台湾有事 国、自治体は常に備えを

台湾有事 国、自治体は常に備えを
https://www.worldtimes.co.jp/security-and-okinawa/20230208-168881/

『(※「世界日報」2023年2月8日の記事だ)

安保セミナー 元陸将補・矢野義昭氏が講演

沖縄の保守系シンクタンク日本沖縄政策研究フォーラム(仲村覚理事長)は1月21日、豊見城市内で新春安全保障セミナーを開催した。元陸将補で日本安全保障フォーラム会長の矢野義昭氏が「台湾有事、直面する危機どう備えるか―いま求められる沖縄の声―」として講演し、有事への備えの重要性を訴えた。(沖縄支局・川瀬裕也、写真も)

急がれる台湾「国家承認」

核保有含めタブーなき議論を

中国は近年、覇権拡大の動きを強めており、多くの専門家らが、習近平政権下で台湾有事が起こる可能性が高いと指摘。昨年、銃撃事件で亡くなった故安倍晋三元首相はかつて「台湾有事は日本有事である」と述べている。

矢野氏はこの発言などに触れ、「中国が台湾本島を包囲するためには台湾東側の尖閣諸島を占有する」こと、さらに「台湾からの避難民が沖縄本島や在沖米軍基地に避難した場合、人民解放軍が攻撃してくる」可能性があることを分析。台湾有事に備え、政府や自治体は「住民の安全を確保することを常に考えなければならない」と強調した。

矢野氏は現在進行中のウクライナ戦争について、ロシアは2015年ごろから砲弾、ミサイル、最新装備の研究開発や生産など戦争準備を始めていたと指摘。その上で「将来の脅威は何かという共通認識を持たなければならない」と語り、日本政府が安保3文書などで未(いま)だに中国を明確な「脅威」と断言していないことを問題視した。

一方で自衛隊の戦力については、「人口に対する(自衛隊員の)比率は世界的に見ても最低水準だ」とし、特に予備自衛官が約4万8000人しかいないと強調した上で、「ウクライナは(予備役軍人が)90万人いたから戦えている」と準備の大切さを改めて強調した。

矢野氏は、中国が台湾に本格的に軍事侵攻した場合、

①台湾が全力で戦い抜く意思を持つ
②米国が即時に介入し軍事的支援を開始する
③日本は南西諸島や本土に攻撃を受けることを覚悟して、米軍に基地を使わせる
④台湾軍が豊富な対艦対空ミサイルを保有していて戦場で即導入できる――

という前提がないと勝ち抜くことは難しいと主張。

日本が戦争に巻き込まれることを覚悟で、時の政権や国民がこれを支持するかどうかは不確定だと述べた上で、台湾を国家として正式に認める「台湾国家承認」が急がれると語った。

最後に矢野氏は、日本がもし台湾有事に軍事介入しようとした場合、中国は核による恫喝(どうかつ)も視野に入れていると指摘し、「唯一日本が生き残れる道」として、核保有の重要性を訴えた。

原子力潜水艦の製造から弾道ミサイルに至るまで、タブーなき議論をすべきだと持論を述べた。

核を保有する米国と同盟関係にあっても核恫喝を受けるのかとの参加者からの質問に対しては、中露が連携している限り米国は核戦力において劣勢であると指摘し、「米国としては、瞬時に数千万人の損害が出るような中露との核の応酬は考えていない」とした上で、「核の傘は機能しない」と断言した。』

『抑止力向上の声は沖縄から

日本沖縄政策研究フォーラム・仲村覚理事長

日本沖縄政策研究フォーラムの仲村覚理事長が1月21日、新春安全保障セミナーで「沖縄を決して戦場にしない!緊急を要する抑止力整備」と題して講演した。以下は講演要旨。

台湾有事の時、沖縄の人たちを避難させるため、沖縄県に図上演習をするように陳情書を提出し、実際に訓練が行われた。有事のときに県民の命を守るのは自衛隊ではなく県の仕事だ。

政府が安保行政を大きく変えた時、しわ寄せが真っ先に来るのが沖縄だ。下地島空港を米軍が使わせてくれという申請をしたら宮古島は反対しなかったが、沖縄県が反対をしたため、米軍が訓練を取りやめた。抑止力を強くしていくことに関して、ブレーキを踏むのは実は沖縄県だ。

日本の抑止力を低下させる最大の敵は日中友好(中国)だ。尖閣諸島の衝突事件直後に中国で流れたテレビ番組で「琉球独立運動をした琉球人を日本政府が大虐殺をした」とのプロパガンダが放送された。これらの琉球独立工作と戦っていかなければならない。

安全保障戦略で日本は軍事的増強の道が示されたが、沖縄県自身が最大の障害となっている。その背後には中国による沖縄琉球独立工作がある。最悪の場合、中国は「琉球の主権を放棄しないと核を東京にぶち込むぞ」と恫喝(どうかつ)するかもしれない。
(※ ありそうな話しだ…。)

沖縄から声を上げれば、日本政府は何百億円何千億円かけてでも沖縄を守るように動いてくれる。今後も声を上げ、世論をつくっていかなければならない。』