今話題のAI「ChatGPT」とは何か?

今話題のAI「ChatGPT」とは何か? 人の仕事は奪われるのか? アステリアが解説
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1483425.html

 ※ 今日は、こんな所で…。

『ソフトウェアベンダーのアステリアは、対話型AIとして注目を集めている「ChatGPT」について、メディアやアナリストなどを対象にした説明会を行なった。AI研究に関する開発子会社であるアステリアART(アステリアArtificial Recognition Technology)の園田智也代表は、「ChatGPTによって、個人の能力が大幅に補完され、できることの可能性が広がる時代に入ったことは間違いない。気がついたら、AIと一緒に働いている世界になっていたと思った人も多いのではないか」と指摘。アステリアの平野洋一郎社長兼CEOは、「当社製品を利用して、ChatGPTをシステムやサービスに直結するようなことが可能になる。ChatGPTによるプログラムの検証や業務フローの検証が可能になり、不具合の減少につなげることもできる。ビジネスソフトを使いやすく、価値の高いものにすることができるだろう」と述べた。

 アステリアは、ノーコード技術で業務の自動化を支援する「ASTERIA Warp(アステリアワープ)」などを製品化しているソフトウェア企業で、国内のEAI/ESB(Enterprise Application Integration/ Enterprise Service Bus)ソフト市場では16年連続でトップシェアの実績を持つ。AIに関する投資にも力を注いでおり、AI研究の開発子会社としてアステリアArtificial Recognition Technology(アステリアART)を2019年に設立している。

 OpenAIが開発したChatGPTは、2022年11月に公開され、日本語での問いかけに対しても、自然言語処理で回答を行なうAIチャットサービスである。現時点では、プレビュー版として提供されており、メールアドレスや名前を登録すれば無料ですぐに利用できる。また、Microsoftの検索サービスであるBingでも、この技術を活用したプレビュー版を提供。申請することで利用できる。

 アステリア ノーコード推進室エバンジェリストの森一弥氏は、「ChatGPTは、研究者や技術者に限定せず、誰もが触れることができ、その体験をSNSでも発信できる。日本語で利用できる点や、さまざまな質問に回答するため、応用事例を共有しやいため、多くの人が一気に利用しはじめている。また、文書の要約や翻訳、契約書や帳票などのひな形作成、プログラムの生成などにも応用範囲が広がり、さらに文書やプログラムのミスも指摘してくれる。校正の機能の精度が高くはないが、人がやるよりは簡単に校正箇所を見つけることができるだろう。
アステリア ノーコード推進室エバンジェリストの森一弥氏

 また、APIを利用することで、業務などで利用しているアプリにも応用でき、業務の効率化も図れる。具体的な例としては、サポート業務の支援に活用したり、レポート作成や分析資料の作成を行なったり、自社サイトでの商品説明に利用したり、アンケートやSNSに寄せられた大量コメントを分析することができる」とした。

 だが、「ChatGPTの機能は誰かの仕事を奪うものではなく、人を手助けする『便利な道具』の登場であると捉えるべきだ」と述べた。
ChatGPTでできること

 その一方で、課題も指摘した。

 「ChatGPTは、2021年までの情報を学習しているため、最新の情報に関する内容は返ってこない。今の天気や交通情報に関する情報は得られない」としたほか、「回答は真実とは限らないため、ファクトチェックが必要になる。また、倫理的な問題があるような回答は返さないようにしているようだが、限界があるためチェックが必要である」とも述べた。
ChatGPTが生まれた背景とそれに使われている技術

 ChatGPTは、翻訳や分類などのさまざまな機能を有した大規模な単一AIモデルであるGPT-3.5を活用。ここでは、Transformerという手法を用いることで、1,750億個のパラメータを持つ大規模言語モデルを実現しているという。
アステリアArtificial Recognition Technology 代表の園田智也氏
ChatGPTとは

 アステリアARTの園田代表は、「従来のAIは、ディープラーニングによって進化してきたが、AIを学習させるためには数千~数十万のデータセットが必要であり、そのラベル付け作業が大変であるため、学習したものを再利用する事前学習モデルや転移学習が利用されてきた。だが、この学習方法は画像認識には適したものであり、言語モデルに適した手法がなかった。そこに登場したのがTransformerであった」とする。

 Transformerは、2017年にGoogleが発表したAIモデルであり、もともとは機械翻訳のために作られたものだ。

 「Transformerは、自然言語処理において、初めて事前学習を行なうことができるようになった技術。大量データで言語の特徴を学習し、それをもとに、学習済みの比較的少量のデータで、特定タスクを学習して、利用者が望む形にファインチューニングするという手法ができあがった。これが大きなブレイクスルーになり、いまではTransformerが自然言語処理技術の中心になっている」という。

 Transformerの事前学習は、2018年に発表したBERTモデルにおいては、文章の約10%の文字を隠して、その文字を当てることを繰り返して自分で学習する手法を採用していたが、GPTでは文章の次に出てくる文字を予測することを繰り返す手法を採用。単語の位置や単語間の関係を学習することで、効率的に自動で学習することができるようになったという。
Transformerモデル
Transformerと従来のディープラーニングの違い

 また、ファインチューニングでは、「今日の昼食は?」と質問したときに、前提知識として「サラダかパスタ」という選択を文章の間に挟んで、それをもとに学習させて、精度の高いQ&Aシステムを構築するようにしたという。

 だが、ファインチューニングを人手で数千件行なうのは手間であることから、それを解決する手法として次に登場したのが、2019年のGPT-2で採用したCommonsense Reasoningである。データセットを10倍に増やし、モデルパラメータも10倍に拡大。これによって、常識的な出力を得ることが可能になったという。
従来の学習
Fine tuningの例
Commonsense Reasoning

 例えば、「子供と大人では、どちらが腕相撲が強いですか?」という質問に対しては、一般的には大人の筋力の方が、子供の筋力に勝るという理由を、Commonsense Reasoningでは、ファインチューニングを行なわずに理解し、回答することができるようになったという。

 しかし、データセットやパラメータを増やし続けることで、より精度が高まるのか、そのための投資コストが見合うのかといった課題が生まれてきた。そこで新たに注目を集めたのが、Scaling Lawsである。これにより、訓練時間やデータセットのサイズ、パラメータ数を増やすと、それにあわせて誤差が減少するという規則性を発見。この結果、どれぐらいのデータセット量やパラメータ量を増やせば、どれぐらいの効果が得られるのかが予測できるようになり、投資対効果を算定しやすくなった。
Scaling Laws

 「Scaling Lawsにより、しばらくの間、計算資源に投資をしても大丈夫であるということも分かった。1兆パラメータまでは投資を続けても効果が生まれる。現在もこれをベースに投資をしていく流れができあがっている」という。

 また、大規模AIモデルの構築には、データの準備や学習コストがかかるため、APIを活用して、公開されたAIモデルに追加学習することで、それぞれの業務に当てはめて利用することが今後の主流になるとの見方も出ている。

 さらに、ChatGPTで利用されているGPT-3では、例示によって学習する方法に適している点が見逃せないという。例示をもとに、世界中の知識をもとに推論。これによって、ファインチューニングを不要にしているという。例えば、「リンゴはApple。では、バナナは?」というように、先に例となる文章が入ると、これを英訳問題だと解釈して、回答を導き出すという。
そしてGPT-3へ

 加えて、「ChatGPTでは、前処理と後処理への投資が行なわれている。人では回答しないような答えが出てきたときには、人からのフィードバックを反映することで、人の意図に沿った回答をしたり、事実のでっちあげを軽減したりといったことができるようになった。そこで、2022年11月に、ChatGPTが一般公開できるレベルに到達したと判断。安全に運用でき、バイアスが少ない形で公開されている」とした。

 また、アステリアARTの園田智也代表は、「2022年11月のChatGPTの登場前と登場以降では、世界が大きく変わってくる」と指摘。「大規模に学習させたモデルはFoundation Modelsと呼ばれており、文章から文章を生成するだけでなく、文章から絵を生成したり、3D画像を生成したり、ロボットの制御の計画まで出せるようになっている。

 Microsoftでは、ChatGPTを使って、さまざまなロボットを制御できるようにしている。これらの根幹にあるのがTransfomerの技術であり、さまざまな分野に応用できるGenerative AI(生成AI)が進展することになる」とした。

 「知能が、水道のようにインフラ化される時代がやってきており、AIを自分の仕事に自然に利用するようになるだろう。コラボレーションツールであるNotionや、テキスト入力でスライドを生成するTomeなどのアプリは、裏側でGenerative AIが稼働しているが、しばらくするとオフィスアプリやモデリング、デザイン、音楽ツールなどにもGenerative AIが標準で搭載されるようになり、レシピサイトでもAIで生成した新たな料理を紹介したりするだろう。さまざまなサイトでGenerative AIが利用される可能性がある」とも述べた。

 さらに、「ChatGPT では、Pythonで書いたプログラムをJavaにしてほしいと要望すれば、きれいなプログラムに書き換えてくれる。それをテストしながら使えば効率がよく、その結果、エンジニアの人事採用にも影響してくるだろう」としたほか、自らが早稲田大学非常勤講師を務めていることを引き合いに出しながら、「中には、ChatGPTで生成したレポートを提出する学生もいる。それをChatGPTに対して、『これはChatGPTで作成されたものですか』と質問することもあった」と、ユニークなエピソードも披露した。
ChatGPT APIの活用
今後もChatGPTのようなサービスが増える

 一方、ChatGPTの競合サービスについても説明。アステリア ノーコード推進室エバンジェリストの森一弥氏は、「現時点で一般の人が利用できるものはChatGPT以外にはないが、2023年2月だけでも、ChatGPTの競合サービスによる多くの発表が行なわれている」とした。
ChatGPTの入力画面

 Googleの対話型AI「Bard」は、2022年6月にAIが感情を獲得したと主張して話題を集めたLaMDAの技術を利用。GitHubで公開されているFlexGenはGPUリソースを大量に使用しない点にメリットがあるとして注目を集めている。

 Stable Diffusionの開発元であるStability AIによるStable Chatは日本語対応サービスを提供。Hugging FaceとAWSは、大規模言語モデルのBloomをAWS上で提供すると発表し、Meta(旧Facebook)は大規模言語モデルのLLaMAを研究者向けに提供すると発表している。

 なお、アステリアでは、今回の説明会の開催にあわせて、その内容について、ChatGPTに相談したことを明かし、「ChatGPTを名前ぐらいしか知らないメディア関係者に対して、勉強会をする予定なのですが、どのような内容を紹介すべきですか」との質問に対して、「ChatGPTとは何か」、「ChatGPTの応用例」、「ChatGPTの訓練方法」、「ChatGPTの限界と今後の展望」の4項目があがり、それに沿って、補足しながら説明を行なったとした。
アステリア 代表取締役社長兼CEOの平野洋一郎氏 』

生来の決意作戦

生来の決意作戦
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E6%9D%A5%E3%81%AE%E6%B1%BA%E6%84%8F%E4%BD%9C%E6%88%A6

『生来の決意作戦(せいらいのけついさくせん、英語: Operation Inherent Resolve)は、2014年8月に開始されたアメリカ合衆国を中心とする多国籍軍によるイスラム過激派組織・イスラム国に対する軍事作戦。

当初はイラクやシリア国内に限定しており、その内容もイラク軍やクルド人部隊の地上勢力支援や救援物資の搬入を目的とした限定的な作戦行動であったが、次第に作戦の範囲が拡大しイスラム国撃滅作戦へと発展。

アメリカ軍やイギリス軍などがイスラム国の支配地域で連日空爆を行っており、かつては中東全域を支配線とする勢いであったイスラム国も現在ではかなり弱体化しているとされる。

