60歳から62歳に引き上げられた。今回64歳への引き上げを許せば、将来もう一段の引き上げにつながるのではないか」。この日パリのデモに参加したファブリス・ジョワノーさん(49)はこう心配する。エンジニアだというジョワノーさんは「定年後は田舎でゆっくり過ごしたい」と考えており、人生設計が揺らぎかねない改革には反対だ。

仏調査会社IFOPによる2月の世論調査ではマクロン氏の支持率は32%と3年ぶりの低水準に下がった。年金改革への反感が支持率低下につながったとみられる。国民に対し制度改革の必要性をどのように訴えるか、マクロン氏の求心力が問われている。』

『鈴木亘のアバター
鈴木亘
学習院大学経済学部 教授
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分析・考察 フランスの平均寿命は、男性80歳、女性86歳と、日本とあまり変わらないぐらい長寿国だ。それなのに、受給年齢を62歳から64歳に引き上げる改革を今頃、行おうとしているのは悠長だし、それすら大反対なのかと読者は違和感を覚えるだろう。

しかし、記事には書かれていないが、フランスの年金制度は、受給開始年齢と満額受給開始年齢が分かれている制度であることに注意しなければならない。

受給開始年齢は日本で言う繰り上げ支給の開始年のことである(日本は60歳)。満額受給開始年齢は、日本で言う支給開始年齢の事で、フランスでは既に67歳までの引き上げが決まっている(日本は65歳)。つまり、日本より改革が進んでいるのだ。

2023年3月8日 8:43 (2023年3月8日 8:46更新)
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柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説 ストは労働者の権利である。専制政治の国では、スト権が保障されておらず、ストを行ったら、関係者が逮捕されてしまう。日本では、派遣社員などの労働条件が悪いといわれながら、ストをほとんど聞かない。労働組合の幹部の顔をみると、役所の職員の感じがする。労働者が自分の権利を守る意識が薄れると、政治も緊張感がなくなる。ストは社会を混乱に陥れる活動ではなく、社会を変えるきっかけである
2023年3月8日 7:53』

ガソリン車を「電池交換式EV」に改造 新興のFOMM

ガソリン車を「電池交換式EV」に改造 新興のFOMM
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC098680Z01C22A1000000/

『電気自動車(EV)新興のFOMM(フォム、横浜市)は4月、ガソリン商用車を電池交換式EVに改造する事業を始める。電池を数分で入れ替えられる交換式EVは稼働率を高めたい物流会社に需要がある一方、電池の統一規格がないことなどを理由に事業化の動きは乏しかった。電池保管の規制緩和で市場が広がり、EV普及に弾みがつく可能性がある。

フォムは2013年、スズキの元技術者で、トヨタ車体の小型EV「コムス」の開…

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『一般的なEVの充電は通常10時間程度、急速充電でも30分〜1時間かかる。商用EVでは半日フル稼働すると残り半日を充電にあてることが多い。交換式EVは助手席後方に電池を配置し、2分程度で満充電のものと交換する。充電器は物流会社の配送拠点などに設置し、荷物の積み替え時に電池も交換して終日稼働できるようになる。

交換式EVへの改造は各地の自動車整備工場に委託する。自動車整備の業界団体と連携し、整備工場への研修も手掛ける。23年度に1000台の改造を目指す。

改造費用は180万円程度を見込む。中古車のEV改造は国や東京都が実施しているEV補助金事業の対象外で、補助金込みで新車を買うよりやや割高となる。物流会社などが繁忙期に終日稼働できる点を売り物にする。新車の供給難が続くなか、一般のEVより納期が早いのも利点だ。

交換式EVは電池の統一規格がないことや、消防法によるリチウムイオン電池の保管規制などの影響で普及が進んでいない。政府は保管規制について23年中に緩和する方針。これまで保管場所は原則、平屋に限られていたが、スプリンクラー設置などを条件に複数階の建物で保管できるようにして、電池交換スタンドを建てやすくする。』

「Slack」にもChatGPT 投稿要約、返信を下書き

「Slack」にもChatGPT 投稿要約、返信を下書き
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07DJN0X00C23A3000000/

『【シリコンバレー=佐藤浩実】米セールスフォースは7日、ビジネスチャット「Slack(スラック)」でチャットボット「ChatGPT(チャットGPT)」を使えるようにすると発表した。チャットGPTの開発企業である米オープンAIと組み、投稿の要約や返信の下書きを作成できるようにする。同日から試験版の申し込み受け付けを始めた。

オープンAIが開発したスラック向けの専用アプリと連携できるようにした。スラッ…

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『オープンAIが開発したスラック向けの専用アプリと連携できるようにした。スラックの画面から離れずにチャットGPTの機能を利用できるようになる。「スレッドを要約する」「返信を下書きする」といったメニューを選択すると、投稿の隣に自分だけが見られる文章が自動生成される仕組みだ。』

『文章の要約や執筆支援に使うことで、同僚との素早いコミュニケーションが可能になるとみている。このほか、簡単な調べものに使うことも想定している。日本語も含めた複数の言語で利用できる。』

