[FT]中国の習近平主席、全人代で経済政策チームを刷新へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB031OV0T00C23A3000000/
『毛沢東以来最も強力な中国の指導者である習近平(シー・ジンピン)国家主席が年に1回開催される全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を利用し、「強力」な政府刷新に乗り出す準備を進めている。金融、ハイテク、その他の産業を監督する責任者に信頼の厚い側近を任命する。
5日に開幕する全人代では、政府のトップである李克強(リー・クォーチャン)首相と、過去5年間の激動期に経済のかじ取りをした功績が認められている…
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『習氏は2月28日の会議で、共産党は「大がかり」な改革を計画していると宣言した。金融業界の改革のほか、技術、科学セクターに対する統制の強化、そして企業にとって最も不穏なことに「非国営企業」に対する党の関与拡大が含まれている。
改革は中国経済にとって微妙なタイミングで行われる。中国経済は昨年の習氏の厳格な「ゼロコロナ」戦略と、企業心理を悪化させたハイテク、不動産業界に対する規制強化によって痛手を負っている。国内総生産(GDP)は2022年に3.0%しか拡大せず、5.5%の政府目標を大きく下回った。
製造業の活動は先月、月間ベースで10年ぶりの急拡大を遂げ、経済成長は今年盛り返すと見られている。だが、新たなチームは懐疑的な投資家に対し、中国が本格的に活動を再開し、政府債務の増加や人口減少、生産性の低迷といった長年の構造問題に取り組む用意があることを納得させなければならない。』
『習氏は昨年10月、中国共産党の最高指導部である7人の政治局常務委員を刷新し、5年に1度の党大会で忠実な側近で委員を固めた。
また、党大会では習氏が3期目(1期5年)の共産党総書記、中国軍トップ(中央軍事委員会主席)に任命された。全人代が18年、憲法を改正して2期の任期制限を撤廃したときにお膳立てされた前例破りの人事だ。そして今月、全人代が習氏を国家主席として再任することで形式的な手続きが完了する。
習氏は政府高官の人事でも共産党指導部の刷新と同じことを行うと見られており、同氏との過去の関係から登用される新顔のチームが誕生する。』
『■習氏の新チームの予想される顔ぶれ
李強氏 上海市党委書記として昨年の上海のロックダウン(都市封鎖)を指揮した同氏は、李克強氏の後継として中国で序列2位の高官である首相に就くと見られる。習氏が2000年代に浙江省党委書記だった頃に一緒に働いたことがあり、李強氏自身は13年に浙江省長に就いた。
李強氏=ロイター
何立峰氏 習氏の福建省勤務時代の部下で、劉鶴氏の後継として副首相に就くと見られている。強い権限を持つ中国人民銀行(中央銀行)党委書記にも任命される可能性があり、副首相が同ポストに就くのは1990年代以来初めてになる。
何立峰氏=ロイター
陸治原氏 中国沿岸部の青島市の党委書記で、習氏の出身地である陝西省の元高官の陸治原氏は、財政相の最有力候補に名前が挙がっている。
朱鶴新氏 国有複合企業の中国中信集団(CITIC)会長で、易綱氏の後任として中国人民銀行総裁に就くと見られている。
易会満氏 現在、証券監督管理委員会の主席を務めていて、中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清主席の後任に就くと見られる。』