Inherent Resolveは固有の決意、確固たる決意、不動の決意とさまざまに訳されるが、生来の決意が最も一般的である[10]。

経緯

ISILの敵対国家

生来の決意作戦統合任務部隊参加国

その他の対立国

2015年末のISIL最大勢力範囲

フセイン政権崩壊後の2006年頃、イラクの聖戦アル=カーイダ組織を元に誕生したイスラム過激派組織・イスラム国は次第に勢力を広め、2014年に入った頃にはイラクやシリアなど中東諸国の政治的混乱に乗じてこれらの国の大部分を制圧し、支配下に置いた。

その上イスラム国は子供に対する人身売買や生き埋め[11]、イラク北部の少数民族であるヤズィーディーの人々に対する虐殺や強姦・売春[12]、9歳以上の女性や少女を拉致して強姦し自殺に追い込む[13]、さらには誘拐した14歳の少女を集団で強姦した上その様子を少女の携帯電話で親に聴かせる[14]など、非常に残虐かつ冷酷な人権蹂躙行為に明け暮れ、子供や女性に対しても目を覆わんばかりの性的虐待や暴力行為に及んだ。

またその暴力は外国人にも向けられ、日本のジャーナリスト・後藤健二を斬首して殺害した上[15]安田純平を監禁して虐待[16]。更にヨルダン軍のパイロット・ムアズ・カサースベに対しては生きたまま火を放って焼き殺す[17]など、その残虐行為はとどまる事を知らなかった。

上記のような残虐行為を何年間にもわたって繰り返してきたイスラム国であったが、当然このような残虐な集団を国際社会が黙って見過ごしているはずもなく、2014年8月に遂にアメリカ合衆国はイスラム国殲滅作戦の開始を宣言。

イスラム国が残虐行為を行ってきた支配地域に空爆を開始した。

なお、イスラム国は周辺のイスラム世界の国々やイスラム教徒からも激しく嫌悪されており、もはや彼らはイスラム教徒ですらない単なる残虐な犯罪組織であると認識されていたため多くの国々も軍を派遣してイスラム国を殲滅せんと団結し、連合作戦を着実に遂行した[18]。

その結果イスラム国の支配地域はその90%が多国籍軍や地元の義勇軍によって解放され、2017年頃にはその「疑似国家」は事実上崩壊。残虐な人権蹂躙を繰り返してきたイスラム国は、最後には世界中を敵に回して崩壊したのであった[19]。

2014年

1月26日 - コバニ包囲戦が開戦。
8月7日 - フランスの求めにより国連安保理の緊急会合が非公式で開催。過激派組織ISILによる攻撃で、危機に直面しているイラクを支援する呼び掛けが行われる。同日、アメリカ合衆国のバラク・オバマ大統領がISILに対する限定的な空爆を承認。
8月8日 - アメリカ中央軍がイラク国内のISILの拠点に対して空爆を開始。以後、フランス、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーンも作戦参加表明。
8月25日 - バラク・オバマ大統領がアメリカ軍によるシリア上空での偵察飛行を承認した[20]。
9月19日 - 国連安保理は、全会一致でISILの壊滅に向けて対策強化を求める議長声明を採択した[21]。また、同日、フランス軍はイラク北東部のISILの補給所に対して、初の空爆を実施した[22]。
9月23日 - 空爆対象区域をISILの活動範囲に合わせてシリアにも拡大[23]。
9月25日 - ベルギーとオランダが作戦参加表明。
9月26日 - 有志国としてイギリス、デンマークが参加表明。ギリシャも参加の意向が伝えられる[24]。
9月27日 - ヨルダンが作戦参加表明。
10月7日 - カナダ国会が作戦参加を決議。
10月9日 - オーストラリアが参加。同国空軍のFA-18が初空爆。
10月12日 - トルコがアメリカと有志連合に対し、インジルリク空軍基地の使用を承認。
10月15日 - 作戦名「生来の決意作戦」を公式発表。作戦内容は軍事のみではなく外交や諜報、経済などの手段も使うことを言及[25]。
10月23日 - シリア国内への空爆1ヶ月間の死者数が、ISIL戦闘員を中心に553人に達する。
11月8日 - イラクのモスル近郊の爆撃により、ISIL指導者アブー・バクル・アル=バグダーディーが死亡または負傷したと報じられたが[26]、ISILは11月13日に音声を公開し死亡報道を打ち消した[27]。
12月24日 - 空爆に参加していたヨルダン軍のF-16が墜落(ISIL側は撃墜を主張)し、パイロット1人がISILに拘束された[28]。パイロット拘束の後から、ヨルダンとアラブ首長国連邦は空爆作戦への参加を停止している[29]。

2015年

ジャスティン・トルドーは2015年カナダ総選挙で勝利した後、電話でバラク・オバマに米国主導の対ISIL空爆からの漸次撤収を伝達。カナダ空軍のジェット戦闘機CF-18 ホーネットを中東から撤収させる意向を示した[30]。具体的撤収時期を設定することは避けた。北イラクにいる約70のカナダ特殊部隊のミッションについては継続させる。トルドーは約3500万人のカナダ人の代表として、我々は戻ってきたのだというメッセージになると述べた[30]。
1月26日 - コバニ包囲戦が終結。
2月3日 - ISILが、拘束していたヨルダン軍パイロットを焼死させる映像を公開。ヨルダン政府では、1月3日に殺害されたことを確認しているという[31]。この映像の公開を受け、ヨルダン軍はISILに対する空爆を再開した[32]。しかし、アラブ首長国連邦は空爆をまだ停止しており、再開の条件として、新型輸送機オスプレイの作戦への投入など、米軍が態勢を強化することを提示している。
4月8日 - カナダ空軍のCF-18AがシリアのISIL拠点を初空爆。
5月16日 - 米軍特殊部隊が同組織で資金源である原油・ガス取引などを指揮していた幹部、アブ・サヤフ (ISIL)(英語版)を殺害したと発表[33]。人質救出作戦以外ではシリアで初の地上作戦となった[33]。
8月21日 - アメリカ軍が空爆で、当時ISナンバー2であったファディル・アフマド・ハヤリ(英語版)幹部(旧イラク軍中佐)を殺害したと発表[34]。
8月24日 - アメリカ軍がISの「首都」ラッカに空爆を行った際、ジュネイド・フセイン(英語版)幹部を殺害したと明らかにした[35]。同幹部は世界各地でテロをおこす「一匹オオカミ」型のテロ要員確保を担っており、米軍や政府の関係者約1300人の個人情報をネット上に公開し、彼らを襲撃するよう呼びかけていた[35]。
8月28日 - トルコ軍がシリアのISIL拠点を初空爆[36]。
9月27日 - フランス大統領府が、フランス軍がシリアのISILの拠点に対して初めて空爆を行ったことを発表した[37]。
9月30日 - ロシア軍がシリア国内のISIL拠点への空爆開始。
10月7日 - ロシア海軍がカスピ海からシリア国内のISIL拠点への巡航ミサイル攻撃を実施。
10月22日 - イラク北部のキルクーク県で米軍特殊部隊がペシュメルガとの共同作戦により、ISIL拠点からのイラク人救出作戦に成功。戦死1名。
11月15日 - フランス軍がシリア国内のISIL拠点への空爆再開。
11月27日 - ドイツが作戦参加表明。
12月2日 - イギリス議会はイラクで実施している空爆をシリアへ拡大するよう求める動議を賛成多数で可決し承認した[38]。翌日に空爆を始めた[38]。
12月3日 - イギリス軍がシリア国内のISIL拠点を初空爆。
12月29日 - イラク政府軍がイラク西部・アンバル州の州都ラマディを奪還。

2016年

偵察任務に就いているドイツ空軍のトーネードがソフトウェア・アップデートを行ったが、これにより操縦室補助照明の照度がパイロットの視力に影響を与えるほど上がり、ドイツ空軍は夜間作戦を中止している[39]。
2月 - 米軍特殊部隊がISIL幹部Sleiman Daoud al-Afari(化学兵器部門)を拘束。 

3月24日 - 米軍特殊部隊が行った急襲作戦で、当時IS組織ナンバー2であったアブドルラフマン・ムスタファ・カドゥリ(英語版)財務大臣が死亡したと発表した[40][41][42][43]。

3月14日、米軍の空爆によりアブオマル・シシャニ(英語版)戦争大臣(元グルジア軍司令官)が死亡したと発表した[44][45][46][47]。
6月27日 - 米軍主導の有志連合から援護を受け、イラク軍が西部の都市ファルージャを奪還。

2017年

1月 - 米軍特殊部隊がISIL幹部アブ・アナス・アル=イラク(財務部門)を殺害。

6月18日 - シリア北部タブカ南郊の上空でアメリカ海軍空母ジョージ・H・W・ブッシュ所属のFA-18がアサド政権軍のSu-22戦闘爆撃機を撃墜した。有志連合が支援する「シリア民主軍」の戦闘員らが展開している地域を政権軍が空爆したため、交戦規定に基づき集団的自衛権を適用した[48]。この月、有志連合はこれ以外にも8日と20日にもアサド政権側の武装無人機を撃墜している[49]。ロシアは19日、有志連合によるシリア軍機撃墜に強く反発し、シリアを飛行する有志連合の軍用機や無人機を「防空システムの標的とし、ロシア軍機を同伴飛行させる」と発表した。オーストラリアはロシアのこの措置を受け、当面の間シリア空爆を見合わせることを発表している[48]。

7月10日 - 米軍主導の有志連合から援護を受け、イラク軍がモスルを奪還。
10月17日 - 米軍主導の有志連合から援護を受け、イラク軍がISILの「首都」ラッカを奪還。

2019年

3月23日 - 「シリア民主軍」がISIL最後の拠点だったシリア東部のバグズ町を完全に制圧したと発表。
5月31日 - 連合軍の攻撃による過失で少なくとも1302人の民間人が死亡したと、認めさらに111人の民間人が犠牲になったとみて、調査を進めている。[50]。
10月17日 - シリアのクルド人民兵組織「シリア民主軍」が対ISIL作戦を停止。
10月26日 - 米陸軍特殊部隊がISILの拠点を襲撃し、最高指導者のアブー・バクル・アル=バグダーディー殺害に成功[51]。
詳細は「カイラ・ミューラー作戦」を参照
10月31日 - バグダーディーの後継者としてアブイブラヒム・ハシミが選出。

2020年

3月17日 - 米政府がISILの新指導者、アミル・モハメド・アブドル・ラーマン・マウリ・サルビ(Amir Mohammed Abdul Rahman al-Mawli al-Salbi)容疑者を国際テロリストに指定。
3月31日 - ドイツ空軍がトーネードECRが同作戦任務を終了したと発表。
5月10日 - フランス空軍ラファールB2機が「シャマール作戦(opération Chammal)」でイラクにあるISIL拠点を空爆。
5月17日 - 米軍とシリア民主軍の共同作戦によりシリア東部のデリゾール県でISIS幹部のアフマド・イサ・イスマイル・アズ・ザヴィとアフマド・アブド・ムハメッド・ハザン・アリ・ジュガイフィを殺害。
6月1日 - イラクのムスタファ・カディミ首相の指示により、キルクーク県南西部で対ISIL『イラクの英雄』作戦が開始された。

戦闘など

この作戦の効果などを調査するため、作戦続行中にドイツの元議員の記者がISILの支配地域に実際に入り込んで取材を行ったところ、ISILのテロリストたちは作戦の主力となっているアメリカ軍やイギリス軍の空爆はそれほど恐れておらず、なぜならアメリカやイギリスの主力の大半は空爆であるため市街地に隠れることができるからなのだという。

その一方で最も恐れられており、作戦に貢献しているのはイスラエル軍であるという。その理由としてはイスラエル軍は市街戦にかなり慣れているためであり、対テロ作戦を非常に得意とするからなのである。

