豪政府、レアアース企業巡る中国系ファンド増資を阻止

豪政府、レアアース企業巡る中国系ファンド増資を阻止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM015290R00C23A3000000/

『【シドニー=松本史】オーストラリア政府が、同国のレアアース(希土類)企業を巡る中国系ファンドの増資計画を阻止した。同国のチャルマーズ財務相や関係者が1日、明らかにした。豪州のアルバニージー政権は中国と通商面での関係改善を目指しているが、米国を軸に中国に対抗する陣営の一員として、戦略上の重要鉱物でもあるレアアースについては警戒姿勢を維持する構えだ。

増資計画の対象になったのは豪北西部でレアアース鉱…

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『増資計画の対象になったのは豪北西部でレアアース鉱床の権利を持つノーザン・ミネラルズ社だ。中国籍の投資家が保有するシンガポール登記のファンドが同社への出資比率をこれまでの9.9%から19.9%に引き上げる計画だった。

この計画を豪州の外国投資審査委員会(FIRB)が認めない方針を示し、チャルマーズ氏が却下を正式決定した。同氏は1日、記者団に「FIRBの助言に基づき決定した」と述べた。詳しい理由は説明しなかった。』

『レアアース鉱石は一般に豪州を含む各国で生産されるが、環境負荷が大きな分離・精製作業は中国が手がけるケースが多い。世界のレアアース供給で中国が大きな割合を占め、米陣営は安全保障上の脅威だと認識している。

豪州はレアアースを含む重要鉱物資源のサプライチェーン(供給網)整備を目指す「鉱物安全保障パートナーシップ」に、米欧とともに参加する。アルバニージー首相はモリソン前政権下で悪化した中国との経済関係を重視するが、安全保障面では米欧に配慮せざるを得ない立場だ。』