ベラルーシ、中国の仲裁案支持 ウクライナ巡り首脳会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2792J0X20C23A2000000/
『【北京=羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は1日、ロシアの同盟国ベラルーシのルカシェンコ大統領と北京で会談した。ロシアの侵攻で戦闘が続くウクライナを巡る中国独自の仲裁案を説明し、協力を呼びかけた。両氏は戦略的パートナーシップの発展に向けた共同声明に署名した。バイデン米政権が中国批判を強めるなか、連携して対抗する。
中国外務省によると、習氏は会談で「中国の立場の核心は話し合いを促すこ…
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『中国外務省によると、習氏は会談で「中国の立場の核心は話し合いを促すことだ」と発言した。米国などを念頭にウクライナ情勢について「関係国は政治の道具にするのをやめるべきだ」と改めて指摘した。
ルカシェンコ氏は習氏の説明した仲裁案に「完全に賛成する」と述べた。そのうえで中国企業によるベラルーシへの投資拡大に期待を示した。共同声明には貿易、ハイテクなどの分野で関係を強める内容を盛り込んだ。』
『中国の仲裁案は、同国外務省が2月24日に発表した「中国の立場」を示す文書を指す。ウクライナとロシアの直接対話の再開を求め、中国が建設的な役割を果たす意欲を示したが、具体策は記していなかった。「すべての国の主権と独立、領土の一体性の保障」など計12項目を並べた。
公表後、バイデン大統領は米テレビのインタビューで「ロシア以外の誰にとっても有益でない」と批判した。』
『習氏がルカシェンコ氏に訪中を求めた大きな理由は2つある。
ひとつはウクライナ情勢でカギを握る同国の隣国ベラルーシに仲裁案を示すことで、中国に対する欧州の印象の好転を狙う。欧州の「中国離れ」を防ぎ、対中投資を促して経済の浮揚につなげる思惑だ。
中国共産党系メディアの環球時報は2月28日付の社説で「中国とベラルーシがロシア・ウクライナ問題で意思疎通を強化すれば、一部の大国のように火に油をそそぐのではなく、危機を解決するのに明らかに役立つ」と主張した。
習指導部はフランスのマクロン大統領に4月の訪中を呼びかけている。23年前半に欧州連合(EU)のミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長を中国に招くため働きかけている。習氏とロシアのプーチン大統領は頻繁に連絡を取り合っている。中国はロシアと欧州の双方に接点をもち、国際社会での影響力を高める戦略を描く。』
『もうひとつの狙いはバイデン政権への揺さぶりだ。24年秋に大統領選を控えるバイデン氏にとって、ロシアのウクライナ侵攻を巡り実績を残せるかどうかは大きな課題になる。
バイデン政権はロシアやベラルーシと断絶状態で、中国がロシアに殺傷力のある武器を輸出する可能性を警戒する。中国はウクライナ情勢に関与する姿勢を強調することで、米国によるハイテク分野での対中禁輸などの緩和を引き出そうとしている。』