またこの記者はISILの数々の残虐行為についても取材しており、ISILによるテロリズムやISIL退治作戦を決行する有志連合軍の作戦についてかなり正確な情報が手に入っているという。またISILができた原因としては2003年のイラク戦争でフセイン政権が崩壊したことによって当時イラクの政権与党であったバアス党の党員らがイスラム原理主義に染まったことであるとされているが、実際にはそれ以前にフセイン時代からバアス党(当時は世俗主義をうたっていた)自体がすでに宗教化しており、2000年代には既にかなり過激化していたのだという[52]。

懐疑的な見方

日本もこの作戦において有志連合国に資金援助しているが、これについては懐疑的な見方もある。

漫画家の小林よしのりは、首相の安倍晋三がISILに対して「罪を償わせる」と発言した事については「罪を償わせるというのは、普通に考えれば軍事的に報復するということを指す。しかしこの場合、実際に戦うのはヨルダンであり、アメリカではないか。日本はただそうした国々にお金を出すだけ。お金を出して復讐するなんて、それはもはや『おぼっちゃまくん』と同じである。結局、国内の安全圏で物を言ってるだけだ。」と批判し、「ネトウヨにはイスラム国に行く勇気もイスラム国と戦う覚悟もない。リスクが少ないところで大騒ぎしている、ただの野次馬でしかない。」と痛烈に批判した[53]。

また小林よしのりはISILを「とてつもなく残虐な集団」であるとし[54]、「わしは基本的に、イスラム国は大嫌いである。」「潰して全然構わない。」とした上で、バグダディの殺害においてアメリカ大統領のドナルド・トランプが「映画を見ているようだった」と言い、自爆する直前のバグダディについて「臆病者のように泣き叫んでいた」と述べた事については「ともかくトランプは、現地から遠く離れた全く安全な場所で、まるでゲームのように面白おかしくそれを見物しておけばいいのだ。」「アメリカという「文明国」だから、それが出来るのだ。」「とはいえ、その指導者が無惨に殺害されていく様を、全くの他人事のように高みの見物で眺めていられる神経には、呆れ果てるばかりだ。」と懐疑的な見方を示している[55]。

脚注
[脚注の使い方]

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^ “米国国防総省データ:対ISIS戦における米軍部隊の負傷事例が急増”. ビジネスインサイダー (2017年1月28日). 2022年12月31日閲覧。
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関連項目

クルド自治区
ヤズィーディー
イラク戦争 - 2011年12月14日に終結が宣言されている。
イラクでの戦い (2013–2017)
ロシア連邦航空宇宙軍によるシリア空爆
トルコ軍によるシリア侵攻 (シリア内戦)
バグダード国際空港攻撃事件 (2020年)

表話編歴

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表話編歴

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A-10 (航空機)

A-10 (航空機)
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『目次
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開発

特徴

    機体
    耐久性
    兵装システム
    A-10に関する戦場伝説
運用
派生型
仕様
投入された戦闘
登場作品
脚注
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A-10 (航空機)

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A-10 サンダーボルトII
飛行するOA-10A 80-0278号機 (2012年撮影)

用途:攻撃機
分類:対地攻撃機、前線航空管制機
製造者:フェアチャイルド・リパブリック社
運用者:アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国(アメリカ空軍)
初飛行:1972年5月10日 (YA-10)
生産数:715機
運用開始:1977年3月10日
運用状況:現役
ユニットコスト:1,180万USドル(fiscal 1994)[1]

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A-10 (Fairchild Republic A-10 Thunderbolt II) は、フェアチャイルド・リパブリック社が開発した単座、 双発、直線翼を持つアメリカ空軍初の近接航空支援(CAS)専用機。戦車、装甲車その他の地上目標の攻撃と若干の航空阻止により地上軍を支援する任務を担う。

公式な愛称は前身のリパブリック社製戦闘機で、第二次世界大戦中に対地攻撃任務で活躍したP-47に由来するサンダーボルトII (Thunderbolt II) だが、一般にはメーカーなどでも使われるウォートホッグ(イボイノシシ)[2]やホッグ(ブタ)という渾名も広まっている。

二次任務の前線航空管制機として対地攻撃機の誘導に当たる機体はOA-10の名称をもつ。

開発

1950年代から1960年代にかけてのアメリカ空軍の戦略ドクトリンは核兵器による大規模破壊相互報復であった。この期間の爆撃機は核兵器搭載のために設計され、戦闘機の大半も核兵器搭載可能になったことで近接航空支援や地上攻撃は戦闘機の副次的任務と考えられていた。このため、戦闘機として第一線を退いたF-100 スーパーセイバーをこの任務に充てていた。しかし、ベトナム戦争においては核兵器を使うような事態は発生せず、軽視していた近接航空支援が主任務となった。

これを担うのにF-100のような超音速戦闘機は適していると言えず、海軍のA-1 スカイレイダーを借用したりA-7 コルセア IIを制式採用したりしたが、A-1は老朽化が進む旧式のプロペラ機であり、A-7ではF-100やその他の戦闘爆撃機と同様に敵味方の近接した中で有効な支援を行うのに必要な低速度での運動性がなかった。

このため、ダグラスAC-47、フェアチャイルドAC-119、ロッキードAC-130といった輸送機を改装したガンシップを対人阻止および対地攻撃に使用して特に夜間に効果を上げ、最終的には練習機を改装したノースアメリカン T-28やセスナ A-37を対ゲリラ戦や地上攻撃に使用した。

このためアメリカ陸軍だけではなくアメリカ空軍内でも近接航空支援充実の要望が高まり、ベトナム戦争で多くのアメリカ軍対地攻撃機を撃墜した小火器、地対空ミサイル、小口径の対空兵器にも対応できる専用機体の調達を促すことになった。

また、近接航空支援に使用されるUH-1 イロコイやAH-1 コブラの小口径機関銃や無誘導ロケット弾は非装甲目標にしか対応できないという意見もあった。

F-4 ファントムIIを近接支援機として使用するアイデアもあったが、その高い巡航速度と莫大な燃料消費は空中待機を許さず、緊急出動に限られることとなった。

また、F-4設計当時は艦隊に接近する爆撃機を視界外から攻撃する艦隊防空が主任務とされていたために空対空のドッグファイト性能が軽視されており、初中期型は固定武装を持たない機体が多かった。そして、M61 20 mm機関砲を搭載しない型では走行中の装甲車両には無力であった。

1967年3月6日にアメリカ空軍はエーブリー・ケイ大佐を責任者に据えて21社に対してA-Xまたは実験攻撃機と呼ぶ低価格の攻撃機の設計研究を目的とする提案要求を提示した。

1969年には空軍長官はピエール・スプレイに対して提案されたA-Xに対する詳細要件を作成するように依頼したが、スプレイがF-Xの論議に関わっていたという経緯から内密とされた。

スプレイはベトナムで作戦に従事するA-1 スカイレイダー操縦士との議論や、Ju 87の戦闘記録などの近接航空支援に使用されていた、またはしている機体の有効性の分析、エネルギー機動性理論を考慮の結果、必要なのは長時間の空中待機、低速での運動性能、強力な機関砲、卓越した生存性を持つ、イリューシン Il-2、ヘンシェル Hs129、A-1 スカイレイダーの長所を兼ね備えた機体であると結論付けた。

また、機体価格は300万ドル未満とした。ちなみにJu 87の戦闘記録のなかでも特にハンス・ウルリッヒ・ルーデルは重要視され、彼の著作は計画関係者の必読書とされた。

1970年5月にアメリカ空軍はソビエト連邦機甲部隊対応と全天候戦闘を重視したより詳細な提案要求を提示した。

要求性能としては口径30 mmの対戦車機関砲(ジェネラル・エレクトリック製GAU-8とフィルコ・フォード製GAU-9の競作)を装備し、16,000 lbf (7,258 kg) 以上の兵装搭載能力、進出距離400 kmで2時間の空中待機という高い航続性能、低高度での高い機動性、簡易飛行場を使用可能な優れた短距離離着陸性能、高い生存性、容易な整備性などが出された。

ボーイング社、セスナ社、フェアチャイルド社、ジェネラル・ダイナミクス社、ロッキード社、ノースロップ社から設計案が提出され、1970年12月8日にノースロップ社とフェアチャイルド社の案を採択し、それぞれYA-9AとYA-10Aとして試作されることになった。YA-10Aは1972年5月10日に初飛行し、YA-9Aは10日遅れの5月20日に初飛行している。

1972年10月10日-12月9日の比較評価試験で操縦特性はYA-9Aに劣るものの生存性と試作機からの量産改修点の少なさを高く評価され、1973年1月18日にA-10として制式採用となり、前量産機として10機が発注された。

その後、議会筋の圧力により前量産機のうち4機 (73-1670-73-1673) をキャンセルした上に、アメリカ空軍内部でもすでに装備しているA-7Dとの並行装備に対する疑問が出され、A-7Dとの比較評価を受けることとなった。

1974年にヨーロッパの地勢や天候に似たカンザス州フォートライリイをテスト場とするためにカンザス州マッコーネル空軍基地を拠点としてA-7DとA-10Aの操縦経験のないF-100もしくはF-4のパイロット4名が参加した。

1月-4月にかけて両機の初等訓練から慣熟飛行を行った後、4月15日からテスト場に設置した地上目標と防空陣地に対する16任務各2出撃のテストを実施した。

任務は敵軍と友軍の戦況が膠着した場合と敵軍が友軍を迅速に突破した場合に大別され、武装は最大12発のMk.82 500ポンド爆弾、ロックアイ集束爆弾、ナパーム弾、(A-10へのインテグレーションが未済であったためにシミュレーションによる)AGM-65 マーベリックを使用し、また、上限高度も1,000ft、3,000ft、5,000ft、制限なしとされた。

比較審査の結果はM61A1と同等の速射力と、より大きな破壊力を持つGAU-8 30 mm機関砲が固定武装として選定された。

さらに、対空砲火への抗堪性、良好な操縦性による対空戦闘での脆弱性の軽減、及び特に低雲高や視界の制限された条件で近接航空支援を実施する際の良好な操縦性によりA-10が近接航空支援用により優れた機体であることを示した。

これによりA-10の必要性を認めた議会は開発の継続を認め、当初140万ドルの機体単価は170万ドルになったものの、生産計画は予定通りに進行し、1975年10月にA-10前量産初号機 (73-1664) の初飛行を実施した[3]。

1976年3月にアリゾナ州デビスモンサン空軍基地への配備が始まり、1977年10月に最初の飛行隊が実戦配備可能となった。最終号機は1984年に出荷され、総数715機を生産した[4]。

A-10は当初は739機の生産が計画されたが、最終的に1983年までに719機で生産が完了した。

なお、当機には近代化改修型以外の派生型はなく、操縦は非常に容易と考えられたために複座練習機型も製造されなかった。

1979-1980年にかけて全天候戦闘能力(夜間攻撃能力)を強化した複座型(A-10 N / AW(YA-10B)が試作されたが最終的にはキャンセルとなっており、この際に並行して少数機を既存の単座型から複座の練習機型に改修する案が計画されたが、予算要求が却下されたためにこちらも実行はされていない[5]。

特徴

機体

ナイフエッジで航過するA-10

A-10は、下に折れ曲がったウィング・チップを持つ長スパンの直線翼により低高度低速度域で良好な運動性を発揮し、2.4 km程度の視界下で300 m以下の高度での長時間の待機飛行を行うことができる。

小さく遅い移動目標への攻撃が困難とされる戦闘爆撃機の巡航速度よりも遅い、555 km/h程度で飛行する。

補助翼は上下に分割し、制動補助翼としても機能する。フラップ、昇降舵、方向舵その他の動翼にはハニカム板を使用している。

近接航空支援作戦という任務の性格とA-10の比較的低い巡航最高速度から、前線近くの基地からの運用を想定した構造となっている。

丈夫な降着装置や低圧タイヤと大きな直線翼が発揮する短距離離着陸性能により、攻撃を受けた空軍基地のような悪条件下でも多量の武装を搭載した作戦行動を可能としている。
また、戦場に近い設備の限られた基地での給油や再武装、修理を想定した設計により、エンジンや主脚、垂直安定板を含む多くの部品が左右共通という他には見られない特徴を持つ。