『利用者の投稿を主体とするスラックのようなアプリではチャットGPTを使いたいという要望が強く、データ連携の仕組みである「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」を使って自作する人も少なくなかった。今回は「ベータ」と呼ぶ試験版ではあるものの、公式アプリの公開によって職場での人工知能(AI)活用がより身近になるとみられる。』

『山崎俊彦のアバター
山崎俊彦
東京大学 大学院情報理工学系研究科  教授
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ひとこと解説 GmailでもChatGPTなどを使った長い文章ではなく短い返答をサジェストする機能はありました。

個人的には

・何も考えないでOKしてしまうと間違いが含まれてしまう可能性がある

・自分が書いてないので記憶に残りにくく、あとで言った言わないになる可能性がある
ということには注意喚起しておきたいです。

ただ、多くの場合には時短になると期待しています。私自身、「お世話になっております」「以上、よろしくお願いします」などはテンプレート化してクリップボードに待機させています。
2023年3月8日 6:22』

親ウクライナ勢力がノルドストリーム破壊か 米報道

親ウクライナ勢力がノルドストリーム破壊か 米報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07E110X00C23A3000000/

『【イスタンブール=木寺もも子】米ニューヨーク・タイムズは7日、2022年9月に起きたロシアとドイツを結ぶ天然ガスの海底パイプライン「ノルドストリーム」の破壊について、親ウクライナの勢力が実行した可能性があるとする米情報当局者の見方を報じた。

米当局者によると、破壊にはロシアのプーチン大統領に反対する勢力が関与したことを示す情報があるが、誰が指示したかなどの詳しい背景は不明だという。ウクライナ政府が関与した証拠はないとも説明した。

ウクライナはロシア産ガスを欧州に運ぶパイプライン計画に反対してきた経緯があるが、報道を受けウクライナのポドリャク大統領府長官顧問はロイター通信の取材に対し、「ウクライナは絶対に関与していない」と否定した。

事件を巡ってはデンマーク、ドイツ、スウェーデンが捜査を続けている。

一方、2月下旬にベラルーシの首都ミンスク郊外の空軍基地で起きた爆発を巡り、同国のルカシェンコ大統領は7日、ウクライナの特殊部隊のメンバーや協力者20人以上を拘束したと明らかにした。ベラルーシの国営通信が伝えた。

空軍基地での爆発についてはベラルーシの反体制派グループが、ロシア軍のA50空中警戒管制機を破壊したとしている。ルカシェンコ氏は「米中央情報局(CIA)の指導をひそかに受けたウクライナの情報機関がベラルーシで破壊活動に従事している」と主張した。

ルカシェンコ氏は「ウクライナが米国の指示でベラルーシを戦争に引きずり込もうとしている」などと述べ、参戦する考えはないことも強調した。

ウクライナ外務省は7日、声明で「(ベラルーシが)ロシアの侵攻に協力していることを正当化するため、偽りのウクライナの脅威を演出する試みだ」として関与を否定した。

ロシアが攻勢をかけるウクライナ東部ドネツク州バフムトでは激しい戦いが続いている。ロシアのショイグ国防相は7日に開かれた国防省の会議で、ウクライナ軍の死者が「2月だけで1万1000人を超えた」として作戦の成功を強調した。1月と比べ4割増えたとしている。

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・国連事務総長、8日にキーウ訪問 穀物輸出延長を協議
・東部バフムト「完全な地獄」 ウクライナ軍、撤退は否定 』

IMF、スリランカ29億ドル支援承認へ 中国など支持

IMF、スリランカ29億ドル支援承認へ 中国など支持
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM07DQB0X00C23A3000000/

『【ムンバイ=花田亮輔】国際通貨基金(IMF)は7日、スリランカに対する29億ドル(約3900億円)の金融支援について、20日の理事会で承認を検討すると明らかにした。スリランカの対外債務再編を巡り、中国など主な債権国の協力が確約されたためと説明した。各国との協調に基づき、スリランカ経済の立て直しを図る。

IMFは7日、スリランカが中国などを含む「全ての主要な2国間債権国」から協力の保証を得て「20日の(IMFの)理事会での承認検討に向けて道を開いた」と発表した。IMFとスリランカは2022年9月に、29億ドルの支援について実務者による暫定合意に達したと発表していた。IMFは支援の前提としてスリランカの経済改革のほか、対外債務の整理再編を求めていた。

債務再編を巡り日本やインドなどのほか、中国の方針が焦点となっていた。インド南部ベンガルールで2月下旬に開催された20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議でも、スリランカをはじめとする新興国の債務問題が議論された。

スリランカのウィクラマシンハ大統領はIMFの声明に先立ち7日の議会で、IMFからの支援が月内にも承認される見込みだと述べていた。中国側から中国輸出入銀行を通じて新たな支援の確約を得たという。

スリランカは慢性的な経常収支赤字に加え、新型コロナウイルスの発生で主要な外貨獲得手段である観光業が打撃を受けた。外貨準備が急減したところにロシアのウクライナ侵攻による国際商品市況の悪化も重なって、輸入品を中心とした物価上昇に直面した。

同国は22年5月にはデフォルト(債務不履行)状態に陥った。経済運営への不満などから国民の抗議活動が激化して、7月にはラジャパクサ大統領(当時)が辞任に追い込まれた。

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