トランプ氏、欧州にウクライナ支援拡大を要求
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0511K0V00C23A3000000/
『【ワシントン=中村亮】米国のトランプ前大統領は4日の演説で、欧州からウクライナへの支援に関し「米国に比べてごくわずかだ」と批判した。米国が過度な負担をしていると訴え、欧州諸国に支援を増やすよう要求した。
トランプ氏は米東部メリーランド州で開いた保守派の大規模集会「保守政治活動会議(CPAC)」で演説した。
ロシアと戦うウクライナをめぐり「ウクライナの成功を望むが、地理的に考えてそれは米国にとってではなく(欧州にとって)はるかに重要なはずだ」と言明した。欧州からのウクライナ支援が少ないと不満を示した。共和党の一部で浮上する米国からウクライナへの支援縮小論を勢いづける可能性がある。
トランプ氏は欧州を念頭に「私のリーダーシップのもとでは遠く離れた国の国境を守るために多額の資金を使うのではなく、我々の国境防衛を最優先する」とも断言した。国防費を十分に増やさない欧州諸国の防衛への関与に消極的な考えをにじませるものだ。
2024年の米大統領選に勝利した場合に「ロシアとウクライナの悲惨な戦争を迅速に解決する」と主張した。ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領について「私は双方にどんなことを言うべきか正確に理解している。とても良好な関係を築いている」と語ったが、具体的な解決策は示さなかった。
大統領選をめぐり「この戦いで最終的に勝利する。米国を再び偉大にする」と重ねて強調した。共和党のポール・ライアン元下院議長らの名前をあげて「(彼らに支配される)共和党に回帰しない」と唱えた。共和党の主流派との決別を辞さない構えを見せる発言だ。
CPACでは、24年の大統領選に関する世論調査を実施した。米メディアによると共和党の大統領候補の指名争いではトランプ氏が62%の票を獲得し、南部フロリダ州のロン・デサンティス知事(20%)に圧勝した。CPACの参加者はトランプ氏の支持者が多いとされている。』