外板と縦通材[6]をNC工作機で一体整形して接合や密封の問題をなくし、製造工程でのコストを節約している。

また、戦訓でこの外板製法が他の製法より高い抗堪性を持つと判明している。外板は構造部材ではないので破損時には現場で調達できる間に合わせの資材で張り替えることもできる。

主翼後方胴体上面という特異なエンジン配置は様々な利点をA-10にもたらしている。

エンジンの排気を水平安定板と2枚の垂直尾翼の間を通すことにより、6:1というバイパス比により低めとなっているゼネラル・エレクトリックTF34-GE-100 ターボファンエンジンの赤外線放射をさらに低減して赤外線誘導ミサイルの擾乱を図っている。

また、限定的ながらも主翼を対空兵器に対する盾としている。

地上においては吸気口を地表から離すことにより砂や石などの異物吸入による損傷(FOD)の可能性を低め、駐機中にエンジンを運転したままでも整備点検や再武装作業時の地上要員の安全を確保できるために再出撃時間を短縮できる。

また、同じエンジンを翼下に懸架した場合よりも翼が地面に近づき、整備点検や武装作業の負担を軽減している。

大重量のエンジンを支持するパイロンは、4本のボルトにより機体に結合されている。また、高いエンジン配置によって生じる機首下げモーメントを相殺するため、エンジン・ナセルは機軸に対して9度上向きに機体へ結合されている。

耐久性

湾岸戦争時、携帯式地対空ミサイルSA-16により被弾した尾部
イラク戦争にて機体右後部に被弾したA-10

A-10は非常に頑丈に作られており、23 mm口径の徹甲弾や榴弾の直撃に耐える。

二重化された油圧系と予備の機械系による操縦系統により油圧系や翼の一部を失っても帰投・着陸を可能としている。

油圧を喪失した場合、上下左右動は自動的に、ロール制御はパイロットによる手動切り替えスイッチの操作により、人力操舵へと切り替わる。この時は通常よりも大きな操舵力が必要となるものの、基地に帰還し着陸するのには充分な制御を維持できる。

機体自体もエンジン一基、垂直尾翼1枚、昇降舵1枚、片方の外翼を失っても飛行可能な設計となっている。

主脚は引き込み時も収容部から一部露出しており、胴体着陸時の機体制御を容易にしつつ下部の損傷を軽減する。また、脚は支点から前方に引き上げられるため、油圧喪失時に脚を下ろすと風圧でロック位置に引き下ろすことができる。

コックピットと操縦系の主要部は予想される被弾方向や入射角の研究で最適化された12.7 – 38.1 mmの厚さと機体の空虚重量の6 %となる408 kgの重量を持つチタン装甲で保護される。

『バスタブ(浴槽)』とも呼ばれるこの部分は23 mm砲のみならず57 mm砲でのテストを受けている。着弾の衝撃で装甲内側が剥離した際の破片から保護するために、パイロットに面した部分にケブラー積層材で内張りを施している。キャノピーは防弾のために拡散接合した延伸アクリルで作られており、小火器の攻撃から耐えることができ、内部剥離を起こしにくくなっている。前面風防は20 mm砲に耐える。

泡消火器付き自動防漏式燃料タンクは空間装甲としての効果を意図してインテグラルタンクとはせずに胴体と分離してある。

また、内外面に貼り付けられたポリウレタン網は被弾時の破片飛散を止めて燃料の漏出を抑える。4個の燃料タンクは被弾やエンジンへの供給断の可能性を減らすために機体中央に集められ、タンクが破損した際には逆止弁で他のタンクからの燃料移送を止める。燃料システムの部品の多くは燃料タンクの内側に設置して外部への燃料漏れを抑え、すべての外部配管は自己防漏式になっている。

給油システムは使用後に取り外され、機体内で保護されていない燃料系統はなくなる。

また、パイロンで支持されたエンジンは、防火壁と消火装置により燃料システムその他胴体部の火災から保護されている。

燃料系・油圧系統、機関砲弾倉などにも施した装甲の総重量は1,010 kgに及び、機体重量の17 %を占める代わりに高い防御性を発揮する。
兵装システム

A-10は、7tを超えるペイロードを持ち、主翼と胴体下にある計11ヶ所のハードポイントに様々な兵器を装備できる。

また、劣化ウランを弾芯とした30 mm徹甲弾を使用するGAU-8 アヴェンジャーガトリング砲を主要武器として内蔵している。

GAU-8は当初の設計では毎分2,100発と4,200発に切り替え可能な発射速度だったが、現在は毎分3,900発に固定している。射撃開始から発射速度になるまで0.5秒かかるため、最初の1秒で50発を発射し、その後は毎秒65発となる。GAU-8の照準はA-10が30度で降下した際の射程1,220 mに最適化されて12.4 mの円内に80 %という集弾率となっている。

なお、発砲時の砲口炎と排煙の排出量が多量のため、操縦士の視界に与える悪影響やエンジンが発砲煙を吸うことへの懸念(故障、特に飛行中のエンジン停止の要因となる)が生じることが実用試験の際に判明したため、初期型の就役後には砲口に発砲煙を散らすためのデフレクターであるGFU-16/A、通称 “Tickler” が装着されたが[7]、効果が低い上に乱流を発生させることによる問題が発生し、その後順次撤去された(装着したままの機体も存在している)。

砲口部をフェアリングで覆う形状とすることも検討されたが、テストの結果空力特性の悪化などの問題が生じ、砲口は露出式のままとなった[8]。GAU-8の発砲煙による問題に対しては、発砲時は自動式の風防前面洗浄装置とエンジンの再点火装置を連動して作動させることで対処している[7]。

A-10前面。前脚が右に寄っているのが判る。

機体自体もGAU-8の搭載を優先した設計としており、発射の瞬間に砲口に向かって9時位置となる砲身を機体中心と合わせるために砲自体を進行方向左、前脚を右に寄せて配置している。そのため地上走行時の旋回は右旋回が小回りになる(旋回半径が内輪側の主輪と前輪の距離で決まるため)。

弾倉は初期の機体では1,350発収容していたが、装填時の弾倉の螺旋部分の破損が多かったために1,174発の砲弾を収容する補強された弾倉に交換された。リンクレス弾薬の装填にはGAU-8専用のGFU-7E 30 mm弾ローディングアセンブリカートを必要とする。大量の弾薬の誘爆は壊滅的な結果となるため、幅1.52 m、長さ2.74 mにもなる弾倉の防護には充分な注意が払われており、弾倉と外板の間には異なった厚さを持つ幾枚ものトリガープレートと呼ぶ多くの板を配置し、炸裂弾を外側の装甲で起爆させ、内側の装甲でその破片を防護する空間装甲としている。

また、電子光学 (TV) 誘導または赤外線誘導のAGM-65 マーベリック空対地ミサイルも頻繁に使用している。機関砲よりも長い射程を持つマーベリックは、近代的な対空システムに対するより安全な選択肢となる。

湾岸戦争では前方監視赤外線カメラを装備していなかったため、夜間任務ではマーベリックの赤外線カメラをFLIRの代用とするアイディアが実行された。このため信頼性の問題から利用されなくなりつつあったLAU-88(三連装ランチャー)によりマーベリック3本を搭載し、内1本をカメラとして利用していた。

他には集束爆弾やハイドラ70ロケット弾ポッドも使用する。

A-10は、レーザー誘導爆弾の運用能力も備えているが、A-10の作戦高度速度域では安価な無誘導爆弾で充分な精度を発揮できる上に誘導兵器の操縦時間をほとんど取れないため、実際の使用は希なこととされている。

また、A-10は通常自衛用として片翼にALQ-131ECMポッドともう一方に2発のAIM-9を携行する。

翼下のハードポイント

翼下のハードポイント
機首下部に露出した30 mmGAU-8 ガトリング砲の砲口

機首下部に露出した30 mmGAU-8 ガトリング砲の砲口
30 mm砲の砲弾

30 mm砲の砲弾
LAU-88により3発のAGM-65を搭載した状態。色が違う1本がFLIRの代用

LAU-88により3発のAGM-65を搭載した状態。色が違う1本がFLIRの代用

A-10に関する戦場伝説

湾岸戦争においては参加機のうち半数にあたる約70機が被弾しながら、損失は6機にとどまり、喪失率は10 %でしかない。

384箇所の破孔を生じながら生還、数日後には修理を完了し任務に復帰した80-8186号機や、イラク戦争においてSAMによって右エンジンカウルを吹き飛ばされながら生還した80-258号機などの「タフさ」の実績がある。

ちなみに”湾岸戦争におけるアメリカ空軍のA-10パイロットの死者ははわずか1名、しかもその死因は食中毒であった” などという伝説が存在するが、77-0197のPatrick Olsonが悪天候中の着陸失敗で、79-0130のSteven Phyllisが戦闘中にSAMにより撃墜で、と計2名が死亡している。

湾岸戦争では30 mmガトリング砲にて、イラク軍Mi-17ヘリコプターの撃墜(1991年2月6日と2月15日に1機ずつ)も記録している。

しかし、基本的には空対空戦闘を考慮しておらず(急激なスロットル操作を行うと機首下げが発生する)、制空権確保が運用の前提条件である。

このため、いかなる地域でも常に制空権を確保可能なアメリカ空軍以外での採用実績はない。空対空ミサイルも一応装備が可能。

運用

サメ(シャークマウス)のノーズアートをペイントしたA-10(第23航空団所属機)
航空祭に展示するためイノシシの顔をペイントしたA-10(エリントン空港)

本機は1976年より実戦部隊に配備され始めたが、1980年代末になると夜間運用能力の不足や遅い速度、行動前の制空権確保の必要性を問題視された。

もちろん、それは近接航空支援に特化した本機にとっては、元より承知で切り捨てた性能である。

しかし、同時期に開発されたマルチロール機のF-16は、低空・低速での運動性も高く、近接航空支援もこなせる機体であった。

加えて地上攻撃用の兵器・装備の性能向上により、近接航空支援に特化した機体でなくても、十分にその任務を果たす事ができるようになった。その結果アメリカ空軍ではF-16をコストパフォーマンスが高いとして調達を優先し、本機のような攻撃専用の機体の優先順位は低下した。

また、A-10は空軍高級将校の目には余分な物に映り、近接航空支援はAGM-114 ヘルファイアを搭載できる陸軍のAH-64 アパッチに押し付けようとした。

また、A-10自体も陸軍と海兵隊に移管しようとする動きもあったが、四軍の分掌を定めた1948年のキーウエスト合意によって阻まれた。

そのため、1980年代後半に低空飛行時の安定性の向上ならびに目標策定能力の向上を目的としたLASTE (Low Altitude Safety and Targeting Enhancement) 計画が検討されたが、湾岸戦争以後の1991年まで実施されていない。

さらに冷戦終結により対戦車攻撃力の必要性が薄れた事と、軍縮の気運によりますますもって攻撃専用機である本機が贅沢視される事となり、配属飛行隊の多くがF-16に転換され、相当数が空軍州兵や空軍予備役などの所属になった。

この時期にOA-10Aという名称が作られたが、これは観測任務に対する名称であり機体としてはA-10Aとまったく同一である[9]。残ったA-10もF-16の近接航空支援型で更新する方針であった。

そのまま活躍も無く消え去ると思われた本機の運命を大きく変えたのが、1991年に発生した湾岸戦争であった。

イラク軍の対空能力が低いことと、砂漠地帯であるために天候が良好であったこと、なにより実際の戦闘が開発意図や運用想定(欧州平原で友軍の制空権下でワルシャワ条約機構の機甲部隊を撃破する)に沿っていたことも手伝い、AH-64A アパッチなどの対戦車ヘリコプターが砂漠環境での機械的トラブルに悩まされたのを尻目に、主に装甲車輌などの移動目標攻撃に活躍した。

A-10Aの累計出撃数は8,755回、OA-10Aの戦線航空統制任務は656回に及び、戦果はイラク軍の戦車987両、装甲兵員輸送車約500両、指揮車両など249台、トラック1,106台、砲兵陣地926ヶ所、対空陣地50ヶ所、SAMサイト9ヶ所、レーダーサイト96ヶ所、指揮所など28ヶ所、塹壕72ヶ所、スカッド発射台51基、FROG発射台11基、燃料貯蔵タンク8ヶ所、航空機地上破壊10機、Mi-17ヘリコプター撃墜2機を記録した。

この活躍により、空軍はF-16の近接航空支援版でA-10を更新しようとする考えを改めている[10]。

そして、1991年半ばより棚上げされていたLASTE改修が始まった。改修作業は機体の定期修理に合わせてサクラメント航空兵站センターで開始されたが、夜間運用能力の付与については緊急の課題とされ、1993年6月には空軍参謀長より1996年10月を期限とするよう指示が出された。

最終的にはグラマン社と契約し、1997年に全機の改修が完了した。 LASTE改修のうち「低高度安全」については自動操縦装置と電波高度計の装備によるGCAS機能であり「照準改善」はF-16と共通の爆撃コンピューターの装備による自動攻撃機能を指す。また、LASTE改修とは別にNVG(暗視装置)適合化が行われた。これらはNVG編隊灯によって区別される。
1994年にはA-10の運用寿命の延長が決定され、当初の目標は2008年とされた。

フェアチャイルドは製造終了後に買収・分割を繰り返し最終的に航空産業から撤退したため、A-10の近代化は知的財産権を取得したロッキード・マーティン[11]が受注し1999年から「ホッグアップ」計画として実施されている。

また、運用寿命の延長と並行して、戦闘能力向上を図る精密交戦プログラム (PEP) 能力向上計画が2004年から実施されている。

PEP能力向上計画は、スパイラル・ワンとスパイラル・ツーの2段階で改修作業が行われ、スパイラル・ワンではコックピットに12.7 cm×12.7 cmの多機能ディスプレイ2基を導入したグラスコックピット化とHOTAS概念の導入、新型兵装搭載管理システムの搭載、兵装パイロン6基に対する精密誘導兵器 (PGM) 搭載用改修、統合直接攻撃弾薬 (JDAM) と風偏差修正小弾ディスペンサー (WCMD) の統合化、スナイパーXRまたはAN/AAQ-28 ライトニングAT目標指示ポッドの携行能力付与、電源能力強化、デジタル・データリンク装置の統合化準備作業が行われ、エンジンもTF34-GE-100から信頼性の向上したTF34-GE-101に換装された。スパイラル・ツーではさらに、統合戦術無線システム・セットの導入、新型データリンク装置の装備、位置評定報告システムの強化が行われる。

PEP能力向上計画の試作改修機には、A-10A量産684号機が使用されることになり、試作改修初号機は2005年1月20日にエグリン空軍基地で初飛行し、第46試験航空団第40飛行試験飛行隊に引き渡されて、飛行試験を行った。量産改修機A-10Cは2006年から全規模量産改修が開始され、同年11月29日から部隊配備を開始、デビスモンサン空軍基地の第355戦闘航空団第357戦闘飛行隊が最初に受領し、続いてムーディ空軍基地の第23航空団第74および第75戦闘飛行隊が受領した。

そしてA-10Cは、2007年8月21日に初期作戦能力 (IOC) を獲得、同年11月7日にはメリーランド州空軍第104戦闘飛行隊がA-10C飛行隊として初めてイラクに展開している。これら改修によって16,000時間まで耐用飛行時間を延長し、A-10Cを2028年までは運用する予定である。

2000年代以降、アメリカ空軍では機体の塗装を灰色単色とし、エンブレムも目立たないように彩度を抑えたロービジ迷彩に統一しているが、第23航空団ではシャークマウスをペイントした状態で任務に就いている。

アメリカ空軍は、2008年の時点でA-10Aを273機、OA-10Aを94機の計367機を保有しており、2009会計年度までに最大125機をA-10Cに改修する計画で進めており、最終的には保有する367機すべてをA-10Cに改造する計画であった。

が、2012年の国防総省の「国防予算の優先度と選択」においては、A-10を102機退役させるとされた[12]。2012年の時点で345機を保有している。

冒頭で述べた通りに本機の能力が疑問視された当時は、後継機として専用機(A-7F/A-16)の開発も検討された事があるが、プランは中止され、現在はF-16ともどもマルチロール機であるF-35統合打撃戦闘機で更新する予定であるが、F-35の開発の遅れによりA-10の退役も先延ばしされ、近代化プログラムが進められている[13]。

2015年の国防予算案の概要にて、予算削減のため、航空戦力としてA-10の全廃、及びU-2偵察機を退役させるという発表がされていたが2016年1月に対イスラム国空爆等の戦果を受けて退役を無期限延長した[14]。

知的財産権はロッキード・マーティンが有しているが、スペアパーツの供給などアメリカ軍へのカスタマーサポートは入札となっており、2007年にはボーイングが主翼の交換プログラムを受注している。

ボーイングが新規製造した173セットの主翼は2019年7月に終了した。これにより約10,000飛行時間まで耐用年数が延長され、2030年代まで運用される予定である[15]。8月にボーイングは9億9900万ドルでA-10の交換用主翼製造を継続受注したと発表した[16]。

派生型

YA-10A
試作機。2機製造。(S/N:71-1369, 71-1370)
A-10A
前量産型。(S/N:73-1664 – 73-1669 (73-1670-73-1673はキャンセル))
A-10A
量産型。1976年より部隊配備。

OA-10A
    前線航空管制を主任務とした機体の呼称。運用にあたり武装として目標指示用の発煙弾頭ロケット弾を装填したポッドを搭載する他には攻撃機型からの変更点はなく、同一の機体である。

YA-10B
別称「Night/Adverse Weather A-10(A-10 N / AW)」。夜間 / 全天候攻撃型仕様の複座型試作機。兵装システム士官(WSO)が搭乗する縦列複座とするために前部胴体は再設計されており、垂直尾翼は上方に20インチ拡大されている。各種の夜間 / 全天候運用装備を追加搭載し、機首部の再設計に伴って30mm機関砲の弾倉は750発装弾のものに小型化されている[5]。

前量産初号機 (73-1664)を改装して1979年から1980年にかけて一機のみ試作され、1980年10月まで夜間運用試験を含め各種の試験飛行が行われた。試験の結果は良好であったが、時期を同じくして既存の機体に外装式に搭載できる汎用型全天候(夜間)攻撃システムである“LANTIRN”の実用化に目処がついたために専用の派生型の必要はないと結論され、計画はキャンセルとなった[5]。

運用終了後はアメリカ空軍飛行試験センター附属博物館(Air Force Flight Test Museum(英語版)に展示されている[17][18]


A-10B
A-10 N / AWの開発計画と並行して計画されていた複座練習機型。10機がA型より改造される予定であったがキャンセルとなった[5]。
A-10C
グラスコックピット化などの能力向上改修を加えたA型の近代化改修型。2005年初飛行。

S/N
    75-258 - 75-309
    76-512 - 76-554
    77-177 - 77-276
    78-582 - 78-725
    79-082 - 78-225 (79-226-79-243はキャンセル)
    80-140 - 80-283
    81-939 - 81-998
    82-646 - 82-665 (82-692-82-705はキャンセル)

仕様

A-10 三面図

乗員:1名
全長:16.16 m
翼幅:17.42 m
全高:4.42 m
翼面積:47 m2
自重:9,760 kg
運用重量:14,850 kg
最大離陸重量:22,950 kg
エンジン:GE製TF34-GE-100×2 ターボファンエンジン(A/Bなし)
エンジン推力:4,110 kg×2
巡航速度:560 km/h
巡航マッハ数:M0.45
戦闘行動半径:1,290 km
フェリー航続距離:4,100 km
実用上昇限度13,640 m
上昇率:1,830 m/min
武装
    固定武装:GAU-8 30 mm ガトリング砲×1(1,174発)
    爆弾:GBU-10/12、Mk77、クラスター爆弾、ペイブウェイ、JDAM
    ミサイル:AGM-65、AIM-9
    ロケット弾

投入された戦闘

湾岸戦争
アフガニスタン紛争 (2001年-2021年)
イラク戦争
リビア内戦
生来の決意作戦

登場作品
詳細は「A-10に関連する作品の一覧」を参照
脚注
[脚注の使い方]

^ Operation Desert Storm: Evaluation of the Air Campaign, GAO/NSIAD-97-134 Appendix IV, U.S. General Accounting Office, 12 June 1997.
^ A-10 Wing Replacement Program
^ “A-7/A-10 CLOSE AIR SUPPORT FLY-OFF”. 2009年4月8日閲覧。
^ A-10/OA-10 Thunderbolt II History
^ a b c d National Museum of the U.S. Air Force>Republic Night/Adverse Weather A-10 (YA-10B) ※2023年2月25日閲覧
^ 翼構造 - 航空実用事典
^ a b THE WAR ZONE>This A-10 Warthog Ground Trainer Still Has A 'Tickler' Muzzle Device On Its Cannon (Updated) ※2020年2月15日閲覧。
^ THE WAR ZONE>Early On, The A-10 Warthog's Legendary Gun Was Both a Blessing and a Curse ※2020年2月15日閲覧。
^ 宮本 勲「異色の攻撃機A-10 - 再評価までの経緯、現状、その将来」『航空ファン (雑誌)』第632集、文林堂、2005年8月、60-68頁。
^ A-16 Close Air Support
^ A-10 Thunderbolt II ・ Lockheed Martin[リンク切れ] - ロッキード・マーティンによる紹介ページでは自社製品として扱われている。
^ 軍事研究2012年4月号82p
^ Northrop Grumman awarded A-10 support contract
^ 米陸軍、兵力大幅削減、戦後最小に アジア重視は維持 共和党反発も
^ アメリカ空軍のA-10攻撃機、173機の主翼交換しプログラム完了
^ ボーイング、空軍よりA-10交換用主翼製造に継続指名
^ FLIGHT TEST MUSEUM FOUNDATION>Republic YA-10B S/N 73-1664 ※2023年2月25日閲覧
^ THE HISTORICAL MARKER DATABASE>YA-10B Prototype number 73-1664, Fairchild Republic ※2023年2月25日閲覧

関連項目
ウィキメディア・コモンズには、A-10 (航空機)に関連するメディアがあります。

Su-25 - A-10と同じ運用思想の攻撃機を必要と考えたソビエト連邦が開発した攻撃機。

外部リンク

A-10 Thunderbolt II - アメリカ空軍の紹介ページ
A-10 Thunderbolt II ・ Lockheed Martin - ロッキード・マーティンによる紹介ページ
A-10 Wing Replacement Program - ボーイングによる翼の交換プログラムの紹介ページ

表話編歴

アメリカ軍の攻撃機(三軍統一命名法施行後)
典拠管理 ウィキデータを編集
カテゴリ:

アメリカ合衆国の爆撃機フェアチャイルドの航空機

最終更新 2023年2月27日 (月) 04:52 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。』

まちがいなく米空軍は、ウクライナ空軍にA-10をくれてやるかどうかを、見定めるつもりだ。

まちがいなく米空軍は、ウクライナ空軍にA-10をくれてやるかどうかを、見定めるつもりだ。
https://st2019.site/?p=20946

『Defense Express の2023-3-6記事「Ukrainian Pilots in the US: Why It’s Not About F-16 But A-10 or Maybe Even More Interesting Options」。

   報道では、ウクライナ空軍から米国に派遣された実験台のパイロットは、アリゾナ州のツーソンに所在する、と。それに該当するのは「デイヴィス-モンサン」基地しかない。

 デビスモンサン基地には米空軍として唯一の「A-10」訓練部隊がある。まちがいなく米空軍は、ウクライナ空軍にA-10をくれてやるかどうかを、見定めるつもりだ。

 もしF-16のパイロットを教育すると初めから決めているのなら、同じアリゾナ州でもフェニックス市近くのルーク空軍基地の方がはるかにそれに適している。それをわざわざデヴィスモンサンにしたというのは、A-10絡みだ。

 ※敵軍支配地の上空には決して入らず、そのずっと手前の低空から空対地兵装を抛り出してすぐUターンするという用法に撤するのなら、A-10でじゅうぶんである。

それならSEADのフルセットを与える必要もない。

今、ミル8でやっていることをA-10でさせるというだけだ。もちろん兵装は無誘導ではなく、終末誘導の滑空爆弾になるだろう。

この用法に撤すると、とてもよいことがある。万一SAMに被弾して墜落するとしても、墜落場所はかならずウクライナ領内となる。だからパイロットは捕虜にならず、その口から米空軍のF-16教育の秘密がロシアへ漏洩することにもならない。

米空軍は、早くお払い箱にしたくてたまらぬA-10を一掃してしまえる。他方でそのメンテナンス義務は発生するから、A-10関連工場のある地元連邦議員も満足する。』

ウクライナ領内で撃墜した「Kh-101」の表面コーティングを解析したところ、…。

ウクライナ領内で撃墜した「Kh-101」の表面コーティングを解析したところ、…。
https://st2019.site/?p=20946

『Defense Express の2023-3-6記事「The russian ‘Stealth’ Was Fake: Research Shows no Radar-Absorbent Coating on Kh-101 Missile」。

    ウクライナ領内で撃墜した「Kh-101」の表面コーティングを解析したところ、ロシアは「電波吸収剤」をちっとも開発できていないことが判明した。

 さらに「Kh-101」の機体は、アルミ合金を主材とし、一部にはステンレススチールを使っている。今日主流である複合材料は、ラダーとアンテナ(電波高度計と、衛星航法電波受信用)のカバーにしか使われていない。これでは「ステルス」には、ほど遠い。

 機体外皮の「厚さ」を減ずることができれば、2ギガヘルツ~12ギガヘルツのレーダー電波を吸収できるのだが、ロシアの巡航ミサイルは、その「薄さ」を達成できておらず、レーダー電波を反射しまくりである。

 Kh-101はステルスであるとロシアはさんざん宣伝していたが、実態はこのザマであった。おそらく「スホイ57」も、宣伝のみのステルスなのであろう。

 Kh-101がステルスではないということは、露軍はこれを実戦で飛ばす場合には、ひたすら超低空飛行プログラムによるしかないということである。さもなくば西側諸国の防空レーダーによって容易に探知されて撃墜されてしまう。』

ドイツ警察特殊部隊は1月7日に、32歳と25歳のイラン国籍の兄弟をウェストファリアで逮捕した。

ドイツ警察特殊部隊は1月7日に、32歳と25歳のイラン国籍の兄弟をウェストファリアで逮捕した。
https://st2019.site/?p=20946

『Herbert Maack 記者による2023-3-3記事「Ricin’s Round Two: Germany Prevents Another Islamic State-Motivated Bioterrorism Attack」。

   ドイツ警察特殊部隊は1月7日に、32歳と25歳のイラン国籍の兄弟をウェストファリアで逮捕した。

 こやつらは「青酸」ならびに「リシン」を使ったケミカル・テロを大晦日に計画していたという。

 だが必要な原料を揃えられず、実行を日延べした。
 それを最初に探知したのは米国FBIで、ドイツ警察は米国からの通牒により、こやつらを逮捕した。FBIは犯人のIPアドレスを追跡しており、それで居場所を絞り込めた
。※表には出てこないがNSA案件やね。

 ドイツ警察によるとこの兄弟はISのサポーターだという。
 2015にドイツに入国。2016に「キリスト教に改宗したためにイラン政府に逮捕され収獄される」と訴えて、長期滞在権を得た。兄のほうは、それから2023までは犯歴なし。

 弟のほうは、2019に酩酊して歩道橋から高速道路へ重さ10kgの木の枝を投げ落とし、懲役7年。

 ところでリシンをどう使うつもりであったのか。じつは2018年にチュニジア人の夫婦が、某所において、「リシン爆弾」を炸裂させようとしたという。それはもし実行されていれば1万3500人を殺したかもしれないという。
 この亭主は懲役10年、女房は8年を言い渡されたという。

 この未遂事件もじつは、米国の情報部局からの通牒により、ドイツ警察が逮捕に至ったもの。

 メルケル政権は、限られた警察資源を「極右」の監視にばかり投入させていたのだ。イスラミックのジハーディストの動きは、野放しであった。』

UAEがロシア原油を大量に買い取って売り捌いている

UAEがロシア原油を大量に買い取って売り捌いている
https://st2019.site/?p=20946

『Alex Lawler 記者による2023-3-7記事「Exclusive: Russian crude oil heads to UAE as sanctions divert flows」。

    UAEがロシア原油を大量に買い取って売り捌いている。西側の対露制裁を弱める行為だ。

 タンカーの動きのデータは基本的にすべて、筒抜けである。
 そこからわかったこと。1500万バレルのロシア原油がUAEに引き取られている。

 また、サウジアラビアは、ロシアから、燃料油を輸入して、火力発電所で燃やしている。
 そうすることによって、自国産の原油から燃料油を精製する手間を省き、それだけたくさん、自国産の原油を輸出して一層稼ぐことができるのだ。

 ※ロシアからのこうした輸出はダンピング価格なので、大いに儲かるとはいえない。トータルでは、2022-2とくらべて2023-2のロシアのガス&石油輸出の稼ぎは「半減」したと、『ブルームバーグ』は報じている。制裁は、効いている。』

ロシアが古い「装甲列車」を引っ張り出してきている。

ロシアが古い「装甲列車」を引っ張り出してきている。
https://st2019.site/?p=20946

『Defense Express の2023-3-6記事「How Soon russian Armored Train Will Arrive in Ukrianian Frotlines and Why russia Started Using Them in the First Place」。

    ロシアが古い「装甲列車」を引っ張り出してきている。

 なぜこのような装備が今も頼りにされているか?

 それは、ロシアの兵役適齢人口が減少しているため。対NATO戦線と、対支戦線の両方に同時に兵力を貼り付けてはおけない。

 東西両戦線のあいだを、兵員を満載した列車を走らせることで、人手不足を補おうというのである。』

米陸軍は、トラックなどを輸送機からドロップするための物料傘を、まったく新しいものにする。

米陸軍は、トラックなどを輸送機からドロップするための物料傘を、まったく新しいものにする。
https://st2019.site/?p=20946

『2023-3-5記事「US Army Trials New Parachute System for Vehicle Airdrops」。

   米陸軍は、トラックなどを輸送機からドロップするための物料傘を、まったく新しいものにする。
 従来は、ハニカム構造の段ボールのようなものを鉄板とともに下敷きに使っていた。
 新型の物料傘は、エアバッグを下敷きとする。RRDASと称する。

 これによって投下から物料回収までの一連の必要時間がいちじるしく短縮される。
 たとえばドロップゾーンで受取る側は、従来だと斧や円匙を使ってハニカムクッション材を剥がす作業が必要であったが、RRDASならそんな必要はない。

 RRDASには着地の瞬間にアウトリガーを出す安定メカニズムも備わっているので、車両の着地姿勢は常に水平である。重心が高くても、横倒しになったりしないのだ。

 RRDASは、ことしいっぱい、テストが続く。ユマ演習場にて。
 部隊配備は2025年からになるだろう。』

英『フィナンシャルタイムズ』によると、ロシアはイランから地対地弾道ミサイルを買うことをためらっている。

英『フィナンシャルタイムズ』によると、ロシアはイランから地対地弾道ミサイルを買うことをためらっている。
https://st2019.site/?p=20946

『2023-3-6記事「Iranian Fateh-110 missiles. Photo from open sources」。

   英『フィナンシャルタイムズ』によると、ロシアはイランから地対地弾道ミサイルを買うことをためらっている。なぜなら、それを口実に、西側諸国がウクライナに、HIMARSよりも長射程の地対地ミサイルを供与する流れになりそうだからだと。

 特にロシアはATACMSを恐れている。』

イリノイ州のサバント社は、無人装輪トラクター×2台を、米宇宙軍のパトリック基地に納入した。

イリノイ州のサバント社は、無人装輪トラクター×2台を、米宇宙軍のパトリック基地に納入した。
https://st2019.site/?p=20946

『2023-3-1記事「Sabanto Delivers Autonomous Tractors to US Space Force」。

   イリノイ州のサバント社は、無人装輪トラクター×2台を、米宇宙軍のパトリック基地に納入した。
 クボタの「M5」農業用トラクターをベースに改造したものである。

 宇宙軍といえども、飛行場やロケット打ち上げ場近辺の地面を整地したりする土木工事は必須である。
 この無人トラクターは、1人のオペレーターで何台でも動かすことができるので、人手不足の今日、とても重宝するであろう。

 浮いた人力は、屋内作業に振り向けることができる。』

いま、ウクライナの国家指導部は、作曲家のチャイコフスキーをどう扱うべきかで、悩んでいる。

いま、ウクライナの国家指導部は、作曲家のチャイコフスキーをどう扱うべきかで、悩んでいる。
https://st2019.site/?p=20946

『Rostyslav Khotin 記者による2023-3-4記事「The Rumble Over Russian Composer Tchaikovsky At An Elite Ukrainian Conservatory」。

   いま、ウクライナの国家指導部は、作曲家のチャイコフスキーをどう扱うべきかで、悩んでいる。

 じつはチャイコフスキーは、ひいじいさんがウクライナのクレメンチュク出身。もちろんロシアの作曲家だと世界的にも認定されている。ならば「チャイコフスキー国立音楽大学」は「キーウ音楽大学」に改称するべきなのか?

 「非ロシア化」は開戦後に各都市で実行されている。たとえばプーシキンの銅像は複数が撤去されている。

 もともと音大の創設時には「キエフ音大」だったのである。それは1863年だった。
 それが1940年に、「チャイコフスキー国立音楽大学校」と改名された。チャイコフスキーの生誕百周年だった。

 今回の改名問題は、中国と関係がある。じつは中国には、「チャイコフスキー国立音楽院」の海外キャンパスがあるのだ。
 そして中国人の音大学生たちの間では、「チャイコフスキー音楽院」の名前に、「モスクワ音楽院」と並ぶステイタスがあった。
 その名前が「キーウ音大」に変われば、中国人学生から見たときの、学校の価値が下がってしまう。

 中国人の学生があつまらなくなれば、本校の収益とステイタスに悪影響があるだろう。さりとて、露軍を後援している中国人にそんな気兼ねをしている場合かという非難もあるだろう。というわけで、ウクライナの文化大臣は、悩みちゅう。

 チャイコフスキーは、生涯に二度だけ、キエフにやってきたことがある。1890と1891だ。そこで地元の作曲家のミコラ・リセンコに会い、サンクトペテルスブルグの劇場でリセンコ作のオペラ「タラス・ブーリバ」を上演しないかと働きかけた。だがリセンコが、歌詞と台詞をロシア語に直すことを拒否したために、この企画は実現しなかった。

 チャイコフスキーの第二交響曲は、別名「ウクライナ交響曲」という。ウクライナ民謡のモチーフが使われているので。当時のロシア人は、ウクライナのことを「小ロシア」と呼び、この第二交響曲も、そのように呼ばれていた。

 チャイコフスキーのオペラ「マゼッパ」は、プーシキンのロシア帝国主義むきだしの詩作「ポルタワ」に基づいている。ウクライナのコサックにイワン・マゼッパという親分がいたのは史実である。

 しかしチャイコフスキーがパトロンのフォン・メックに宛てた1878の書簡では、じぶんは全きロシア人だと強調している。1891の知人宛ての手紙でも、同様に。

 なお、日本の複数のプロ交響楽団は、チャイコフスキーの『1812序曲』の演奏を、今次開戦以降は、拒否し続けている。』

ロンドンのウェンブリー・スタジアムにこの夏(6月24日)、ローリングストーンズ、U2などのビッグネームがあつまる。

ロンドンのウェンブリー・スタジアムにこの夏(6月24日)、ローリングストーンズ、U2などのビッグネームがあつまる。
https://st2019.site/?p=20946

『Amelia Wynne 記者による2023-3-6記事「The Rolling Stones, Pink and U2 to perform at ‘Lviv Aid’: A-list music stars ‘asked to take part in Live Aid-style concert for Ukraine at Wembley this summer to pile pressure on Putin’」。

   ロンドンのウェンブリー・スタジアムにこの夏(6月24日)、ローリングストーンズ、U2などのビッグネームがあつまる。1985の「ライヴエイド」のスタイルのチャリティで、収益をウクライナ難民の救恤に投ずるのだ。

 テレビ中継もされる予定。
 この第一報は『ザ・サン』紙である。

 1985の「ライブ・エイド」も同じコンサート会場だった。このときはエチオピア飢饉災害の救恤金を募ったのである。』

オランダの民間有志が、ウクライナの民生復興用に、自転車を大量に贈ることになった。

オランダの民間有志が、ウクライナの民生復興用に、自転車を大量に贈ることになった。

https://st2019.site/?p=20946

『オランダは地形がまっ平らなので、交通手段として自転車に賭ける意気込みが、欧州では随一である。すなわち、世界一であるといっていい。

 かたや、同じような平地のドイツでは、自転車よりも自動車が好まれた。これは「貴族・将校」の志向と関係がある。オランダの場合、「上層民」は自転車を見下さなかった。ドイツでは、将校が自転車を嫌った。

 このためヒトラーは、ドイツにもっともふさわしい「鉄道+自転車」ではなく、「戦車+自動車」で無理な再軍備をするしかなかった。これがバルバロッサ作戦を失敗させた、最大の遠因である。』

ロシア海軍太平洋艦隊のコルベット「ソヴェルシェーンヌイ」はピョートル大帝湾で対潜戦闘演習を実施した

ロシア海軍太平洋艦隊のコルベット「ソヴェルシェーンヌイ」はピョートル大帝湾で対潜戦闘演習を実施した | ロシア海軍情報供給部
http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-7920.html

『ロシア海軍太平洋艦隊のコルベット「ソヴェルシェーンヌイ」はピョートル大帝湾で対潜戦闘演習を実施した

2023/03/06 20:51.51 カテゴリ:プロジェクト20380コルベット(太平洋艦隊) 

23-0306j.jpg

『インテルファクス軍事ニュース出張所』より
2023年3月6日10時42分配信
【太平洋艦隊は日本海で仮想敵潜水艦を破壊する演習を実施した】
モスクワ、3月6日、インテルファクス

コルベット「ソヴェルシェーンヌイ」の乗組員と海洋飛行士はピョートル大帝湾で演習を実施し、その中で仮想敵潜水艦の捜索と破壊の任務へ取り組んだ。
太平洋艦隊は月曜日に発表した。

「(演習への)導入において、仮想国籍不明潜水艦が日本海の指定海域で発見されました。
ヘリコプターKa-27PL乗員は、投下型水中音響ステーションの助力により仮想敵潜水艦の捜索を行ないました」
声明では、こう述べられた。

潜水艦との接触の確立後、「ソヴェルシェーンヌイ」の乗組員は「受信した座標へ対潜魚雷の訓練射撃を成功裏に実行しました」艦隊は通知した。

彼によると、演習中の水中目標は電子方式でシミュレートされた。

公開情報によると、「ソヴェルシェーンヌイ」が属するプロジェクト20380コルベットは、近海ゾーンでの行動、敵の水上艦及び潜水艦との戦闘、更には海上揚陸部隊の砲撃支援の為に意図されている。

コルベットの兵装には、対艦ミサイル「ウラン」、高射ミサイル複合体「リドゥート」、砲複合体A-190、対潜水艦複合体「パケート-NK」が在る。
艦はヘリコプターKa-27の受け入れが可能である。
同プロジェクトは艦の物理的フィールドを削減する為の解決策が具現化されており、革新的な材料と、船体及び上部構造物の建造レイアウトの使用によりコルベットの電波位置測定視認性の大幅な削減に成功した。』

中国が2023年度の国防予算に2,247億ドルを配分、前年度から7.2%増

中国が2023年度の国防予算に2,247億ドルを配分、前年度から7.2%増
https://grandfleet.info/china-related/china-allocates-224-7-billion-to-2023-defense-budget-up-7-2-from-the-previous-year/

『中国は開幕した全人代で2023年度の予算案を公開、国防予算には1兆5,537億元(約2,247億9,000万ドル)を配分しており、この数字は前年度と比較して7.2%増=8年連続で一桁台の伸び率に留まるため「抑制された数字だ」と主張している。

参考:China’s 2023 defense budget to rise by 7.2%, a ‘reasonable, restrained’ increase amid global security tensions

中国の驚異的な部分は「伝統的な戦力の強化」と「無人化技術=UAV、USV、UUV、UGVへの投資と開発」を同時並行で進めている点

全人代に登場した李首相は「5%前後」の経済成長率を目標に掲げ、国防予算に1兆5,537億元(約2,247億9,000万ドル/前年度予算から7.2%増)を配分した2023年度の予算案を発表、この数字について中国人のアナリスト達は「中国の経済発展と安全保障のニーズを考えれば控えめな数字」「世界平均の2%まで増額(現在は1.5%未満)することも十分可能なのに、8年連続で一桁台の伸び率に押さえているのは抑制的な行動」「ドル換算で言えば前年度(2,290億ドル)よりも少なくなっており中国が軍拡競争を参加していない証拠だ」などと主張している。

出典:军迷天下のスクリーンショット

中国の国防投資額が過剰なのか適正なのは主権の問題なので中国人が好きに解釈すればいいが、中国が軍拡競争を参加していないという下りは詭弁だ。

人民解放軍は2050年頃までに世界規模の軍事能力=米軍並に地球上のどこでも軍事力を行使できる能力の確立を目標に掲げており、これに伴う軍事力の強化がインド太平洋地域の軍拡の原因になっているのは明白で、GDPに占める国防支出の割合や国防予算の伸び率だけで「軍拡競争を参加していない」と結論づけるのは一方的な解釈でしかない。

出典:People’s Liberation Army

まぁ数字上の話はさておき、人民解放軍空軍は2023年中にJ-7を年内に廃止して「近代的な戦闘機戦力への移行を果たす予定だ」と報じられており、現時点でJ-10×500機+、J-11×350機、J-16×245機+、J-20×208機+、Su-30MKK×73機、Su-35×24機の計1,400機以上を保有する空軍戦力は引き続き増加、人民解放軍海軍も2022年に進水した空母「福建」を海上試験を年内に実施、ステルス戦闘機J-35、カタパルト射出に対応したJ-15T、EA-18Gに相当するJ-15D、E-2Dに相当するKJ-600、空母運用に対応した無人航空機の準備も並行して進めている。

さらに西側諸国のアナリストが「イージスシステム搭載の駆逐艦に相当する」と評価する052DL型駆逐艦を1つの乾ドックで5隻同時に建造中なのが確認(2022年8月)され、この駆逐艦はステルスタイプの航空機を検出するのに有利なメートル波使用の長距離レーダー(JY-27Aベースの可能性が高く最大検出距離は400km前後)まで追加されており、アーレイ・バーク級を凌駕する055型駆逐艦は8隻目が就役、もう8隻の建造が予定されているらしい。

出典:微博 lyman2003

人民解放軍が保有する無人機戦力は謎に包まれているものの、昨年の珠海航空ショーで公開した無人機の種類や数は圧倒的で、その殆どが「書類上の存在」や「CG上の産物」ではなく実機で海外の顧客に輸出可能と言うのだから、人民解放軍向けの機体は別に存在すると考えるのが妥当だろう。

先月にアラブ首長国連邦で開催されたNAVDEX2023に中国船舶工業集団(CSSC)は様々な無人水上艇や水中無人機を出展、その中でも魚雷発射管を搭載した超大型水中無人機(XLUUV)の概念を披露して注目をあつめており、XLUUV開発に取り組む米国、フランス、英国も武装型の概念にはまだ到達(仏OUDDがF21重魚雷を搭載可能なミッションベイを備えているため将来的に対潜戦に対応する可能性があると言及している)していない。

***BREAKING***

First image of #Chinese extra-large submarine drone (XLUUV). Similar in size to #USNavy Orca, this design. Has torpedo tubes and, it appears, flank array sonar. Implies anti-submarine role (!!!)https://t.co/ARLOdYgNxN

— H I Sutton (@CovertShores) February 23, 2023

中国の驚異的な部分は「伝統的な戦力の強化」と「無人化技術=UAV、USV、UUV、UGVへの投資と開発」を同時並行で進めている点で、もう中国は無人化技術を「人民解放軍の作戦にどう統合するのか」というレベルに到達し、実際の演習でも無人化技術を使用したものが登場しているので成熟度(実戦で必要な要求要件の算出が進んでいる=研究段階を脱しつつあるという意味)が高まっている。

関連記事:第5世代機と第4.5世代機の生産が順調な中国、今年中にJ-7が退役
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※アイキャッチ画像の出典:kremlin.ru / CC BY 4.0
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投稿者: 航空万能論GF管理人 中国関連 コメント: 19 』

『 トブルク
2023年 3月 06日

返信 引用 

日本が防衛費を増額したら軍拡競争を招くって言ってる人たちは、すでに進行している軍拡競争に追随しなかったら軍事バランスが壊れて戦争を招くってことが何故分からんかね。
76

    名無し3
    2023年 3月 06日
    返信 引用 

中共の軍拡が途上の時は「中国脅威論を煽るな!」
いざ脅威が明確になってきたら「諦めて降伏しろ!」
いやぁ明らかに悪意を持ってやってますねこれは
81
    Natto
    2023年 3月 06日
    返信 引用 

あれは信仰、宗教の類なので無理です。
15 』

『 2023年 3月 06日

返信 引用 

>「世界平均の2%まで増額(現在は1.5%未満)することも十分可能なのに、8年連続で一桁台の伸び率に押さえているのは抑制的な行動」

中国政府発表の統計はGDPも国防費も信頼性が無く、本当の数値はソ連の様に崩壊するまで判明しないだろう
完全に憶測だが、中国の国防費のGDP比は、アメリカや開戦前のロシアの3%台後半ぐらいという数値と、
大して変わらないんだろうなと思っている
13

    76kg4t
    2023年 3月 06日
    返信 引用 

完全に憶測の数値を主張しても無意味だと思いますが…。
中国の軍事費には武装警察の予算が含まれていないので実態より少ないとは思います(日本も同じですが)。
また、中国は軍民融合が進んでいるので、軍事と民間の予算の区別が難しいという事情もあります。
14
        STIH
        2023年 3月 06日
        返信 引用 

    それでもGDP比1.5 %しかないというのは恐ろしいですわな。経済成長と世界の工場が合わさると、あんなに軍艦作っててもこの程度で済むという。
    5
         
        2023年 3月 06日
        返信 引用 

    これを言うと、すぐあなたみたいに噛み付いて来る人が居ますね
    完全に憶測ですけど、GDPが公表値より低いのはほぼ確実だと思いますよ
    中国はあんなに大きな国なのに、他国に比べ異常に早く速報値が出ます
    あり得ない速さです。正確とはとても思えません
    また、中国以外の国はGDP成長率が、年によってだいぶブレ幅があります
    当たり前の話ですね。それぞれの国の景気があり、また世界経済ともつながっているのですから、
    好景気の年は上振れし、景気が悪ければ下振れ、酷い時にはマイナス成長となります
    しかし中国の成長率は、ほとんどの年で政府の景気予測に沿った数値となります
    また、異常にブレ幅が狭い。8.0%→7.8%→7.7%→7.5% こういうあり得ない推移を示しています
    こんなハッキリ言って大本営発表みたいな数値を30年以上続けた結果が、今の公式発表のGDP値となっており、
    全く信用性はありません。あると思う人の方が変としか思えませんよ
    5
            76kg4t
            2023年 3月 06日
            返信 引用 

        中国の経済成長率で「8.0%→7.8%→7.7%→7.5%」のような推移は無かったと思いますが。
        直近5ヶ年(2018~2022年)の推移は「6.7%→6.0%→2.2%→8.1%→3%」ですし。
        さらに5年前(2013~2017年)に遡ると「7.8%→7.4%→7.0%→6.8%→6.9%」ですね。
        30年単位で中国の経済成長率を確認したらブレ幅は結構大きいですよ。
        3 』


折口
2023年 3月 06日

返信 引用 

「一桁なので抑制的~」という話は完全に詭弁ですし擁護する気もないのですが、近年の中国の軍拡規模や物価上昇による購買力低下を含めると確かに数字は少ないんじゃないかなあという気はします。電卓叩いたわけじゃないのでただの印象ですけど、実際はもっと伸びてる(あるいはどこかで神がかり的な帳尻合わせをやってる)ように見えるんですよね。海軍なんかあのペースで船作ってるのは実際とんでもないですし、何より他国と違って船舶の更新じゃなくて純増だから水兵の定数ごと増えてるはずなんです。数年前に軍の人員削減はやったので人件費だけで足が出るという事でもないのかもしれませんが…

艦隊への投資というのは子育てみたいなもので、船買ったら終わりじゃなくて退役させるまで絶え間なく金がかかり続けますからね。ロシアなんかそれで地上軍の軍備再建がずいぶん食われましたが、果たして中国の軍拡はどういう未来に繋がっていくのか。
14

    Kenny
    2023年 3月 06日
    返信 引用 

>水兵の定数ごと増えてる

人民解放軍の人員は公開されていないので数字の正確さは微妙なんですが、規模の割に人手のかかる037型の様な小艦艇を退役させ、056型で置き換えているので、水兵の定数自体は実は大きく増えてない気がします。

まあ公開されている国防費は元々信頼性が低く、大体はストックホルム国際平和研究所の推計に頼っているわけですが、それでも対GDP比で3%行かないくらい、というのが妥当なところかな。つまり、軍拡はしているが、無理な範囲ではない。
13
        成層圏
        2023年 3月 06日
        返信 引用 

    核兵器や宇宙開発でも相当お金がかかっているのではないでしょうか?
    ざっくり核兵器でGDPの1%、宇宙開発でもそのくらい掛けていると思う。
    たぶん3.5~4%くらいの韓国程度ではないでしょうか。
    宇宙開発や防衛費を使いすぎると国の成長が厳しくなりますからね。

    ところで、日本の情報収集衛星は結構な値段してますけど(1機150~400億程度、通算20機くらい。打ち上げも一回100億。)、防衛費じゃないよね?
    文科省か内閣府の予算なのかな?
    詳しい人教えて。
    4
        折口
        2023年 3月 06日
        返信 引用 

    なるほど、90年代以前のPLANを支えていた旧式のコルベットやフリゲートを整理して省力化しているなら全体としての雇用規模は変わっていないのかもしれませんね。解放軍のPR動画なんか見ていても新造艦に乗り込む若い水兵に混じって4~50代の人が居たりしますから、海上自衛隊同様にそのあたりのやりくりは重視しているんですかね。
    2 』

『 ホテルラウンジ
2023年 3月 06日

返信 引用 

この垂直立ち上げのような急激な海軍の軍拡は仰る通り、今後膨大な艦隊維持費負担が発生しますし、また、
垂直立ち上げですから同時期に一斉に旧式になります。
この軍拡のやり方は、「ハッタリ」なのか、「既に侵攻が決定している台湾侵攻のスケジュールに合わせたもの」
なのか、どちらの解釈をするかで分かれますよね。
前者であれば、数の圧倒性で日米から妥協を引き出す期待の為のハッタリですよね。
ただ、中国の場合は、前者でしょうね。
後者のように真正面から日米海軍に挑む覚悟を決める国柄ではありません。
後は、中国から見たら海軍に注力することは、日米に威嚇のサインを出せると同時に、ロシアの目を欺く効果もあるんですよね。
中国は台湾を狙っているという世界の中国観の固定観念を強める事で、ロシアが沿海州をどんどん手薄にするんですよ。
このままウクライナ戦争が泥沼になり、ロシア経済をどんどん疲弊させていき、数年後には訪れるだろうプーチンの死またはプーチン政権の崩壊のタイミングでシベリア独立運動を焚きつけてロシア式の「独立運動→併合」の切り取り戦略でロシア軍なんか疲弊しきって殆ど居なくなった沿海州・シベリアを手に入れようというパターンにもこの海軍の軍拡は使えます。
4

    333
    2023年 3月 07日
    返信 引用 

> 真正面から日米海軍に挑む覚悟を決める国柄ではありません。
これはどのような根拠に基づいているのでしょうか? 』

『 XYZ
2023年 3月 06日

返信 引用 

ここまで来ると残念ながら日本は追従できないでしょうね。
核兵器の保有を考えなければなりません。
核抑止力の高さはロシアと北朝鮮で証明されています。
16 』

『 成層圏
2023年 3月 06日

返信 引用 

自分が中国軍だったら、こんなにハイペースで軍拡しない。
もともとリーマンショック後に雇用対策も兼ねて軍艦等を大量に製造したんだから、そろそろ順番にメンテナンスしないとまずいと思う。
上の方で折口さんも書いていたが、大型艦は人員もいるので、固定費もかかっていくだろう。しかも中国も少子化が深刻。
防衛費が増えても正面装備を増やさない海自の対応は非常に合理的・現実的だ。

もっとも、中国は台湾有事で旧式艦を使い切るつもりかもしれないけどね。
6 』

『 AH-X
2023年 3月 06日

返信 引用 

インフレもあるから軍事費が伸びてるのは確かだけど、中国の恐ろしいところはこれだけ使ってもまだまだ余裕があるってとこですね。軍事費に無理しすぎるとどうなるかはソ連が証明してくれたので中国もそこまで無茶はしないと思うけど、余裕があるってのが不気味。
9

    らら
    2023年 3月 07日
    返信 引用 

そりゃ一党独裁なんですから当たり前でしょう?
人民が食うに困っても公安と軍事と宇宙には予算をまわすと思いますよ。
それが独裁政権ですわ 』

『 なな
2023年 3月 07日

返信 引用 

中国の経済規模があまりにも巨大過ぎて
日本が背伸びして防衛費に2%拠出しても加速度的に差は広がる一方であり、
縮小する日本経済の中で無理に2%出す意味あるんでしょうか? 』

バフムートの陥落でウクライナ軍にロシア軍と戦わせていた欧米諸国は苦しい状況

バフムートの陥落でウクライナ軍にロシア軍と戦わせていた欧米諸国は苦しい状況 | 《櫻井ジャーナル》 – 楽天ブログ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303070000/

『ロシア軍の一角を占めるワーグナー・グループが地理的に重要なバフムート(アルチョモフスク)を包囲したようだ。相当数のウクライナ兵は撤退したようだが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の「死守しろ」という命令に従った兵士もいるだろう。降伏しなければ戦死するしかない。

 アメリカで2月末に報道された情報によると、ウクライナ側の戦死者や負傷が原因で死亡した兵士の数は約26万人、負傷者や障害者は約25万人、行方不明8万人、捕虜3万人。60万人以上が戦線から消えたことになる。ロシア側の戦死者は1万人余りだとみられている。しかも部分的動員で集めた約30万人は訓練の終盤で、まだ大半は戦線に投入されていない。

 本ブログでも書いてきたが、昨年2月24日にロシア軍が巡航ミサイル「カリブル」などでウクライナ軍の基地や生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃しはじめて間もなく、​ゼレンスキー政権とウラジミル・プーチン政権はイスラエルのナフタリ・ベネット首相(当時)を仲介役として停戦交渉を進め、ほぼ合意に達した​という。

 同年3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつける。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会うのだが、​その日にウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺した​。

 4月に入ると西側の有力メディアはロシア軍がブチャで住民を虐殺したと宣伝し始める。マクサー・テクノロジーズなる会社から提供された写真を持ち出し、3月19日に死体が路上に存在していたと主張しているが、疑問が噴出、実際はウクライナ側の親衛隊がロシアに敵対していないと判断された住民が殺された可能性が高い。

 そうした中、​4月9日にボリス・ジョンソン英首相はキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令​。4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。つまり、戦闘を早い段階で終えようとしたゼレンスキー政権の動きをアメリカ/NATOは潰し、惨状を招いたのだ。

 アメリカ/NATOはロシアの軍事力と経済力を見誤ったのだが、アメリカやイスラエルの支援を受けたジョージアが2008年8月に南オセチアを奇襲攻撃した際、ロシア軍の反撃で完膚なきまで叩きのめされているわけで、学ぶチャンスはあった。

 イスラエルがジョージアに武器/兵器を含む軍事物資を提供、将兵を訓練しはじめたのは2001年のこと。ジョージア軍を訓練したのはイスラエル軍のガル・ヒルシュ准将(予備役)が経営する「防衛の盾」で、予備役の将校2名の指揮下、数百名の元兵士が教官としてグルジア入りしていた。イスラエルから供給された装備には無人飛行機、暗視装置、防空システム、砲弾、ロケット、電子システムなども含まれていた。

 そのほか、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズが元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣して軍事訓練を実施、同年7月にはコンドリーサ・ライス国務長官がジョージアを訪問している。南オセチアへの奇襲攻撃はその翌月だ。

 アメリカは2011年春からリビアやシリアに対する侵略をイスラム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を使って実行した。シリア軍を倒せないため、バラク・オバマ政権は支援を強化し、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を生み出すことになった。

 ダーイッシュは残酷さを演出、それを口実にしてアメリカ/NATO軍を介入させようとしたようだ。2015年2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代、好戦的な陣容ができた。その直後、2015年9月末にロシア軍がシリア政府の要請で介入、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュの支配地域は急速に縮小した。このシリアでの戦闘でもロシア軍の強さ、ロシア製兵器の優秀さは証明された。

 ウクライナの場合、ロシア側にとっての懸念材料は最前線で戦う部隊の司令官とセルゲイ・ショイグ国防大臣の対立。ジョイグは十分な兵力や武器弾薬を供給していないというのだ。昨年10月にセルゲイ・スロビキンをドンバス、ヘルソン、ザポリージャの統合司令官に据えた一因はそうした不満を和らげるためだったのだろう。

 ウクライナ軍が地下要塞を築いていたソレダルをワグナー・グループが制圧した直後、ワレリー・ゲラシモフ参謀総長をウクライナにおける軍事作戦の統合司令官にし、スロビキンは副官になるという発表があった。指揮はスロビキンが行うので実態に変化はないと言われた。

 バフムートの制圧を目前にして、ワーグナー・グループからショイグに対する批判があった。十分な武器弾薬が供給されていないというものだが、ほぼ同時にショイグと司令官たちが武器の供給について話し合っている。これまでの例からすると、司令官たちの要求が受け入れられるだろう。バフムート制圧後、ワーグナー・グループは休養に入り、訓練を受けていた兵士が投入されるかもしれない。

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最終更新日 2023.03.07 01:35:09 』